僕はいつまで経っても童貞を卒業できないと思う 作:アロワナさん
思い返せばあの時はどうかしていた。性欲が、こう、なんで例えれば適切なのか……ああ、ピッタリな言葉があった。発情期の猿。僕の苗字に猿が入っているから発情期の僕とも置き換えられる。下半身で行動してしまったあの日がなければ僕と幼馴染の関係はこんなにもただれたものにならなかっただろう。
「ほんと、カチカチ。もしかして一緒に歩いているだけでこんなに立派になっちゃったの?」
僕の前で座り込んだ純恋が顔を見上げながら語りかけてくる。僕のズボンに細長い指先が大事なもので出っ張っている上からなぞられる。純恋の指が「の」の字の魔法陣を描くとドッと血液が下半身に流れ込む。ちんちんがパンツの中からチャックが壊れるかというぐらいにそそり立つ様を見て、純恋はふふっと笑いながらチャックのピンを人差し指と中指をかける。親指は強く優しく僕の膨らんだちんちんの先端をゲームスティックのように触っている。
「このままだとちんちんが可愛そうだよね、ちんちんもそう思う?」
「お、思います……」
「なんであんたが答えているのよ、ちんちんに聞いているのよ? ちんちんに」
どうしようもない僕には発言権なんて存在していないのは仕方のないことだった。多分、外の紅葉に負けないぐらい顔は赤くなっている。
「ちんちん、つらい!」
だから普段よりも気持ち高い声で僕はちんちんの気持ちを代弁する。すると純恋に笑みがこぼれ、チャックが開かれる。ズボンで押さえつけられていた僕の大事なちんちんはエアバッグのようにパンツとともに外に飛び出してくる。
「我慢していないのに我慢汁出して、どうしようもないちんちんだね」
水色のトランクスのはずが一部分紺色に成り果てている。おもむろに純恋が息を吹きかける。パンツ越しなのにその吐息の暖かさがこそばくて、甘くて、艶めかしくて腰が引けてしまう。
僕が情けなくビクついているのをいいことに、純恋は何度も何度も息を吹きかける。バースデーケーキでろうそくが消えていないかのように、ピンク色の唇を尖らせて。僕の頭の中はすでに唇に負けないぐらい真っピンクであった。癖っ毛のある髪の上から頭を掴んでその唇を股間に押し付けたい。そんな欲が込み上がってくる。無理矢理は良くないと理性は言っているが発情期の猿には聞こえない。僕はひっそりと静かに腕を純恋の頭に回す。
「いいの、そんなことしても」
純恋は僕の股間から視線を外さずに呟いた。
「よくないです……」
「それが正解。あなたは私がいないと性欲で絶対に捕まるんだからね」
捕まる。こんな単純な動詞に僕のちんちんは少しだけ小さくなってしまう。やっぱり僕は知能を持った生物であるがゆえに純恋に逆らえない。
でも純恋は僕を縛り付けているわけではない。僕にとっていい意味で飼っている。飼育員の純恋は躾ができた猿にご褒美を与えることは忘れない。トランクスの前面にあるちんちんを閉じ込めるためのボタンに手をかけ、純恋は手慣れた様子で外す。
音で表すならボロン。でも実際にはそこまで大きくない僕のちんちんがパンツの隙間から顔を出す、僕と違って恥じらいとかは一切なく、純恋の顔にぶつかろうとする勢いで。
「いつ見ても元気なちんちんだね」
それは純恋の前だから、と僕は言いたいが今日もそんな野暮なツッコミはできなかった。だから仕方無しにちんちんを上下して頷くことにする。その仕草は純恋のお気に入り。もっと別のことに向けた方が良いほどの屈託のない笑顔をちんちんにする。
「偉い偉い、お利口な子は将来立派に育つね」
皮の間から少しだけ出ている亀頭をよしよしと撫でる。刹那、あっと小さな声が僕の口から漏れ出す。
気持ちいい。他の言葉に形容できない性にまつわるこの気持ちよさ。格別で背徳的だ。
撫で終わった純恋の指、性格には薬指と中指の付け根あたりに僕の我慢汁が付着した。透明な汁が艶のある糸となる。ちんちんと純恋をつなぐこの架け橋は僕の未練を表していんだろう。パンツも純恋の肌も触れていないちんちんが我慢汁の涙をこぼし、橋は無惨にも地面に落ちていった。
「こんなに出てたらイク必要ってあるのかな?」
純恋は手についた精液を舐める、僕に見えるようにわざわざ舌まで突き出して一息に舐める。精液は舌から口の中に、純恋の唾液と混ざり合い、ゴクリと飲み込まれる。そして口元を緩めて甘い声を上げる。
「最高に美味しくないね」
僕自身は自分の精液の味を知らないが、純恋はきっと嘘をついている。眼鏡の奥の瞳は少し昔、給食のハヤシライスを熱弁しているときと同じだから。でも不思議なのは、嘘とわかっているのに僕のちんちんは喜んでしまっていることだ。
「ちんちん、寒いの嫌」
「寒いならじゃあ、温めないとね」
僕の頭から爪先までちんちんになってしまっているの対して、純恋は聖母のように優しく接してくれる。きっとちんちんに甘えられるのが純恋も嬉しいのだろうと勝手に推測した。
純恋は亀頭付近の皮の上で指の輪っかを作り大事そうにちんちんを掴む。そのまま腕を奥に動かせば丸裸になった亀頭が現れる。
僕は固唾をのむ。純恋の口が唾液が千切れる音とともに開き、ゆっくりと近づいていく。亀頭に息がかかる。指先はこわばって開いたまま固まる。ちんちん付近で急激な温度変化が起こる。もう純恋の息は生暖かい領域になっていた。
そして包まれた。幼馴染の口に。純恋の唇は僕の皮をしっかりと支えている。濃い紅色の眼鏡フレームの前にある眼で僕を上目遣いで見てくる。ちんちんを加えているから喋れないが、きっとこれで寒くないでしょ、なんて言っているんだろう。寒いなんてもってのほか、暖かすぎて幸せを感じている。心の芯からちんちんの先っぽまで。ちんちんも全力で頷いている。
「純恋……き、気持ちいいよ。気持ちいい。もっとお願い。舌で舐めまわして」
純恋が舌先で僕の亀頭を弄ぶたび、僕の身体は快感で震える。ちんちんも我慢汁を出している場合ではないと精巣に指示をし始めている。
んちゅ、んちゅ、ちゅぽ、ちゅぽ……。
純恋は亀頭を飴玉のように舐めながら顔を前後に振る。髪の毛も揺れている。ふと目の前の壁に目が留まる。タンスの上に僕が昔取った作文の賞状が黒い額縁に入れられて飾られていた。あの頃の純恋は僕のことをよく見ていた気がする。それは僕も同じことが言える。僕は幼馴染の純恋を見れていない。これも言葉の綾だ。僕と純恋の関係は、もう二度とあの頃には戻ることはない。
「そろそろ……
「はひへいいほ」
んちゅっ! ちゅぽっ、ちゅぽっ! ちゅぽっ!
純恋の唇がよりすぼみ、僕のちんちんをシゴく速度も質も高まる。もう分かる。僕のちんちんが悲鳴を上げてる。
「
精巣から込み上げてくる。精子が形を作ってちんちんの中にある管を通っていく。幼馴染は動くのをやめない。純恋の口は僕のちんちんを離さない。
ドピュッ、ドピュピュピュ……、ドピュピュ……。
ちんちんが精子を吐き出した。一度二度三度、口の中を満たす勢いで出た割には量は足りていない。だからか丸めた舌先で管の中に残った精子を純恋が吸い出している。
ゴクリ。
すべての精子を口に含み、僕の顔を見ながら純恋は喉を鳴らす。昔から錠剤は飲み慣れていると言わんばかりに一撃で僕の精子を胃に落とし込む。
「ああ、美味しくない。本当に美味しくないね。……ごちそうさま」
眼鏡の位置を調節しながら、顔を火照らせながら、純恋は僕に最低で最高な感想を伝える。
「今日はこれでおしまい」
「いつもありがとう……」
「そうね、一生かけて感謝してくれるとうれしいね。じゃあトイレ借りるから」
まるで自分の家のようにドアを乱雑に開け、純恋はトイレに向かっていった。
僕はしばらくの間、剥き出しになったちんちんを眺めていた。ちんちんは幸せそうだ。
便器の上に座った純恋が自分の秘部に指を当てる。湿っているというにはおこがましい水分を指先が感じ取る
「あいつが悪いんだから……」
そのまま指先を割れ目の中で前後する。上に移動するたびに陰核が刺激され、臀部に力が入る。でも止めることができない。
「こんな関係はダメこんな関係はダメこんな関係はダメ」
自分に言い聞かせるように声を出しているが、指は止まらない。快楽が断続的に純恋を襲う。指が余計に止まらなくなる。
初めは静かで外に漏れないような音だったが、今は違う。指も人差し指だけではなく、中指も、薬指までも使用している。純恋の荒れた吐息とくちゅくちゅと淫靡な音がトイレの中で反響している。
「あっ、あっ、んんんんん!!!」
突如背筋が張り、太ももが小刻みに震える。固く閉じた口の合間から声が漏れ出るほどの快楽、その証拠に指の合間から潮がトイレの中へと放たれる。
「自分の家じゃないのに、イッちゃった」
純恋の目に写った電灯には虫の死骸の影がいくつもあった。