※この作品はR-18です。

【ToLOVEる外伝】リトと美柑の秘められた日常 ―禁断の果実を食む兄妹―   作:芝刈り山

171 / 200
第十八章 彩南高校文化祭で兄妹の禁断愛欲が爆発
女子更衣室から飛び出すリトと衝突し美柑が抱く独占欲と慈愛


その日の彩南高校は、一年で最も熱い活気に包まれていた。校門には巨大なアーチが組まれ、色とりどりのクラスTシャツに身を包んだ生徒たちが、模擬店の呼び込みや出し物の準備で忙しなく走り回っている。抜けるような青空から降り注ぐ陽光が、校舎の窓ガラスに反射して、祭りの始まりを祝福しているかのようだった。

 

美柑が高校の正門をくぐったのは、一般公開が始まったばかりの午後のことだ。リトはクラスの出し物の準備があるため、朝早くから家を出ていた。一人で電車に揺られ、兄の通う学び舎へとやってきた彼女の装いは、いつも以上に気合が入っていた。

 

パステルピンクのフリルタンクトップは、彼女の華奢な肩のラインを強調し、動くたびにふわりと揺れる。ボトムスに選んだのは、鮮やかな紫のフリルミニスカートだ。幾重にも重なったフリルが、彼女の白く細い太ももを際立たせ、その丈の短さは、歩くたびに「真っ白な聖域」が覗き見えてしまいそうなほどに際どい。

 

「リト、ちゃんと頑張ってるかな……」

 

美柑は小さな唇を綻ばせた。普段は家でドジばかり踏んで、美柑に世話を焼かれてばかりの兄。けれど、そんな頼りないリトが、クラスメイトたちと協力して何かを成し遂げようとしている姿を想像すると、胸の奥が温かくなる。それと同時に、自分以外の誰かにリトが頼りにされているのではないかという、微かな独占欲がチクリと胸を刺した。

 

美柑はリトのクラスがある校舎へと向かったが、迷路のように入り組んだ廊下と、大勢の来場者の熱気に、少しだけ方向感覚を失っていた。

 

「確か、こっちの階段を上がって……あ、あれ? ここは……」

 

美柑が角を曲がった先には、華やかな音楽が響く中庭とは対照的に、人影のまばらな静かな廊下が続いていた。その突き当たり、大きな扉が開け放たれた教室の前に差し掛かった、その時だった。

 

「ひゃああああああっ! ご、ごめんなさいいいいっ!!」

 

突如として、鼓膜を突き破らんばかりの絶叫が響き渡り、扉の奥から一人の人影が、弾かれたように飛び出してきた。

 

「わわっ!?」

 

美柑が声を上げる間もなかった。猛烈な勢いで飛び出してきたその人影は、美柑の小さな身体を正面から抱きしめるような形で衝突した。

 

「うわあああっ!?」

 

「きゃああっ!」

 

二人の身体が重なり合い、廊下の床へと倒れ込む。美柑はふかふかとしたフリルスカートをクッションにするような形で尻もちをつき、その上に重なった人物の、驚くほど高い体温を全身で感じた。

 

「痛た……。あ、あの、大丈夫ですか……?」

 

聞き覚えのある情けない声に、美柑はハッとして目を開けた。目の前で平伏するように倒れているのは、間違いなく彼女の最愛の兄、リトだった。

 

しかし、その姿はあまりにも異常だった。

 

「……リト?」

 

美柑が呆然とした声を出すと、リトはガバッと顔を上げた。だが、その顔には、本来あるはずのない「白い布」が被さっていた。

 

「み、美柑!? なんでここに……って、うわあああああ!!」

 

リトがパニックになりながら、自分の顔に引っかかっているものを取り去ろうと手をバタつかせる。ようやく取れたその「物体」は、リボンが可愛らしくあしらわれた、明らかに女子高校生のものと思われる「白い綿パンツ」だった。

 

「……何、やってるの? リト」

 

美柑の声が、少しだけ冷たく、けれど深い慈しみを湛えて響いた。

 

事態はこうだった。リトはクラスの買い出しの途中で近道をしようとした結果、誤ってチアリーダー部の臨時更衣室へと突っ込んでしまったのだ。そこでは、午後のステージを控えた部員たちが、まさにコスチュームに着替えようとしている真っ最中だった。

 

「違うんだ、美柑! これは不可抗力というか、いつもの『アレ』が発動しちゃって……! 転んだ拍子に、脱ぎ捨ててあった……あ、いや、干してあった……ううっ、とにかく違うんだ!!」

 

リトは真っ赤な顔をして、手に持ったパンツをどうにか隠そうと右往左往している。その背後の更衣室からは、「最低ー!」「変態!」「死刑!」という容赦ない罵声が浴びせられ、空き缶やブラシが飛んでくる。

 

美柑は、その場に座り込んだまま、大きく溜息をついた。

 

彼女の短いフリルミニスカートは、転倒の衝撃でさらに捲れ上がり、リトの目の前で彼女自身の「本物の白いパンツ」が、無防備に晒されていた。けれど、今の美柑にはそんな恥じらいよりも、目の前の兄の救いようのなさが可笑しくて仕方がなかった。

 

「……本当に、リトは私がいなきゃダメなんだから」

 

美柑は立ち上がり、リトの手から乱暴にチアリーダーのパンツを奪い取ると、扉の隙間から「すみません、兄が馬鹿なことをしました!」と更衣室の中へ放り投げた。

 

「美柑……ごめん……」

 

廊下の隅で小さくなっているリト。文化祭という晴れ舞台の初日に、いきなり変態扱いをされて意気消沈する兄の姿。けれど、美柑の瞳に映るリトは、決して醜いものではなかった。

 

情けなくて、ドジで、放っておけなくて。けれど、誰に対しても真っ直ぐで優しい、自分だけの自慢の兄。その「情けなさ」さえも、美柑にとっては愛おしさの源泉だった。

 

「いいよ、もう。ほら、顔を上げて。リトがそんな顔してたら、クラスのみんなも困っちゃうでしょ?」

 

美柑はパステルピンクのフリルタンクトップの裾を整え、リトに手を差し伸べた。

 

リトがその小さな手を握りしめた時、美柑の胸の奥で、再びあの独占欲が静かに疼いた。この頼りないリトを、自分だけのものにしておきたい。他の誰にも見せたくない、この情けない姿も、私だけが知っていればいい。

 

「ほら、行きましょう、リト。今日は私が、リトの警護役になってあげる。これ以上、変なことに巻き込まれないようにね」

 

美柑はリトの腕にギュッとしがみついた。フリルの隙間から、彼女の膨らみかけた胸の柔らかさがリトの腕に伝わる。美柑はわざと、自分のスカートの裾がリトの太ももに触れるように歩幅を合わせた。

 

「美柑……お前、なんだか今日……大人っぽいな」

 

リトが照れくさそうに呟くと、美柑はいたずらっぽく、はにかんだような笑顔を見せた。

 

「当然でしょ? 私、リトの妹だもん。……さあ、文化祭を楽しまなきゃ!」

 

美柑は、二人の特別な祭典の第一歩を踏み出した。

 

それは、これから校内の至る所で繰り広げられる、兄妹だけの背徳的で甘美な「事故」の連続への、華やかな幕開けでもあったのだ。

 

パステルピンクのフリルが躍る中、美柑は心の中で、自分たちを待ち受ける「祭りの熱狂」に期待を膨らませ、リトの腕をより一層強く抱きしめるのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。