【ToLOVEる外伝】リトと美柑の秘められた日常 ―禁断の果実を食む兄妹― 作:芝刈り山
夏の夜の熱気が、結城家のリビングに居座っていた。エアコンは動いているはずだが、ソファに並んで座るリトと美柑の距離が近すぎるせいか、肌と肌が触れ合う境界線からじっとりとした熱が生まれている。
「ふぅ……。ねえリト、今日すごく暑くない?」
美柑が隣で、ボートネックのシャツの襟元をパタパタと仰ぎ始めた。その拍子に、ゆったりとした布地の隙間から、まだ幼さの残る白いお腹や、先日リトが服の中に頭を突っ込んでまで堪能したあの胸の膨らみが、チラチラとリトの視界に飛び込んでくる。
「あ、ああ……。そうだな、湿気がすごいよな」
リトは目のやり場に困り、手元の雑誌に視線を固定するが、隣から漂う美柑の甘い汗の香りが、彼の集中力を無惨に削ぎ落としていく。美柑はしばらく仰いでいたが、やがて痺れを切らしたように、シャツの裾に手をかけた。
「もう……我慢できない。脱いじゃおうかな」
「えっ!? ちょ、美柑、何言っ……」
制止する間もなかった。美柑は流れるような動作でシャツを頭から脱ぎ捨てた。
ソファの上に放られた白い布地。そしてリトの目の前に現れたのは、一切の遮蔽物を失った、美柑の混じり気のない上半身だった。
(……っ! ま、真っ裸……!)
厳密には下には白い綿パンツを穿いているが、上半身は完全に剥き出しだ。月光と街灯が混ざり合う薄暗いリビングで、美柑の肌は青白く発光しているかのように美しい。
先日よりも心なしか主張を増したように見える双丘。その頂にある桃色の突起は、涼しいはずの室温に反応してか、あるいはリトの視線を感じ取ってか、小さくツンと上を向いている。
「ふふ、涼しい……。リトも脱いだら? 男の人なんだから、恥ずかしくないでしょ」
美柑は無防備な姿のまま、リトの肩を突いた。リトは頭に血が上り、思考がショートしかかっていたが、美柑のあまりにも堂々とした態度に、逆に妙な開き直りが芽生えてしまった。
「……わかったよ。確かに暑いしな」
リトもまた、着ていたTシャツを脱ぎ捨てた。
高校生の、適度に引き締まった少年の上半身。そこに並ぶ、自分よりもずっと華奢で柔らかな妹の肉体。裸体で向き合うという異常な状況。二人の間には、これまで積み重ねてきた白への執着と、直接肌に触れ合ってきた記憶が、目に見える熱となって渦巻いていた。
「リトの胸……私のとは全然違うね。硬くて、平べったい」
美柑は興味深げにリトの胸板を見つめた。彼女の視線が自分の乳頭に注がれていることに気づき、リトは居心地の悪さに身をよじる。
「当たり前だろ。男なんだから……」
「ねえ、リト。これ……この先っぽ同士が触れ合ったら、どんな感じがするのかな?」
美柑の突拍子もない提案に、リトは心臓が跳ね上がるのを感じた。
「なっ……!? 何を言って……」
「実験。さっきリト、私のことじろじろ見てたでしょ? だから、お互い様だよ」
美柑はリトの方へじりじりと膝立ちで近づいてきた。二人の胸の距離が縮まっていく。美柑の柔らかな胸の先端と、リトの硬い胸の先端。あと数センチで、その禁断の「点」が接触する。リトは息を呑み、固まった。
美柑がゆっくりと上半身を倒し、自分の胸をリトの胸へと押し当てる。
「……ぁっ」
触れた瞬間、リトの全身に衝撃が走った。
それは単なる肌の接触ではない。最も敏感な部分同士が、ピンポイントで重なり合う感覚。美柑の胸の柔らかさがリトの胸板に押し潰され、その中心にある突起が、リトの肌とコリコリと擦れ合う。
「……っ……、リト……。……変な感じ……」
美柑もまた、熱い吐息を漏らしてリトの肩に手を置いた。自分の中にある白いパンツが、再び熱い蜜で溢れ出すのを感じながら、美柑はさらに体を押し付けた。
リトは自分の胸が、美柑の柔らかな突起に愛撫されているような感覚に陥り、腰が抜けそうになるほどの高揚感に包まれた。互いの心臓の鼓動が、接触面を通じて共鳴し合っている。
「……美柑、もう、……これくらいで……」
リトが限界を感じて声を震わせた時、美柑の瞳にいたずらな光が宿った。
「だめ。……リトにはいつも、私ばっかりエッチなことされてるもん。……今日は、私が仕返ししてあげる」
「仕返し……?」
美柑はリトの胸から一度体を離すと、不敵に微笑んだ。
「リトのここ……。私が舐めてあげる」
「えっ!? ちょっ、待て、美柑――っんんっ!!」
リトの制止を待たず、美柑の顔がリトの胸元へと沈んだ。熱く、湿った舌先が、リトの乳頭をダイレクトに捉える。
「あ……、ああっ……!!」
リトの口から、情けないほど高い声が漏れた。美柑の執拗な舌使い――先端を転がし、周囲を円を描くように舐め回し、時には甘噛みするような刺激に、リトの下腹部はかつてないほど激しく跳ね上がった。
(なんだこれ……。頭が、ジンジンする……っ。美柑の舌、熱くて……!)
リトは美柑の頭を抱え込むようにして、快感に身を任せようとした。美柑は「じゅるり」と音を立てながら、リトの胸を熱心に吸い上げている。先日のカットソーの中でのリトの行為をそのままなぞるような、濃厚な口淫。
リトの興奮は最高潮に達し、視界が白く霞み始めた。まさに「絶頂」に足を踏み入れようとした、その瞬間――。
「……っ、んふっ……あははっ!!」
リトの口から漏れたのは、喘ぎ声ではなく、耐えきれない笑い声だった。
「ちょ、美柑……! 待って、あははは! くすぐったい、くすぐったいよ!」
「えっ……? ちょっと、リト!?」
美柑が不満げに顔を上げた。彼女の口元には唾液が光り、瞳は情欲に濡れているというのに、肝心のリトはソファの上で身悶えしながら爆笑している。
「いや、……最初はすごかったんだけど……、美柑が一生懸命舐めるから……もう、くすぐったさが快感を超えちゃったよ……!」
リトは涙目になりながら腹を抱えて笑った。あまりにも熱心な妹の奉仕が一定のラインを超えた瞬間、脳内のスイッチが切り替わってしまったのだ。
「……もう! 最低! せっかく私が勇気を出して、仕返ししてあげたのに!」
美柑は顔を真っ赤にして、ぷーっと頬を膨らませた。彼女の股間は、リトを舐めている間に、自分でも引くほどぐっしょりと濡れてしまっている。それなのに、仕掛けられた側の兄が笑っているという事実に、彼女のプライドはズタズタだった。
「ごめん、ごめんって……。でも本当に、すごかったんだからな?」
美柑はそっぽを向いて、放り出されていたシャツを掴んだ。
「もう知らない! リトのバカ! 今日はもう、絶対におやすみ言わないから!」
美柑はシャツをバサバサと着直すと、ドタドタと足音を立てて二階の自室へと逃げ帰っていった。リビングに残されたリトは、上半身裸のまま、まだ熱を持っている自分の胸をそっと撫でた。
(……くすぐったかったけど……。でも、……あいつの舌、あんなに熱かったんだな)
リトは自分のズボンの膨らみが、笑い声とは裏腹に、いまだかつてないほど脈打っていることに気づき、深い溜息をついた。仕返しは失敗に終わったが、兄妹の肌の境界線は、この夜、また一つ失われてしまった。