【ToLOVEる外伝】リトと美柑の秘められた日常 ―禁断の果実を食む兄妹― 作:芝刈り山
深夜、結城家の近所にある「あやめ公園」は、昼間の賑わいが嘘のように冷え込み、街灯の光さえも届かない濃い闇に包まれていた。微かに揺れるブランコの鎖の音、そして遠くを走る車の走行音が、静寂という名の膜を震わせている。
リトと美柑は、示し合わせたわけでもなく、吸い寄せられるように家を出て、この闇の中へと足を踏み入れていた。図書館、学校、バス……外の世界を汚す悦びに目覚めた二人の情欲は、もはや家の壁の中だけでは収まりきらなくなっていたのだ。
「……ねえ、リト。ここなら、少しくらい声を上げても……誰にも怒られないよね?」
美柑がリトの腕に絡みつき、潤んだ瞳で囁いた。彼女の吐息は冷たい夜気の中で白く濁り、リトの頬を熱く撫でる。二人は街灯から最も遠い、生い茂る植え込みに囲まれたベンチの裏側へと、泥棒のように忍び込んだ。
土の匂いと、冬特有の枯れ葉の匂い。膝をついたリトの前に、美柑はゆっくりと背中を向けた。
「……リト、早く。……私、もう我慢できないよ」
美柑がスカートを捲り上げ、白い綿パンツを膝元までずらした瞬間、リトの鼻腔を、冷えた空気の中で際立つ彼女の甘い少女の香りが突いた。
リトは震える手で自らの衣服を解き、美柑の細い腰をしっかりと掴んだ。しかし、二人が結合しようとしたその瞬間。
「――っ、……あ、……あぁっ……。……だめ、……もっと、激しくして……っ」
「……っ、……いい声だ……」
闇の向こう側、わずか数メートル先の植え込みから、男と女の生々しい喘ぎ声と、肉がぶつかり合う音が響いてきた。
「――っ!?」
リトの心臓が、破裂しそうなほど激しく跳ねた。自分たち以外にも、この闇の中で「背徳」に耽っている者がいる。その事実に、リトの全身から冷や汗が噴き出した。しかし、隣の美柑の反応は、リトの予想とは正反対だった。
「……ふふ。……あっちでも、……してるんだね」
美柑は恐怖を感じるどころか、頬を林檎のように赤らめ、歓喜に震えていた。見知らぬ誰かの喘ぎ声が、BGMのように彼女の情欲を煽っている。
「……リト。……聞こえる? ……あの女の人、……すごく気持ちよさそう。……私たちも、……あっちに負けないくらい、……ぐちゃぐちゃに、混ぜ合わそ?」
美柑の言葉が引き金となり、リトは彼女の最奥へと、己の魂を突き立てた。
「じゅく……、ぬぷ……」
「――っ、……ん、……んんぅぅっ!!!」
美柑は自分の口を両手で塞ぎ、声を押し殺した。しかし、すぐ隣から聞こえてくる「見知らぬ快楽」の音に触発され、彼女の内壁はリトの象徴を千切れんばかりの勢いで締め付ける。
「じゅく、……ぬぷ、……ぐちゅ、……ぱん、……ぱんっ!!」
リトは周囲の気配を伺いながらも、次第に理性の枷が外れていった。自分たちの立てる「ぱんっ、ぱんっ」という激しい肉の音が、隣のカップルにも確実に届いている。自分たちの淫らな行為が、誰かに「聞かれている」。その意識が、リトの下腹部に爆発的な熱を溜め込んでいく。
「あ、……ん、……あぁっ、……リト……っ! 隣の人……、私の声、……聞いてるかな……っ? 小学生の私が、……こんなに激しくされてるの、……わかっちゃうかな……っ!」
美柑の囁きは、もはや隠そうともしない、背徳の快楽に満ちていた。彼女はリトの激しい突き上げに合わせて腰を跳ねさせ、自ら植え込みの枝を揺らして、自分たちの存在を闇の中に誇示するかのように動き続けた。
その時、公園の入り口の方から、誰かがこちらへ歩いてくる気配がした。
カツ、カツ、という一定のリズムの足音。深夜の散歩か、あるいは帰宅途中の近隣住民か。
「――っ、リト! 誰か来る……っ!」
リトは美柑を抱きしめるようにして、低い姿勢で静止した。心臓の音が耳元でうるさく響く。しかし、隣のカップルはそんなことには気づかず、さらに激しい喘ぎ声を上げ続けている。
足音は、二人が隠れている植え込みのすぐ横を通ろうとしていた。
リトは息を殺し、美柑の口を塞いだ。しかし、美柑の瞳は闇の中で、異常なまでの期待に満ちて輝いていた。彼女はあえて、リトの手をすり抜けるようにして、顔を植え込みの隙間から外へと向けた。
街灯の光が届く歩道。そこを一人の若い男が、イヤホンをしながら通り過ぎようとしていた。
その瞬間。
男がふと、植え込みの中から聞こえてくる異常な物音に気づき、視線を向けた。
美柑と男の目が、至近距離で、真っ向からぶつかった。
「――ッ!?」
男は、闇の中に浮かび上がる一人の少女の顔――それも、背後から何かに貫かれ、恍惚に顔を歪めている幼い少女の姿を目撃し、絶句した。
「……ふふ」
美柑は男と目が合ったまま、逃げるどころか、挑戦的にその口元を歪め、わざとらしく大きな吐息を漏らした。
「あ、……あぁぁぁぁぁっ!! リトぉっ!! ……見られてる……っ! 私、……知らない男の人に……見られながら、……イッちゃうぅぅぅっ!!!」
美柑の声が、静まり返った公園に響き渡った。
「う、うわああああああ!!」
男は恐怖と衝撃のあまり、持っていたコンビニの袋を放り出し、脱兎のごとく夜の闇へと走り去っていった。
その走り去る足音を聞きながら、美柑の身体はかつてないほどの激しい痙攣に襲われた。
「んんぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!! じゅく、……ぬぷ、……ぐちゅ、……ぱん、ぱん、ぱんっ!!!」
リトもまた、美柑の狂気に当てられ、限界まで昂ぶっていた情動を一気に解放した。見られた。自分たちの罪を、確かに他者の眼球が焼き付けた。その事実が、リトの理性を完全に焼き切った。
「美柑……っ、……出す、……もう……っ!!」
「だしてぇっ!! ……逃げてったあの人にも……聞こえるくらい、……私の奥に……全部だしてぇぇぇっ!!!」
リトは最後の一突きを魂ごとぶつけ、美柑の最奥へと熱く濃厚な白濁を何度も噴射した。
「――っ、……ん、……んぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!」
美柑の喉が鳴り、全身がガクガクと震える。隣のカップルの喘ぎ声も、いつの間にか止まっていた。二人の激しい「叫び」が、彼らをも畏怖させたのかもしれない。
長い、長い沈黙。
リトは繋がったままの身体を引き抜くと、崩れ落ちるように美柑の隣に座り込んだ。
美柑の白い綿パンツは、土と草の匂いで汚れ、彼女の細い太ももにはリトの証が白く筋を引いて滴り落ちていた。
「……美柑。お前、さっき、わざと……」
リトが震える声で問いかけると、美柑は乱れたブラウスを整えながら、晴れやかな笑顔で答えた。
「……うん。……だって、あの人の顔……すごく面白かったんだもん。……私たちのこと、一生忘れないだろうね」
美柑は自分の脚についた白濁を指で掬うと、それを愛おしそうに舐めとった。
「……ねえ、リト。……家の中だけじゃ、もう足りない。……世界中を、私たちの秘密でいっぱいにしちゃおう?」
公園を吹き抜ける風が、美柑の熱い吐息を遠くへと運んでいく。
リトは、目の前の妹が、もはや自分の知っている「美柑」ではない、別の何かに塗り替えられてしまったことを、心地よい絶望と共に悟っていた。