※この作品はR-18です。

【ToLOVEる外伝】リトと美柑の秘められた日常 ―禁断の果実を食む兄妹―   作:芝刈り山

86 / 200
湯船に浸かりながらリトとの混浴を思い出して美柑が独りで静かに絶頂する

旅館の大浴場を満たしているのは、単なるお湯の熱だけではなかった。天井の高い空間に反響する、何十人もの女子たちの笑い声と、タイルの上で跳ねる水音。そして、空間を真っ白に埋め尽くす濃厚な湯気が、すべてを幻想的に、そしてどこか非日常的な風景へと変えていた。

 

美柑は、首までたっぷりとお湯に浸かり、浴槽の縁に頭を預けた。視界は真っ白な霧に包まれ、数メートル先にいる友人たちの姿も、淡いシルエットのようにしか見えない。

 

「極楽、極楽……。美柑、顔がとろけてるよ?」

 

隣にいた幸恵が、いたずらっぽく美柑の頬を突こうと指を伸ばしてきた。美柑はそれをひらりと避け、ふっと息をつく。

 

「そうかしら。少し、ぼーっとしていただけよ」

 

(本当は、思い出していただけなのに)

 

美柑の脳裏には、自宅の、あの少し狭くて、けれど清潔な香りのするお風呂場の光景が鮮明に浮かんでいた。リトと一緒に入るお風呂。それは結城家において、ある時期から当たり前のように、けれど特別な意味を持って行われてきた儀式のようなものだった。

 

家事を完璧にこなす美柑にとって、お風呂は一日の終わりをリトと共有する大切な場所。そこでは、背中を流し合ったり、学校であったことを報告し合ったりする。けれど、それだけでは終わらない。

 

(リトの大きな手……。石鹸を泡立てて、私の背中を洗ってくれる時の、あの少し不器用な感触)

 

美柑は湯船の中で、自分の肩を抱くように腕を交差させた。今、自分の肌を撫でているのはただの熱いお湯だが、記憶の中のリトの感触は、お湯よりもずっと熱く、美柑の心臓を強く打ち鳴らさせた。

 

「あーあ、修学旅行も楽しいけど、やっぱりおうちのお風呂が一番落ち着くよね」

 

真美が足をバタバタさせながら言った。

 

「そうね。私も……おうちのお風呂は、特別だと思うわ」

 

美柑の言葉は、友人たちのそれとは全く異なる意味を含んでいた。自宅の浴槽で、リトの膝の間に座り、背中を預ける時の安心感。リトの鼓動が背中越しに伝わってきて、自分の身体がリトの一部になったような感覚。

 

その記憶を辿るだけで、美柑の秘部は、湯船の熱とは別の、内側からの熱を帯び始めた。

 

(リト……今、何してるかな。一人でお風呂に入って、私のことを思い出してくれてるかしら)

 

そう思うと、美柑はいてもたってもいられなくなった。彼女は友人たちが「次は露天風呂に行こうよ」と盛り上がっているのを横目に、「私はもう少しここで温まっていくわ」と告げ、浴槽の隅、一段深くなっている場所へと体を沈めた。

 

湯気に隠れ、周囲の視線から遮断された特等席。美柑は水中へと手を伸ばした。

 

水中では、自分の肌が驚くほど滑らかに感じる。美柑は自分の太ももの内側を、指先でゆっくりとなぞった。リトがいつも、躊躇いがちに、けれど拒めない強さで触れてくる場所。

 

「んっ……」

 

美柑は唇を噛み締め、声を殺した。周囲にはまだたくさんの女子たちがいる。その喧騒の中に身を置きながら、独りでリトとの記憶に耽る。その背徳的な状況が、美柑の感度を静かに、けれど確実に引き上げていった。

 

彼女は目を閉じ、リトの声を思い出した。

 

「美柑、お湯加減はどうだ?」

 

「美柑の肌は、本当に白いな」

 

リトの少し照れたような、けれど愛情に満ちた声が耳元で再生される。美柑は水中で、自身の秘部の入り口にそっと指を添えた。

 

リトに教え込まれた場所。リトが一番喜んでくれる場所。

 

美柑は、リトとの混浴でいつも最後に行われる「可愛がり」を、自分の指で再現しようとした。水圧のせいで、指の動きはいつもより重く、鈍い。けれど、それが逆に、リトにじっくりと焦らされているような感覚を与えた。

 

(あ、あ……リト……。リトの指がいい……。もっと、強く、かき回して……)

 

美柑の呼吸が、少しずつ浅くなっていく。吐息が熱を帯び、湯気と混じり合って消えていく。周囲の女子たちの笑い声が、まるで遠い異世界の出来事のように聞こえた。今、この白い湯船の中に存在するのは、美柑と、彼女が作り出したリトの幻影だけだった。

 

水中での愛撫は、外からは決して分からない。美柑は平然とした表情を装いながら、水面下では激しく指を動かし続けた。

 

リトが注いでくれた白濁の熱。

 

リトが残してくれた、あの濃厚な匂い。

 

それらすべてが、今、この瞬間の美柑を突き動かしていた。

 

(大好き……リト。リトに、もっとめちゃくちゃにされたい……)

 

執着という名の熱が、美柑の理性を少しずつ溶かしていく。彼女は水中で、リトの指の感触を模索し、自分の最も敏感な場所を、リトがするように優しく、時に激しく弾いた。

 

身体の芯から、熱い震えが湧き上がってくる。指先が蜜を捉え、水中でヌルリとした感触が広がった。

 

「っ、ふ、はぁ……っ……!」

 

美柑の背中が弓なりに反り、足の指先がプールの底を掴むように丸まった。

 

その瞬間、身体の奥底から、ダムが決壊したような衝撃が突き抜けた。

 

静かな絶頂。

 

声を上げることも、激しく身悶えることもできない状況で、美柑はただ、全身の筋肉を硬直させ、その波が過ぎ去るのを待った。内側から溢れ出す熱い液体が、湯船のお湯と混ざり合い、美柑の意識を真っ白に塗りつぶした。

 

目を開けると、やはりそこは真っ白な湯気の世界だった。

 

「美柑ー? 大丈夫? のぼせちゃった?」

 

少し離れた場所から、幸恵が心配そうに声をかけてきた。

 

「……ええ。大丈夫よ。ちょっと、お湯が気持ちよくて、ぼーっとしていただけ」

 

美柑は乱れた呼吸を悟られないよう、ゆっくりと息を吐いた。身体はまだ心地よい脱力感に包まれ、水中に沈んだままの指先には、確かな余韻が残っている。

 

「本当に? 顔、真っ赤だよ? 先に出る?」

 

「ううん。まだ、いいわ。もう少しだけ、こうしていたいの」

 

美柑は浴槽の縁に腕を乗せ、そこに顎を載せた。身体から力が抜け、まるでお湯の中に溶けてしまいそうな感覚。

 

リトを想い、リトのいない場所で、リトの代わりに自分を慰めた。

 

その事実は、美柑にとって、修学旅行という退屈な行事を、特別な「愛の確認作業」へと変えていた。

 

(まだ、出たくない……)

 

美柑は、自分の身体を包み込む温かいお湯を、リトの抱擁のように感じながら、しばらくの間、そのまま動かずにいた。

 

湯船のあちこちでは、相変わらず女子たちが楽しそうに騒いでいる。誰も、この「完璧な結城美柑」が、今この瞬間、兄への淫らな想いで果てたばかりだとは気づいていない。

 

美柑は、わずかに潤んだ瞳で湯気の向こう側を見つめた。そこには何も見えないけれど、彼女の心には、はっきりとリトの笑顔が映っていた。

 

お湯はまだ温かく、美柑の火照った身体を優しく支え続けていた。彼女は露天風呂に向かう友人たちの背中を見送りながら、もうしばらく、この余韻に浸ることを決めた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。