※この作品はR-18です。

灰色創世Ⅰ(グレイジェネシス)ー禁忌の遺産を継ぐ者ー   作:絶撃@

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気付けば、世界が少しずつ《見えすぎていた》

授業中に浮かぶはずのない答え、触れたこともない知識、理由の分からない確信


祖父の名を口にするだけで曇る父の表情・・・

会ったこともないはずの祖父が、何かを伝えようとしていた


夢の中の彼女と、鈴の音の現実・・・

その狭間でゆらゆらと彷徨いながら

言葉にならない伝言と、届くはずのなかった想いが、僕をゆさぶっていた




02 届かぬ伝言(想い)

灰色創世Ⅰ(グレイジェネシス)ー禁忌の遺産を継ぐ者ー

 

 

 

Ⅰ 02

 

 

届かぬ伝言(想い)

 

 

 

 

違和感は他にもある

 

 

学校にいるときに妙な感覚に襲われる時があった

 

 

 

「・・・あ・・れ?」

 

 

例えば三年生の教室の前を通りかかった時、

 

まだ習っていないはずの公式が頭に浮かび、歩きながら解いてしまった事がある

 

 

自分で気付かないうちに、どこかで勉強していたのかも知れないとも思ったけれど覚えがない

 

 

 

ここ半年くらいの間に、元々よかった成績が上限に張り付いているような印象がある

 

 

 

そのおかげでこの世界における狭き門、《進学組3%枠》には余裕で手が届いた

 

 

 

学年が一つ上の鈴璃の勉強を見てあげられるのも、そのせいだ

 

 

 

 

 

 

いつの間にか・・・

 

引き延ばされた時間の中で僕は考えていた

 

 

 

 

ぼんやりと白昼夢のようにそんな事を考えていると、

 

 

 

《・・・カヒロ・・・》

 

 

 

鈴璃の心地よい声が僕を現実に引き戻す

 

 

 

 

白昼夢と現実とが、ゆっくりと重なり合う

 

 

 

 

「だって、タカヒロ頭いいんだもの☆おじいさまに似たのかもー」

 

 

 

あぁ、そんな話をしてたんだっけ・・・

 

 

思考を・・・こっちに戻そう・・・?

 

 

 

《・・・何だ?》

 

 

 

 

それは・・・ほんの小さな違和感だった

 

 

 

 

鈴璃に言われて初めて気付く

 

 

確かに、それはあるのかも知れない

 

隔世遺伝というやつだろうか

 

 

 

「そうかな・・・あ、でも父さんの前ではその話はしないようにね。また機嫌悪くなるから」

 

 

「うん、わかってる。けど、なんでだろうね?おじいさまと仲悪かったのかな?」

 

 

 

 

「さぁ・・・どうなんだろ・・」

 

 

 

 

 

 

 

父が不機嫌になる理由を、僕は知っている

 

 

 

祖父は生前、ナノテクノロジーの分野で優れた研究者であり、大本営にも技術協力をしていた事もあるらしい

 

 

ただ、父から聞かされた話によると、祖父の研究していた内容が著しく倫理と人道に反するものだったらしく、

 

それを国外に持ち出そうとした際に不慮の事故で亡くなったらしい

 

経緯は一切不明で、遺体さえ戻ってこなかったそうだ

 

 

 

酔った勢いで一度だけ父が話してくれた事がある

 

祖父が亡くなった後、父や祖母は大本営に連行され徹底的に身体検査をされたらしい

 

 

 

それは全裸にされてくまなく写真撮影され、口腔内や肛門、性器に至るまで徹底的に調べられたという

 

 

 

その話を聞いた時、僕は戦慄が走った

 

祖父が一体どんな研究をしていたら父や祖母までそんな目に遭うのだろうか・・・

 

 

 

父は、決して祖父の事を悪くは言わなかったが、自分だけでなく祖母・・・

 

父にとっては母親である人が、屈辱的な辱めを受けた原因が祖父の研究にあると知り・・・・

 

 

 

 

態度で分かる・・・恐らく父は・・・・・

 

 

 

 

 

祖父を憎んでいた

 

 

 

 

 

経緯が経緯だけにこの件には興味を持つなと物心ついた時から父に何度となく言い含められていた

 

 

まだ小さかった頃の僕は、その秘密を知ったら【組織】に殺される―――とか、本気でビビっていた

 

 

 

それ以来、父の言いつけ通りその件については考える事をやめていた

 

そして中学二年の冬休みの今まで、その事についてはすっかり忘れていた

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、僕は奇妙な夢を見た

 

 

 

 

それは・・・・今から四年後に、僕は日本から離れ、遠くステーツ西海岸のとある大学で、

 

ナノテクノロジーの環境や人体に与える影響に関する医学的研究をする事になるという夢

 

 

今の僕には考えもつかない事だった

 

 

 

そして今朝がたは・・・

 

自分がこの世に生を受ける前に亡くなった祖父タカズミの夢を・・・

 

 

一度も会った事のない祖父の夢を見ていた・・・

 

 

 

 

 

「・・・・タ・・・・・ヒ・・ロ・・・・・・・・」

 

 

 

 

夢に出てきた祖父は、僕に何かを・・・・伝えようとしているようだった・・・

 

 

 

 

 

 

目覚めた時、胸が妙にざわついていた

 

 

アルバムの写真の中だけでしか知らないはずの顔なのに、

 

なぜか同じ時間を過ごしてきたかのような懐かしさを感じていた

 

 

 

そして僕は、そんな祖父に対しどうにも抗えない強制力のような何かを感じ・・・

理由もなく、しばらくベッドの上で動けなかった

 

 

 

微かに手は震え、冷たい汗と共に鼓動が静かに、そして強く高鳴ってゆく・・・

 

 

多分だけど、これから先・・・僕の身の上に起こる【何か】に対する警鐘だと思う

 

 

 

 

本能が・・・・警戒心をMAXにして、運命を拒絶している・・・・

 

 

なのに、どこかで【もう抗えない】と悟っている自分も同時にそこにいた

 

 

 

 

 

抗えない理由・・・・

 

 

 

僕の夢の中に現れた、もう一人の存在・・・・

 

その独特な起伏の大きなシルエットは・・・・

 

 

 

女性・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

《・・・・・・まだそんなトコでグズグズしてるんだ・・・・・まぁ・・・いいけど☆》

 

 

 

 

 

 

 

 

気が付くと、僕は布団を両の手で固く握りしめていた

 

 

 

 

 

 

「タカヒロッ!・・・よかった・・・汗びっしょりだよ?・・・どこか、具合悪いの?」

 

 

 

鈴璃の心配そうな顔が目の前にあった

 

心地よい吐息が、夢の中に現れた女性とほんの少しだけ重なる・・

 

 

 

でも・・・

 

 

それが、違和感に感じられる程に・・・現実感がない

 

 

 

 

そんな感覚が・・・しばらく続いていた・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

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