申し訳ありませんが番外編となります。
※Pixivにも投稿しています※
※本作品は生成AIを活用し、執筆補助と医学的知識(PTSD・ED治療)のシミュレーションを行っています。
現実の患者の医療情報を元にした「なるべく正確な治療プロセス・精神的苦痛の描写」と、
エロマンガ的な「性的なリハビリによる再起」を融合させた療養記録です。
【番外編:そのころのカルデア】
ぐだ子がマイルームに帰って数十分後。
任務完了の報告は済んでいるのに、管制室からは誰も帰ろうとしなかった。
「……先輩、ちゃんと休めているでしょうか」
マシュが自身の盾を抱きしめるようにして呟く。
その盾は数多の敵を防いできたが、隣に立つ人の心が摩耗していく音までは防げなかったのではないか——
そんな悔恨が、彼女の紫の瞳を曇らせている。
「うむ……今回は流石にな。顔色が土気色だった」
ゴルドルフ新所長もまた、モニターの前に残って腕組みをして唸っていた。
「ダ・ヴィンチ。
落ち着き次第、徹底的なメディカルチェックを頼むぞ。
今回は心身ともに限界を超えている」
「分かってるよ。
……でも、今のあの子に必要なのは、検査機器よりも孤独な休息かもしれないね」
ダ・ヴィンチが珍しく笑みを消し、小さく息を吐いたその時だった。
「——っ! 所長! 技術顧問!」
生体管理モニターを監視していたエルロンが、悲鳴のような声を上げた。
「ぐだ子さんがマイルームから……反応消失!
マタハリさんの霊基反応も、ぐだ子さんの生体バイタルも、今この瞬間、忽然と途絶えました!」
空気が凍りついた。
「消えた、だと? センサーの故障じゃないのか!?」
シオンが即座にコンソールへ飛びつき、指を走らせる。
「トリトメギスII、観測異常なし。
カルデア内部のレイシフト使用履歴、なし。
外部からの強制介入痕跡……なし。これは——」
シオンの表情が険しくなる。
「内部からの意図的な『隔離』、もしくは特異点への『レイシフト』です!」
ゴルドルフが拳をコンソールに叩きつけた。
「総員、捜索開始! ストーム・ボーダーの全区画を洗え!
マスターがいなくては人類史は終わるんだぞ!」
「全サーヴァントに通達!
マスターの行方不明を確認!
ただちにカルデア内全域を捜索せよ!」
「あと、“前科”のあるサーヴァントの所在確認も急いで!」
ダ・ヴィンチの鋭い指示が飛ぶ。
管制室は瞬く間に戦場と化した。
だが、その喧騒は数分で再び沈黙へと変わる。
食堂、シミュレーター、大浴場——どこにもいない。
そしてもたらされた報告は、事態の犯人を雄弁に物語っていた。
「保管庫より、備蓄されていた『聖杯』全ての消失を確認!」
「サーヴァント——ムーンキャンサー・BBの反応、艦内から消失!」
犯人は明白だった。
そしてシオンが、決定的な証拠を提示する。
「白紙地球、北太平洋座標。かつてルルハワが存在した地点に、極めて安定した微小特異点の発生を確認。……そこから、カルデアへ向けた指向性通信が繰り返し届いています」
「映像か!?」
「いいえ。……膨大なテキストデータです」
メインモニターに映し出されたのは、犯行声明ではなかった。
それは、あまりにも冷徹で、あまりにも生々しい『診療カルテ』だった。
『患者:ぐだ子。病名:複雑性PTSD、重度セックス依存症、および心理性ED』
流れてくる文字列に、誰もが言葉を失った。
初日の記録。胃痙攣による嘔吐の回数。
二日目の記録。幻覚を見ての絶叫と、睡眠時間の欠如。
三日目、四日目……。
そこには、「人類最後のマスター」としての英雄的な姿はなく、ただ傷つき、吐き、泣き叫ぶ一人の少女の姿が、数値と観察記録として淡々と綴られていた。
「……こんな、に……」
マシュが口元を押さえる。
知らなかったわけではない。
先輩が夜な夜なサーヴァントを部屋に招いていたことも、それがただの快楽ではなく、何かにすがるような行為だったことも。
けれど、カルデア中の誰もが止められなかった。
マスターがそれで壊れずにいられるなら。
それが傷ついた心の癒しになってくれるなら。
——そんな「甘え」が、彼女をここまで追い詰めたのだという事実が、カルテという凶器となって全員の胸を抉る。
廊下の隅、通信を聞いていたサーヴァントたちも静まり返っていた。
「そういうやつもいるから気にするなって何度も言ったんだけどな」
「メイヴちゃんとのセックス中にいつも余計なこと考えてたの心外」
フェルグスとメイヴは、寂しそうに顔を見合わせる。
その寂しさは、セックスという繋がりだけでは彼女の本当の空洞を埋められなかった無力感だった。
「セックス依存症とEDの組み合わせ……一番、危惧していたことだ。
複雑性PTSDに道徳的傷害が一気にここまで悪化するとは…」
アスクレピオスが悔しげに唇を噛む。
ダ・ヴィンチが沈痛な面持ちで首を振る。
「私たちが、見ようとしなかったのよ。彼女の『大丈夫』という言葉に、一番依存していたのは私たちだった」
カルテの末尾に、BBからのメッセージが表示された。
『センパイの治療には、絶対的な時間と隔離が必要です。
外部からの干渉は一切拒否します。
カルデア時間で52時間8分34秒後。』
『……こちらの時間にして2年間。
それまでは、BBちゃんが責任を持って“管理”します』
『治りきらない状態で戦線復帰させることは、医療AIとして容認できません。
治るまで預かります。治るまで、絶対に。』
『それが容認できず、カルデアと敵対することになるのでしたら——カドックさんを叩き起こしてレイシフトさせるなり、私の縁を辿ってメルトやリップを連れ込むなり好きにしてください。
……センパイは、もう限界なんです』
そのメッセージは、医療AIとしての悲痛な叫びでもあった。
ゴルドルフは重苦しい空気の中、意を決して口を開いた。
「……52時間後、突入作戦を開始する!」
彼の声には、迷いはなかった。
「それまでは、通信から送られてくるこのカルテを24時間体制で監視しろ!
状況次第では突入を早める!」
「……カルテは詳しく分からんのだが……BBのやつ、悪いようにはしてないよね?」
ダ・ヴィンチ、シオン、ホームズがゴルドルフに向かって頷く。
所長の号令にスタッフたちが動き出す中、マシュは呆然とモニターを見つめていた。
ダ・ヴィンチがそっと、彼女の肩に手を置く。
「……52時間、か」
ダ・ヴィンチの呟きは、誰に聞かせるでもなく虚空に落ちた。
「
ここでの52時間は、あちらでの2年間。あの子の壊れた心を癒やすのに必要な時間が、それだけ長いということさ」
2年。 それは、私たちが彼女と共に旅をしてきた時間にも匹敵する長さだ。
その時間を、彼女はたった一人で——いや、BBとマタハリと共に、癒やし、再構築していく。
「そして、私たちが先輩を迎えに行く頃には……」
マシュの声が震える。
「先輩はもう、『私たちの知っているマスター』ではないかもしれません」
回復か、成長か、変質か。
あるいは、依存の先にある別の何かか。
「……長い、長い52時間になりそうだね」
ダ・ヴィンチの手が、マシュの肩を励ますように、けれど微かに震えながら叩く。
その重苦しい静寂は、自分たちの犯した罪の重さを噛み締める贖罪の時間のように、カルデアを包み込んでいった。
けれど、モニターを見つめる全員の目には、ひとつの共通した光があった。
どんな形であれ、彼女が生きて戻ってくるのなら。
——52時間後、必ず迎えに行く。
その決意だけが、重苦しい管制室に残された唯一の希望だった。