※この作品はR-18です。

密着取材:聖域の裏側で   作:railgunk

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第5章:女王への帰港 第22話:残香と敗北

丈が意を決して振り返ったその先に待っていたのは――。

 

「――なーんてね! 何か期待した?」

 

そこには、ゆったりとした部屋着のTシャツとショートパンツに着替えた、いつもの星街すいせいが立っていた。

彼女は腕を組み、ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべて丈を見下ろしている。

完全に一杯食わされた。

丈は一瞬呆気にとられ、自分の早とちりと、彼女の演出の上手さに脱帽した。

 

「……やられましたね。完全に、想像力を利用されました」

「あはは! アンタの背中、ガチガチで面白かったよー!」

 

すいせいはケラケラと笑う。

勝負あり。このラウンドは彼女の完勝だ。

丈は苦笑いしながら視線を戻そうとしたが――その時、ふとある一点に目が釘付けになった。

 

ソファの端。

そこに、無造作に積み上げられた「抜け殻」があった。

先ほど脱ぎ捨てられたワンピース。ストッキング。

そしてその一番上に、彼女が実況した通りの、水色のレースのブラジャーとショーツが、まだ主の体温を残したまま鎮座していた。

 

「…………」

 

丈の視線が、吸い寄せられるようにその布切れに固定される。

(……これが、今の今まで、彼女の肌に触れていたもの)

その生々しい実在感に、彼の喉がゴクリと鳴った。

 

その視線の動きを、すいせいは見逃さなかった。

 

「……ふーん?」

 

彼女の瞳が細められ、愉悦の色が濃くなる。

 

「あたしの本体よりも、そっちの抜け殻の方に興味があるんだ?」

「い、いえ、そういうわけでは……」

「嘘つき。目が釘付けじゃん。……アンタも、相当なヘンタイだねぇ」

 

図星を指され、丈の顔が耳まで赤くなる。

小悪魔の掌の上で転がされ、恥部を暴かれる屈辱と快感。

彼は観念したように、大きなため息をついた。

 

「……敵いませんね、あなたには」

 

それは、偽りのない敗北宣言だった。

丈はゆっくりと立ち上がると、脱ぎ捨てられた服の山へと歩み寄った。

そして、まるで神聖な儀式を行うかのように、それらを丁寧に手に取った。

 

「ちょ、何してんの……」

 

すいせいが引くほどの丁寧さで、彼はワンピースの皺を伸ばし、畳み始める。

そして、最後に残った小さな下着を手に取ると、一瞬動きを止め――そっと鼻を近づけた。

 

「ッ!? な、ななな、何してんのよ!?」

「いえ……いい匂いがしたので」

 

悪びれる様子もなく、恍惚とした表情で答える丈。

その瞳に宿る、純粋すぎて狂気すら感じる愛情に、すいせいの顔がカッと沸騰した。

 

「バ、バカ! 返してよ!」

「はい、どうぞ。綺麗に畳んでおきました」

 

彼は丁寧に二つ折りにした下着を、他の服と一緒に彼女へと差し出した。

その手際と、変態的なまでの執着。

すいせいは真っ赤な顔でそれを受け取りながら、背筋がゾクリとするのを感じた。

 

この男は、ただの記者じゃない。

自分の想像を遥かに超える「捕食者」だ。

からかっていたつもりが、いつの間にか自分が追い詰められているような、そんな危うい予感が彼女の胸を騒がせた。

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