私の姉・アキラは、街で恐れられる最強のヤンキーだ。 鋭い眼光、圧倒的な威圧感。私にとって絶対的なヒーローだった姉。 だが、その部屋の扉の向こうで、姉は見たこともない声を漏らしていた。

「……や、め……ッ、たの、む……」

幼馴染のフウカちゃんに太ももを割り開かれ、静かに理性を磨り潰されていく姉。 妹の私が隠れて見ていることも気づかず、最強のヤンキーが甘い蜜に溶かされていく――。



※ノクターンより転載

1 / 1
第1話

 

 私の姉、アキラはこの街で知らぬ者はいない「最強のヤンキー」だ。

 金髪のウルフカットに鋭い三白眼。制服は常に着崩しスカートの下にはジャージ。

 

「女だからってナメんじゃねぇぞ」とドスを利かせれば、近隣の不良高校の男子でさえ道を開ける。

 そんな姉は、私・ミナにとって絶対的なヒーローだった。

 

「おいミナ。冷蔵庫のプリン食ったのテメェか?」

「ご、ごめんお姉ちゃん! 後で買ってくるから!」

「チッ⋯⋯まあいい。今度『限定いちご味』買ってこいよ。それでチャラにしてやる」

 

 家では少し乱暴だけど根は甘党で優しい。

 そんな姉には、唯一の「異物」とも言える友人がいた。

 

 ピンポーン。

 

「あ、アキラちゃーん。遊びに来たよ~」

 玄関に現れたのはフウカちゃんだ。ふわふわの茶髪にタレ目。フリルのついたロングスカート。

 おっとりとした口調で、どこからどう見ても「深窓の令嬢」か「天然記念物」。

 どこをどうとっても姉とは正反対の生き物だ。

 

「⋯⋯あ? また来たのかよフウカ。暇人か?」

「だってぇ、アキラちゃんにノート借りないと赤点だもん。⋯⋯ダメぇ?」

「ハァ⋯⋯。ったく、お前は俺がいねーと何にもできねーな」

 

 姉は呆れたように頭をかきながらも決してフウカちゃんを追い返さない。

 むしろ「ほら、入れよ」とぶっきらぼうに手招きする。

 

(やっぱり、お姉ちゃんは優しいな)

 私は微笑ましくその光景を見ていた。

 この時はまだ、何も知らなかったのだ。

 その「優しさ」が実は「捕食者に対する草食動物の生存本能(服従)」に近いものだということに――。

 

 

「じゃあ、アキラちゃんのお部屋に行こっか♪」

「⋯⋯あぁ。ミナ、絶対に入ってくんじゃねーぞ。勉強の邪魔すんなよ」

 

 姉は私の頭をポンと叩くとフウカちゃんを連れて二階の自室へと上がっていった。

 バタン、とドアが閉まる音。

 鍵が掛かる音がカチャリと響いた気がした。

 

(最近よく勉強しているけど、大変そうだな⋯⋯)

 

 私はリビングでテレビを見ていたが一時間ほど経った頃、ふと思った。

 お詫びのプリンを買ってきたし、差し入れに持っていってあげようかな。

 フウカちゃんは甘いものが好きだし、お姉ちゃんも勉強で頭を使っているだろう。

 

 私はトレイに冷えたプリンと紅茶を乗せ、階段を上がった。

 古い家だから、足音を忍ばせても階段がきしむ。

 二階の廊下は、不気味なほど静まり返っていた。

 私が持ってきた紅茶の氷が、カランと音を立てる。

 それがやけに大きく聞こえるほど姉の部屋の周りだけ空気が張り詰めていた。

 

 

 ドアが、わずかに開いていた。私はノックをしようとして上げた手を止めた。

 中から聞こえてきたのは私が一度も聞いたことのない、姉の「泣き言」だったからだ。

 

「⋯⋯なぁ、フウカ。もう、いいだろ⋯⋯?」

 いつものドスの利いた声じゃない。

 まるで迷子が親を探すような、頼りなく震える声。

 

「今日は、ほら⋯⋯ミナも下にいるし。あんまり声だすと、バレちまうから⋯⋯。な? 今日はもう、勉強に戻ろうぜ?」

 

 最強のヤンキー・アキラが媚びるように機嫌を窺っている。

 私は息を潜め、数センチの隙間から部屋の中を覗き込んだ。

 そこには信じられない光景があった。

 

 散らかった参考書。西日が差し込むベッド。その上でジャージ姿の姉が仰向けに転がされていた。

 手足は縛られていない。その気になれば、か弱いフウカちゃんなんて簡単に跳ね除けられるはずだ。

 なのに姉はまるで不可視の鎖に繋がれているかのように、シーツを弱々しく握りしめたまま動かない。

 その顔は既に汗でぐしゃぐしゃに濡れていて、たくましい太ももの間にフウカちゃんが優雅に座っていた。

 

「アキラちゃん」

 フウカちゃんの声は春風のように柔らかい。

 

「『もういい』って、どういうこと? まだ予習が終わってないよ?」

「だ、だから⋯⋯っ。休憩しようって、言ってんだよ⋯⋯」

「休憩? 変だなぁ。アキラちゃん、さっき『気持ちよすぎて頭おかしくなる』って言ってたじゃない。⋯⋯気持ちの良いことに休みなんていらないよね?」

 

「そ、れは⋯⋯言葉の綾っていうか⋯⋯ッ! ひぅ!?」

 フウカちゃんの人差し指が姉のジャージの裾から、無防備な下腹部へと這い上がる。

 たったそれだけの動作で姉の体がビクリと跳ねた。

 

「や、やめ⋯⋯! 頼む、フウカ⋯⋯。そこ、今はダメだって⋯⋯」

「どうして?」

「さっき⋯⋯イったばっかだし⋯⋯。今触られたら、変な声、出る⋯⋯。ミナに、聞かれちまう⋯⋯」

 

 姉が涙目で首を振る。

 その顔は真っ赤で、額には脂汗が滲んでいる。

「ぶっ殺すぞ」なんて威勢のいい言葉は出てこない。

 

 今の姉にあるのは、「これ以上されたら自分が保てない」という純粋な恐怖と、幼馴染に対する絶対的な服従心だけだった。

 

「大丈夫だよ、アキラちゃん」

 フウカちゃんは聖母のように優しく微笑んだ。

 そして、チラリと――私のいるドアの隙間の方へ視線を流した気がした。

 

「ミナちゃんに聞かれたくないなら⋯⋯声が出ないように、口を塞いであげる」

「え⋯⋯? ん、んぐッ!?」

 

 フウカちゃんが覆いかぶさる。

 深い、粘着質なキス。

 姉の「待って」という懇願は、フウカちゃんの唇によって瞬時に封じ込められた。

 

「んぅ⋯⋯ッ! ん、むぅ⋯⋯ッ!」

 姉の手が、フウカちゃんの背中を弱々しく叩く。

 抵抗、と呼ぶにはあまりに力がない。それはまるで溺れる者が藁に縋り付くような仕草だった。

 フウカちゃんは一切動じない。

 

 キスで呼吸を奪いながら、その右手は残酷なほど正確に姉の弱(・)い(・)と(・)こ(・)ろ(・)へと侵入していく。

 ズズッ、という衣擦れの音。

 姉のジャージが捲り上げられ、鍛えられた腹筋と、その下にある無防備な下着が露わになる。

 

「んーッ! ふ、ぁ⋯⋯ッ!」

 唇が離れた瞬間、姉は酸素を求めて大きく息を吸い込んだ。

 しかし、その呼吸はすぐに、ひきつった悲鳴へと変わる。

 

「あ、あっ⋯⋯! フウカ、指⋯⋯ッ! 入れちゃ、ダメ⋯⋯ッ!」

「どうして? こんなに濡れてるのに?」

 フウカちゃんは濡れた指先を姉の目の前にかざして見せた。

 銀色の糸が引いている。

 

「口では『ダメ』とか『頼む』とか言ってるけど⋯⋯。アキラちゃんの体、正直だね。私の指が入ってくるのを、玄関開けて待ってるみたい」

「ちが、う⋯⋯。それは、さっきのが残ってて⋯⋯」

「往生際が悪いなぁ。⋯⋯最強のヤンキーなんでしょ? だったら、指一本くらい涼しい顔で耐えてみなよ」

 

 フウカちゃんはクスクスと笑い、姉の太ももを強引に割り開いた。

 姉は抵抗しなかった。いや、できなかったのだ。

 内太ももを撫でられただけで、姉の足はガクガクと震え、力が入らなくなってしまっている。

 

「む、無理だ⋯⋯。お前の指、やばいんだよ⋯⋯。腰、抜けちまう⋯⋯」

「抜けちゃえばいいじゃん。私が支えててあげるから」

「そ、そういう問題じゃ⋯⋯! あ、ひぃッ!?」

 

 ぬぷりっ♡

 湿った音がして、フウカちゃんの指が姉の中に沈んだ。

 

「~~ッ! あ、あ、あ⋯⋯ッ!♡」

 

 姉の目がカッと見開かれる。

 黒目が揺れ、視線が定まらない。

 必死にシーツを握りしめる拳が白くなっている。

 何かを叫ぼうとして、でも声にならない。

 パクパクと口を開閉させるその姿は、陸に上げられた魚のように哀れだった。

 

「よしよし、いい子だね。⋯⋯アキラちゃんのおマンコ、私の指に吸い付いてくるよ」

「ぬ、抜いて⋯⋯。お願い、抜いてぇ⋯⋯」

「だ~め♡」

 

 フウカちゃんは短く、楽しそうに拒絶した。

「だってアキラちゃん、抜いてほしいなんて思ってないもん。⋯⋯『もっと奥を掻き回してください』って、声が聞こえてくるよ?」

 

 グリッ♡ と指が動く。姉の体の中で理性のスイッチが強制的に消される音。

 

「ひギぃッ⋯⋯!?♡」

 

 姉の喉から可愛らしい音が漏れた。それはもう拒絶の声ではなかった。

 快楽に屈服し、もっと欲しいとねだるメスの鳴き声。

 

「⋯⋯ぁ、フウカ⋯⋯ほんとに⋯⋯や、め⋯⋯ッ♡」

 

 姉は顔を枕で埋め、必死に声を殺そうとする。

 階下にいる私に、この無様な姿を知られるわけにはいかない。

 その最後のプライドが彼女の喉を固く閉ざさせている。

 けれど、その指先はシーツをむしり取るように震え、耐え難い熱に浮かされているのは明白だった。

 

「うん、やめてほしいんだね。⋯⋯わかってるよ」

 

 フウカちゃんは耳元で慈悲深く囁いた。肯定の言葉とは裏腹に指はさらに深く、やわらかい粘膜を味わうようにゆっくりと撫で上げる。

 

 ⋯⋯ヌチュッ♡ ジュクッ♡

 

 静まり返った部屋には、水音だけが淫らに響く。

 

「ん、んんーーッ⋯⋯! ♡」

 

 鼻に抜ける押し殺した喘ぎ。姉の背筋が強烈な刺激によって震える。

 フウカちゃんは、姉が声を漏らしそうになる絶妙なタイミングで、わざと急所を深く、執拗にえぐりあげた。

 

「⋯⋯っ、ふ、あ⋯⋯ッ!♡  もうむ、り⋯⋯♡ ⋯⋯やめっ♡」

 

「そうだね。無理しなくていいんだよ。⋯⋯ほら、我慢しすぎて顔、真っ赤」

 

「⋯⋯あ、⋯⋯っ、あ゛、ぁッ⋯⋯! ♡」

 

 耐えようとすればするほど感覚は鋭敏になり、脳を焼く。

 フウカちゃんは無言でただひたすらに「鳴きやすい場所」を弾き続けた。

 姉が懇願の視線を向けてもフウカちゃんは聖母のような微笑みを浮かべて無視し、指先の蹂躙を止めない。

 

 もう一度、姉の体が大きく跳ねた。絶頂が声もなく訪れる。

 

「ん、ぐぅ、ぅ、ううぅッ⋯⋯!! ♡♡♡」

 

 喉の奥で押し潰された絶叫。声を出してはいけない。けれど、溢れ出す快楽をもう器に留めておくことはできない。何度も、何度も、容赦のない指先が姉を絶頂の縁から突き落とし続ける。

 

 やがて姉の瞳から力が抜け、シーツを掴んでいた指が力なく解けた。

 

「はっ、はぁ⋯⋯ッ。⋯⋯ぁ、⋯⋯ぁ⋯⋯ッ♡」

 

 姉はもう、言葉を発することができなくなっていた。

 フウカちゃんの指が動くたびに、ビクンビクンと腰を跳ねさせ、涎を垂らして喘ぐことしかできない。

 

「どうしたの? アキラちゃん。『やめろ』って言わないの?」

 

 フウカちゃんが意地悪く聞く。

 姉は涙で潤んだ瞳で、フウカちゃんを見上げた。

 その瞳には、不良たちを従え震え上がらせた「鬼」の光など欠片もない。

 あるのは飼い主の機嫌を窺う、怯えた愛玩動物の色だけ。

 

「い、いっても⋯⋯。やめてもらえない⋯⋯」

「そっかぁ。⋯⋯じゃあ、もう『鬼のアキラちゃん』はおしまいだね」

 

 フウカちゃんは姉の耳元に唇を寄せ、とどめを刺すように囁いた。

 

「ただの、私の可愛い『ペット』になっちゃったね」

「ッ⋯⋯! ちが、おれは⋯⋯ッ! んぐぅッ!!!♡♡♡」

 

 否定しようとした姉の言葉は、フウカちゃんの指がGスポットを擦り上げた瞬間、甘い絶叫にかき消された。

 姉の体が弓なりに反る。もはや、隠すことすら出来ていない。

 快楽の波にのまれ、自分が誰なのか、ここがどこなのかも分からなくなっている。

 

「あはぁ⋯⋯ッ♡♡ すごい⋯⋯! フウカ、そこ⋯⋯ッ♡ 頭、真っ白に⋯⋯なっちゃう⋯⋯ッ♡」

「そう。なっちゃえ。⋯⋯ミナちゃんのことなんか忘れて、私のことだけで頭いっぱいにしようね」

「わすれる⋯⋯ッ! 全部、忘れるからぁ⋯⋯ッ!♡」

 

 姉がフウカちゃんの腕にしがみつく。それは助けを求める仕草ではなく、もっと深く愛してほしいという懇願だった。

 あんなに嫌がっていたのに。

 あんなに「頼むからやめてくれ」と泣きついていたのに。

 今の姉はフウカちゃんに指を入れられているこの瞬間が、世界で一番幸せだと言わんばかりの顔をしている。

 

 私はドアの隙間から、その「陥落」の瞬間を見ていた。

 姉の強さ、威厳、プライド。

 それらが音を立てて崩れ落ち、フウカちゃんという底なし沼に飲み込まれていく。

 その様は残酷なほどに美しかった。

 

 

 ――ドアの隙間から覗く私の目は、もう瞬きすら忘れていた。

 部屋の中の空気は、まるで桃色の霧がかかったように甘く重苦しい。

 

「あ、はぁ⋯⋯ッ!♡ ん、ぁ⋯⋯ッ!♡」

 

 姉の声には、もう拒絶の色は欠片もなかった。

 さっきまで「やめろ」と強がっていた唇は、今はフウカちゃんの指の動きに合わせて、だらしなく開かれている。

 そこから漏れるのは、妹の私でも顔を覆いたくなるような、甘ったるい嬌声だけだ。

 

「アキラちゃん、すごい。⋯⋯おマンコの中、すっごく熱いよ?」

 

 フウカちゃんは、ベッドに座り込んだまま、姉の太ももを割り開いて覗き込んでいる。

 その表情は聖母のように優しく、そして底知れないほど愉悦に満ちていた。

 

「んく、ぅ⋯⋯ッ♡ フウカ、そこ⋯⋯ッ♡ こすっちゃ、だめぇ⋯⋯ッ♡」

 

 姉が腰をくねらせる。

 逃げようとしているのではない。

 刺激が強すぎてじっとしていられないのだ。

 フウカちゃんの指が姉の敏感な部分を執拗に、かつ繊細に愛撫している。

 それは拷問というよりも「極上のマッサージ」を受けている時の反応に近かった。

 

「だめ? ⋯⋯気持ちよくないの?」

 

 フウカちゃんがわざと指を止める。

 すると姉は潤んだ瞳で、縋るようにフウカちゃんを見上げた。

 

「ちが⋯⋯ッ。きもち、いい⋯⋯。よすぎるから、おかしくなる⋯⋯ッ♡」

「ふふ。おかしくなっていいんだよ。⋯⋯私が全部、受け止めてあげるから」

 

 フウカちゃんは、姉の汗ばんだ前髪を優しくかき上げた。

 そして、まるで赤ちゃんをあやすように姉のおでこにキスを落とす。

 

「いい子だね、アキラちゃん。⋯⋯外ではあんなに強くて怖いのに、私の前ではこんなに素直で、可愛くなっちゃって」

「あぅ⋯⋯ッ♡ かわい、くなぃ⋯⋯ッ♡」

「ううん、可愛いよ。世界で一番可愛い」

 

 フウカちゃんの言葉は、呪文のように姉を溶かしていく。

 「可愛い」と言われるたびに、姉の体から力が抜け、フウカちゃんに寄りかかるように崩れていく。

 最強のヤンキー・アキラのアイデンティティは「フウカちゃんに愛されるペット」へと完全に書き換えられていた。

 

「ねえ、見て。⋯⋯アキラちゃんのここ、大好きなんだ」

 フウカちゃんの指が姉の腹筋をなぞる。

 日々の鍛錬で割れた、美しい腹筋。そして、その脇腹にある小さな古傷。

 以前、私が不良に絡まれた時に姉が守ってくれてできた傷だ。

 

「そ、そこは⋯⋯ッ! くすぐった、い⋯⋯ッ!」

「うん。強いアキラちゃんの、勲章だもんね」

 

 フウカちゃんは、その傷跡に舌を這わせた。

 ザラリとした舌の感触に、姉がビクンと大きく跳ねる。

 

「ひゃうッ!?♡ な、め⋯⋯ッ!?」

「でもね、アキラちゃん。⋯⋯ここはこんなに硬くて強いのに、中はこんなに柔らかくて、弱虫さんなんだね」

 

 フウカちゃんのもう片方の手が、姉の秘所をかき分ける。

 そこはもう止めどなく溢れる愛液で濡れそぼり、フウカちゃんの指を誘うようにひくついていた。

 

「や、ぁ⋯⋯ッ♡ 弱虫じゃ、ない⋯⋯ッ♡」

「嘘つき。⋯⋯ほら、私の指が動くたびに、こんなにギュウギュウ締め付けてくる」

 

 ぬぷ♡ ぬぷ♡ と水音が響く。

 フウカちゃんの指使いは、いやらしいほど丁寧だった。

 姉が気持ちいいと感じるポイントを完全に把握し、そこを一点集中で責めるのではなく、周りからじわじわと包囲していくような攻め方。

 

「あ゛っ、あ゛っ⋯⋯ッ♡ 焦らさ、ないで⋯⋯ッ♡」

「焦らしてないよ。アキラちゃんの全部を、愛してあげてるだけ」

「うそだ⋯⋯ッ! フウカ、いじわる⋯⋯ッ! もっと、奥⋯⋯ッ♡」

 

 姉が自分から腰を振った。

 あのプライドの高い姉が。

「奥を突いてくれ」と、腰を突き出してねだっている。

 

「⋯⋯あーあ。アキラちゃん、完全に『メス』の顔になってる」

 

 フウカちゃんは嬉しそうに目を細めると姉の要望に応えて、指を深々と突き入れた。

 

「んギィッ!?♡ あ、あ、あ⋯⋯ッ!♡♡♡」

 

 姉の目が白黒と反転する。

 声にならない絶叫。

 脳の処理能力を超えた快楽が、姉の全身を駆け巡っているのが、見ていて痛いほど伝わってくる。

 

「すごい⋯⋯アキラちゃん、まだまだ熱くなる。⋯⋯私の指、溶かされちゃいそう」

「とけ、る⋯⋯ッ!♡ わたしのほうが、とけるぅ⋯⋯ッ!♡」

「うん、溶けていいよ。⋯⋯ドロドロになって、私の形になっちゃえ」

 

 フウカちゃんは、姉の耳元で甘く囁き続けた。

 それは洗脳にも似た、愛の告白だった。

 あなたは無力でいい。あなたは快楽に溺れていればいい。私が守ってあげるから、あなたはただの可愛い女の子におなりなさい――と。

 

 

「――はっ、はぁ⋯⋯ッ! ん、ふぅ⋯⋯ッ♡」

 

 姉はもう、正常な会話ができなくなっていた。

 フウカちゃんの腕の中で操り人形のように揺さぶられ、与えられる刺激に反応して鳴くだけの生き物。

 

「アキラちゃん、こっち見て」

 フウカちゃんが命じると姉はトロンと濁った瞳でフウカちゃんを見つめた。

 その瞳には信頼と依存と、そして底なしの情欲が渦巻いている。

 

「ちゅ⋯⋯ッ♡」

 フウカちゃんがキスをする。

 深いディープキスではない。唇をついばむような、小鳥のようなキス。

 それだけで姉は嬉しそうに喉を鳴らし、自分から舌を差し出していく。

 

「んむ⋯⋯ッ♡ れろ⋯⋯ッ♡」

「ふふ。積極的だね。⋯⋯私のこと、そんなに好き?」

「すき⋯⋯ッ♡ フウカ、すきぃ⋯⋯ッ♡」

 

 姉は夢遊病者のように呟いた。

 

「気持ちいいの⋯⋯くれるから⋯⋯フウカ、だいすき⋯⋯ッ♡」

「そっかぁ。嬉しいな」

 

 フウカちゃんは、姉を抱きしめたまま、その豊かな胸を自身の胸に押し付けた。

 

「アキラちゃんは、私の自慢の幼馴染だよ。強くて、かっこよくて⋯⋯そして、ベッドの上では誰よりも淫乱で可愛い、私だけのネコちゃん」

 

「おん、ぐ⋯⋯ッ♡ ネコ⋯⋯ッ♡ 私、フウカの⋯⋯ネコですぅ⋯⋯ッ♡」

 

 姉はその屈辱的な言葉さえも、至上の褒め言葉として受け入れていた。

 自他とも認める最強のヤンキーは、フウカちゃんの甘い言葉と濃密な愛撫によって、跡形もなく溶かされてしまったのだ。

 

「じゃあ、ご褒美。⋯⋯アキラちゃんが一番好きなところ、いじめてあげる」

 

 フウカちゃんの指が、充血してビンビンに腫れ上がったクリトリスを狙い澄ました。

 

「ひッ!? そ、こ⋯⋯ッ!?」

 

「ここ、クリクリされると⋯⋯アキラちゃん、頭真っ白になっちゃうんだよね?」

 

「あ、あ゛⋯⋯ッ! だめ、そこ⋯⋯ッ! 直接は、こわれ⋯⋯ッ!♡」

 

「壊れちゃえ。⋯⋯壊れて、私に甘えるだけの赤ちゃんに戻っちゃえ」

 

 フウカちゃんの指が、高速で動き始める。

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーッッ!!!♡♡♡」

 

 部屋中に響き渡る、姉の絶叫。

 それは苦痛の声ではない。

 あまりの気持ちよさに、魂が震えている歓喜の歌だった。

 

 

 ――部屋の中には、荒い呼吸音だけが満ちていた。

 その呼吸音も、今や苦しげなものではなく、満ち足りた安息の寝息に変わりつつある。

 

「あ、ぅ⋯⋯。ふぅ、か⋯⋯ぁ⋯⋯♡」

 姉はベッドのシーツに沈み込むようにぐったりとしていた。

 手足はピクリとも動かない。

 けれど時折ビクン、ビクンと、太ももや腹筋が痙攣している。

 あまりに強い快楽を受けたせいで、神経がまだ興奮を鎮められずにいるのだ。

 

「よしよし。⋯⋯すごかったね、アキラちゃん」

 

 フウカちゃんは汗で張り付いた姉の金髪を、指で丁寧に梳いてあげていた。

 その表情は最高傑作を作り上げた芸術家のように満足げだ。

 

「あんなに大きな声で鳴いて⋯⋯。ミナちゃんに聞こえてたら、どうしよっか?」

「きこ、え⋯⋯ても⋯⋯いいもん⋯⋯♡」

 

 姉は、うわごとのように呟いた。

 焦点の合わない瞳で、天井のシミを見つめながら、へらりと笑う。

 

「フウカに⋯⋯きもちよく、されたの⋯⋯。自慢、だもん⋯⋯♡」

 

「⋯⋯っ! ふふ、あはは!」

 

 フウカちゃんが、たまらないといった様子で吹き出した。

 

「アキラちゃんったら。⋯⋯思考回路、とろとろに溶けちゃってるね」

「うん⋯⋯。とろとろ⋯⋯♡ フウカのせいで、あたま⋯⋯バカに、なっちゃった⋯⋯♡」

 

 姉は自分の頭を指差して、無邪気に笑った。

 その仕草の幼さ。

 外で肩で風を切って歩いている「鬼のアキラ」と同一人物とは、とても思えない。

 今の姉は、フウカちゃんに脳髄をかき回され、IQが3くらいまで下がってしまった、ただの幸せな生き物だった。

 

「さあ、綺麗にしてあげるね」

 フウカちゃんはウェットティッシュを取り出し、姉の汚れた太ももや下着を拭い始めた。

 普通なら恥じらう場面だ。

 けれど、姉はされるがまま。むしろ、フウカちゃんに世話を焼かれることが嬉しくてたまらないようだった。

 

「ん⋯⋯フウカの手、あったかい⋯⋯♡」

「アキラちゃんは甘えん坊さんだね。⋯⋯外ではあんなに強がってるのに」

「そとは⋯⋯つかれるから⋯⋯」

 

 姉が、ぽつりと本音を漏らした。

 

「みんな、⋯⋯私のこと、怖いって言うし⋯⋯。強くなくちゃ、いけないし⋯⋯」

 

 姉がモゾモゾと動き、フウカちゃんの膝の上に頭を乗せた。

 膝枕だ。

 

「でも、ここなら⋯⋯弱くても、いいもん⋯⋯」

 

 姉はフウカちゃんの腰に腕を回し、そのお腹に顔を埋めた。

 深呼吸をするように、フウカちゃんの匂いを吸い込む。

 

「フウカが⋯⋯守ってくれるもん⋯⋯」

「うん。そうだよ」

 

 フウカちゃんは、姉の背中を一定のリズムでトントンと叩き始めた。

 まるで、母親が子供を寝かしつけるように。

 

「アキラちゃんは弱くていいの。何もできなくていいの。⋯⋯私が全部、管理してあげるから」

「かんり⋯⋯♡」

「アキラちゃんが何を着るか、何を食べるか、そして⋯⋯いつ『気持ちよくなるか』。全部私が決めてあげる」

 

 それは、完全なる自由の剥奪だった。

 けれど今の姉にとって、それは「フウカによって支配される」という究極の救済だった。

 

「うん⋯⋯♡ 決めて⋯⋯。フウカが、決めて⋯⋯♡」

「いい子。⋯⋯じゃあ、明日の学校も、私の言う通りにできる?」

「できるよぉ⋯⋯♡ フウカの言うこと、ぜったい⋯⋯♡」

 

 姉はフウカちゃんの太ももに頬擦りをした。

 その顔は不安など微塵もない、無垢な信頼に満ちていた。

 最強の姉は、もうどこにもいなかった。

 自分の意思を放棄し、フウカちゃんという「優しい支配者」に全権を委ねることで、姉は永遠の安らぎを手に入れたのだ。

 

「⋯⋯ふぁ。眠く、なってきた⋯⋯」

 事後の気だるさとフウカちゃんの体温の心地よさに、姉のまぶたが重くなっていく。

 

「寝ていいよ、アキラちゃん。⋯⋯勉強は、私が後でノートまとめておいてあげる」

「ほんとぉ⋯⋯? フウカ、やさしい⋯⋯♡」

「その代わり⋯⋯夢の中でも、私のこと考えてね?」

 

 フウカちゃんが姉の唇にチュッ、と軽いキスを落とした。

 

「んへへ⋯⋯♡ うん⋯⋯おやすみ、ご主人様(フウカ)⋯⋯」

 

 姉は幸せそうに微笑むと、フウカちゃんの膝の上で静かに寝息を立て始めた。

 その寝顔は私が幼い頃に見た、無防備で愛らしい姉の顔そのものだった。

 ヤンキーとしての鎧を脱ぎ捨て、ただの少女に戻った姉。

 

 フウカちゃんは眠る姉の髪を愛おしげに撫でながら、ふとドアの方――私のいる方を見た気がした。

その瞳が三日月のように細められる。

 

(⋯⋯見られちゃったかな?)

 

 私は背筋がゾクリとした。

 けれどフウカちゃんは何も言わず、ただ人差し指を自分の唇に当てて「シーッ」という仕草をしただけだった。

 それは「邪魔しないでね」という警告であり「私たちの秘密だよ」という共犯の誘いのようにも思えた。

 

 部屋の中は、夕日に照らされてオレンジ色に染まっている。

 最強の姉と最恐の幼馴染。

 二人の歪で、それでいて完璧に満たされた関係は、この閉ざされた部屋の中で永遠に続いていくのだろう。

 

 私は音を立てずにその場を離れた。

 トレイに乗ったプリンと紅茶は、私の手の中で完全にぬるくなっていた。

 私はそれをキッチンへ戻す気にもなれず、抱えたまま自分の部屋へと駆け込んだ。

 

 明日の朝、姉はまた「鬼のアキラ」の顔をして学校へ行くだろう。

 でも、私はもう知っている。

 その制服の下には、フウカちゃんにつけられた無数のキスマークと、誰よりも甘えたがりな「メス」の本性が隠されていることを。

 

(⋯⋯お姉ちゃん、幸せそうだったな)

 

 私は少しだけ複雑な気持ちになりながらも、二人のために買っておいたプリンを、こっそりと自分の部屋のミニ冷蔵庫の奥に隠した。甘いものが欲しくなったら、きっと姉はまた、フウカちゃんの部屋(檻)へと帰ってくるはずだから。

 

【Fin】


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。