【ToLOVEる外伝】リトと美柑の秘められた日常 ―禁断の果実を食む兄妹― 作:芝刈り山
浴室の扉を開けると、脱衣所の冷えた空気が、火照りきった二人の肌を優しく、しかし鋭く撫でた。
先ほどまで繰り広げられていた、洗体という名の濃厚な蹂躙。美柑の身体を自身の肉体で洗い、リトの熱い奔流が美柑の顔を汚したあの極限の時間は、浴室という密室に置き去りにされたはずだった。しかし、二人の瞳の奥に宿る熱量は、外気程度では到底冷めるものではなかった。
鏡は湯気で真っ白に曇り、自分たちの姿さえ朧げに映し出している。リトはバスタオルを手に取り、まずは美柑の身体を包み込んだ。
「……拭くよ、美柑」
「うん……リトも、拭かせて」
二人は無言のまま、互いの肌に残る水滴を丁寧に拭い合った。タオル越しに伝わる、まだ熱を帯びた肉体の質感。リトが美柑の柔らかな肢体を拭うたびに、彼女は小さく鼻を鳴らし、甘えるようにリトの胸に頭を預ける。拭き終えた二人の肌は、薄桃色に上気し、脱衣所の蛍光灯の下で真珠のような光沢を放っていた。
「……ねえ、リト」
美柑が、洗濯籠の横に用意されていた新しい下着を見つめながら口を開いた。
「……今日は、最後までリトに、してほしいな」
美柑の言葉。それは、今日という一日を締めくくる、最も神聖で、かつてないほどに淫らな「儀式」への誘いだった。
「……ああ。……俺が、着せてあげる」
リトは震える手で、美柑の「白い綿パンツ」を手に取った。それは一点の曇りもない白。リトは美柑の前に膝をついた。美柑はリトの肩に手を置き、バランスを取りながら、ゆっくりと片足を上げた。リトは、彼女の細く滑らかな足先を、壊れ物を扱うように慎重に、パンツの足通しへと導いた。
「っ……」
布地が美柑の太ももを滑り上がり、彼女の秘部へと近づいていく。先ほどまで自分が直接指で触れ、お湯で洗い流したばかりの、無垢な場所。リトは、パンツのウエストゴムを両手で広げ、美柑の腰へとゆっくりと引き上げた。
「……できたよ」
「……ありがとう、リト」
美柑の腰に、清潔な「白」が再び宿る。しかし、その布地の下にある彼女の肌には、リトの手の感触と、彼から与えられた快楽の記憶が、消えない熱となって刻まれている。
次は美柑の番だった。彼女はリトの黒いボクサーブリーフを手に取り、跪いた。
「リト、……足、あげて?」
美柑の小さな手が、リトの逞しい足を支える。リトは、美柑の指先が自分の足首やふくらはぎに触れるたび、全身が強張るのを感じた。美柑は、リトの猛り狂ったままの「象徴」を、ボクサーブリーフの布地の中に、優しく、それでいて逃がさないように収めていく。
「……窮屈そうだね、リト」
美柑はわざと、リトの膨らみの上から手のひらでそっと圧をかけ、布越しにその熱を確かめるように微笑んだ。ウエストのゴムがリトの腰に固定される。
互いに、自分ではない誰かの手によって「社会的な姿」へと戻されていく。しかし、その行為自体が、これまでのどんな接触よりも深く、二人の絆を「共犯」という名の鎖で繋ぎ止めていた。
シャツのボタンを一つずつ留め、最後にリトが美柑のインナーを整える。
「……これで、おしまいだね」
リトが呟くと、美柑は首を横に振った。
「……おしまいじゃないよ、リト。……ここからが、始まりなんだよ」
美柑はリトの手をとり、自分の胸へと導いた。服の上からでも伝わる、彼女の鼓動。
「お風呂、一緒に入ってよかった。……私、リトのこと、今まで以上に大好きになっちゃった」
美柑の瞳は、もはや単なる妹のそれではない。一人の男性を、その魂ごと呑み込もうとする愛執の深淵だった。リトもまた、彼女の手を握り返し、その熱を自分の体内に取り込もうと強く引き寄せた。
窓の外では夜の闇が深まり、街の音は静まり返っている。しかし、脱衣所にはお湯の蒸気とは別の、逃げ場のない情欲の残り香が漂っていた。お互いに下着を着せ合い、再び「兄妹」という仮面を被った二人。だが、その仮面の下にある真実を暴くことは、もう誰にもできない。
「……行こうか、リト。……晩ご飯、温め直さないと」
「ああ……そうだな」
二人は手を繋いだまま、ゆっくりと脱衣所を出た。一歩一歩踏みしめる床の感触が、二人の完成された絆を確かめる儀式のようだった。かつて一緒にお風呂に入らなくなったあの日から止まっていた時間が、今、最高度の熱を持って動き出したのだ。
食卓に並ぶ料理。テレビから流れるニュース。それらすべてが、二人の「共犯関係」を隠すための心地よい背景音となった。リトは箸を動かしながら、ときおり美柑と視線を合わせ、小さく頷き合った。言葉にする必要はない。二人の身体には、互いの指先が残した熱い刻印が、消えることなく刻まれているのだから。