【ToLOVEる外伝】リトと美柑の秘められた日常 ―禁断の果実を食む兄妹― 作:芝刈り山
浴室に立ち込める湯気は、今や二人の吐息と混ざり合い、視界を白く、そして濃密に遮っていた。
先ほどまでリトの指先に翻弄され、湯船の中で絶頂の余韻を噛み締めていた美柑。しかし、再び立ち上がった彼女の瞳には、もう迷いはなかった。リトから与えられた快感のお返しを、自分の身体すべてを使って伝えたい。そんな静かな、しかし烈火のような決意が、彼女の小さな肩に宿っていた。
「リト、こっち向いて……。ううん、背中を向けて座って」
美柑の声は、いつになく落ち着いていた。リトは導かれるままに、洗い場の小さな椅子に腰を下ろした。背後に美柑の気配を感じる。彼女がボディーソープを手に取り、掌を擦り合わせて泡を作る、微かな、けれど官能的な音が耳を打つ。
「リトの背中……。やっぱり、おっきいね」
美柑はそう呟くと、泡にまみれた両手をリトの広い背中に置いた。リトは、美柑の指先が自分の肌に触れた瞬間、背骨を電流が走り抜けるような感覚を覚えた。彼女の指は、リトの肩から肩甲骨にかけて、丁寧に、慈しむように滑っていく。
「……気持ちいい?」
「……ああ。美柑、上手だな」
リトは必死に声を絞り出したが、意識は背後の美柑の身体に集中していた。すると、美柑は不意に手の動きを止めた。
「手だけじゃ……、リトの全部を洗えないもんね」
その言葉の真意を測りかねてリトが問い返そうとした瞬間、背中に、手とは全く異なる、信じられないほど柔らかく、そして熱い「質量」が押し付けられた。
「――っ!?」
リトの全身が硬直した。美柑は、リトの背後に密着するように膝をつき、自分の胸を――先ほどリトが掌で揉みしだき、熱を帯びたあの双丘を――リトの背中に直接、押し当てたのだ。
「……こうすれば、リトの背中、もっと綺麗になるでしょ?」
美柑はリトの肩に顎を乗せ、耳元で悪戯っぽく囁いた。彼女はそのまま、自分の身体を左右に、ゆっくりと揺らし始めた。
リトの背中の肌と、美柑の胸の素肌が、泡をクッションにしながら密着し、擦れ合う。美柑が動くたびに、彼女の胸の先端――硬く尖った突起――が、リトの背中の皮筋をコリコリと、直接的に愛撫していく。
「あ……、美柑、お前……っ!」
「リト、力抜いて? ……リトの背中、すごく硬いよ。私が、柔らかくしてあげる」
美柑はさらに深く密着し、腕をリトの首に回して、自分の体重を預けるようにして背中を洗い続けた。リトにとって、それは拷問に近い悦楽だった。背中に感じる、美柑の心臓の鼓動。彼女の肌の滑らかさ。そして、押し潰されるたびに形を変える、胸の弾力。それは、手で洗われるのとは比較にならないほど、生々しく、破壊的な刺激だった。
「リト……。私の胸、……どう? リトの背中に、当たってるの、わかる?」
「……わかるよ。……すごく、柔らかい」
リトの正直な感想に、美柑は満足げに鼻を鳴らした。彼女はわざと上半身を大きく動かし、胸の膨らみでリトの背中全体を塗りつぶすようにして、泡を広げていく。リトの視界が、快楽で熱を帯びる。背中から伝わる美柑の体温。彼女の甘い匂いが、湯気に混ざって鼻腔を突く。
美柑は、リトの広い背中を自分のキャンバスにするかのように、執拗に、丹念に、胸の膨らみを使って愛撫し続けた。
「ふふ。……リトの背中、泡で真っ白だよ。……ねえ、リト。……私のこと、感じてくれてる?」
美柑はリトのうなじに、わざと熱い吐息を吹きかけた。リトは、自分の股間の「象徴」が、再び凶暴なまでの熱を持って反り起るのを感じた。背中を洗われているだけ。ただそれだけなのに、リトの脳内は、背後で自分に身体を擦り付けている美柑の裸体像で一杯になっていた。
美柑の胸が、リトの背中の筋肉の上を滑る。「じゅく……、ぬぷ……」という、肌と肌が泡を介して擦れ合う生々しい音が、浴室の壁に反響する。
美柑はときおり、自分の胸をリトの背中に強く押し当てて、そのまま「ギュッ」と円を描くように動かした。リトの背骨の節々に、美柑の胸の柔らかな肉が食い込み、震えるような快感が脊髄を駆け上がる。
「あ……、あぁっ……。美柑、……もういい。……もう、十分だ……」
リトは限界だった。これ以上続けられれば、背中越しに絶頂を迎えてしまいそうだった。しかし、美柑は止まらなかった。彼女はリトの反応を楽しむように、さらに密着を強め、自分の太ももまでもをリトの腰に擦り付けた。
「だめだよ、リト。……まだ、リトの背中、全部洗いきれてないもん。……リトを、世界で一番、綺麗にしてあげたいんだから……」
美柑の声は、陶酔しきったような甘さを帯びていた。彼女自身も、リトの背中に自分の胸を押し付けることで、かつてない高揚感を感じていたのだ。自分の「成長した証」が、大好きな兄をこんなにも翻弄している。その支配欲に似た悦楽が、美柑の動きをさらに大胆に、さらに淫らにさせていく。
リトの背中は、美柑の熱い献身によって、今や真っ赤に充満し、熱気を放っていた。一滴のシャワーさえ使わず、ただ自分の肉体だけで、兄のすべてを包み込もうとする妹。そこには、もはや「洗う」という名目すら、かすかな言い訳としてしか機能していなかった。
「……ふぅ。……リト、……お疲れ様。……ピカピカになったよ」
ようやく美柑が身体を離したとき、リトは椅子に座ったまま、深く息を吐いた。背中に残る、美柑の胸の感触。それは、熱い刻印のように、リトの肌に、そして魂に、深く深く刻み込まれていた。
リトは荒い呼吸を整えながら、ゆっくりと美柑の方へ振り返った。湯気の中に立つ美柑は、自分の胸を隠そうともせず、潤んだ瞳でリトをじっと見つめていた。
「……次は、リトの『前』……、洗ってあげるね?」
美柑のその「次」の宣言に、リトはただ、運命に従うように深く頷くことしかできなかった。