デートも終わり、私たちは家に帰ってきた。
「ふぅ……着いた~。一日いっぱい遊んで歩いたから、さすがに足疲れちゃったね。」
「うん。でも楽しかった。」
扉を開錠しながら雪ちゃんがはにかんで答える。
「ふふ、素直でよろしい。雪ちゃんが楽しんでくれたなら、私のデートプランは大成功だね。」
私たちはただいま~と言いながら家に入った。
私は雪ちゃんに続いて玄関に入ると、いつも通り自分の靴を揃えて、先に廊下の電気をつけた。
「あれ、母さん買い物に出てるのかも。」
暗いリビングの明かりをつけながら雪が言った。
「とりあえずお茶でも飲む?」
冷蔵庫から麦茶を取り出して雪が聞いてきた。
「あ、置き手紙あるよ。『夕飯までには戻ります』だって。」
「了解」
私は、冷蔵庫を開けている雪ちゃんの背中に忍び寄り、後ろからギュッと抱きついた。
「お茶もいいけどさ……雪ちゃん、気づいてる? お義母さんいないってことは……今、この家には私たちしかいないってことだよ?」
「っ」
私が雪ちゃんの耳に囁くと、雪ちゃんが息を漏らす。雪ちゃんの耳が真っ赤になっているのは、錯覚ではないだろう。
「ねえ……誰にも邪魔されない時間、何しよっか?」
一つ屋根の下に両想いの女の子が二人だけ。何も起こらないわけがなく......。
今、私たち二人は液体をぶちまけていた。
「あ、敵は私が倒すからエリアを確保しておいて。」
部屋ではオンラインの4v4の協力プレイが行われていた! そう、大人気対戦ゲームのスプラテンタクル、略してスプラである。
いつもより少し饒舌な雪ちゃんが私に指示を出す。
いや、おかしいでしょ...。
「エリア塗ればいいんでしょ……はいはい、塗りますよーだ……」
私はわざとらしくコントローラーのボタンをベチベチ叩きながら、画面の中の愛らしいタコちゃんをインクの海に潜らせた。
私の想定では今頃もっと激しい”協力プレイ”をしているはずだったのだが、どこで間違ってしまったのだろう? もしかして、私に魅力がない?? 私の魅力はこのタコ以下なのか?
「あーあ……。私、インクじゃなくて、雪ちゃんの色に染まりたい気分だったのになぁ(小声)」
そんな私のドロドロした感情にも気づかず、「ナイス!」とか言って目を輝かせている雪ちゃん。
……くやしいけど、ゲームに集中してる横顔が楽しそうで可愛いから、無理やりにでもモニターの電源を抜くなんてできないなぁ。
「ほらエリア確保したよ! 雪ちゃん、ちゃんと守ってよね!」
私は雪ちゃんを恨めしく見ながら言うが、雪ちゃんには欠片ほども気づいてもらえない。
「任された。」
次の瞬間、ワイプアウトという文字が画面に表示される。敵が全員死んだことを表すエフェクトだ。
「ふ、他愛ない。」
ドヤ顔の雪が言う。
「……うわ、すご……。一瞬で全員倒しちゃった……」
私は「WIPEOUT」の文字が踊る画面と、それ以上にドヤ顔を決めていて楽しそうな雪ちゃんの横顔を交互に見た。
ほんっと、ゲームバカなんだからと私は呆れた。
その後、雪ちゃんはゲームの制限時間いっぱい、敵をたった一人で完封しきって勝利をつかんだ。
「ビクトリー」
雪ちゃんが私に部位サインを送ってくる。可愛い。
「むぅ……。さすがだね。私、床に向かってインクを乱射してただけなのにね?」
「私は最強。」
私はコントローラーをテーブルに置くと、ソファの上でずいっと距離を詰め、雪ちゃんの肩に体重を預ける。
「……ねぇねぇ。手伝ったんだから私にも雪ちゃんからご褒美が欲しいなぁ」
そして雪ちゃんに期待を込めた視線を向けた。
「え?」
雪ちゃんはご褒美という言葉に首をかしげたのち、手を動かした。
「偉い偉い。」
雪ちゃんの手が、私の茶髪に触れてなでなでとされる。
「ふぁ……」
突然頭に乗せられた手のひらの温もりに、私の体が一瞬強張って、それからふにゃりと力が抜けた。
ゲームの手休めみたいな雑な撫で方なのに、雪ちゃんの手だとどうしてこんなに気持ちいいんだろう。
「……子ども扱い、しないでよ」
私は心地よさに負けてしまいそうになる体を必死に動かして、雪ちゃんを睨め上げた。雪はというとすでにゲームの続行ボタンを押し終わっている。そんなにゲームしたいの?
「朝からずっと我慢してるのに、こんな『よしよし』だけで……私が満足すると思ってるの?
……まだ、全然足りない」
私は頭の上にある雪ちゃんの手首を掴むと、そのまま自分の胸元へと強く引き寄せた。
「ゲームはもう終わり。
今からは……私を見ることに集中して?」
「え。」
ゲームに固定されていた雪ちゃんの目がここでやっと春香の胸元に集中する。だが顔が一瞬で真っ赤になりすぐ目をそらす雪ちゃん。
「でももう対戦始めちゃったし・・・ここで切ると対戦相手に迷惑だから・・・。」
言いながら、さっきは目をそらした私の胸をちらちらと見る雪ちゃん。やっぱり興味あるんじゃん。おませさんめ。
「……へぇ。
顔も見えないネットの向こうの相手には気を使うのに……目の前で寂しがってる恋人のことは、放置するんだ?」
私はわざと拗ねたような低い声で囁くと、ジリ……と雪ちゃんとの距離を詰めた。
「え、あ。そんなつもりじゃ」
困ったような雪の言葉をさえぎって春香が言葉をつづける。
「……いいよ。じゃあ、試合してなよ。私は私で好きにしてるから。」
私は雪ちゃんの耳元に唇を寄せると、フゥ……と熱い息を吹きかけながら、空いているもう片方の手で、雪ちゃんの膝の内側をそっと撫で上げた。ゲームやってる余裕なんて取り除いてあげる。
ゲームがスタートする。スプラのガチ勢であるらしい雪ちゃんが、セオリー通り相手の編成を見て、マップを確認し、相手の初動へのカウンターを頭で構築していくが。
「ッ」
私は雪ちゃんの耳たぶに”ふー”と息を吹きかける。その後私は雪ちゃんのやわらかそうな耳たぶを口の中に含んだ。
すると雪ちゃんはピクリと震えた。
「あれぇ……? どうしたの、雪ちゃん。攻撃が少しブレてるよ??」
私は雪ちゃんの敏感な耳たぶを甘噛みした後、わざとらしく画面を覗き込むようにして、雪ちゃんの肩にアゴを乗せた。
画面の中では激しい撃ち合いが始まっている。雪ちゃんのアバターは軽快な動きで敵を倒そうとしているけれど、その操作主である雪ちゃんの身体は、私の唇が触れるたびにピクッと強張っているのが分かる。
「敵、右から来てるよ? ……お! うまいうまい!」
雪ちゃんはその震えに耐えながらもギリギリ敵を撃破して見せた。
「強情だね。でもそういうところが好きだよ、雪ちゃん♪」
私はそう言ってニヤニヤを抑えることを放棄しながら、雪ちゃんの無防備なお腹の方へと手を滑らせた。
雪ちゃんの部屋着の裾を指先でめくり上げ、そこにするりと掌を潜り込ませる。
直接触れる、しっとりと吸い付くようなきめ細やかな肌。
私の指先が少し冷たいせいか、触れた瞬間、雪ちゃんのお腹がビクン! と可愛らしく波打つのが掌から伝わってきた。
「ひゃっ!?」
雪ちゃんの喉からとても可愛い悲鳴が漏れる。
「……雪ちゃんの素肌、すべすべであったかくて……気持ちいい。」
私はわざとゆっくりと、雪ちゃんの華奢なウェストラインをなぞるように、服の内側で這わせた指を蠢かせた。
画面の中では、タコちゃんの動きが少し雑になった気がする。
「ほら、頑張ってよ?」
「っ!!」
少しずつ私は手をおなかの辺りから上の方へ、服の下を這うように上がってくる。
雪ちゃんは私がどこを触ろうとしているのか気づいたみたいだ。
「ねぇ雪ちゃん……私のこと、ナメてない?」
私は、確かに今雪ちゃんの視線を独占するゲームのモニターに嫉妬していた。
私という存在がありながら、その小さな意地を貫こうとするなら……もう、加減なんてしない。
私は更に服の奥の上の方まで手を伸ばす。優しくブラジャーの上から柔らかな双丘の片方を撫でる。
「ひゃう!」
今までで一際大きい声が響く。
スプラの中のタコが確かにブレる。
「……あは。いま、こっち見たね?」
私はその可愛らしい悲鳴に満足げに目を細めると、容赦なくそのやわらかさを蹂躙する。雪ちゃんが目を細めてプルプルとし始めた。我慢しなくてもいいのに。
続けるとすぐに雪ちゃんのゲームプレイは支離滅裂になっていく。
雪ちゃんの目がこっちを見てくる。心なしか少し潤んでいる瞳が、もっとしてと囁いている気がした。
服の中で雪ちゃんの身体を這っていた手を、そのまま背中の方へと滑らせた。
指先が、雪ちゃんの背中を横切る細い布の感触……『ホック』に触れる。
「ねえ……布の上から触られただけでそんな声が出るなら、」
私はカチャリ、と金具に爪を引っ掛けて、耳元で甘く低い声で囁いた。
「背中の『これ』……外しちゃったら、どうなっちゃうのかな?」
多分私の目は今興奮で血走ってる。
(なに、この感覚? なんか体を電流が流れるみたいな...)
快感に困惑しているのかあたふたしていて、可愛い雪ちゃん...もっと色んなこと教えてあげたい...。
私は欲望のままにその金具を爪で外した。ブラジャーが外れて、そして次は布越しではなくそのやわらかさを――
『ただいまー』
―――と同時にまたもやお義母さんの邪魔が。本日2度目である。
「「!?」」
お義母さんの声に驚き現実に引き戻されてさっきまでの快感の震えとは別ベクトルの震え方をする雪ちゃん。私も血の気が引く感覚を味わった。
弾かれたように雪ちゃんのお腹から手を引き抜いて、ソファの反対側まで飛び退いた。
「お、おかえりなさいです……!!」
心臓が早鐘を打っている。やばい、変な汗出てきた……。
必死に努めて明るい声を出したけど……これ以上進めてたら危なかった、セーフだよね?
「……ねえ、雪ちゃん。……『あれ』、外れたままだけど……大丈夫?」
私はお義母さんがリビングに入ってくるまでの僅かな隙に、まだ赤みの引いていない顔で震えている顔の雪ちゃんに耳打ちした。
そう、雪は今ノーブラなのだ。
「つけれない・・・少し隠し持ってて」
務めて冷静に、雪ちゃんは取れたブラジャーを私に押し付けてゲームをすることにしたようだ。
そしてお義母さんがリビングに入ってくる。
「ただいま雪、春香ちゃん。春香ちゃんは今日も続けて泊ってくの?」
「っ、は、はいっ! おかえりなさい、おばさん! おばさんさえ良ければ……ぜひ、今日もお世話になりたいです。」
私は雪ちゃんから押し付けられた『まだ温かい布の塊』を、慌てて背中の後ろに隠して、努めて爽やかな笑顔を作って振り返った。
「ふふ、まだ遊び足りなくて……ね、雪ちゃん?」
私は背中の裏で、雪ちゃんの温もりが残る下着をギュッと握りしめながら……平然を装っている雪ちゃんの横顔を、意味深な視線で見つめた。この平気な顔をしている雪ちゃんが服の下ではノーブラなのだと思うと...不覚にもとても興奮した。
「うん。大丈夫だよね、母さん?」
雪ちゃんがお義母さんの方を向かずに返事する。赤い顔を見られなくないのだろう。
「当然いいわよ! 春香ちゃんは良い子ね~。雪と仲良くしてくれて本当にありがとうね。」
「いえいえ、そんな! 雪ちゃんが良い子だから、私の方こそ甘えちゃってて……。ふふ、これからもずーっと、親友として仲良くさせてもらいますね? おばさん」
私は『良い子』という言葉に、背筋がゾクゾクするような背徳感を覚えながら、愛想の良い笑顔を張り付けた。
――お義母さんは知らない。
私が今、ポケットの中で、大切なあなたの娘から脱ぎ取ったばかりの『下着』を握りしめているなんて。
私が、ほんの数秒前まで娘さんの身体をいやらしく弄り回していたなんて。
「母さん、私たちゲームしてるから邪魔。」
雪ちゃんがまた顔は向けずに不機嫌そうに言う。
「はいはい。じゃあお母さんは黙って夕飯の準備してるわよ~」
その言葉を聞いて雪は安心したのか静かに深呼吸をする。ふとゲーム画面に目を向けると丁度loseという文字が表示されていた。
「まけちゃった・・・。さっきまでレート2600はあったのに・・・。春香、手伝って」
雪はやっと調子を取り戻したようだ。赤みがやっと抜けてきた頬で私の方を見てきた。
結局ゲームなのが雪ちゃんらしくて、私も安心感を感じた。
でも安心感を取り戻したら逆に雪ちゃんをいじめたくなっちゃって、私は手にもって隠している、雪ちゃんの温もりが残った『柔らかい布』を指先でこっそりといじりながら、ニヤリと口角を上げた。
「雪ちゃん、自覚ある? 今の雪ちゃん、ノーブラでしょ? お義母さんが後ろ通るたびに……揺れてバレないか、ヒヤヒヤしないの?」
「ッ! やめて、母さんに聞こえたらどうするの」
小さい声で少し非難気に雪が言う。
よく見るとまだ服の上から小さい突起の形が分かる。
「ふふ。ごめんごめん。声、大きかった? でも雪ちゃん、その突起、どうしちゃったのかな?」
私の視線は、雪ちゃんの胸元から離せずにいた。
「っ」
私の視線に気づいたのか、顔を赤くして腕でそこを覆うようにする雪ちゃん。
「……ノーブラで家族団らん、しちゃうんだ? お義母さんになんでノーブラなのかって聞かれても……私が助けてあげられないよ?」
これは実際心配であった。まあ雪ちゃんはめちゃめちゃ大きいタイプでもないので分かりにくいとは思うもののでもバレないとは言い切れない。
「うっ。ぬいぐるみ貸して。あれを抱えたまま一回部屋でブラ着てくる。」
バツの悪いというような顔で雪ちゃんが私にそう提案した。
「……ふふ、はい。猫ちゃん、どうぞ」
私は大人しく猫のぬいぐるみを雪ちゃんの胸元に押し付け、胸のふくらみを隠させてあげた。
そうして雪ちゃんは小走りで二階の自室へ走っていった。
その間に私はバッグの中に雪ちゃんのブラジャーをしまった。不意の収穫だ。...ちょっと気持ち悪いかな。でもこんないいもの手放せないよ...。
私は葛藤する。いやでも報告だけはしておこう。勝手に奪ったら例えばストーカーとかと変わらないではないか。私は雪ちゃんの彼女なのだ。堂々としていいはず。
「雪ちゃん、このブラジャー貰っていいの?」
戻ってきた雪ちゃんに、バッグからそれを覗かせて言う。ブラジャーを見て雪ちゃんがまた真っ赤になる。
「いじわる...勝手にすれば」
雪ちゃんはぷいっと拗ねてしまった。
♦♦♦♦
【雪視点】
「ふぅ、美味しかったね! おばさんのご飯、最高。……さてと」
私が食後で満足してソファーでぐったりしていると、春香が私の手首を掴んできた。なぜか離さないという圧を感じる。
「おばさーん! お風呂、雪ちゃんと一緒に入っちゃいますねー! 時間節約になるし、背中の流しっこでもしようかなって!」
「え。」
私は春香の目を見て抗議の視線を送る。
「はいは~い、行ってらっしゃーい」
抵抗空しく母さんから許可が下りる。まあ母から見て私たちは親友なのだから当然だった。
「ほら、おばさんもいいって言ってるんだから。雪ちゃん、行くよ?」
「待っ」
私の静止の言葉は無視されて、強制的に春香に連行されてしまった。
カチャリ。
脱衣所のドアを閉めると同時に、春香が内鍵もしっかりと回してロックする。
「ふふ、これで密室完成。……さ、早く脱いで? それとも、私が手伝ってあげよっか?」
「少し、深呼吸の時間を......」
「ダーメ♡ 何緊張してるの。何度も入ってるじゃん。」
「前に入った時はその...春香の事好きになる前だったんだもん」
そもそも、最後に入ったのは小学生の時だったはず。あの時の私に恋愛感情なんてまだなかった。
「雪ちゃん、襲っていい?(真顔)」
「おそう...? なんで春香が私を襲うの???」
「いや、何でもない。それより早く脱いで!」
言いながら待ちきれないとばかりに春香は私の服を掴んで脱がせてきた。
や、やめろ! うわーー!
「うぅ・・・。恥ずかしい。」
私は無理やり春香にひん剥かれて、恥辱を味わっていた。
「雪ちゃんの体はホント雪みたいに白くてきれいだよねぇ。」
春香がじっくりと私の体を舐めまわすように熱っぽい視線で見てきた。
なんて屈辱...!
「春香! 調子に、乗り、すぎ!」
その時、私の堪忍袋の緒が切れた。私は体を隠すのを諦めて、春香の部屋着のズボンとパンツに同時に指を引っ掛け、そして思いっきり下に降ろした。
「ひゃぅっ!? ちょ、ちょっと……!?」
春香は驚いた様子で可愛い悲鳴をあげると、慌てたように内股になった。
「雪ちゃん!? 何するの!?」
今の私は無敵だ。今日は散々遊ばれた。今こそお返しをするとき!
「上も!」
私は春香が混乱しているのをいいことにそのまま上着もつかんですっぽんぽんにする。やり遂げた!
私はいい気味だと思って春香の裸を仁王立ちで眺めるが、そうしているうちに恥ずかしさが返って来て、我に返る。
「え? ちょ、雪ちゃん!?」
私は恥ずかしさで風呂場へ走り出してしまった。
いきなり好きな人の裸は私には刺激が強すぎたのだ。
「はぁ……もう。いきなり人のこと剥いておいて、勝手にオーバーヒートして逃げるなんて……。」
一人裸で脱衣室に置いて行かれた春香。さながら捨て猫のようであった。
しばらくポカンとしていたが、少しすると春香も立ち上がって風呂場に向かって歩いて行った。
「失礼するよ~。もう雪ちゃん、ちゃんと私から逃げないでよ...」
「...知らない。」
私は見もせずにシャワーをつけて頭を洗い始めていた。
「んもう……。自分から私を丸裸にしておいて『知らない』だなんて、酷い恋人さんだなぁ。」
私が目を閉じて頭を洗っていると、春香が私の背後に立ってしゃがんだ気配がした。
「……ほら、後ろ。隙だらけだよ?」
そしてなんと、春香は私にハグして、生乳を私の背中に押し付けてきた。私より大きなそれはとてもやわらかい。顔が真っ赤に染まるのを感じる。
「ひゃん!」
泡で目が開けられない、不覚!
私は視界が悪く行動不能だった。状況は意図せず春香の思いのままとなっていた。不味い。
「ふふ、可愛い。チャンス到来だね! 観念なさい。目が開かない可哀想な子猫ちゃんは、お姉さんが全身くまなく、ピッカピカに洗ってあげるから……」
春香が石鹸を泡立てる音が聞こえる。私はシャワーで目の上の泡を流そうとしてハンドルを探すが、その手はついに春香に拘束された。
「……洗ってあげるんだから、じっとしててね?」
そして春香の手が私の肌の上をすべる。
さっきもそうだった。春香に触れられるとくすぐったいみたいな、なんか変な感じで。体が動いてしまうのだ。
私は何も見えない暗闇の中、春香に体中をくまなくいじくられる。
「っ」
私の口から抑えられず声が漏れる。”変な感じ”がより強くなる。
風呂場には私の肌が春香の手でこすられる水音だけが響いていた。
「……あーあ。洗い終わっちゃった」
やっと終わった。シャワーで全身の泡が流れて行って、私は安堵する。春香の声色が名残惜しそうだった。
「はぁ、はぁ...。」
私は疲れにより肩で息をする。
そして私は春香の方を見た。よくもやってくれたな、という意思をこめて。
「お礼に私も春香を洗ってあげる。嬉しいでしょ?」
春香はドキッと跳ねると、期待の見え隠れする目で私を見てきた。
「じゃあ……ほら、私の身体、好きにしていいよ? ......優しくしてね?」
春香だって好きな人にそんなことを言われたら断れるはずないのだ。
そんなことつゆほども知らない私は、石鹸を泡立てて春香の脇に手を滑らせた。
「ひゃんっ……!? ちょ、そこは……っ!」
脇はくすぐったいだろう、ふふふ、そう思って私は春香のわきの汚れを落とす。
春香は手を動かして抵抗しようとした。うっとおしい。
「うるさい。こうしてくれる!」
仕返しすることに躍起になっていた私は春香の顔に泡を付ける。
これでさっきの私と同様、これでもう抵抗できない!
「わぷっ!? ちょ、雪ちゃん……これ、さっきの仕返し!?」
春香は目を閉じて混乱している。
「卑怯だよ~!」
脇を洗った次はきれいな白く長い腕をゆっくり洗う。手を滑らせて、絹のようなきめ細かい肌に泡をいきわたらせる。
それが終わったら次はおなかにした。春香のお腹はすべすべで筋肉質で触っているとまた変な気分になる。
「ふふ、触れると少しビクッとする。面白い。」
「く、くすぐったいってば……っ! お腹は……ダメ、変な力入っちゃうから……っ!」
私は嗜虐心が顔をのぞかせて、楽しくなってしまっていた。
ちなみに私は春香がくすぐったさに悶絶しているのだと思っていた半面、実際のところは春香は敏感な快感で悶えていたようだった。
私は太ももと悩んだが、次は胸でいいだろうと考えて、私のものより少し大きなその双丘をどうせだからと思いっきり鷲掴みしてみた。
「ひゃぁっ!? ふ、うぁ……ッ!」
「やわらかい」
「ちょ、ゆ、雪ちゃん!? 今……絶対『洗う』以外の目的で握ったよね!?」
感触は堪能したので、後は念入りに洗うだけだ。私がその膨らみを手に収めるように撫でまわすと、春香の体が面白いように跳ねた。そんなにくすぐったいんだ。
「~~!」
「胸が大きい人の谷間は汗とかたまるってきいたことある。念入りに洗わないと。」
また私の嗜虐心が仕事をして、私は念入りにごしごしする。
「んっ、んぅっ……! や、やだ、そこ……そんなに指、沈ませないでぇ……っ!」
私は春香の胸の間の深いところをぐりぐりと丁寧に辿り、念入りに洗う。
さて、次は下半身も洗わないと。そう思った私は太ももに手を付ける。そして洗いながらゆっくりとその手を上へと這わせていく。
「ひゃっ!? ま、待っ……ストップ! そこは……っ!」
内太ももを、あろうことか『下から上へ』と滑り上がってくる指の感触に春香は流石にダメだと思ったのだろう。反射的にガクガクと太ももを合わせて、私の手を挟み込むようにして防衛してきた。
ちなみに私は別に局部を触るつもりなんてなく、無知かつ熱心に春香の下半身を洗っていただけなのだが。
「???」
雪は手を太ももに固定された意味が分からなくて首をかしげるが、その後は少し足の裏をあらい、春香をくすぐったさで悶絶させてついにシャワーで流した。
「ぷはぁっ……! はぁ、はぁ……」
ようやくお湯で泡が流されきると、春香は大きく息を吸い込んだ。
「……もう。足の裏までこちょこちょするなんて……サド。」
「楽しかった。それに春香だって同じくらいしてきた。」
言いながら私は湯船に浸かる。春香も追従してきた。
「ふう、いいお湯。」
私たちはしばらく無言であったまる。だが私があったまり切るのも前に、何故か春香が一分程度で立ち上がった。
「やっぱり早く出て部屋行こ、私、もう我慢できない。」
「?? 私はもう少し浸かりたい」
我慢できないという言葉の意味にピンとこない私は首をかしげる。
「もう少し……? ……ふーん。雪ちゃんは、まだ私を焦らす気なんだ?」
「少しだから、」
私が何を焦らしているのかは分からなかったが、とりあえず私はそう答える。
「悪いけど……私の理性、もう限界突破してるから。」
そう言うと春香は私の膝裏と背中に手をまわしてきて、私の事を持ち上げた。
「え!?」
バシャァッ!!
お姫様抱っこというやつだ。恥ずかしい。というか私を持ち上げられるの凄いな。流石運動部だと一瞬感心する。
「ふふっ……雪ちゃん軽い。抵抗しないでね?」
水気を乱暴に拭き取られ、服を無理やり着せられ、そして今、私は部屋のベッドに放り投げられていた。
春香の目は血走っている。何をするつもりなのか分からないが、ここまでくればエッチなことなのだろうと推測はできた。
どうしてこうなった!? そんな風に私は混乱していた。それでももう春香は止まってくれない。
雪のお母さんの前では『おばさん』って呼ぶのに心の中とかでは『お義母さん』って呼ぶ春香。ちょっとしたこだわりです。