折角男子に転生したので思いっきり美少年BLを楽しむ 作:もしもボックスがあったら絶対これにする
バクルクネスの街は、今日も平和な喧騒に包まれていた。
人混みの中を、三人の奇妙な一団が歩いている。
先頭を行くのは、陽光を反射する金髪をなびかせた、涼しげな美貌の少年カイン。その後ろを愛らしい少年アルと、そして――。
「……ッ、……はな、せ……。……見ないでくれ……っ」
顔を真っ赤にし、逃げ場を求めるように俯いている美少年、ルビーが続いていた。
彼が纏っているのは、例の「認識阻害」がかかった透けるレースの衣装だ。周囲の人間には「少し風変わりな服を着た可愛らしい少年」にしか見えていないが、ルビー自身の主観では、自分の醜態――透き通ったフリルのスカート、締め上げられたコルセット、そして歩くたびに太腿で揺れるガーターベルト――が、白日の下に晒されているという耐え難い羞恥に支配されていた。
「ほら、ルビー。しゃんとして。今日はルビーの好きな、珍しい魔石を買いに来たんだよ?」
カインが優しく、けれど有無を言わせぬ力でルビーの腰を抱き寄せる。
ルビーはびくりと肩を跳ねさせ、カインの胸元に顔を埋めた。かつての威厳など微塵もない。今の彼は、主人の体温がなければ一歩も歩けない、雛鳥と全く同じだった。
「……う、……ぅん……っ。……カイン……、……もう、……帰りたい……」
「だーめ。ルビーは最近、お部屋に引きこもりすぎだもん。ね、アル?」
「そうだよ〜。日光に当たらないと、せっかく綺麗な体でも病気になっちゃう」
アルがルビーの蟻の門渡りを、通行人の死角からこっそり指先でなぞる。
ルビーは「ひゃ、……んっ!」と小さな声を漏らし、くねらせた腰をカインに押し当てた。その姿は、端から見れば仲睦まじい少年たちの戯れだが、その実、ルビーは公衆の面前で「開発」された性感帯を弄ばれるという、静かな拷問に耐えていた。
そんな三人の姿を、路地裏の暗がりから、射抜くような鋭い視線が見つめていた。
(……そんな、……バカな……。……あれが、……ルビウス将軍閣下……!?)
それは、魔族軍の偵察兵――ルビウスのかつての忠実な部下、女性魔族ニコルであった。
彼女は行方不明になった将軍を救出するため、独断で人間に化けて潜入していたのだ。しかし、彼女が目にしたのは、敵に捕らえられ、拷問を受ける痛々しい将軍の姿ではなかった。
あろうことか、人間の少年に頬を染めて縋り付き、恥ずかしげに体をくねらせ、あどけない少年にまで腰を弄ばれている――「堕落」しきった愛玩動物の姿だったのだ。
「……閣下。……今、お助けいたします……っ!」
ニコルは怒りと悲しみに震えながら、三人が入っていった、人気のない魔道具店の倉庫裏へと忍び寄った。
魔道具店の裏手、高く積まれた木箱に囲まれた袋小路。
カインはルビーを壁に押し付け、その細い顎をクイと持ち上げた。
「……っ、カイン、……だめだ、ここは、誰かに見られる……っ!」
「いいじゃないか。認識阻害をかけてるって言っただろう? 誰もルビーのこんなに『えっちな姿』には気づかないよ」
カインの指が、ルビーの白レースのチョーカーをなぞる。ルビーは首をすくめ、震える呼気を漏らした。カインの瞳は、獲物をじっくりと追い詰める肉食獣のように、嗜虐的な光を湛えている。
その様子を、木箱の隙間からガイルは見ていた。心臓が早鐘を打つ。
(な、なんてことを……! あの人間、閣下にあんな破廉恥な真似を……!)
ニコルが飛び出そうとしたその時、カインがルビーの耳元で、冷酷に、けれど甘く囁いた。
「ねぇ、ルビー。さっきからあそこに、君の部下だった子が隠れて君を見てるよ?」
「――っ!?」
ルビーの全身が石のように強張った。落ち着きを失ったように彼の目が泳ぐ。
「う、嘘だ……。そんな、嘘だ……!」
「嘘じゃない。ほら、あそこの影。懐かしい魔力の匂いがしないかい?」
ルビーは恐る恐る視線を向けた。そこには、変わり果てた主の姿に涙を浮かべ、拳を握りしめるニコルの姿があった。目が合った。ニコルの瞳に宿るのは、救出の決意と、それ以上に深い「失望」だ。
「……あ、……あぁ……っ!」
ルビーは顔を覆い、その場に崩れ落ちようとした。しかし、カインはその腰をガッチリと掴み、逃がさない。
「逃げちゃダメだよ、ルビー。君はもう、誇り高い将軍なんかじゃない。ただのボクたちの『オス犬』なんだから。……それを、あの子にもちゃんと教えてあげなきゃ」
「やめ、……やめてくれ、カイン……! 殺してくれ、お願いだ……!」
「殺さないよ。……アル、準備して」
「はーい!」
アルが楽しげに笑いながら、ルビーのドロワーズをずり下げ、そのガーターに手をかける。
「ルビー、見ててね。あの子に、今のルビーがどれだけカインに『慣らされてるか』見せてあげるから」
アルはルビーの背後に回り込み、カインに向かい合う形でルビーを固定した。
カインは、認識阻害の魔法をあえて「ニコルにだけは見えるように」微調整する。
今、ニコルの目には、透けるレースの服に身を包み、体を震わせ、股間を丸出しにして、二人の少年に弄ばれるルビウス将軍の姿が克明に映し出されていた。
「閣下……! 閣下、お気を確かに……っ!!」
ニコルの叫びが聞こえた。だが、彼女は動けない。カインが放った、ゴールド級の圧倒的な威圧感が彼女の全身を縛り付けていた。
「ルビー、あの子に向かって鳴いてごらん? 『私はもう、将軍なんかじゃない』って」
「い、言えるわけ……な、い……っ! ぁ、……ひ、……あッ!!」
カインがルビーの敏感な胸の蕾を強く捻り上げ、同時にアルがルビーの秘所を指で執拗に掻き回し始めた。
昨日一日中、精を枯らされるまで愛された身体だ。感覚は研ぎ澄まされ、指が触れただけで脳が快楽を思い出してしまう。
「ほら、鳴いて」
「ぁ、……あぐっ、……ふ、……ふぁああッ!!」
ルビーの口から、将軍としての言葉ではなく、ただの雄としての快楽の声が溢れ出した。ガイルの目の前で、ルビーは腰をくねらせ、自らカインの指に身体を押し付け始めたのだ。
「……あ、あぁ……っ! ちが、……違うんだ、ニコル……! 私は……、……私は……ッ!」
「私は、何だい? ルビー」
カインがルビーの耳を甘噛みし、そのままルビーの勃起した中心を指で弾いた。
「っ、……私は、……カインの、……カインの、おもちゃ……ですぅ……っ!!」
ルビーの告白とともに、一筋の涙が頬を伝い、それと同時に彼の中心から情けない飛沫が、ニコルの目の前の地面を汚した。
「あぁ……そんな……閣下……っ!」
ニコルはその場に膝をついた。彼女の知る、高潔で無敵だったルビウス将軍は、今この瞬間、完全に死んだのだ。
地面に膝をつき、絶望に震えるニコル。その目の前で、ルビーはカインの胸に顔を埋め、過呼吸気味に肩を揺らしていた。射精したばかりの身体は弛緩し、狐の耳は情けなく力なく垂れている。
カインは満足げにその背中を撫でながら、ゆっくりとニコルの方へ視線を向けた。その瞳には、慈悲など微塵もない。あるのは、最高のおもちゃを手に入れた子供のような、純粋で醜悪な喜びだけだ。
「……見たかい? これが今のルビーの真実だよ。君たちが崇拝していた将軍様は、もうどこにもいない。ここにいるのは、ボクの匂いがないと生きていけない、ただの『ルビー』なんだ」
「……き、貴様ぁ……っ!!」
ニコルが歯を剥き出しにして、カインに飛びかかろうとした。だが、カインが指先を一つ鳴らすと、ルビーの首にあるチョーカーが淡く輝き、ルビー自身が悲鳴を上げた。
「あ、……ぁあああっ!?」
「ルビー! 大丈夫!?」
アルが慌ててルビーを支える。チョーカーを通じて流し込まれたのは、苦痛ではなく、神経を逆撫でするような強烈な「強制快感」だった。
「……っ、……あ、……ぁ、ニコル……! こ、……来ないでくれ……っ! 私を……見ないでくれぇ……っ!!」
ルビーは必死に手を伸ばし、ガイルを拒絶した。助けを求めているのではない。辱められている自分を、かつての部下に見られることに、耐えられなかったのだ。
「……閣下……、どうして……」
「ニコル……、私は……もう、……だめなんだ……っ。カインに……、カインに触られていないと……、……頭が、おかしくなるんだ……っ!」
ルビーのその言葉が、ニコルの心を完全に打ち砕いた。
ルビーはカインの手を取り、自らの頬に擦り寄せる。その仕草は、まさに去勢されたペットのそれだった。
「よしよし。お利口だね、ルビー。……ねぇ、ニコルさん。君に一つだけ慈悲をあげよう。ルビーがボクたちの元で、どれだけ『幸せ』に暮らしているか、最期まで見ていくといい」
カインはそう言うと、ルビーの透ける衣装をさらに乱し、アルとともに彼を挟み込むようにして抱き上げた。ニコルに背中を見せつけながら、三人はゆっくりと歩き出す。
「……あ、……ぁぁ……」
ニコルは追いかけることすらできなかった。誇りも、希望も、すべてはあの金髪の少年の手のひらで転がされている。魔族のプライドを、カインはただの「娯楽」として消費してしまったのだ。
その日の夜、宿に戻ったルビーは、部屋の隅で膝を抱えていた。
昼間の出来事が、何度も脳裏をよぎる。ニコルの絶望した顔。自分の情けない喘ぎ声。それを全部、カインは楽しそうに眺めていた。
「ルビー、おいで」
ベッドに腰掛けたカインが、優しく手を広げる。
ルビーは身体を震わせながらも、抗うことなくカインの元へ這って行った。今の彼にとって、カインは自分を壊した「悪魔」であると同時に、自分を繋ぎ止めてくれる唯一の「神」でもあった。
「……カイン、……私は、……もう、どこにも行けないんだな……」
「そうだよ。君にはボクがいる。アルがいる。……あの女も、もう二度と君を助けには来ない。君を捨てたんだよ」
カインの嘘は、ルビーの心に深く食い込んだ。
ルビーはカインの膝に顔を埋め、声を殺して泣いた。その涙は、将軍ルビウスの死を悼む葬送の儀式であり、愛玩動物ルビーとしての産声でもあった。
アルがルビーの背中に覆い被さり、耳元で楽しげに囁く。
「これからは三人、ずっと一緒だよ。ね、ルビー?」
「……っ、……ぅん……。……ずっと、……いっしょ……」
カインは二人の少年の頭を撫でながら、心の中で狂喜していた。
(最高だ……。完璧に折れた。次は、どうやってボクを楽しませてくれるのかな?)
窓の外では、夜の闇がすべてを覆い尽くそうとしていた。