微かに残る快楽の余韻でぽーっとしながら、脱がせられていく下半身を眺めていた。抵抗感はない。反射的に動かしてしまったけれど、安心感を誘う目付きが向けられれば無意識な力みもどこかにいってしまった。
丁寧に剥かれて、生まれたままの姿を柊の前にさらす。
「うん、やっぱり綺麗だ。スタイルもいいしなんで自信がないんだ?」
ありきたりな褒め言葉は私を喜ばせようとするものじゃない、ただの感想。だからこそ、柊の本音なのが理解できて渇いていた何かが満たされるようだった。
「べつに、普通じゃない。上には上がいるもの」
「勿体ないな。胸を張ればもっと綺麗になれるのに」
頬の熱を誤魔化すような目を背けると、変わらない暖かな温もりが鼓膜を癒して承認欲求を諭される。
感じたことのない包容力に当てられた女心が答えのない願望を想起させた。
「なら、胸を張れるようにしてよ。あんたが、私を綺麗にして?」
顔に火がつくほどに恥ずかしい台詞を眼を合わせて吐き出す。全身はひりひりするくらいに火照っているのに、思考も鼓動も驚くほど凪いでいた。
柊は一瞬だけ目をぱちくりとさせて、嬉しそうに口元を緩めた笑みを浮かべる。
「分かった。上なんてどうでもよくなるくらい、綺麗にしてやる」
安心するような笑みなのに今まで感じなかった怖さがあって、どきりと心臓が跳ねる。怖さを覚えたのが、柊の理性を揺らせたのが、内心でも強がれないくらい嬉しかった。
ゆっくりと動いた手が太ももに指を少しずつ沈めていく。ふにふにと感触を確かめられたら、上から下に撫ぜられて刷り込むように繰り返えしていた。
「ふぁっ……?」
不意に下腹部が高鳴って眼を向けると、もう一つの大きな手がへその下当たりに添えられていて、優しく圧されるとお腹の中がきゅんと高鳴る。
「ここ、気持ちいいのか?」
私の変化を見逃さない柊が熱さを保つそこを撫でていく。指の腹で円を描くように滑って、下に潜む器官を呼ぶようにノックしてきて、さわさわと撫でてじんわりと馴染ませてくる。
「ふ、くふ……んぁっ、は、はふ……あふぅぅっ……!」
回答は堪えきれない嬌声でもって答えた。気持ちいいとはまだ言えないけれど、やめて欲しくてもなくて糖度を帯びた声を何度も漏らす。
熱を口から逃がしている間に内腿に差し込まれた手が優しく開くよう誘導してきて、なんの抵抗もなく従っていた。
「そんな、まじまじ見るな……っ」
「喜んでくれてるのが嬉しくてな。もっとしてやるから」
「んんっ!?」
自分以外さわったことのない熱い口がそっとなぞられる。水気のある割れた入り口を沿うように指先が滑っていって、知っているようで知らない快感が喉を詰まらせた。
いきなり指を入れてくることなんてしないのは分かってるけれど、操れない何かが敏感なところに触れるだけで神経が過敏に反応する。
「んんっ!んっ、くっ……ふ、うぅんっ、ひゃっ……くふっ、ぁ……」
ぴとぴとと濡れた口に触れられ、水を掬うように指が往復していく。一度イってしまったせいで垂れる愛液が小さな水音を鳴らし、いくら掬いとられても体温と同じ温度で溢れていく。
触れていた指が一瞬離れると、手のひらを上向きにして肉の溝に嵌めるように長い指が押しつけられた。割れ目を閉じた指が小刻みに前後して、卑猥な音を奏でながら快楽を与えてくる。
「んっ、ゃ……ひく、うぅっ……! っはぁ、へ……ぁ、んっく……ひうぅっ……!」
ぞくぞくとした快感が腰を浮かせながら背筋を昇って、堪えられずに喘ぎ声がこぼれてしまう。無意識に閉じようとする脚を理性が制止させて、柊の邪魔をしたくない気持ちが羞恥心を超えていた。お腹を、子宮を撫でる手は秘所を愛でる動きとリンクしていて、気づかない内に快感が増幅していく。
媚肉の谷の中で一段と沈むところを見つけた指が、つぷっと音を立てて私の中に入ってくる。
「あっ……あぁぁぁっ……っ」
閉じきったそこに指がゆっくりと埋められていって、挟まれた異物を身体は抵抗せずに受け入れていた。
熱い肉の中で覚えのある形をした指が動いていく。面積が増えたと思ったら小さくなっていって、動きを止めたと思えば肉襞を優しく刺激してきた。
「あふっ、ぁ、はぁっ……ひんっ、ひく、んうぅぅっ……! ひぁっ、そこ、いぃ……ひくうぅぅっっ!」
中で動けば動くほど快楽で脳が痺れて、跳ねる腰が肉襞を収縮させる。指の面積が増えれば満足感とともに熱のある吐息がこぼれて、小さくなると快楽の中で感じる寂しさが愛液を分泌させながら締めつけた。
勝手に滑る舌は自分の弱点を教えていて、こつこつとノックされれば喜びが快感を増幅させていた。
「思ったよりも慣れるのが早いな。もう一本いくぞ?」
理解するよりも早く身体の中でちゅるんっ、と何かを呑み込む音が響く。
「んはあぁぁぁっっ!?」
目の前が白く霞んで、たまらず脚をぴんと伸ばした。柊と繋がった淫裂から熱が溢れでて、腰が言うことを聞かずに小刻みに震える。
二つになった異物が器用にタイミングをずらしながら、肉襞が愛でられていく。
「はっ、くふぅっ……!ひっく……あくうぅぅっっ……!へぁっ、そこ、ぐりぐりしたらっ……~~~~っ!」
口にしたらどうなるか分かっているのに理性のない唇は甘く懇願していて、勝手知ったる様子で動く柊に浅い絶頂をもたらされた。
骨の凹凸すら思い描くほど締めつける媚肉は与えられる快楽を求めながらも、引き抜くことを許さない欲望の塊だった。
「ふ、ぁっ?」
絶頂の中で覚えさせるように与えられる甘い快感に浸っていると、敏感な部位が外気にさらされてぴくりと神経が波打つ。
あばかれた肉芽に何をされるのか期待と高揚がごちゃまぜになって、眼を固く閉じ顔ごと逸らした。だけどその仕草さえ、勝手に肉襞を収縮させてしまう
「ひあっ、あっ、はひっ……んっくっ、ふくっ、あふぁっ……! はっ、あぁぁっっ!ひんっ!!」
肌の上を周期的に快楽が走って喉が甘く震える。クリトリスを優しく弾かれる鋭い快楽と、膣肉を擦られる大きく鈍い快楽を使い分けられて、柊の愛撫に翻弄されていた。
神経が束になっている器官を傷つけるものではないと理解した身体は、はしたなく性器をさらして愉悦を求めてしまっている
「ひぐうぅぅっっ!んひっ、はっ、へぁぁ……んくうぅぅぅっっ!!」
はっ、はっ、と息が荒くなって、唾を呑み込むと見計らったように強い媚電を流される。世界がどこか遠くに感じるのに、五感は鋭くなるばかりで柊の存在感も快楽を強くなっていく。
「ひいら、ぎっ……っ」
なんで呼んだのかは自分でも分からない。だけど、私の瞳はきっと期待に蕩けていたんだろう。求めていたから柊が片手を伸ばして乳房に触れ、反対側の突起に顔を寄せてきた。
下腹部でぐつぐつと煮えたぎる快楽の奔流は、白く霞む視界の中でも今まで感じたことのない熱量だと直感していて、それを他人に、柊に解放されることに抵抗も怖さもありはしなかった。
「あふっ、ぁっ……! あっ、ぁぁぁぁっ!……イっ……」
絶頂の予感に酸素を取り込むと、くしゅりとクリトリスを押し潰されて、肉襞がくの字に抉られた。
さらに快楽を覚えた果実をにちり、と収穫され、もう一つの方が直接食べられる。
「あ──」
ぞわりと背筋に駆け巡った瞬間、視界が真っ白に弾けて意識が飛んだ。
「あふぁあぁぁぁああぁぁあーーっっ!!」
視界が二重にぶれて、腰が弓なりに仰け反る。快楽に押し出された体温は愛液となって外に吹き出された。
簡単に消えない蓄積された快感は止めようがない勢いで断続的に腰を震わせ、走りぬける快楽に全身がびくっと跳ねる。
一秒を無限に引き伸ばすような感覚に支配されて、スイッチが切れたように腰が落ちた。
「ひやっ……はっ、はひっ、んひぃぃんっ……っ」
ようやく身体の感覚が戻ってきて、けれど喉は熱く濡れた嬌声で何度も鳴った。余韻で昇る快感に眼を瞑れば目尻からほろりと雫が伝って、涙がこぼれているのに遅れて気づく。
泣いているのに幸せでぐったりと脱力したまま、ただ与えられる甘い快楽を享受していた。
はしたなく全身を投げ捨てて必死に酸素を取り込んでいると、挟んでいた温もりと触れていた人肌が離れていく。充分に余韻に浸っていた心は我が儘に寂しさを訴えていた。
私の我が儘に気づいた柊は待てをするように頬をそっと撫でてきて、現金な心はそれだけで満足している。
布の擦れる音が鳴って、床にぶつかる衝突音が耳に響いた。好奇心に誘惑された眼が柊の方に向かう。
「……それ、入れるの……?」
想像以上に大きい男のモノに反射で口が滑った。恐怖も不安も全くないけど、サイズ感が合って無さすぎて純粋に収まるのだろうかと疑問に思う。
柊の身長は高い方だからそれに沿って大きいのは分かるけれど、それを加味しても大き過ぎやしないだろうか。
「大丈夫だよ。鳴いてもらうけど、泣かせたりしないから」
無理矢理はしないと柊が頭を撫でてきて、暖かい包容力に眼を細めた。
ん、と薄目で手を伸ばせば長い指が恋人繋ぎで絡まって、じんわりと染みる人肌が頭の中を期待一色に染めあげる。
完全に受け入れる体勢になったのを理解した柊が膨らんだモノを入り口に添えてきて、閉じた媚肉へゆっくりと侵入してきた。
「んぅ……ふ、ぁ……ふ、ふぅ、んっ……はぁ、ぅっ……」
内側で感じる大きさは見た目以上のもので窮屈な口に甘い刺激を与えながら、その存在感を増やしていく。
頭は狭さを訴えているのに身体は快感を覚えていて、肉の塊をより捉えようと勝手に締めつけを強くしてしまう。肌に浮く汗は発熱する皮膚を冷やすためのもので、生ぬるい温度は異物を受け入れている何よりの証拠だった。
「んっ、くふぅっ……ぁぁっ、かはっ……」
やがてたどり着いた子宮の口にぐりぐりと蓋をされて、最奥を深くするように押し潰されていく。
身体を圧される苦しさにひゅ、ひゅ、とか細い息づかいを繰り返していて、けれど本能も理性も抵抗なんてせずにただ受け入れていた。
そして局部にぴたりと肌の密着する感覚を覚えれば、媚肉の開拓がようやく終わる。
「はっ……はっ……はぁ……っ」
何度も荒い吐息がこぼれて肺に酸素を送ろうとするけど、吸えば吸うほど内側の熱をより感じて収縮させてしまう。
汗は熱くて、息は荒くて、身体はいつまでも窮屈さを訴えてくる。だけど、神経に昇るのは快感で、思考を埋め尽くすのは甘い幸福感と満足感。
「うごいて、いいのよっ……?」
「確かにすごい締めつけだ。だけど今はこのままの方がいい」
提案に見せかけた逃げ道は見透かされた柊に塞がれて、終わらない快楽の麻薬が脳を犯していく。
動いていいのでなくて、動いて欲しいのだ。何をされても快楽に変換する身体に絶頂と欲望を叩きつけて、終わらない幸福から逃れられたい。
でないと、際限を知らない多幸感が私のすべてを支配して、快楽なんかよりも幸せにする感覚から本当に逃げられなくなるから。
柊が待ってくれているのはそれを理解しているからで。この時間を、私にとってこれ以上ない幸福の時にしようとしてくれているから。
「はぁっ、ぅ……あぁっ、これっ、やばぃ……っ」
一番奥に受け入れてから一ミリも動いてないのに快楽が脳を麻痺させて、柊の腰に脚が巻きつく。もはや、軽くイっているかもしれなくて、その度に膣肉が熱く呼応してしまう。
「イキそうか?」
本当に繋がっている相手なのか怪しいほどに温度差のある声。だけど決して冷たい訳じゃない。むしろ、暖かくて嬉しそうな声色。
ままならない思考でこくこくと何度も頷くと、ほどかれた片手が愛でられる喜びを知った下腹部へと置かれた。
「ふぁぁっ……!」
お腹の上から手を感じるとそれだけで神経が震えあがって、腰が浮いてしまうくらい脚に快感が走りぬけた。
「イっていいぞ。神室の好きな時にイケばいい」
包容力を持った悪魔の誘惑に、従うことすらも喜ぶ本能が蓄積された快感の解放に備えた。
「ぁ~~~~~~~~っっ!!」
さっきのとは違う、弾けるのではなく熱がゆっくり漏れでるような絶頂。顎を引いて眼をぎゅっと瞑り、絡めた脚をさらに強い抱擁にして湯水のように沸く快楽を享受する。
頭の中がちかちかと明滅して、熱い収縮を繰り返す肉襞はとぷとぷと愛液をこぼしていく。
「あふ、あっ……すごぃ、ひんっ、んぁ……はっ、きもち、いい……っ」
快楽の奔流は短く。けれど余韻がずっと残ってふわふわとした心地いい感覚が神経を包む。肉棒を挟む膣内は締まる度に段差と擦れて甘い快楽を後押ししていた。
処女の私と、女を手玉にする柊とでは経験値が違うのは当たり前だけど、想像とはまるで異なる快楽と幸福感。目の前の私を飽きることなく観察して、優しくも残酷に幸せに導いて、ひたすらに神室真澄として愛してくれる。
柊に抱かれにいく女子の気持ちが、今なら痛いくらいに理解できる。こんなに一人の人間として愛を伝えられたら、例えどんなにできた男でも満足できなくなってしまうに決まっていた。
そしてこの時間まだ、終わりじゃない。
「気持ちよかったか?」
頬を撫でてくる柊に蕩けた瞳を向けてこくりと頷く。
「今度は俺が動くぞ?」
変わらない声の中に轟くような獣性を感じて、期待を覚えた肉襞が収縮して代わりに返事をした。
「……真澄のここにありったけ注ぐ。いいな?」
頬を撫でていた手が下腹部に移って牝の器官を示す。不意に呼ばれた名前にどきりと心臓が跳ねて、鼓膜に染み込む響きが何度も木霊した。
ただの確認作業は、その工程を挟むだけで果てのない喜びと期待を生み出す。
繋がっていたもう片方の手も解放して、柊の手を腰に添えさせた。自分の手はそのまま頭の横に投げ置く。
「……きて」
小さくこぼした声は、艶やかな牝の鳴き声だった。