【ToLOVEる外伝】リトと美柑の秘められた日常 ―禁断の果実を食む兄妹― 作:芝刈り山
夕食後の旅館の廊下は、浴衣に着替えた子供たちの賑やかな声で溢れていた。美柑は幸恵や真美と一緒に、大浴場へと続く長い廊下を歩いていた。手には旅館の名前が入った白いタオルと、リトと一緒に選んだ可愛らしい小瓶のシャンプーセットを持っている。
大浴場の暖簾をくぐると、脱衣所はすでにクラスの女子たちで満員状態だった。湿った空気と石鹸の香りが混ざり合い、あちこちで服を脱ぎ捨てる衣擦れの音が響いている。
「わあ、混んでるね。美柑、あそこの籠、空いてるよ!」
真美が指差した場所へ、美柑は静かに歩み寄った。彼女はいつものように迷いのない手付きで浴衣を脱ぎ、最後の一枚を脱ぎ捨てた。
「……あ」
脱いだばかりのパンツを籠の中に置いた瞬間、美柑の視界に、自分の身体が鏡に映り込んだ。
まだ幼さを残しながらも、リトとの秘め事を繰り返すうちに、どこか色香を帯び始めた肢体。周囲の女子たちは、まだ起伏の少ない幼児のような体つきの子が多い。そんな中で、美柑の胸の膨らみはわずかに高く、腰のラインはしなやかな曲線を描いていた。
「ねえ、美柑……。美柑って、なんか肌が凄く綺麗だよね」
隣で服を脱いでいた幸恵が、まじまじと美柑の身体を見つめて言った。
「そうかしら。普通だと思うけれど」
「ううん、なんていうか……凄く白くて、もちもちしてそう。それに、その……胸も、私より大きい気がする」
幸恵が少し羨ましそうに、自分の平らな胸を隠しながら言った。美柑はその言葉を聞きながら、心の中でリトのことを思い出していた。
(この身体は、リトがいつも優しく撫でて、リトが一番知っている身体なのよ)
リトが美柑の胸を両手で包み込み、「柔らかいな」と顔を赤らめていた時の感触。リトの大きな手が自分の白い肌をなぞるたびに、美柑の身体はリトの色に染まっていくような感覚があった。
美柑は無意識に、自分の二の腕をそっと指先でなぞった。
大浴場の重い扉を開けると、一面の湯気が視界を真っ白に染め上げた。高い天井に反響する女子たちの笑い声。美柑は洗い場の一角に腰を下ろし、鏡に向き合った。
お湯を桶に汲み、肩からかける。温かい感覚が肌を滑り、旅の疲れを解きほぐしていくはずだったが、美柑の意識は別のところにあった。
隣の洗い場では、真美が幸恵の背中を流しながら、「美柑の身体って、なんだか大人っぽいよね」と内緒話をしていた。湯気に紛れて聞こえてくるその言葉は、美柑のプライドを密かに刺激した。
(大人っぽい……。そうね、リトに教え込まれたことが、身体に出ているのかしら)
美柑は自分の胸に手を当て、丁寧に石鹸で洗い始めた。指先が乳首を掠めるたびに、新幹線の中での自慰や、クローゼットで嗅いだリトの匂いが記憶の底からせり上がってくる。
他の女子たちは、まだ「身体」を洗うという行為に、特別な意味を持たせていない。ただ汚れを落とすための作業として、賑やかにこなしている。しかし美柑にとって、自分の身体を洗うことは、リトが愛してくれたパーツを一つずつ確認する作業に他ならなかった。
(リトは、ここの形が好きって言ってた。……ここは、いつも強く吸ってくれる場所)
美柑の指先が、自然と熱を帯びていく。彼女は周りの視線を気にしながらも、自分の太ももや秘部の周りを、いつもより念入りに、そして愛おしむように洗った。
白く泡立った石鹸が、美柑の白い肌を覆い尽くしていく。その光景は、リトに白濁を浴びせられた時の様子を想起させ、美柑の呼吸をわずかに乱した。
ふと顔を上げると、大きな湯船に浸かっている女子たちが、楽しそうに足をバタつかせているのが見えた。彼女たちは無邪気に笑い、恋バナに花を咲かせている。
「ねえねえ、美柑は好きな人とかいないの? お兄さん以外でさ!」
湯船の中から幸恵が声を張り上げた。美柑は少しだけ手を止め、鏡の中の自分を見つめ返した。
「……いないわ。私には、リトがいれば十分だから」
その言葉の重みを理解している者は、ここには一人もいない。美柑は流し場から立ち上がり、溢れんばかりの湯を湛えた大浴場へと足を進めた。
真っ白な湯気に包まれ、女子小学生の裸体が入り乱れる空間。美柑はその中で、自分だけがリトという「秘密」を抱えていることに、言いようのない優越感を感じていた。
他の女子とは違う。私はもう、リトにすべてを捧げ、リトを知っている。
そんな執着心が、美柑の瞳を妖しく輝かせた。彼女はゆっくりとお湯に浸かり、首まで浸かった。熱いお湯が身体を包み込み、リトとの境界線を曖昧にしていく。
周りの女子たちの話し声が遠のいていく。美柑は目を閉じ、湯船の中で自分の足をもう一方の足に擦り合わせた。リトのいないこの場所で、リトとの違いを確認することで、彼女の愛はさらに純粋で、鋭いものへと研ぎ澄まされていった。