つよつよオレっ娘格闘家、黄金獅子ライカちゃん、やべぇ巨女に目をつけられて愛玩犬に堕ちる。~イチャラブエッチを添えて~ 作:嫌われた勘のいいガキ
「⋯⋯死ねッ!!」
ライカの咆哮と共に、訓練場の石畳が爆ぜた。
師直伝の縮地。さらには黄金の闘気を爆発的な推進力に変えたライカの姿は、並の冒険者の目では残像すら捉えられない。文字通りの「光速」に近い機動。
(正面から行くと見せかけて――死角だ!)
ライカの狙いは、バルバラの背後。
いかにSランクといえど、200センチの巨体で「一歩も動かない」という縛りがある以上、真後ろへの反応は遅れるはずだ。
ライカは瞬時に背後へ回り込み、脊髄をへし折るつもりで渾身の正拳突きを放った。
「もらったァ!!」
勝利を確信した拳が、バルバラの背中に突き刺さる――その寸前だった。
バヂィッ!!
乾いた音が響き、ライカの拳が空中で静止した。
手応えがおかしい。骨を砕いた感触ではない。まるで鋼鉄の万力に挟まれたかのような圧迫感。
「な⋯⋯ッ!?」
ライカは目を見開いた。
バルバラは、後ろを振り向いてすらいなかった。
ただ、背中越しに左手をありえない角度で回し、ライカの拳を「見もせずに」鷲掴みにしていたのだ。
「⋯⋯いい踏み込みね。でも、殺気がうるさいわ」
退屈そうな声と共に、ライカの身体は雑巾のように前方へと放り投げられた。
「ぐっ⋯⋯!? ふざけやがって!」
空中で身を翻し着地するライカ。
冷や汗が流れる。速さで撹乱し死角を突く作戦は完璧だったはずだ。それをこの女は「気配」だけで捌いてみせた。
「どうしたの? 黄金の闘気が泣いているわよ。貴女の『俺様』な自信は、この程度かしら?」
「黙れッ! まだだ、まだ終わっちゃいねえ!!」
ライカの全身から、さらに激しい黄金の輝きが溢れ出す。
小手先の技術は通じない。ならば、力(パワー)だ。
彼女は奥歯が砕けんばかりに噛み締め、師匠から禁じられていた最大出力の闘気解放の構えを取った。
「見せてやる⋯⋯これが俺の奥義『黄金獅子(ゴールデン・ライオン)』ッ!!」
その熱気だけで周囲の空気が歪み、観衆たちが熱波に押されて後退する。
ライカは咆哮と共に、正面から飛び込んだ。
「これが俺の、全開だぁぁッ!!」
狙うは顎。脳を揺らし、意識を刈り取る一撃必殺の昇龍拳。
全てを込めた黄金の拳が、バルバラの無防備な顎へと迫る。
ドォォォンッ!!
衝撃波が訓練場の天井を突き抜け激しい土煙が舞い上がった。
「⋯⋯やったか!?」
観衆の誰かが叫んだ。それほどの威力だった。
だが土煙が晴れた先にあった光景にライカの心臓は凍りついた。
「⋯⋯熱いわね。でも、ただ熱いだけだわ」
バルバラは、無傷だった。
ライカの渾身の拳は、バルバラの顎に届く寸前、彼女の「人差し指と親指」だけで、あくびが出るほど軽く摘ままれて止まっていた。
そして、バルバラの指が触れた箇所から、自慢の黄金の闘気が強風に晒された蝋燭の火のように「シュウゥ⋯⋯」と情けない音を立てて霧散していく。
「嘘⋯⋯だろ⋯⋯全力だぞ⋯⋯!?」
「魔力(マナ)の質が違うのよ、仔犬ちゃん。貴女の闘気は『力』。私の魔力は『支配』。格が違うの」
バルバラの左手が摘んだ拳を離し、電光石火の速さでライカの首筋を掴んだ。
200センチの巨躯から繰り出される力。それは山そのものがライカの首を締め上げたような絶望的な剛力だった。
「が、はっ⋯⋯、ぁ⋯⋯ッ!?」
首を掴まれ、ライカの体は軽々と宙に持ち上げられた。
165センチのライカの足は、バルバラの胸の高さほどまで浮き上がり、無様に空を蹴る。
「離せ⋯⋯ッ、この⋯⋯っ!」
ライカはバルバラの極太の左腕を掴み、黄金の闘気を込めて抵抗しようとした。だが、その瞬間――。
「あ、が⋯⋯っ!? な、んだ⋯⋯これ⋯⋯っ!?」
バルバラの指先から熱く、甘く、痺れるような「何か」がライカの首筋を通じて全身へと流れ込んできた。
それはサキュバス特有の神経を直接犯す情欲の魔力だった。
戦士として、男として生きてきたライカにとって、それは未知の恐怖だった。
黄金の闘気が、その侵入者に対して防衛反応を示さない。それどころかライカの細胞の一つ一つが、バルバラの魔力に触れた瞬間に歓喜の悲鳴を上げ、彼女の意志を裏切って弛緩し始めたのだ。
「いい声。貴女、格闘家としての回路が魔力と相性が良すぎるわ。⋯⋯少し刺激しただけで、こんなに体が震えている」
「やめ⋯⋯ろ⋯⋯っ、俺の⋯⋯身体に⋯⋯何を⋯⋯ッ!!」
ライカの言葉は、熱い溜息へと変わっていく。
バルバラは掴んだ首筋から、親指を這わせるようにしてライカの顎のラインをなぞった。たったそれだけの愛撫が、ライカにとっては全身を電流で灼かれるような快楽に変換される。
「『黄金獅子』が聞いて呆れるわね。⋯⋯ほら、足の力が抜けているわよ?」
バルバラの言う通りだった。空を蹴っていたライカの足は、いつの間にか力なく垂れ下がり、股の付け根には、これまでの人生で一度も経験したことのない「違和感」が、熱い湿り気となって広がり始めていた。
「ふ、あ⋯⋯ぁ⋯⋯ッ、はぁ⋯⋯、はぁ⋯⋯っ⋯⋯!」
「気づいているかしら? 貴女の闘気が、私の魔力に溶かされて⋯⋯私の色に染まり始めていることに」
バルバラが指先に力を込めると、ライカの身体はビクンと大きく跳ね、彼女の口からは格闘家らしからぬ、甲高い淫らな鳴き声が漏れた。
「⋯⋯あ、あぁ⋯⋯っ。俺⋯⋯は⋯⋯負け⋯⋯て⋯⋯っ⋯⋯」
「ええ。もう勝負はついているわ。⋯⋯でも、せっかくだから『儀式』を完了させましょうか」
バルバラはライカを掴んだまま、腕を軽く振るった。
たったそれだけでライカの体躯は模擬戦用の境界線の外まで投げ飛ばされ、ゴミのように床へと叩きつけられる。
「ぐぁッ!!」
ライカは這いつくばったまま酸素を求めて喘ぐ。しかし彼女の身体は物理的なダメージよりも、バルバラに流し込まれた「毒」によって、立ち上がることを拒絶していた。
「――円の外に出たわね」
バルバラが冷徹に告げる。
彼女の足は、まだ円の中心から一ミリも動いていない。
「一歩も動かず、左手一本。⋯⋯私の勝ちね、仔犬ちゃん」
勝利が確定した瞬間、バルバラは初めて円から足を離し悠然と歩き出した。
ライカは屈辱に震えながら顔を上げようとしたが、目の前からやってくるバルバラの圧倒的な「壁」のような威圧感に、心までもが完全に圧し折られそうになる。
カツン、カツンと近づいてくる足音――訓練場の冷たい床に這いつくばるライカの視界に、ゆっくりと、しかし確実に「絶望」が歩み寄ってきた。
「⋯⋯ぁ⋯⋯っ、くそ⋯⋯立て⋯⋯動けよ、俺の⋯⋯身体⋯⋯ッ!」
ライカは震える腕で床を押し、どうにか立ち上がろうとした。しかし、首筋から流し込まれたバルバラの魔力が鉛のように重く全身に沈殿し、運動機能を内側から麻痺させていた。
それでも格闘家としての本能が、このまま地面に伏していることを拒絶し、今すぐこの場から離れろと警鐘を鳴らしている。
何よりも恐ろしいのは、これほどの戦いだったのにライカの身体には痛み一つないのだ。骨だって折れていない。それはつまり、バルバラがライカを「壊す」のではなく、最初から「無傷で捕獲する」つもりで遊んでいたことの証左だった。
「無駄よ。私の魔力は貴女の自慢の闘気と混ざり合って、内側から貴女の動きを封じているのだから」
バルバラの巨大な影がライカを覆う。
そして彼女は背後に控える聖騎士へ、短く合図を送った。
「エルザ」
「はい、バルバラ様」
カチャリ、という冷たく乾いた金属音がライカの耳元で響いた。
首元に走る、冷ややかな革の感触。
「⋯⋯え?」
「よく似合っているわよ。私の新しいペット」
首に巻かれたのは、先ほどエルザが準備していた黒革の首輪だった。
屈強なバックルが留められ、そこから伸びる銀色の鎖を、バルバラが悠然と握りしめる。
「な、に⋯⋯これ⋯⋯離せ! 俺は犬じゃねえぞ!!」
「いいえ、犬よ。賭けに負けたのだから」
バルバラが鎖をグイと引く。
首が絞まり、ライカの上体が強制的に起こされる。だが、足腰に力が入らないため、彼女は無様に四つん這いの姿勢を取らざるを得ない。
「ほら、お家へ帰りましょうね」
「ふざけ⋯⋯ぐぅ、うッ!?」
バルバラが歩き出す。鎖が張る。
抵抗しようと踏ん張るが、圧倒的な怪力には逆らえない。
それどころか、恐ろしいことが起きた。
首を引かれた瞬間、ライカの手足が「主人の歩調に合わせる」ように、無意識に前へと出たのだ。
「あ⋯⋯?」
教わってもいないのに、四つん這いでスムーズに歩く身体。
皮肉にも、師匠に叩き込まれた「重心制御」と「柔軟性」が、今は「四つ足で美しく歩く」ために最適化されてしまっていた。
ライカの腰は、まるでオスを誘うかのように滑らかに左右に揺れ、お尻を高く上げて恥部を後続の『紅蓮』のメンバーや観衆に晒しながら、バルバラの足元に付き従ってしまう。
チャリ、チャリ、と鎖の音が響く。
衆人環視の中、かつて「最強」を目指した格闘家は、完璧な「飼い犬」の姿勢で歩かされている。
「あーあ⋯⋯本当に行っちまった」
「一体、どうされちまうんだか⋯⋯」
「見ろよ、あの腰つき」
「完全に『メス』の歩き方になってたな」
周囲から投げかけられるのは恐怖とそれ以上の「憐れみ」。
ライカは今更ながら自分の置かれた状況を正しく認識し、その身を震わせた。
「くそ⋯⋯っ、俺は⋯⋯俺はぁ⋯⋯ッ!」
そのままライカは街の視線に晒されながら『紅蓮』の拠点――豪華絢爛でありながら、一度入れば二度と戻れない、紅い檻へと引きずられていった。