【ToLOVEる外伝】リトと美柑の秘められた日常 ―禁断の果実を食む兄妹― 作:芝刈り山
朝の光が結城家のダイニングに差し込む。昨夜、リビングで交わしたあの「最後のお風呂」の会話、そしてリトが微睡みの中で反芻した幼き日の「精通」の記憶。それらは一夜明けても消えることなく、むしろ鋭利な刃物のように二人の意識を深く刻んでいた。
朝食の席、トーストを齧る美柑の横顔は、どこか艶っぽさを帯びている。昨夜、一人でお風呂に入った彼女もまた、リトが忘れていたと思っていたあの「壁」の向こう側を、今の自分なら壊せるのではないかと考えていた。
「ねえ、リト」
美柑がカップを置き、まっすぐにリトを見つめた。
「昨日の話、覚えてる? ……私たち、ずっと別々に入ってきたけど。……もし、もしも今日、お互いに勇気が出せたら……久しぶりに、一緒に入ってみる?」
リトは喉にパンを詰まらせそうになった。
「え……? 一緒に、入るのか? 美柑と俺で……」
「嫌? ……昨日、リトが私のことあんなに……愛してくれたから。私、もう隠し事なんかないの。夜、リトが帰ってきたら……約束だよ」
美柑はそれだけ言うと、少し顔を赤くして立ち上がり、ランドセルを背負った。登校前の、あまりにも唐突で、破滅的なほど甘美な「約束」。その言葉は、リトの心臓に消えない火種を投げ込んだ。
家を出て、学校へ向かう道すがら。リトの頭の中は、今夜訪れるであろう「浴室」という名の密室の想像で支配されていた。
(美柑と、風呂に入る……。あの頃とは違う、今の、成長した美柑の身体を、目の前で……)
学校に着いても、授業の内容は一切頭に入らなかった。二時間目の数学。リトは窓際の席で、ノートの端に無意識に「美柑」と書き連ねていた。目を閉じれば、昨日のリビングで見た美柑の剥き出しの素肌、そして膝まで下げられた白い綿パンツの光景が、鮮明な色彩を伴って再生される。
(あぁ……っ、ダメだ、抑えられない……!)
リトの下腹部は、制服のスラックスを押し上げるほどに猛り狂っていた。今夜の約束を想像するだけで、全身の血液が一点へと集中していく。リトはたまらず、授業の合間の休み時間に、校舎の端にあるトイレへと駆け込んだ。
ガチャン、と鍵を閉める。
狭く暗い個室。リトは震える手でベルトを外し、限界まで張り詰めた自分の象徴を解き放った。
「美柑……、美柑……っ!」
今夜、この場所を美柑の小さな手が、あるいは彼女の柔らかな肌が直接受け止めるのだ。その妄想は劇薬だった。リトは自分の指を美柑の手に見立て、激しく、しかし慈しむように動かし始めた。
一方、その頃。
美柑の小学校でも、似たような光景が繰り広げられていた。
授業中、美柑は教科書に視線を落としながらも、股間の奥がじりじりと熱くなるのを感じていた。リトに「一緒に入ろう」と言ってしまった自分。その瞬間のリトの驚いた顔。
(リト、今頃どうしてるかな。私のこと、考えてくれてるかな……)
美柑は太ももを固く閉じ、スカートの上から自分の中心をそっと押さえた。昨夜、リトの舌に蹂躙されたあの場所が、再び彼の熱を求めて疼いている。休み時間の予鈴が鳴ると同時に、美柑は足早にトイレの個室へと向かった。
個室の冷たい壁に背中を預ける。美柑は自分のブラウスのボタンを上から二つ外し、シャツの下に手を滑り込ませた。リトが昨日、激しく揉み上げた自分の胸。その先端が、指先で触れるだけでツンと硬くなる。
「……リト。あ……、リト……っ」
美柑はスカートを捲り上げ、白い綿パンツのウエストに指をかけた。昨夜、リトが顔を埋めたその場所。美柑は自分の指を、リトの熱い舌や、彼のごつごつとした指に見立てて、秘部の割れ目へと滑り込ませた。
「あ、……あぁっ……。リト……っ、今夜……今夜だね……っ」
離れた場所にいても、二人の意識は「混浴」という一点において完全に共鳴していた。リトはトイレの個室で、美柑の脱ぎたての香りを脳内で幻嗅しながら、何度も何度も果てようとした。美柑もまた、小学校の片隅で、リトの逞しい腕に抱かれ、湯気の中で自分を洗われる妄想に耽りながら、指先を激しく動かし続けた。
学校という、規律と日常の象徴である場所で、兄と妹は誰にも知られることなく、互いの存在を渇望しながら自らの指で絶頂へと向かっていた。
それは、今夜訪れるであろう「真実の接触」への、あまりにも淫らで、あまりにも切実な前奏曲だった。
「はぁ……、はぁ……っ……リト……!」
美柑は個室の中で、声を殺して絶頂を迎えた。指先を汚す熱い蜜。それは彼女が今夜、リトに捧げるための純粋な熱だった。リトもまた、個室の壁に頭を打ち付けそうになりながら、自分のすべてを放出した。
「美柑……っ、待ってろよ……。今夜……今夜、絶対にお前を……」
放課後のチャイムが鳴る。二人はそれぞれの学校で、乱れた衣服を整え、何食わぬ顔で帰路についた。だが、その心臓の鼓動は、朝よりもずっと激しく、ずっと重く、二人の胸を打っていた。
夕暮れの街。リトは駅のホームで、美柑はランドセルを揺らしながら、同じ空を見上げ、自分たちの「境界線」が、今夜完全に崩れ去ることを、期待と恐怖を込めて確信していた。
家路を急ぐリトの足取りは、もはや抑えられない情欲に突き動かされていた。
今夜、あの浴室で。幼い日の「最後の日」の続きが、今、大人の入口に立った二人の手によって、再び書き始められようとしていた。
リトが家の玄関を開けると、そこにはすでに帰宅し、夕食の準備を始めている美柑の姿があった。
「おかえり、リト」
「……ただいま、美柑」
二人の視線がぶつかり、火花を散らす。言葉は必要なかった。学校で、それぞれが指で刻んだあの快感の記憶が、今、現実の空間へと溢れ出そうとしていた。
給湯器が、静かに「お風呂の準備」を始めたことを告げる音が、夕闇の家の中に響き渡った。