風真いろはとの「夜のトレーニング」を経て、確かな手応えと新たな絆を手に入れた滅道丈。彼は数日後、再びあの古びた雑居ビルへと足を運んでいた。
目的地は、秘密結社holoXのアジト。今回のターゲットは、この組織の頂点に立つ存在、「総帥」ラプラス・ダークネスである。
「遅いぞ貴様! この我輩をどれだけ待たせれば気が済むのだ!?」
重厚な扉を開けた瞬間、部屋の奥にある豪奢な玉座から、子供のような、しかし尊大極まりない怒声が飛んできた。
部屋の中は相変わらずだ。脱ぎ散らかされたパーカー、飲みかけのコーラのペットボトル、そして散乱するスナック菓子の袋。生活感という言葉では生温い、カオスと呼ぶにふさわしい空間がそこには広がっていた。
「申し訳ありません、総帥。手土産を選んでいたもので」
丈は涼しい顔で、コンビニ袋を掲げて見せる。中には彼女が愛してやまないコーラ味のグミと、新作のスナック菓子が詰め込まれていた。
「む……貴様、なかなか気が利くではないか。許してやろう」
単純だ。あまりにもチョロい。
丈は内心で失礼な感想を抱きつつ、ソファの上の服を脇に寄せて腰を下ろした。
今日の取材テーマは「総帥の威厳と精神力について」。もちろん、それは表向きの名目であり、丈が仕掛けた罠の入り口に過ぎない。
「精神力、ですか? 愚問だな貴様」
ラプラスは玉座の上で足を組み、ふんぞり返った。
「我輩は総帥だぞ? 幾多の修羅場をくぐり抜け、世界征服を目論むこの我輩に、精神力がないとでも?」
「いえ、疑っているわけではありません。ただ、読者には分かりやすい『証明』が必要かと思いまして」
丈は手帳を閉じ、意味ありげな笑みを浮かべた。
「例えば……そうですね。『我慢大会』などはいかがでしょう?」
「我慢大会だと? 子供の遊びか?」
「ただの我慢大会ではありません。俺がどのような『取材』を行っても、総帥が一度も声を上げず、降参もしなければ、あなたの勝ち。記事には『鋼の精神を持つ最強の総帥』と書きましょう。しかし、もし負ければ……」
丈は言葉を濁し、挑発的な視線を送る。
プライドの塊である彼女が、これに乗らないはずがなかった。
「はっ! 面白い! 受けて立ってやろうではないか! 貴様ごときの小細工で、このラプラス・ダークネス様が屈すると思ったか!」
彼女は立ち上がり、仁王立ちで宣言した。
その無防備な自信。丈は静かに立ち上がると、自分のネクタイを緩め始めた。
「では、逃げ出さないように拘束させていただきますね。これもルールのうちですので」
「な、なんだそれは! ……まあよい、ハンデとしてくれてやるわ!」
丈はネクタイを外し、ラプラスの細い両手首をまとめると、それを玉座の背もたれにある装飾部分へと縛り付けた。
シルクのネクタイが、白い肌に食い込む。彼女の体は完全に玉座に固定され、逃げ場を失った。
「ん……意外とキツイな。だが、これくらいどうということはない!」
「流石です。では、始めましょうか」
丈は彼女の正面に立つと、ゆっくりとその手を伸ばした。
彼が触れたのは、彼女が密かにコンプレックスを抱いているであろう、パーカーの上からでも分かる絶望的に平坦な胸元だった。
「なっ……!? き、貴様、どこを触っている!」
「おや、声を上げたら負けですよ? これはあくまで精神力のテストです」
丈は意地悪く囁きながら、厚手の生地越しに、その小さな膨らみを探るように指を這わせた。
ない。物理的な膨らみはほとんどない。しかし、その奥にある小さな突起は、微かな刺激に反応して、すでに硬く主張し始めていた。
「んぅ……っ! 無礼者め……! セクハラだぞ……!」
「取材です。それにしても、可愛らしい反応ですね。総帥ともあろうお方が、服の上からの愛撫だけでこんなに敏感だとは」
丈の指先が、的確に乳首を捉え、こねくり回す。
ラプラスは必死に唇を噛み締め、声を殺そうとするが、鼻にかかった甘い吐息が漏れてしまう。
顔は真っ赤になり、尊大な態度はすでに崩れかけていた。
「くっ……おのれぇ……! 調子に乗るなよ……!」
「まだ序の口ですよ。総帥の我慢強さ、もっと見せていただけますか?」
丈はポケットから、黒く艶めくローターを取り出した。
スイッチを入れると、ヴヴヴヴという低い振動音が静かなアジトに響き渡る。
「そ、それはなんだ……!?」
「精神力を試すための、文明の利器です」
彼は一切の躊躇なく、振動するローターを彼女の股間――スウェットパンツの上から、最も敏感な割れ目に押し当てた。
「ひゃうッッッ!!!!!」
強烈な振動が、布越しに彼女のクリトリスを直撃する。
ラプラスの体がエビのように跳ね上がり、玉座の上でガタガタと震え始めた。
「あ、あががが……! な、なんだこれ、すごい振動……! くすぐったい……!」
「くすぐったい? まだ余裕がありそうですね。流石は総帥」
丈は感心したような口調で褒め殺しながら、ローターをさらに強く押し込む。
先端の振動が、布を介して彼女の秘部を執拗に責め立てる。予期せぬ快感の奔流に、彼女の思考は真っ白に染まりかけていた。
「ち、ちがう……! これは、反則だ……! んんっ、あぅ……!」
「降参ですか? まだ始まったばかりですが」
「す、するわけあるかぁ! この程度……マッサージ機みたいなものだ……! 我輩は……負けぬ……!」
涙目になりながらも、必死に虚勢を張るラプラス。
その健気で、そしてあまりにも愚かなプライドこそが、丈の嗜虐心を極限まで刺激する最高のスパイスだった。
「素晴らしい。その意気です。では、このまま少し『マッサージ』を続けましょうか」
丈はローターを持ったまま、もう片方の手で彼女の太ももを撫で回し始めた。
逃げ場のない玉座の上で、小さな総帥の孤独な戦いが始まる。
しかし、その勝敗は、最初から決まっていたのかもしれない。