【ToLOVEる外伝】リトと美柑の秘められた日常 ―禁断の果実を食む兄妹― 作:芝刈り山
放課後の部活動を終え、リトはブレザーの襟を少し緩めた状態で帰宅した。
玄関を開けると、いつもなら「おかえり」という美柑の元気な声が聞こえてくるはずだが、今日は家の中が静まり返っている。
(美柑、まだ帰ってないのかな。それとも……)
リビングへ足を踏み入れ、リトは足を止めた。夕闇が迫る部屋のソファの上に、小さな人影が丸まっていた。
美柑だった。学校から帰ってきたそのままの姿で、クッションを抱えるようにして眠っている。今日の彼女は、淡い水色のブラウスに、膝丈のフレアスカートを合わせていた。その無防備な寝顔は、普段のしっかり者な姿とは裏腹に、やはりあどけない小学生らしさを残している。
「なんだ、寝てるのか。宿題でもしてて疲れちゃったのかな」
リトは美柑を起こさないよう、息を殺して忍び足で近づいた。窓から差し込む西日が、スヤスヤと規則正しい寝息を立てる美柑の白い横顔を淡く照らしている。リトは、自分を支えてくれる妹の健気な姿に、胸の奥がじんわりと熱くなるのを感じた。
しかし、その温かな感情は、一瞬にして猛烈な「渇望」へと塗り替えられる。
リトの視線は、無防備に丸まった美柑の足元へと吸い寄せられた。横向きに寝ているせいで、彼女の私服のスカートが大きくずり上がり、細く瑞々しい太ももが根元まで露わになっていたのだ。
そして、その奥。スカートの裾が作る暗がりに、鮮烈な「白」が顔を覗かせていた。
「っ……!」
リトの喉が、熱い塊を飲み込むように鳴った。
それは紛れもなく、昨日ベランダでリトを狂わせた、あの飾り気のない純白の綿パンツだった。美柑の柔らかな肌に優しく食い込む、清潔なゴムのライン。西日に照らされたその白さは、まるで少女の純潔を象徴する聖域のように、リトの瞳を焼き焦がした。
(見てはいけない。絶対に見ちゃダメだ……!)
頭では理解していても、リトの目は磁石のようにその一点から動かせない。高校の制服に身を包んだ自分が、家で無防備に眠る小学生の妹の下着を、穴が開くほど凝視している。その背徳的な興奮が、リトの薄氷のような理性をじわじわと削り取っていく。
リトは生唾を飲み込み、さらによく見ようと、無意識に顔を近づけていた。
(昨日のあの感触……。この白い布の下に、美柑の、本当の体温が……)
リトの呼吸が熱を帯び、荒くなる。昨日の事故のときに感じた、鼻先をかすめた濃密な匂い。それを思い出すだけで、リトの制服のズボンの中は破裂しそうなほど硬く、熱く膨らんでいく。彼は、あと数センチで触れてしまいそうな距離まで、その白い膨らみに顔を寄せていた。
「……リト?」
不意に、眠っていたはずの美柑が細く目を開けた。
至近距離で視線が絡み合う。リトは心臓が口から飛び出すかと思うほど驚き、勢いよく後ろへひっくり返った。
「うわあああ! ご、ごめん! 起こすつもりじゃなくて!」
「……リト、何してたの? 私の顔、そんなに近くで見て」
美柑は上半身をゆっくりと起こし、眠そうに目をこすりながらリトを見上げた。スカートはまだずり上がったままで、白いパンツのクロッチ部分が丸見えの状態だ。リトは顔面を真っ赤に染めながら、必死に視線を泳がせる。
「い、いや、寝顔が可愛かったから……じゃなくて! 風邪引いちゃいけないと思って、毛布でもかけようかと!」
「ふーん。毛布、持ってないみたいだけど?」
美柑は自分の足元へ、わざとらしく視線を落とした。自分のスカートがめくれ、下着が完全に晒されていたことに気づいたはずだが、彼女は慌てて隠そうとはしなかった。
むしろ、リトの狼狽を楽しむように、わざと足を組み替え、さらにスカートの深淵を強調するような姿勢を取った。
「リト、さっき私のパンツ見てたでしょ?」
「なっ……!? そ、そんなこと!」
「嘘つかなくていいわよ。リトの顔、真っ赤なんだもん」
美柑はクスリと妖艶に笑うと、ソファから立ち上がり、一歩ずつリトへと歩み寄った。リトは床に座り込んだまま、後ずさりして壁際まで追い詰められる。
「リトは本当に、白が好きなのね。昨日からずっと、私のパンツのことばかり考えてるんじゃない?」
「それは……。その、どうしても思い出してしまって……」
美柑の射貫くような視線に、リトは包み隠さず白状した。
美柑はリトの目の前で立ち止まると、自分の私服のスカートの裾を、白く細い指先でつまみ上げた。
「隠れて見るくらいなら、堂々と見ればいいのに。……私はリトなら、減るもんじゃないし、いいわよ?」
「美柑……お前、何を言って……」
「リトが私のことで頭がいっぱいになってくれるの、嫌いじゃないから」
美柑はリトの耳元で、熱い吐息と共に囁くと、そのままキッチンへと向かっていった。
リトは壁に背を預けたまま、しばらく動くことができなかった。今のは単なるからかいなのか。それとも、美柑も自分と同じように、何かの限界を超えようとしているのか。
(美柑は……怒ってないんだ。俺が、あんな破廉知な視線を向けていたのに……)
リトは制服の襟をさらに緩め、大きく息を吐いた。美柑の「受容」は、リトの想像を遥かに超えていた。そしてその事実が、リトの中に眠る、妹への歪んだ「執着」に、たっぷりと水を注ぐことになった。
キッチンから、トントンと小気味よい包丁の音が響き始める。いつもの、兄思いの妹が夕飯を作る音。しかし、リトの目には、その背中越しに揺れる私服のスカートと、その下に隠された「絶対的な白」の残像が、消えることなく焼き付いていた。