【ToLOVEる外伝】リトと美柑の秘められた日常 ―禁断の果実を食む兄妹― 作:芝刈り山
昨日の出来事が、リトの頭から離れない。
美柑のスカートの中に頭を突っ込み、あの真っ白な綿パンツに顔を埋めてしまった感触。朝、目が覚めても、登校中も、授業中も、リトの脳裏には網膜に焼き付いたあの「白」がこびりついて離れなかった。
放課後、高校から帰宅したリトは、家の中に美柑がいないことに気づいた。美柑は学校の活動で少し帰りが遅くなるという書き置きがあった。
(よし、今のうちに家の手伝いを済ませておこう。そうすれば昨日の罪滅ぼしにもなるしな)
リトは洗濯機が終了の合図を鳴らしているのに気づき、脱衣所へと向かった。結城家では家事は美柑が主導しているが、リトも手が空いているときは手伝うのが習慣だ。カゴに洗い上がった洗濯物を移し、二階のベランダへ運ぶ。
快晴の空の下、リトは一枚ずつ衣類をハンガーにかけていった。自分のシャツ、靴下、タオル。そして、カゴの底に、それはあった。
(あ……)
それは、昨日リトが至近距離で目撃した、あの白い綿パンツだった。
濡れて重みを増したそれは、脱水されたことで少しシワが寄っている。しかし、その白さは太陽の光を反射して、神々しいほどに輝いて見えた。
リトの手が止まる。本来なら、迷わずピンチハンガーに吊るすべきものだ。しかし、リトの指先は、まるで磁石に引き寄せられるように、その白い布地へと伸びていった。
(だめだ、これは美柑の……。でも、昨日のあの香りが、まだ残っているような気がして……)
リトは周囲を見回した。当然、ベランダには自分一人しかいない。彼は抗いがたい本能に従い、その白い綿パンツを両手で持ち上げた。指先に伝わる、湿り気を帯びた綿の重厚な質感。洗濯洗剤の香りが鼻をくすぐるが、その奥に、昨日肌で感じた美柑の瑞々しい体温を幻視する。
(美柑はいつも、こういう飾り気のない、真っ白なやつを穿いてるんだよな。美柑らしいっていうか……)
リトは、パンツのクロッチ部分に目を向けた。立体的に縫製されたその部分は、美柑の最もデリケートな場所に触れている場所だ。そう思うだけで、リトの下腹部に熱い塊が宿るのを感じた。昨日の事故のとき、自分の鼻先が深く沈み込んでいたのは、まさにここだったのだ。
彼は無意識に、パンツを自分の顔に近づけていた。その湿った布越しに、妹の秘められた場所の輪郭をなぞるように。
「……リト、何してるの?」
背後から聞こえた冷ややかな声に、リトの心臓が跳ね上がった。振り向くと、そこにはランドセルを背負ったままの美柑が立っていた。彼女はベランダの入り口で、自分のパンツを顔の近くで凝視し、恍惚とした表情を浮かべている兄を、じっと射抜くような目で見つめている。
「う、うわあああああああ!!!」
リトは叫び声を上げ、持っていたパンツを放り投げそうになったが、間一髪でピンチハンガーに引っ掛けた。顔面は昨日以上に赤くなり、耳まで熱い。
「み、美柑!? 帰ってたのか! い、いや、これは、その! 洗濯物を干そうとしてただけで!」
「ふーん。干そうとしてただけにしては、随分と熱心に観察してたみたいだけど?」
美柑は一歩、また一歩とリトに近づいてくる。リトは後ずさりし、ベランダの手すりに背中を預けた。美柑の瞳は冷徹だが、その口元にはわずかに嗜虐的な笑みが浮かんでいるようにも見える。
「まさか、リトにそんな趣味があったなんてね。妹のパンツをじっくり眺めるのが好きだったの?」
「違う! 断じて違う! ただ、その、昨日あんなことがあったから、つい……」
「つい、何? 昨日の感触を思い出してたの?」
美柑の言葉は鋭く、リトの図星を射抜いた。リトは言葉に詰まり、視線を泳がせる。美柑はリトのすぐ目の前まで来ると、彼が今しがた干したばかりの白いパンツを指先でなぞった。
「これ、まだ濡れてるわね。……冷たくて、気持ちいい?」
美柑はリトの顔をじっと見上げた。小学生とは思えないほど落ち着いた、どこか妖艶さすら感じさせる眼差し。リトはその視線に射すくめられ、動くことができない。美柑は不意に、自分のスカートの端を軽くつまみ上げた。
「リト。そんなにこれが見たいなら、干してあるやつじゃなくて……今、私が穿いてるやつを見せてあげようか?」
「なっ……!? 何言ってるんだよ、美柑!」
「冗談よ。リトが面白い顔をするから」
美柑はケラケラと笑い、リトの脇をすり抜けて部屋の中へ戻っていった。リトは膝から崩れ落ちそうになるのを必死で堪えた。心臓の鼓動が、ベランダ中に響き渡っているのではないかと思うほど激しい。
(なんなんだよ……。美柑のやつ、あんなこと言うなんて……)
リトは再び、目の前で風に揺れる白い綿パンツを見た。美柑は兄をからかって楽しんでいるだけだ。そう自分に言い聞かせようとするが、彼女が去り際に言った「今穿いてるやつ」という言葉が、呪文のようにリトの脳内でリピートされる。
(あいつ、本当に今……このスカートの下で、真っ白なやつを……)
想像が止まらない。
その後の夕食の時間も、リトの意識は美柑の腰回りに集中してしまった。美柑が椅子に座るたび、立ち上がるたび、スカートの裾が揺れ、その奥にあるはずの「白」を脳が勝手に補完する。
「リト、ハンバーグ冷めちゃうわよ。どこ見てるの?」
「えっ!? あ、いや、何でもない! いただきます!」
慌てて料理を口に運ぶリトを、美柑は静かに観察していた。兄の動揺、困惑、そして自分への隠しきれない情欲の視線。美柑にとって、それは決して不快なものではなかった。むしろ、自分という存在が兄をこれほどまでに狂わせている事実に、彼女は密かな悦びを感じていた。
(リトって、本当に単純。でも、そんなリトが愛おしいの)
美柑は自分の白い綿パンツに守られた秘部に、わずかな疼きを感じていた。昨日、リトの顔が押し付けられたあの場所。それを思い出すたび、彼女の体内からも、今まで知らなかった熱が湧き上がってくる。
夜、自分の部屋に戻ったリトは、ベッドの中で悶々としていた。
目をつぶれば白いパンツ、目を開ければ美柑の笑顔が浮かぶ。彼はまだ気づいていなかった。自分が「白」という色に、そして美柑という少女に、どれほど深く、取り返しのつかないほど囚われようとしているのかを。
一方で、隣の部屋では美柑が一人、静かに着替えていた。彼女は脱ぎ捨てたばかりの白い綿パンツを手に取り、それを鼻先に近づけて自分の、そして昨日の兄の熱の残り香を確かめるように深呼吸した。
「リト……。明日はどんな顔をしてくれるかな」
美柑の呟きは、夜の静寂の中に溶けて消えた。