【ToLOVEる外伝】リトと美柑の秘められた日常 ―禁断の果実を食む兄妹― 作:芝刈り山
リトが掃除中の美柑のスカートの中に頭を突っ込んでしまい白い綿パンツを間近で見る
「はぁ……。今日も平和だな……」
彩南高校に通う結城リトは、自室のベッドに大の字になって寝転び、夕暮れ時の天井を見上げていた。学校でいつものようにトラブルに巻き込まれ、疲れ果てて帰宅したばかりの彼にとって、この家だけは唯一の聖域だった。
そこには、自分を支えてくれるしっかり者の妹、美柑がいるからだ。
「リト、いつまで寝てるの。夕飯の前に掃除を済ませちゃうから、そこどいて」
予告もなくドアが開き、掃除機を手にした美柑が入ってきた。彩南第一小学校に通う彼女は、兄よりも遥かにテキパキと家事全般をこなす。リトは妹のそんな姿にいつも感心し、甘えていた。
「悪い悪い。すぐどくよ」
リトは慌ててベッドから起き上がろうとした。しかし、その瞬間。足元に脱ぎ捨てていたジャージの裾に足を引っ掛けた。
「わわっ!?」
リトの体は大きく前方に傾いた。運悪く、ちょうどその時、美柑はベッドの脇のゴミを吸い取ろうと、リトの目の前で屈み込んでいた。重力に逆らえず、リトは真っ逆さまに突っ込んでいく。
「きゃっ!?」
美柑の驚いた声が響いた。リトの視界は一瞬で暗転し、直後、驚くほど柔らかくて温かい何かに顔全体を包み込まれた。
鼻腔を直接くすぐるのは、石鹸のような清潔な香りと、どこか甘い女の子特有の瑞々しい体温の匂い。
(……え? なんだ、これ。真っ白だ……)
リトの目の前に広がっていたのは、眩いばかりの「白」だった。
それは布の質感。清潔に洗い上げられた、何の飾り気もない綿の白。リトは無意識に顔を動かしてしまい、その「白」のド真ん中に、自らの頬を強く擦り付けた。
(柔らかい……。すごく、柔らかいぞ。それに……熱い……)
「……リト、いつまでそこにいるつもり?」
頭上から、冷ややかだがどこか呆れたような美柑の声が降ってきた。リトはハッとして、自分が今どのような状況にあるのかを理解した。
彼は転んだ勢いで、美柑のスカートの中に頭から突っ込んでいたのだ。しかも、彼の鼻先は美柑の股間、つまり白い綿パンツのちょうど真ん中――少女の最もデリケートな場所に、ダイレクトに密着していた。
「う、うわあああああああ!!!」
リトは弾かれたように飛び退いた。顔面を沸騰したように真っ赤に染め、心臓が壊れたような速さで鼓動を打つ。
「ご、ごめん! 悪気はなかったんだ! 足を滑らせて、その、わざとじゃなくて!」
「……わかってるわよ。リトがわざとやる勇気なんてないことくらい」
美柑は乱れたスカートの裾を整えながら、冷静にリトを見つめた。怒っている様子はないが、その頬はわずかに赤らんでいる。彼女はリトの動揺ぶりを見て、小さく溜息をついた。
(リトってば、本当に相変わらずね。でも……)
美柑は自分の股間に残る、兄の顔の熱を感じていた。厚い綿のパンツ越しではあったが、兄の鼻の形や熱い吐息が、逃げ場のない感触となって直接伝わってきたのだ。
「そんなにパニックにならないで。掃除の続きをするから、リトはキッチンで冷たい水でも飲んできたら?」
「お、おう……。そうするよ……」
リトはフラフラと、幽霊のような足取りで部屋を出た。
頭の中には、先ほど至近距離で目撃した「白」が焼き付いて離れない。ただの子供っぽい綿パンツのはずなのに、なぜあんなに心臓が締め付けられるのか。
リビングへ向かう階段を下りながら、リトは何度も首を振った。妹に対してなんてことをしてしまったんだという罪悪感。しかしそれ以上に、あの柔らかい感触と、鼻腔を突いた無防備な匂いが脳裏にこびりついて離れない。
(美柑のパンツ……白かったな……。あんなに近くで……)
キッチンに着き、冷蔵庫から出した冷水を一気に飲み干す。喉を鳴らして水を流し込んでも、体の芯にある不自然な熱は一向に引く気配がなかった。それどころか、目を閉じればまたあの「白」が、暗闇の中に鮮明に浮かび上がってくる。
二階からは、規則正しい掃除機の音が聞こえてくる。いつも通りの日常の音のはずなのに、今日に限っては、その振動さえも美柑の太ももを連想させ、どこか艶めかしく聞こえてしまう。
リトは空になったコップを握りしめ、自分の不甲斐なさに項垂れた。あんなに純粋な、妹を象徴するような真っ白な綿の布地。それに対して、自分はなんて不純な想像をしてしまっているのか。
(落ち着け、リト! 相手は美柑だぞ。小学生の妹なんだ……!)
自分に言い聞かせれば言い聞かせるほど、先ほどの密着した感覚が頬に蘇ってくる。リトの頭の中は、完全にあの「白」に支配されていた。
掃除を終えたのか、上の階で掃除機の音が止まった。トントンと軽い足音が階段を下りてくる。リトはビクッとして姿勢を正した。
「リト、少し落ち着いた?」
美柑がリビングに入ってきた。彼女は何事もなかったかのように、リトの隣で自分の分の麦茶を注いでいる。その動作一つ一つが、今のリトには刺激が強すぎた。美柑が動くたびに、スカートの裾がふわりと揺れる。その奥に、先ほど密着した「白」が隠れているのだと思うだけで、リトの顔は再び沸騰しそうになった。
「あ、ああ。もう大丈夫だ。本当、ごめんな……」
「別にいいわよ。リトの不器用さは今に始まったことじゃないし」
美柑はコップを口に運び、ゴクゴクと喉を鳴らして飲んだ。少し上を向いた彼女の首筋に、一筋の汗が流れる。その白く細いラインさえも、今のリトの目には毒毒しく映った。
美柑は飲み終えると、ぷはぁと息を吐いてリトを見た。その瞳には、兄に対する深い信頼と、少しのからかいの色が混じっている。
「でも、あんなに勢いよく突っ込んでくるなんて……リト、もしかして私に甘えたかったの?」
「ち、違う! 違うってば! 本当に事故なんだ!」
リトが必死に否定する姿を見て、美柑はクスクスと楽しそうに笑った。彼女にとって、兄のこういう反応は日常茶飯事であり、愛すべき一面でもあった。
「冗談よ。さあ、夕飯の準備手伝ってくれる? 今日はハンバーグにするから」
「あ、ああ! 喜んで!」
リトは逃げるように調理台へ向かった。必死に野菜を切ることに集中しようとするが、隣に並ぶ美柑との距離が近すぎる。彼女が手を伸ばすたびに、肩や腕が軽く触れ合う。その度に、リトの脳裏にはあの「白」がフラッシュバックする。
(ダメだ……全然集中できない……!)
リトの「白」への執着は、この事故をきっかけに、静かに、しかし確実に深まり始めていた。当の美柑は、兄のそんな葛藤を知ってか知らずか、隣で鼻歌を歌いながら玉ねぎを刻んでいる。
しかし、その小さな唇の端には、今までにはなかった僅かな「悦び」の影が潜んでいることに、リトはまだ気づいていなかった。