※この作品はR-18です。

密着取材:聖域の裏側で   作:railgunk

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第5章:女王への帰港 第21話:小悪魔の実況中継

「……ふあ。そろそろ着替えようかな」

 

深夜。都心の夜景を一望するペントハウスのリビングで、星街すいせいは小さくあくびをした。

一日中着ていた外出用のワンピース。さすがにこのままリラックスするのは窮屈だ。

彼女が立ち上がった瞬間、丈は反射的にソファの上でくるりと背を向けた。

 

「あ、はい! 俺は後ろを向いてますから。安心して着替えてください」

 

そのあまりにも分かりやすく、そして紳士的な反応。

先ほどまでの、核心を突くような鋭い記者の顔とは打って変わり、まるで思春期の少年のように背中を強張らせている。

それを見た瞬間、すいせいの心の中に、小さな、しかし確かな「悪戯心」が芽生えた。

 

(……ふーん? 可愛いとこあるじゃん)

 

彼女は口元に、獲物を見つけた小悪魔の笑みを浮かべた。

この底知れない男が、どこまで耐えられるのか。その理性の限界を試してみたい。

彼女はあえて沈黙を破り、甘ったるい声で宣言した。

 

「――じゃあ、お言葉に甘えて♡」

 

衣擦れの音が響く。

しかし、彼女はただ黙って着替えるつもりはなかった。

 

「まずはー、今日一日あたしを可愛く見せてくれた、このワンピースの背中のファスナーを下ろしまーす」

 

ジジジ……と、金属の歯が布を噛んで下りていく音が、静寂な部屋に生々しく響く。

丈の背中がピクリと震えたのを、彼女は見逃さなかった。

 

「ふふっ。……肩から布が滑り落ちて……今、床に落ちたよ」

 

トン、という軽い音。

丈の脳裏に、白い肌が露わになる映像が鮮明に浮かび上がる。

 

「次はー、下着かな? 今日はね、綺麗な水色のレースなんだ。……ホックに手をかけて……」

 

パチン。

小さな、しかし部屋の中では爆音のように響く、留め具が外れる音。

解放された胸の重みが、重力に従ってふわりと揺れる様を、彼女は言葉巧みに実況していく。

 

「ストッキングも脱いじゃおっと。……くるくるーって、足先まで……」

 

シュルシュルとナイロンが肌を滑る音。

丈は膝の上で拳を固く握りしめ、必死に理性を総動員して耐えていた。

決して振り返ってはいけない。振り返ったら、このゲームは負けだ。

 

「……そして、最後はパンツ。……これも、脱ぐとこ、実況してほしい?」

 

挑発的な問いかけ。

丈が返事をする間もなく、衣擦れの音がして、最後の布切れが床に落ちた気配がした。

これで彼女は、完全に生まれたままの姿になったはずだ。

 

背後から、素足がフローリングを踏む音が近づいてくる。

そして、丈の耳元に、熱い吐息がかかった。

 

「――ねぇ」

 

トン、と。

丈の広い背中に、彼女の柔らかな胸が押し当てられた。

 

「あたしの心臓の音、聞こえる?」

 

トクン、トクンと伝わってくる鼓動。そして、背中越しに感じる体温と、肌の柔らかさ。

直感する。彼女は今、裸だ。

その事実が、丈の理性の堤防を、ガラガラと音を立てて崩していく。

 

「どう? 滅道さん」

 

彼女は勝利を確信した声で、悪魔のように囁いた。

 

「……まだ、後ろ向いてられる?」

 

逃げ場のない問い。

もはや、彼に選択肢は残されていなかった。

彼は覚悟を決め、ゆっくりとその体を反転させた。

目の前に広がるであろう、白く輝く裸体を、その目に焼き付けるために。

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