【ToLOVEる外伝】リトと美柑の秘められた日常 ―禁断の果実を食む兄妹― 作:芝刈り山
京都駅からバスに揺られ、歴史ある街並みを抜けて、クラス一同が宿泊する旅館「白露閣」に到着した。重厚な門構えをくぐり、広い大広間で入館式を終えると、美柑は幸恵や真美と同じ六人部屋へと案内された。
畳の匂いが漂う広々とした和室。友人たちが「わあ、広い!」「布団、どこに敷く?」とはしゃぎながら、一斉に荷物を解き始めた。美柑も自分の場所を確保し、大きなボストンバッグを畳の上に置く。
「ねえ美柑、トランプやろうよ! マミが新しいの持ってきたんだって」
幸恵が誘ってきたが、美柑はバッグの取っ手を握りしめたまま、小さく首を振った。
「ごめんなさい、少しだけ荷物の整理をさせて。後で混ぜてくれるかしら」
「そっか。じゃあ先にやってるね!」
友人たちは部屋の隅に座り込み、修学旅行の定番であるカード遊びに夢中になり始めた。笑い声とカードを切る音が響く。その賑やかさが、美柑にとっては絶好の隠れ蓑となった。
美柑は自分のバッグを持ち上げ、部屋の奥にあるクローゼット――襖で仕切られた、服を掛けるための小さな空間――へと移動した。中に入り、内側からそっと襖を閉める。わずかな隙間から光が差し込むだけの、狭く、暗く、静かな空間。
美柑はそこで膝をつき、バッグの底へと手を伸ばした。
衣類の束をかき分け、一番奥に隠していたジッパー付きの透明な保存袋を取り出す。そこには、今朝リトの精液でぐっしょりと汚した、真っ白な綿パンツが封印されている。
「……リト」
袋を手に取った瞬間、美柑の指先に微かな緊張が走った。袋越しに見えるその布地は、白濁した液体が乾き始め、不自然な強張りと独特の模様を描いている。美柑は周囲の様子を伺った。襖の向こう側では、幸恵たちの楽しそうな声が聞こえる。この空間だけが、外の世界から切り離された、自分とリトだけの密室だった。
美柑は意を決して、袋のジッパーをゆっくりと引いた。
「っ……!」
封じ込められていた空気が、一気に溢れ出した。狭いクローゼットの中に、濃厚な、むせ返るような匂いが充満する。それは美柑自身の愛液の甘酸っぱい匂いと、そして何より、リトという存在を象徴する、あの青臭くも力強い精液の芳香だった。
美柑は袋からその「汚れ物」を取り出し、両手で顔を覆うようにして、その中心部に鼻を押し当てた。
「はぁ、っ……。リト……リトの匂い……」
深く、深く吸い込む。朝、リトが自分の中で跳ね、熱い証を注ぎ込んだ時の光景が、フラッシュバックのように脳裏に蘇る。リトの困ったような笑顔、荒い呼吸、自分を抱きしめる腕の熱。そのすべてが、この一枚の布地に凝縮されていた。
美柑は陶酔したように瞳を閉じ、冷たくなったはずの布地に頬を摺り寄せた。白濁液で強張った感触が、リトの指先が肌をなぞっているような錯覚を抱かせる。
(リト……今、何してるの? 私がこんなことしてるの、知らないでしょ……?)
リトがいない修学旅行の夜。本来なら寂しさで胸が締め付けられるはずなのに、この匂いを嗅いでいるだけで、美柑の心は不思議な多幸感に満たされていった。いや、むしろ離れているからこそ、この匂いを通じた執着はより一層激しさを増していく。
美柑はパンツのクロッチ部分、最も濃くリトの白濁が染み付いている場所に唇を寄せた。
「ん、ふぅ……っ……あ」
舌先で、わずかにその乾いた跡を辿る。リトの成分を、自分の体内に取り戻したいという本能的な欲求。美柑は鼻腔いっぱいに兄の存在を感じながら、空いている方の手を自分のスカートの中へと滑り込ませた。
新幹線の中で燻ぶっていた熱が、再び火を噴く。今履いている真っ白なパンツは、すでに自分の蜜でぐっしょりと濡れ、熱を帯びていた。
「っ、リト……あ、あ……好き……大好きよ……」
クローゼットの暗闇の中で、美柑の荒い吐息が漏れる。友人たちの笑い声が壁一枚向こうで聞こえるという背徳感が、感度を極限まで高めていた。美柑はリトの汚れたパンツに顔を埋めたまま、自身の指で、リトに教え込まれた通りの動きを繰り返した。
指先が秘部をかき回すたびに、リトの匂いがより鮮明に、より濃厚に脳を刺激する。まるでリト自身がこの狭い空間にいて、自分を後ろから抱きしめながら、耳元で愛を囁いているかのようだった。
美柑の腰が小さく浮き、リトのパンツを握る手に力がこもる。真っ白な布地は、彼女の手の中で無残に皺が寄ったが、美柑は構わずにその匂いを吸い込み続けた。
「ん、ああっ……! リト……っ!」
絶頂の直前で、美柑は動きを止めた。まだ、果てるわけにはいかない。この快楽を、この匂いと共に、三日間の旅の間中、ずっと引き摺り回していたい。美柑は震える手で再びパンツを袋の中に仕舞い込み、ジッパーを閉じた。
芳醇な匂いは袋の中に閉じ込められたが、クローゼットの中にはまだ、かすかにリトの余韻が漂っている。
美柑は乱れた呼吸を整え、スカートの皺を伸ばした。鏡はないが、自分の顔が今、どのような色に染まっているかは容易に想像がついた。
「美柑ー? 荷物の整理、終わった? そろそろお風呂行く準備しようよ!」
真美の声が襖を叩く。美柑は一呼吸置き、いつもの冷静な声で答えた。
「ええ、今終わったわ。今行くわね」
襖を開けると、眩しい部屋の光が目に飛び込んできた。幸恵と真美はすでにタオルの準備をしている。美柑は平然とした顔でバッグを閉じ、クローゼットから出た。
「なんか、美柑の周りだけちょっと……いい匂いがするね? 柔軟剤変えたの?」
幸恵がふと鼻を動かして言った。美柑の心臓がドクンと跳ねたが、彼女は穏やかに微笑んで返した。
「そうかしら。リトが、洗濯の時に少し入れすぎちゃったのかもしれないわね」
その「匂い」の正体が、兄の精液であることを隠し通したまま、美柑は洗面用具を手に取った。
これから大浴場で、同級生たちと肌を合わせる。しかし美柑の心は、先ほどクローゼットで独り占めしたリトの熱に支配されたままだった。
自分の体から、そしてバッグの底から漂う、リトの「白」。
その執着に抱かれながら、美柑は友人たちに続いて、湯気の立ち込める廊下へと歩き出した。