【ToLOVEる外伝】リトと美柑の秘められた日常 ―禁断の果実を食む兄妹― 作:芝刈り山
理科室特有の、わずかに薬品の匂いが混じったひんやりとした空気が、五時間目の授業の始まりを告げていた。今回の課題は、植物の細胞を顕微鏡で観察すること。班ごとに分かれた実験机の上には、数台の顕微鏡とプレパラートが並べられている。
佐藤は、同じ班になった美柑の隣に座りながら、手元の教科書に目を落としていた。だが、彼の意識は教科書の文字など一切追えていなかった。隣から漂ってくる、美柑の髪が揺れるたびに放たれる甘いシャンプーの香りと、彼女が動くたびに小さく鳴る衣擦れの音が、佐藤の理性をじりじりと削り取っていた。
「佐藤くん、まずは私がピントを合わせるね」
美柑が声を弾ませて言った。彼女は机の上に置かれた顕微鏡に顔を近づけるため、椅子から少し腰を浮かせ、上半身を深く、深く前へと倒し込んだ。
その瞬間、佐藤の視界に激震が走った。
今日の美柑が着ているのは、首元が横に大きく開いたボートネックの白いサマーニットだ。彼女が大きく前屈みになったことで、重力に従ってその広い襟ぐりが、胸元からだらりと手前に垂れ下がったのだ。
「……っ!」
佐藤は反射的に息を呑み、顕微鏡を覗くふりをして、その視線を美柑の襟元へと吸い込ませた。
そこには、小学生らしい白く、きめ細かな、それでいて驚くほど柔らかな質感を湛えた「未成熟な聖域」が広がっていた。
彼女の胸は、前屈みの姿勢になったことで、ニットの生地から離れ、中空にぽっかりと浮かび上がるように晒されていた。遮るもののない、眩しいほどの白い肌。その中央には、まだ幼くも確かな膨らみを持った、双子の乳房が寄り添うように揺れている。
(……見えてる。全部、見えてる……!)
美柑が顕微鏡の調節ネジを細かく回すたび、彼女の身体は微かに震え、その動作に合わせて、襟元の隙間から覗く胸の果実もぷるぷると震える。
佐藤は、自分の鼻先からわずか十数センチの距離にあるその光景に、眩暈を覚えた。
美柑の乳房の頂点。そこには、授業中の緊張か、あるいは理科室の冷房のせいか、不自然なほどツンと赤く尖った乳首が、誇らしげにその形を主張していた。
ピンク色を帯びた、小さな、けれど命の輝きを感じさせる突起。
それが、薄暗い襟元の奥で、呼吸に合わせて上下し、時にはニットの内側に擦れては妖しく形を変える。
「……ん、もう少しかな……」
美柑は独り言を漏らしながら、さらに深く身を乗り出した。そのせいで襟ぐりはさらに広がり、今や彼女の胸の付け根から、脇の方へと続く滑らかな曲線までもが佐藤の瞳に焼き付けられた。
佐藤は、自分の喉がゴクリと鳴る音が、静かな理科室に響いてしまわないか不安だった。
ふと、彼は周囲を見渡した。他の班の男子たちは、自分たちの実験に夢中になっていたり、雑談をしていたりする。美柑の美しさに憧れている男子であっても、まさか彼女が今、目の前の佐藤に対してこれほどまでに無防備に、その「蕾」を晒しているとは想像だにしていないのだ。
(僕だけだ。……この角度から、結城さんのすべてを見ているのは、僕だけなんだ)
佐藤は、その優越感と背徳感に身を焦がした。
美柑はピントを合わせようと、顕微鏡の接眼レンズに片目を押し付け、もう片方の目をぎゅっと瞑っている。その無垢な表情と、襟元の奥で淫らに晒されている赤く尖った乳首のギャップ。
彼女は、自分が今、クラスの男子にその最も大切な場所を、文字通り「覗き見」されていることに全く気づいていない。あるいは、気づいていながらも、三日間で培われた「晒す本能」が、彼女を無意識のうちにこの大胆な姿勢へと導いているのだろうか。
「あ、見えた! 佐藤くん、見てみて。すごく綺麗よ」
美柑が顔を上げ、佐藤に向かって微笑んだ。
身体を起こしたことで、襟元は元の位置に戻ったが、薄いサマーニットの表面には、先ほどまで晒されていた乳首の形が、くっきりと二つの円形の浮き彫りとなって残っていた。
「……あ、う、うん。見せてもらうよ」
佐藤は震える手で顕微鏡を引き寄せた。レンズを覗き込むフリをしながら、彼の鼻腔には、前屈みになった美柑の体温と共に立ち上がってきた、あの「胸の間の香り」がこびり付いていた。
石鹸の清潔な香りの奥に潜む、少女特有の微かな汗の匂いと、甘い乳房の匂い。
佐藤がレンズを覗くと、そこには細胞の規則正しい並びが見えた。だが、彼の脳裏でリピート再生されているのは、細胞の画像ではなく、先ほど見た「赤く尖った蕾」の鮮烈な赤色だった。
「どう? 佐藤くん、よく見えるでしょ?」
美柑は佐藤の顔を覗き込むようにして、さらに距離を詰めてきた。
彼女が腕を机に乗せるたびに、ニットが胸の形に添ってピンと張る。佐藤のすぐ目の前で、彼女の乳首が「ここにいるよ」と言わんばかりに、生地を内側から突き破らんばかりに尖っている。
「……ああ、本当だ。……すごく、綺麗だね、結城さん」
佐藤は、顕微鏡の中の景色ではなく、彼女の胸元を見つめながら、掠れた声で答えた。
美柑は、その言葉の本当の意味に気づいているのかいないのか、ただ嬉しそうにはにかみ、再び次のプレパラートを準備し始めた。
理科室の窓から差し込む午後の光が、美柑の白い肌を透過するように照らしている。
佐藤は、自分のズボンの中で沸き立つ、抑えようのない熱量に耐えながら、この「観察授業」が永遠に終わらなければいいと、心の底から願っていた。
結城美柑という少女は、いつだってこうだ。
誰にでも等しく清純な微笑みを振りまきながら、その実、一人の男子の理性を完膚なきまでに破壊するような、無意識の暴力的なまでの色気を垂れ流している。
佐藤は、再びプレパラートを取り替えようと前屈みになる美柑の背中を見つめ、次の一瞬、またあの「襟元の深淵」が開くのを、狂おしいほどの期待と共に待ち構えるのだった。