灰色創世Ⅰ(グレイジェネシス)ー禁忌の遺産を継ぐ者ー 作:絶撃@
それは導きなのか、それとも内側から湧き上がる声なのか
自分の思考でありながら、自分のものではないような応答が、静かに割り込んでくる
問いかければ答えは返る。だが、その正体は明かされない
理解は進むのに、確信だけが一歩手前で留められる
これは啓示でも支配でもない
自分自身を知るために用意された、不可逆な対話の始まりだ
境界が曖昧になるほどに、世界は静かに形を変え始めている
灰色創世Ⅰ(グレイジェネシス)ー禁忌の遺産を継ぐ者ー
Ⅰ 06
【Answer:Grave】
「君は何者だ?名はなんて呼べばいい?」
その問いかけに、《それ》はこう答えた
【Disclosure of identity: Reserved】(正体の提示:保留)
【Answer:Grave】
「・・・・保留・・・ねぇ・・・」
それは、今はまだ正体を明かす気はない・・・或いは明かす状況にないという事か?
「そういう認識でいいのかな?・・・Grave!」
その問いかけに、《Grave》はこう答えた
【That interpretation: Correct】(その解釈:正しい)
・・・この分だと、今はまだこれ以上の情報を引き出すのは難しいようだ
「わかったよGrave。とりあえず君は僕の敵じゃないと仮定する。あくまでも暫定だけど」
【That judgment: That's fine】(その判断:それでいい)
《これは・・・状況の説明なのか、意思があるのか判断に迷うな・・・》
Graveが僕に関わっている理由や目的が分からない。だが、それに対する返答や情報開示は期待できそうにない
《とにかく今は、Graveの事を知る必要がある》
となれば、とりあえずは《Grave》の提示した【IQの測定】という推奨に乗ってみるのが良さそうではある
「君のいう《IQの測定》を、Grave・・・君が出来るのかい?」
【Answer:Yes】
「出来るのか・・・なら、なぜ勝手にやらないんだ?」
【Answer:The decision always rests with Takahiro. It's Takahiro, not Grave, who needs to know the IQ】
(回答:決断は常にタカヒロにあり、IQを知る必要があるのはGraveではなくタカヒロだからである)
「・・成程、少し見えてきた。つまり君は僕を《補完する存在》という事か」
【Answer:Yes】
「ならばなぜ、君は正体を僕に隠す?」
【Answer:If Grave's actions themselves would distance the real world from the optimal solution, then it will not be disclosed or presented】
(回答:Graveの行為そのものが、現実世界を最適解に近づける場合でなければ、それは開示されたり提示される事はない)
《・・・要するに、僕自身の問題というわけか・・・》
成程、確かにそれは理屈である
Graveの行為そのものが未来に悪影響を与える可能性があるなら、それを選ばないという《安全装置》が働くという意味に取れる
要するに・・・今の僕にダメ出しされてるって事だよね(汗)
白状しよう。ここまでの《Grave》とのやりとり、僕は終始傍観者だった
僕が考えるよりも先に、僕が喋っている
後追いで意味は理解しているのがせめてもの救いだ
意味不明な自分自身の会話を聞かされるなんて想像しただけでもぞっとする
まぁ、要するに・・・・
「・・・僕は、自分自身の事をもっと知る必要がある・・・そういう事かな・・」
【Answer:Yes】
「わかった。状況は大体理解した。じゃあ、早速だけど、IQの測定を頼むよ。左程興味はないけど、知る必要があるんだよね?」
【Answer:Understood. Then let's begin the IQ measurement】
(回答:了解。ではIQの測定を開始する)