女性の身体は繊細で神経の集まる粘膜となれば扱いには慎重さと、越えれるラインを見極めなければならない。例え似たような身体つきにしていたとしても、その内側を作るのは本人の意志と感情だ。熱も質感も、反応によって起きる声と肌もすべてにその女性だけの色がつき、俺を魅了してくる。
「はぁぁっ、あっ、あうっ、ひうぅぅっ……」
そしてそれは、目の前で可愛いらしく喘ぐひよりも変わらない。羞恥と慣れない快感で目を瞑り、熱を逃がすように腰を揺らして時々身をぴくぴくと跳ねらせた。誰にも許したことのない秘部は彼女の葛藤を体現しているのか熱い愛液をし垂らせ、けれど指の侵入をやすやすとは受け入れてくれない。
その葛藤に揺れ動くひよりが愛らしくて、もっと虐めたいし、守りたくもある。
「ん、少し慣れてきたな」
「はぁっ、言わなくていいです……ひんっ」
「暗示だよ、ひよりに聞かせるのにも意味があるんだ。なにも変化がないと思うよりいいだろ?」
「悪いお顔をしてますよっ……んんっ」
「自覚はある。でも効果もあるみたいだ、今ちょっと締めつけてきた……ほら、また」
「っ」
指を挟む媚肉は少しずつ呑み込んでいて、愛液の密度が高まるときゅっと締まって溢れさせた。異物に困惑していた小さな肉の群れもひよりの感情に呼応して中指に吸いついてきている。
制御の効かない身体に彼女は逐一反応しており、百面相をする姿がいじらしい。そんな表情を眺めて指先をくいくいと動かしながら進めると、やがて指が根元まで呑み込まれていく。
「全部入ったぞ、ひより。分かるか?」
「あうぅぅぅっ……答えれるわけないじゃないですかぁっ……」
「そんな可愛い反応するから虐めたくなるんだよ。ひよりの中、すごく締めつけてくるな。ひより、ゆっくり呼吸して。胸を動かすみたいに、浅く吸って長く吐きだすんだ。できるか?」
彼女の方からもっと受け入れてもらうため深呼吸を促すと、頬を赤らめながらも頷く。膨らんだ胸が一定のペースで上下し、瑞々しい唇から熱の籠った吐息が何度も漂っていく。
「これ、思ったよりも……っ」
「恥ずかしいか?でもひよりが受け入れてる証拠だから、止めたら駄目だぞ。俺がいいって言うまで続けて」
異物を受け入れ膣内に馴染んでいく感覚が恥ずかしいのかひよりはリズムを乱してしまう。それを優しく注意しながら乳房へそっと口づけを落とした。
「要くんって、ん、ふぅ……もしかして、Sなんですか?はっ、はふぅぅ……」
「好きな女の子は虐めたくなるな。でも、ひよりを虐めるのは次の時だ。まずは気持ちよくなって貰わないとな」
「これで、虐めてるわけじゃ、ないんですか……本当に、ひどい人です……あ」
初めてって言う女の子に飛ばし気味にするはずないだろうに。確かに羞恥プレイみたいなことはしてるけど、必要なことだから仕方ない。
「はっ、はぁっ、あふぅぅ、ひくっ、あうぅっ、そこはっ、ひんっ!あっ、はあぁぁっ……」
もう動かしても大丈夫だと判断してゆっくりと指を引き抜き、また媚肉へと埋めていく。ひよりは小さな快感で乱れそうになる呼吸を健気に保とうとしていて、弱いところに擦れると肢体を跳ねらせた。
「要くんのっ、指が動いてっ、はひっ、ひっ、ひあぁぁぁっ……あっ、あっ、あっ、こつこつ、しないでっ……」
指を折り曲げて出し入れをすると異なる快感に膣内は違った締めつけをしてきて、お腹側の肉襞を小突けば可愛いらしく腰を浮かせる。指を呑み込み馴染んだ秘部からは多量の愛液があふれており、結合部をびしょ濡れにしていた。うん、もうだいぶ解れてきたな
「それじゃあ一回、イってみようか」
「え?まってくださっ、あふぁあっ!?」
自己主張をする突起を口に含むと同時に膣肉を抉ると、ひよりが驚きまじりに喘いだ。ちらりと顔を覗けば断続的に吐息を吐きだしていて、その表情に愉悦を浮かばせている。正面から拝めないのが残念だ。
赤子のように乳頭へ吸いつき、舐め転がしながら、肉襞をじっくりと嬲っていく。
「あうぅぅぅっ!ひくっ、ひんっ!んぁあぅっ!ひあぁぁぁっ!」
快感が生まれる度に膣肉はきゅんきゅんと収縮して指を心地よく締めつけてきて、優しくかき混ぜてるのにも関わらず蜜壺は愛液を多量に溢れさせており、粘液をかき回す卑猥な音を響かせた。
快楽によって蕩ける嬌声と震える肢体に追い打ちをかけるべく、身体の部位で一番敏感である陰核に親指で触れる。
「んぁっ!?要くんっ、んっ、そこはだめですっ、そこはっ……はひっ!」
片方の手を繋げたままなため、ひよりは空いた方の手を向けてくるが抵抗のためとは思えない弱い力で俺の頭を押そうとしている。その可愛いらしい抵抗にむしろ心地よさを覚えながら感覚で慎重に皮を剥き、触れそうで触れないように秘唇をなぞれば物欲しそうにひくひくと震えるのが伝わってきた。
「はあぁぁぁぁっ……!ひくぅぅぅっ……!そこ、ひんっ!うぅぅぅぅっ……!」
抵抗が無意味だと悟ったのか、或いは受け入れたのかひよりは強い快感を誤魔化すように俺の頭をくしゃくしゃと撫で付けてくる。そうなればあとは、頂点へと上り詰めるだけだ。
「はっ、あぁぁっ、これっ、もうっ、んうぅぅぅっっ!」
絶え絶えになる嬌声と震える感覚が短くなってきた肢体に止めを指すために、親指を陰核に当てて口と指の愛撫を加速させて導いていく。
「ひぁっ、やっ、らめっ、あっあっあっ、いっ……」
ひよりの肌が下から上にぶるりと震えるのが分かって、乳頭に吸いつきながら膣肉をぐぷりと抉り、陰核をそっと押し潰した。
ひゅっ、と息を吸う音が響いた次の瞬間、
「ひっ、ひあっ、あっあっあぁぁあああぁぁぁあっっ!?」
甲高い嬌声を上げてひよりが達した。小さな肢体が弓のように反り足先までピンと伸ばしながら、ぷしっぷしっと愛液をぶちまけていく。肉襞は指を食いちぎらんばかりに圧力を加えてきて、止めどなく愛液を溢れさせていた。
「はっ、はひぃっ……ひっ、ひぃんっ、はへぁぁ……」
快感があまりにも強かったのかひよりは絶頂が過ぎても余韻が抜けていないようで、ぴくぴくと身体を震わせている。荒い呼吸を整えるために開いた唇からは、どうしよもない愉悦の吐息がこぼれていた。
蕩ける表情のひよりにキスを一つ落として、手早く衣服を脱ぎさる。
「あっ……」
荒い息づかいを繰り返していたひよりが俺のモノを視界に入れるとか細い声を漏らした。
「怖いか?」
「いえ……要くんは悪い人ですけど、そういった不安がないようにしてくれたので……」
でも、と呟いてひよりはいきり立つ肉棒に視線を向ける。
「……入るんでしょうか」
「まぁ、流石にそう思うよな……」
秘唇に添えられた肉棒の先端はひよりの下腹部にぎりぎり収まっているといった大きさで、突き上げればへそに届きうることが容易に想像できた。そこそこ体格差もあるせいで、視覚的なギャップが著しい。正直、お互いに初めてだったら間違いなく泣かせてた。
「そうならないようにさっきまで解してたんだ。大丈夫だよ」
「……本当にそれだけですか?」
「いや?イく時のひよりがどんな顔するんだろうなって気になったのもある」
「やっぱり意地悪です……すごく恥ずかしかったんですよ?」
「なら慣れていかないとな。じゃないとずっと虐めていくぞ。ひよりのイってる時の顔、何度も見たくなるくらい可愛いかったから」
返す言葉が見つからないのか、ひよりは頬を赤らめて目を瞑ると顔を背けて、小動物のように可愛いらしくぷるぷると震えており、愛らしい様子に思わず笑みが溢れた。可愛いよ、ひより。
小さな手に指を絡めて恋人繋ぎにし、ベッドに添えて首や顎、唇に口づけを落としていく。力を入れると壊れてしまいそうな華奢な手を何度も握っていれば、彼女の方からも返してくれて額にちゅ、とリップ音が響いた。
「要くん、きてください」
「ん、分かった」
期待一色に染まった瞳と情欲に満ちる声に応えて、肉棒をゆっくりと秘部へ進めていった。
「はっ、あぁぁぁぁ……」
時間をかけて行った愛撫は媚肉のざわめきで効果の在りかを教えてくれる。膣内は多少の窮屈さを覚えるものの愛液が潤滑油の役割を果たし、体格差を感じさせないほどスムーズに肉棒が呑み込まれていく。
やがて先端がこつり、と何かにあたる感覚を伝えてきて最奥にたどりついたことを理解した。
「一番奥まで入ったぞ。ひより、大丈夫か?」
「はふ……ん、大丈夫です。けど私、頑張りましたよ?」
ひよりは大きな異物を受け入れたことで多少息を乱しながら、何かを求めるように幼い瞳を向けてくる。すぐに答えを察して顔を寄せるとつい、と唇を突き出してきた。
「よく頑張ったな、偉いぞ」
「んむ、ふ、んふぅ……」
ご褒美のキスを送ると正解だったようでひよりの顔が幸せそうに綻ぶ。そしてそれは身体の方にも伝播していて、膣肉がきゅむきゅむと気持ちよく収縮していた。
「んふっ、ちゅる、ちゅぴ、れるる……んっ、んっ、ちゅりゅ、ちゅるるるるっ」
次第に口の中で舌が交わり、唾液を送ってやれば物欲しそうな瞳が蕩けて美味しそうに飲み干していった。その妖艶な表情にいつかキスでイかせることを内心で決めて、こちらも欲望を滾らせていく。
「ん、んぁっ、あうぅんっ、ひんっ、んんっ、あんっ」
腰を揺らすように動かし短い間隔で最奥を小突くと、唾液を反射する唇から途切れ途切れの嬌声が漏れた。たん、たん、と突き上げる度にひよりの肢体が跳ねて膣内が柔らかく収縮し、心地よい快楽が下半身に走り抜けていく。
やっぱりちゃんと解しておくのは大事だな。慣れていないのにこんなに気持ちよくしてくれるのだから。
「んぁぁぁっ、はっ、はひっ、ひいぃんっ!」
ずるりと肉棒を引き抜いて同じ速さで突き上げると、ひよりは可愛いらしい嬌声で鳴いた。増幅した快感に肉襞は歓喜にざわめいて濃密に肉棒へと絡みつき、持ち主と同じくらい蕩けた蜜壺は俺を促すように愛液をさらに分泌しているのがわかった。
少しずつ速度を速めながら、今度は角度を変えて突き上げた。
「ひあぁぁぁっ!?あうっ、さっきとちがってっ、んはぁぁぁんっ!」
快楽の種類が変わるとひよりの反応も変わり、違った締めつけに下半身がとてつもない気持ちよさに包まれる。膣内の熱量は冷めることを知らないように熱く、それでいて二人の体温が溶け合うように馴染むのが堪らなく興奮した。
「ひぅぅぅぅっっ……!ひくぅぅぅぅっっ……!」
子宮に先端をぴったり密着させてぐりぐりと押し上げると、綺麗な眉を真ん中に寄せて小刻みに肢体を震わせる。小さな震えは柔肉に咲く桃色の突起を揺らしていて、扇情的な様子に目が吸い寄せられた。
視覚と聴覚と触覚でひよりのすべてを堪能しながら腰を打ちつけていく。
「ひぁっ!ひぐっ、あふぁあっ!あくっ、はひぃぃっ!あひっ、ぅあっ、いっ、いくっ……ひあぁぁぁんっっ!!」
絶頂のタイミングに合わせて蜜壺を貫くとひよりの肢体が弾けた。弓なりにそった身体はすぐにシーツに沈んで余韻を味わっている。しかし、休憩の暇を与えるつもりは毛頭なく、もう一度突き上げた。
「ひぐっ!?あっ、まって、はぁぁぁんっ!」
「そんなに可愛いくイってるのに止めれるはずないだろ?ほらひより、もっとイくとこ見せてくれ」
「ぃひいぃぃんっ!?ひくっ!あぅっ、らめっ、らめれすっ、まらっ……っっ!!」
慣れない快楽に犯されるひよりは簡単に達していて、連続する絶頂に捕らわれている。こちらが力強く腰を打ちつけても、結合部で弾ける愛液と冷めない熱さが愉悦を示していて、それがより一層獣欲を加速させる。
「はくっ!からめくんっ、からめっ、くん……っ」
ひよりを観察しながら夢中で貪っていると、呂律の回らなくなり始めた彼女が恋しそうに呼んできて、蕩けきった瞳が一番欲しい物を求めていた。全身を包むように覆い被さり、唇を重ねると涙を浮かべる表情が恍惚としたものに変わる。
「わらひっ、もうむりれす……っ、だから、さいごはっ……」
「わかった。一緒にイこうな」
ひよりの断れるはずのないお願いに額を擦りつけながら頷くと、蕩けた表情が幸せそうに綻んで腰に脚を絡みつかせてきた。繋がった手を何度も握りしめ、触れ合う肌の密着をより高めるために身体を擦り、腰を打てば華奢な脚がきゅっと抱擁を強くする。
「んひぃんっ!からめくんっ、からめくんっ……!」
羞恥を捨てて快楽に乱れた表情を晒しながら、ひよりが甘ったるい嬌声で囁く。余裕のなくなった彼女はもはや牝の本能で意識を保っているように見えて、愛らしく妖艶な姿に下半身に熱が集まってくる。
「ひより、そろそろイけそうだ。このまま出すぞ」
「はひっ!ひてっ、ひてくらさいっ……!からめくんのっ、らひてっ……!」
絶頂の快楽に犯されながら切ない声色で何度も囁いてくるひよりを穏やかな顔で見つめ、果てるその時へと一緒に上り詰めていく。
そしてひよりの肢体が一際大きくなるタイミングで腰を打つと同時に唇を重ねた。
「んむぅぅっっ……!!」
ひよりが堪えるように肢体を強張らせた、次の瞬間、
「んふうぅぅぅぅぅぅぅっっ!!」
手も唇も下半身も繋げたまま、張りつめた糸を切ったように全身が弾ける。絶頂に呼応して熱烈に締まる膣肉の抱擁に抵抗せず、俺も溜め込んだ熱量を解き放った。
肉棒全体が心地よく締めつけられながら、子宮口にぴったりと押しつけた鈴口から白濁液を注いでいく。
「んふっ、んふぁぁっ、あつっ、あつくてっ、ひぁぁぁっっ……」
注がれた白濁液はひよりの小さな子宮と蜜壺に収まるはずもなく、結合部からこぷこぷと愛液と共に溢れていく。肉棒が脈動する度に膣肉は一滴残らず絞りとろうと締めつけてきて、さらに射精を促す快楽のサイクルができていた。
「はへぁぁっっ、からめくんのが、いっぱい……あっ」
下腹部が膨らんでしまうくらいの多量の精液をひよりはうっとりとした表情で受けれており、どくん、と最後の一滴を吐き出すとそれだけで軽く果てた。
お互いに荒い息づかいを繰り返し、温もりが溶け合うように呼吸が重なる。一定のリズムでリンクする肺の動きと呼吸音が心地よかった。
「はぁぁ……かなめ、くん……」
「ひより」
幸福感を隠さない吐息と共に微笑んだひよりが愛おしそうに呼んでくる。それに俺も同じ声色で応えるとゆっくり唇を重ねた。
「また、随分と変わったものを読んでいらっしゃいますね」
「たまにはゲテモノも食ってみてようと思ってな。つっても好みじゃな過ぎて目が滑る」
「ふふ、確かに要くんが共感できなさそうな題材です。尤も、作者の方も一番取材したい人が読むとは思ってないでしょうけども」
手にある本は浮気する人間を題材にした物であった。伴侶を作りながらも他の異性に目を奪われ、惹かれあい、背徳感と罪悪感のスパイスで人生を転げ回る、そんなありきたりで面白味のない内容が文字として踊っている。ぶっちゃけつまらん。
「そもそも突発的に女を抱くのが意味不明すぎる。抱くなら相手の好みを把握しつつ、次の夜もセットが基本だろうに」
「その考え方ができるのに、どうして女性に対する手が早いんでしょうか……?」
「周りに対する牽制は大事だろ?他の奴に誰が敵に回るか教えるのは当たり前だ。俺が惹かれるってことは、他の奴も惹きよせる魅力を持ってるってことだろうし」
故意に略奪するのは主義に反するが、だからといって目をつけてるのに何もアクションを起こさないのは男が廃る。獲物が常に転がっているのと同じくらい、狩り手も存在するのが世の常だ。
「……そういうことで誤魔化されてあげます」
「じゃあ、次は誤魔化さずにひよりに惹かれたところを話さないとな。伝えやすいように大学ノート一冊に書き連ねておこう」
「もうっ」
ひよりは両手で持った本で赤らめた顔の下半分を隠すようにしていて、可愛いらしい仕草に思わず虐めてしまうと紅潮した頬を膨らませてぷりぷりと怒った。そんな怒り方するともっと虐めたくなってしまうじゃないか。
肩が触れる距離で隣に腰を降ろしたひよりはまだは頬を膨らませたままで、ぷいっと顔を背けてしまった。刺激された加虐心に従って、手をお椀のように上向かせてひよりの顎に添える。そして風船のような頬を軽く押し込めば間抜けな音を立てて空気が抜けた。
「ぷひゃ……もう、本当に意地悪なんですから」
「やり返されるのを待ってるんだけどな?いつしてくれるかワクワクしてるのに」
「むぅ……なら、えい……」
「むむ?」
ひよりの小さな手が伸びてきて俺の頬っぺたをむにゅっと摘まむ。さらに手加減されながらぐにぐにと引っ張られた。うーむ、悪くない。なんなら指が擽ったくて非常に良い。
「悪い人にはこう、です……なんで気持ち良さそうにしてるんですか?」
「ひよりの手が優しくてなあ。あんまり仕返しになってないかも」
「……やっぱりこういうのって難しいです」
頬を弄りながら困り眉を作ったひよりは摘まむのを止めると、手で包むように添えて撫でてくる。小さな手に抱擁力を感じていれば彼女の顔が近づいてきて、額があわさり、鼻の頭が控えめに擦られた。
「私にはこっちしかできないのかもしれません。だって要くんに意地悪されてる時と同じくらい、胸の中が暖かくなってしまいますから」
「ひよりは魔性の女だなぁ。さっきまで虐めたかったのに、今はもう甘えたくなってきた」
「構いませんよ?要くんのそういうところ可愛いらしく思えますし、遠慮なく言ってくれるのがとても嬉しいです」
お互いの視界に顔しか映らない距離でひよりから感じる母性に思考が緩む。包容力と母性たっぷりの微笑みに本能のまま胸に顔を埋めると心地良い体温と心音が伝わってきて、自然と力が抜けていった。
「しばらくこうしてたい」
「はい、どうぞ」
眠いわけではなく、しかし、眼を開けるのが億劫な暖かさに包まれて穏やかな時間が過ぎていった。