【ToLOVEる外伝】リトと美柑の秘められた日常 ―禁断の果実を食む兄妹― 作:芝刈り山
スマートフォンの冷たい画面の中で、美柑は何度も「白」を脱ぎ、そして履き替えていた。その連続した背徳の記録を網膜に焼き付けながら、リトは自室の暗闇の中で激しい絶頂を迎えた。
指の間に残る、自分の放出物の生々しい熱と、独特の焦げたような匂い。リトは大きく息を吐き出し、ぼんやりと天井を仰ぎ見た。
(俺は……なんてことを……)
激しい悦楽の直後に訪れる、冷徹な賢者モード。自分の妹を盗撮し、その動画を糧にして果てるという行為。客観的に見れば、それはもはや救いようのない精神の転落だった。リトは力なくティッシュを手に取り、自らの犯した罪の証を拭き取った。虚無感が全身を支配し、このまま静かに眠りにつこうかと考えた、その時。
階下から、微かに「シャワーの音」が聞こえてきた。
「……あ」
リトの思考が、冷徹なままに次の論理を導き出す。美柑は今、風呂に入っている。ということは、先ほど動画の中で美柑が脱ぎ捨て、パジャマと一緒に抱えて脱衣所へ持っていった「あのパンツ」は、今どこにあるのか。
リトの賢者モードは、わずか数分で、より深い執着を伴った「狩人の本能」へと上書きされた。映像は手に入れた。だが、映像には「質感」がない。ピクセルには「本物の匂い」がない。美柑が数秒前まで身に着けていた、あの「白」の実体が、今、無防備な場所に放置されているのだ。
リトは音を立てずに自室のドアを開けた。廊下は静まり返り、脱衣所のすりガラス越しに温かな光が漏れている。シャー、というシャワーの音はまだ途切れることなく続いている。
リトは心臓の鼓動を喉元で感じながら、抜き足差し足で脱衣所のドアノブに手をかけた。
(一度だけ……。見るだけだ……)
自分に嘘をつきながら、リトはドアを数センチだけ開き、その隙間から蒸気が漏れる中へと滑り込んだ。
脱衣所は白く霞み、美柑が使ったばかりのシャンプーの甘酸っぱい香りが充満している。リトの視線は、洗濯機の上に置かれた脱衣籠へと一直線に向けられた。そこには美柑が脱ぎ捨てたばかりの、まだ形が崩れていないTシャツやショートパンツが、乱雑に置かれている。リトは震える手で、その衣類の層を一枚ずつ慎重にめくった。
「っ……、あった……」
一番下、他の服に守られるようにして丸まっていたのは、一点の曇りもないはずの、しかし今は持ち主の形を記憶したままの「白い綿パンツ」だった。
リトは震える手で、その小さな布地をつまみ上げた。
「……っ!」
指先に伝わってきたのは、期待を遥かに超える、生々しい「熱」だった。美柑が脱いでからまだ数分も経っていない。綿の繊維には、彼女の体温が、まるで命の残滓のようにしっかりと宿っていた。
リトは我慢できず、そのパンツを両手で広げ、鼻先に押し当てた。
(……っ、ああ……!!)
それは、クローゼットの洗剤の匂いとは比較にならない、暴力的なまでの「美柑」そのものの芳香だった。一日中、彼女の秘部に密着し、閉じ込められていた熱と湿り気。微かな汗の匂いと、まだ幼い肢体から溢れ出す、甘酸っぱく濃厚な体臭。
リトは吸い込むだけでは飽き足らず、その白い綿のクロッチ部分に、自分の唇を押し当てた。鼻腔を突き抜ける匂いと、唇に伝わる綿の感触。驚いたことに、そこには微かな、しかし確かな「湿り気」が残っていた。
(美柑、美柑……。お前、こんな匂いをさせてたのか……。こんなに熱いのを、穿いてたのか……)
リトの下腹部が、再び猛烈な勢いで熱を帯び始めた。賢者モードなど、この一筋の布が持つ実在感の前では、あまりにも無力だった。リトは、美柑の尻の形に馴染んだ布の膨らみを掌で撫で回した。薄い綿の向こう側に、彼女の肉体の感触が透けて見えるような錯覚。
その時、浴室の中でシャワーの音が止まった。
「――っ!?」
リトは凍りついた。キュッ、という蛇口を閉める音。続いて、美柑が浴室の扉を開けようとする気配がする。
(ヤバい、出てくる……!)
パニックになりながらも、リトの手はパンツを放そうとしなかった。その時、悪魔のような囁きが脳裏をかすめた。
『これを持って行け。これがあれば、お前の夜はもっと深くなる』
リトは反射的に、その「白」を自分のパジャマのポケットへとねじ込んだ。そして、美柑が扉を開けるコンマ数秒前に、脱衣所の外へと滑り出した。
バタン、と廊下の影に隠れたリトの耳に、脱衣所のドアが開く音が聞こえた。
「あれ……? 換気扇、回し忘れたかな。なんか廊下の冷たい空気が入ってきたような……」
美柑の、少しだけ不思議そうな声。
リトは心臓が口から飛び出しそうなのを必死に抑え、一気に二階の自室へと駆け上がった。部屋に入り、鍵をかける。ポケットの中から取り出したのは、まだ美柑の体温を失っていない、湿り気を帯びた「白い綿パンツ」。
リトはベッドに倒れ込み、その戦利品を顔全体に被せるようにして覆った。
「はぁ……っ、はぁ……っ……!」
目の前は真っ白な綿の世界。そこから溢れ出すのは、映像では決して得られなかった、本物の妹の、もっとも濃密な部分の匂い。リトは、奪い去ったその聖域に溺れるようにして、再び自らの衝動を解放するための準備を始めた。
この一枚の布が、明日からのリトの日常を、さらに歪んだ、それでいて甘美な地獄へと変えていくことを、彼はまだ確信していなかった。だが、手の中にある「白」の重みだけが、今のリトにとって唯一の真実だった。
「……明日、……学校にも持っていこう」
暗闇の中で、リトは誰に聞かせるでもなく呟いた。美柑のいない学校、彼女を近くに感じられない退屈な時間。この「白」さえあれば、自分はどこにいても、美柑の最深部と繋がっていられる。
リトの瞳には、もはや兄としての理性の光は残っておらず、ただ一人の「蒐集家」としての、執拗なまでの情熱が宿っていた。