※この作品はR-18です。

女性専用車両でJKが痴女られるお話   作:ひざぎ

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第二話

◇

 

 そんなことがあった日から、私は電車に乗ることが怖くなった。まあ、言ってもあの日が終業式で、それから冬休みがあったから乗る必要性も機会もなかったのだけれど、その冬休みも昨日でおしまい。今日から学校が始まるのだから電車に乗らなければいけない。

 

 なんとかお母さんとかに車でお願いしようかな、とかそう思っていたんだけれど、お母さんは朝にパートのお仕事があるし、お父さんについてももとより。ここで私に兄とか姉なる年上の存在がいたのであれば、もしかしたら送ってもらえる可能性もあるけれど、残念ながら私は一人っ子。そうして私は一人で電車に乗ることが確定してしまった、というわけである。

 

 でも、流石にこれで普通の車両に乗る、という度胸はない。だって、あんなことを実際に体験してしまったわけで、もしかしたらまた触られるのではないか、痴漢されちゃうのではないか、と考えると心臓が痛くなる。

 

 そうこうして考えた末にたどり着いたのが女性専用車両。いつも乗っている各駅停車の電車ではそれがないのだけれど、一本遅らせてしまえばそれがあることを、なんとかネットを通じて調べることができた。

 

 正直、今までは女性専用車両に乗るっていうことには抵抗感があった。『そこまで痴漢を意識してるとかうぬぼれじゃない?』とか『女性特有の権利を使ってる』みたいな、そんな視線で見られることがなんか嫌で。……いや、そういう風に考えている人はいないかもしれないし、私の被害妄想でしかないのだけれど、そのため今まで乗るということはしなかった。

 

 でも、今日は、今日からはこれに乗ります、私。

 

 例え誰かに後ろ指をさされることがあったとしても、それでも私、乗っちゃうもんね。……まあ、後ろ指をさされる、というのも被害妄想でしかないんですけど。

 

 そんな自虐的なツッコミを心で入れながら、私はそうして女性専用車両に乗り上げたのであった。

 

 

 

■

 

「……」

 

 

 

◇

 

 今まで乗っていた普通の車両と比べると、人口密度が低い、というか、空いている場所ある、というか。

 

 いや、女性専用車両と区切られている分、そりゃあ男の人が他の車両に行く必要性があるのだから、当たり前っちゃ当たり前なんだけれども、それでもこの時間帯で、そこそこに空席があることにはちょっとだけびっくりしてしまう。

 

 なんなら空席もちらほらと見えていて、だいぶと車両の中身としては余裕がある。正直、この時間帯に座ることが出来るのであれば、そのまま座ってしまってもいいんだけれど──。

 

(──なんか、女性専用車両を使ってずるしてる、みたいな気分になるんだよなぁ)

 

 普段が座ることができない状況だからこそ、こうして女性専用車両を使って座ることには後ろめたさがある。何も気にしないで、そのまま座席の方へと行ってゆっくり過ごしても誰かに文句を言われることはないのだけれど、それでも、ほら、なんか、ね? 

 

 そんな気持ちがあって、私は結局座席に座るようなことはせず、とりあえずいつも過ごしているときと同じように、ドア付近の横を陣取って、それから鞄を足元で挟むようにする。

 

 ……っていうかあれじゃん。別に満員電車じゃないんだから、鞄を下ろす必要もないか。

 

 なんというか、そわそわとした感覚がする。いつもと同じことをしているはずなのに、場所と状況が違うだけでなんというか違和感を覚えてしまう。こうして学生鞄を降ろしてしまう行為も誰かに見られてないかな、って恥ずかしく感じる自分がいる。

 

 誰も気にしていない、わかってはいるはずなのだけれど、それでもなんか勝手にそう感じてしまうのだ。それが自分の悪い癖だということはわかっているけれど、それでもね。なかなか性根って変わらないものだから。

 

 そうして私は周囲の目を気にして、そそくさと足元に挟んだ学生鞄を持ち上げる。あくまでいつも通りを考えながら、片手に鞄、片手にスマートフォンをもって、女子高生であることを周囲にアピール。……アピールしたところで何って話ではあるけれど、なんかそういうことをしなきゃいけないかな、って。うん。それだけの話。

 

 そんな風に心の準備を終わらせたくらいで、内側から、そして外側からも聞こえてくる発車のアナウンス。駆け込み乗車はおやめください、という言葉に、いつもすみません、という気持ちになりながら、それでも今日は真面目に来たもんね、と強がったりしてみて。

 

 それで、ドアが閉まった。ぷしゅー、と空気を抜くような音とともに。

 

 私はそれに安堵をして、それからいつものようにスマートフォンで時間を潰す作業を行った。

 

 

 

■

 

「……」

 

 

 

◇

 

 そわそわとする感覚は拭えないけれど、それでも安心感があるような気がした。

 

 スマートフォンから一瞬だけ目を離して、周囲の観察。当然っちゃ当然なんだけれど、それでも周りには女性しかいない。

 

 座席ですごく疲れているような顔をしている茶髪の人であったり、鏡代わりに使っているのか、座っている膝にスマートフォンを置いて化粧をしている他校のギャルっぽい人であったり。そして座席以外にもちらほらと私と同じように立ちながら、スマホで時間を潰している人がそれぞれいる。満員電車ほどではないけれど、駅に停車していくごとにだんだんと女性の数も多くなってきていて、だんだんと私の後ろにも人が立つようになってくる。

 

 ……でも。

 

 

 

(なんというか、自由だなぁ)

 

 

 

 今までは毎日ぎゅうぎゅう詰めの電車の中で、無心にスマートフォンを触ることしかできなかったけれど、ここならそこそこに身支度を整えることも可能なんだろうか。……そんな図太い神経は持っていないけれど、でも、なんか周りがここまで抑圧されていない環境だと、自分も大っぴらになんかをやっても許されるような気持ち。

 

 まあ、この通学に慣れた頃合いくらいにそういうのはやればいいよね。お化粧、いつもねぼけてサボっちゃうから。

 

 そんな気持ちで私はスマートフォンでひたすらSNSを覗いてみる。通話アプリの方を開けば『先行ってるよー』と連絡をくれている友達のメッセージがあった。

 

 ……ああ、そうか。いつもだったら一本早めの電車に乗って、駅にたどり着いたら友達と待ち合わせしてたんだっけ。

 

 正直、あまりにも痴漢という存在が頭の中で大きく立ちはだかり過ぎて忘れてた。

 

 私は早速それに『ごめん!』と打ち込んで返信をしようとする。なんで一本遅らせたのか、とかそういった事情を打ち込むべきかを迷ったけれど、女性専用車両を使っている、ということはあまり知られたくない。それを知られたら変な目で見られそうというのもあるけれど、そこから自ずと痴漢されてしまったという事実も友達に知られちゃうような気がして。……友達なら心配してくれるとは思うんだけれど、はっきりと口には出したくない。だから、曖昧に誤魔化すことを選択しようとした。

 

 

 

 ──その時だった。

 

 

 

「──ふっ……、……ぇ?」

 

 

 

 ──確かにその時、私のお尻が触られたような、そんな感じがした。

 

 

 




 次回、本番開始
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