【ToLOVEる外伝】リトと美柑の秘められた日常 ―禁断の果実を食む兄妹― 作:芝刈り山
臨海学校二日目の朝。東の空が白み始め、海面が鈍い銀色から鮮やかな群青色へと染まりゆく頃、旅館「白露閣」の廊下には、まだ深い沈黙が横たわっていた。
リトの部屋で、狭い布団に身を寄せ合っていた美柑は、枕元の時計の針を見て、はっと息を呑んだ。
「……ん……。リト、起きて。もう行かないと」
美柑は、まだ夢の余韻の中にいるリトの肩を優しく揺らした。昨夜、深夜から明け方にかけて何度も体を重ねた二人の間には、濃密な愛の匂いと、心地よい倦怠感が漂っている。ノーパンのまま浴衣を羽織った美柑の肌には、リトが残した熱い刻印が今も脈打っていた。
「……あ、美柑……。もう、そんな時間か」
リトが眠い目をこすりながら体を起こすと、美柑は手際よく乱れた髪を整え、表情をいつもの「冷静な妹」へと戻していく。
「友達が起きる前に大部屋に戻らなきゃ。また後でね、リト」
美柑は最後に一度だけ、リトの唇に柔らかいキスを落とすと、音もなく部屋を抜け出した。
しんと静まり返った廊下。冷えた空気が美柑の下半身を通り抜け、昨夜の情事の名残であるリトの白濁が、内腿を伝って一筋零れ落ちる。その背徳感に身を震わせながら、彼女は大部屋へと続く角を曲がった。
「あ……」
そこで美柑は、自分の目を疑った。
廊下の隅、昨夜、植松先生に渡してしまったはずの、自分の白い綿パンツが、まるで忘れ物のようにぽつんと落ちていたのだ。
三村先生が嫉妬の末に植松から奪い、見せしめのように放置していったそのパンツ。美柑はそれを素早く拾い上げた。
「……やっぱり、私のだ。こんなところに……」
美柑は顔を赤らめつつも、それを固く握りしめ、誰にも見られぬようパジャマのポケットに隠して大部屋へと滑り込んだ。
◆
出発までの自由時間。
旅館は、昨日までの喧騒が嘘のように、静かで奇妙な高揚感に包まれていた。一泊二日の非日常が、参加者全員の心の中に、消えない「毒」を植え付けていた。
一階の洗面所では、同級生の佐藤が鏡を見つめていた。
顔を洗う手が止まる。目を閉じれば、昨夜の露天風呂で、美柑、幸恵、真美の三人に囲まれ、彼女たちの瑞々しい秘部から放たれた「黄金の雨」を浴びた感触が鮮明に蘇る。
「……あ、う……っ」
彼は震える手で、自分のズボンの中を探った。誰にも見られない個室のトイレに駆け込むと、昨夜浴びた少女たちの体温を思い出しながら、必死に手を動かした。昨夜出したばかりなのに、記憶という名の刺激が、彼を再び絶頂へと導いていく。
二階の教職員控室では、学年主任の植松が、窓の外の海を眺めながら、指先に残る「美柑のパンツ」の感触を反芻していた。
厳格な教育者の仮面の下で、彼の欲望はもはや修復不可能なほど歪んでいた。三村と激しく交わりながらも、彼の脳裏を支配していたのは、あの無防備に下着を差し出してきた教え子の姿だけだった。彼は机の下で、自らのモノを荒々しく握りしめた。
一方で、救護室の整理をしていた養護教諭の三村は、艶然とした笑みを浮かべていた。
彼女の指先は、自分の唇をなぞっている。そこには、昨夜リトが放出した、若々しく勢いのある白濁の味がまだ残っているような気がした。植松を嫉妬で支配し、リトを誘惑して手玉に取った。その優越感が、彼女の身体を芯から疼かせる。彼女は救護室のカーテンを閉めると、白衣のボタンを外し、熟れた果実のような自らの秘部へと指を滑らせた。
◆
最後の一人、リトは、集合場所のロビーで、美柑の姿を探していた。
昨夜の美柑。ノーパンで布団に潜り込み、必死に自分を求めてきた彼女の、あの熱い腰の動き。
(……美柑。俺、もうお前がいないと……)
リトは、ボランティアとしての責任感よりも、一人の男としての、妹への独占欲に身を焦がしていた。彼もまた、人混みを避けて立ち寄った自室で、出発直前に最後の自慰を済ませていた。美柑の、あの「愛液の味」を思い出しながら。
◆
「全員、バスに乗ったか! 忘れ物はないな!」
植松先生の、いつも通りの厳しい声が響く。しかし、その声はどこか上擦っており、その視線は無意識に、バスの最後尾に座る美柑へと向けられていた。
帰りのバス。車内は、遊び疲れて眠りにつく生徒たちで静まり返っていた。
けれど、その沈黙の中に漂う空気は、行きとは決定的に違っていた。
全員が、この二日間で刻まれた「背徳の記憶」を、それぞれの胸の中に秘めている。
窓の外には、キラキラと輝く夏の海が遠ざかっていく。
美柑は、ポケットの中のパンツを握りしめながら、隣に座る幸恵たちの寝顔を見つめていた。その視線の先、補助席に座るリトと目が合う。
二人は言葉を交わさなかった。ただ、微かな微笑みを交わすだけで、すべてが通じ合っていた。
家族以上の絆。兄妹という枠を飛び越え、共犯者となった二人の絆は、この臨海学校を経て、もう誰にも引き裂けないものになっていた。
バスが旅館の敷地を出る。
全員の顔には、秘密を抱えた者特有の、深く、そして満足げな表情が浮かんでいた。
波の音が遠ざかり、代わりに都会の喧騒が近づいてくる。
けれど、彼らの中に宿った「夏の熱」は、秋が来ても、冬が来ても、決して冷めることはないだろう。
臨海学校。
それは、結城リトと美柑、そして彼らを取り巻く人々の人生を、永遠に変えてしまった、刺激的で背徳的な夏の全記録。
バスの揺れに身を任せ、美柑はゆっくりと目を閉じた。
その夢の中でも、彼女はリトの熱い腕の中にいた。