※この作品はR-18です。

【ToLOVEる外伝】リトと美柑の秘められた日常 ―禁断の果実を食む兄妹―   作:芝刈り山

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深夜の旅館を彷徨う好奇心と閉ざされた扉の向こうに響く秘められた営み

夜の静寂が旅館の内部を深く包み込んでいた。

 

午前二時。古い木造建築の軋む音が、時折廊下の端から端へと伝わっていく。部屋の隅で、幸恵と真美が時折寝返りを打ちながら深い眠りに就いている。美柑はふと、膀胱に溜まった微かな違和感で目を覚ました。

 

「……ん」

 

一度意識が浮上すると、もう眠気は霧散していた。美柑はそっと布団を抜け出し、パジャマの乱れを整えた。部屋のトイレでも良かったが、なんとなく、誰もいない深夜の旅館という空間に、小さな冒険心が芽生えた。

 

彼女は音を立てないように部屋の引き戸を開け、廊下に出た。

 

昼間、あんなに賑やかだった廊下は、今は非常口の誘導灯の鈍い緑色と、自販機の出す低いうなり音に支配されている。絨毯を踏みしめる自分の足音が、妙に大きく感じられた。

 

(なんだか、別の世界に来ちゃったみたい……)

 

美柑は共同トイレで用を済ませたが、そのまま部屋に戻る気にはなれなかった。修学旅行という非日常が、小学生の彼女を少しだけ大胆にさせていたのだ。

 

彼女は、自分たちの宿泊フロアから少し離れた、一般客用あるいは予備の客室が並ぶエリアへと足を向けた。そこは「空室」のはずだったが、突き当たりの一室だけ、ドアの隙間から微かな光が漏れているのに気づいた。

 

「あれ……? 誰かいるのかな」

 

美柑は好奇心に抗えず、抜き足差し足でその部屋に近づいた。

 

部屋の前に立った瞬間。

 

厚い木製のドア越しに、漏れてきたのは話し声ではなかった。

 

「……っ、ふ……はぁ……」

 

「……ん、ああ……っ!」

 

湿り気を帯びた、熱い吐息。そして、肌と肌が激しくぶつかり合う、ペチペチという生々しい水音。

 

美柑は凍りついたように立ち尽くした。

 

それは、彼女がリトと共にいる時に出す、あの声であり、あの音だった。

 

(だ、誰かが……リトと私みたいなことを、してる……?)

 

衝撃だった。美柑にとって、性愛とは「リトと自分のための特別な秘密」であり、世界のどこかで他の誰かが同じことをしているという事実は、知識としては知っていても、こうして生の声として突きつけられるのは初めてのことだった。

 

ドアの向こう側では、男女の営みが佳境を迎えていた。

 

「……いい、もっと……奥まで……」

 

「……くっ、ああ……なんて……最高だ……」

 

女の声は、どこか聞き覚えのある潤んだトーンで、男を急かしている。男の声は、普段の威厳をすべて脱ぎ捨てたような、野性的で掠れた喘ぎだった。

 

実は、この部屋にいるのは植松と養護教諭の三村であった。

 

植松は、今夜の介抱の際にお腹に放出した美柑の白い肌の感触を、網膜に焼き付いた彼女の無垢な秘部の形を、狂おしいほどに反芻していた。彼の腰の動きは、目の前の女性を貫きながらも、その意識は完全に、数時間前に自分のベッドで眠っていた小学生の少女へと向けられていた。

 

一方の三村もまた、美柑という少女が持つ天性の魔性に、激しい嫉妬と対抗心を燃やしていた。あの幼く、けれど完璧な少女には出せない「成熟した女の悦び」を叩きつけようと、彼女は植松の腰に足を絡め、より深く彼を求めていた。

 

二人は互いの名前を呼ぶことさえ忘れていた。

 

植松は三村の身体に美柑の面影を重ね、三村は植松の暴力的なまでの激しさに美柑への対抗心を燃やす。

 

「……ん、あ、あああっ! すごい、そこ……っ!」

 

「……はぁ、はぁ……壊してしまいそうだ……!」

 

美柑はドアの外で、耳まで真っ赤にしてその声を聴いていた。

 

(……聞こえてる。外まで、こんなにハッキリ……)

 

美柑の脳裏に、自宅の薄い壁一枚隔てた向こう側にいるかもしれない誰かの存在が浮かんだ。自分とリトが繋がっている時、リトが自分の名前を呼び、自分がリトを求めて上げる声も、こんな風に第三者に届いていたのかもしれない。

 

初めての、客観的な羞恥。

 

けれど、それと同時に、自分の中に眠る「女」の部分が、その淫らな音に呼応して疼き始めるのを感じた。

 

美柑は無意識に、パジャマの上から自分の股間に手を当てた。

 

名前の書かれた真っ白なパンツが、じわりと熱を帯びる。

 

(私……リト以外の人の声なんて、聞きたくないのに……。なのに、どうして……)

 

美柑の乳首が、パジャマの生地を押し上げるように硬く尖った。

 

彼女はまだ小学生だ。大人の男女が、これほどまでに獣のように声を上げ、互いを貪り合う理由を、論理的には理解できていない。ただ、リトへの恋しさが、この淫らな音という媒介を通じて、鋭い切なさに変わっていく。

 

「……あ、あああああっ……!」

 

「……っ、ぐ……う……あぁ!」

 

ドアの向こうで、ひときわ大きな水音が響き、やがて重い静寂が訪れた。

 

美柑はハッとして我に返り、足音を殺してその場を離れた。

 

自分の部屋へと走る廊下で、彼女の心臓は激しく波打っていた。

 

あの声の主が、自分を導いてくれる先生たちだとは、美柑は最後まで気づかなかった。ただ、暗い廊下を走る美柑の頭の中には、リトの顔だけが浮かんでいた。

 

(早く帰らなきゃ……。早く帰って、リトに、私だけの声を、聴かせてあげたい……)

 

部屋に戻り、布団に潜り込んだ美柑。

 

隣で寝ている友達の寝顔を見ると、少しだけ罪悪感が湧いた。みんなが何も知らずに夢を見ている間に、自分だけが大人の世界の、あの昏く熱い部分に触れてしまった。

 

彼女は布団の中で、自分の身体を抱きしめるように丸まった。

 

修学旅行の夜は、まだ終わらない。

 

けれど、美柑は今夜の出来事を、誰にも言えないもう一つの秘密として、胸の奥深くにしまい込んだ。

 

それは、彼女が「大人」へと一歩近づいてしまった、切なくて淫らな深夜の冒険だった。

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