「……アンタの密着取材、ずっと終わんなきゃいいのに」
深夜のリビング。
二人はソファに並んで座り、寄り添っていた。
共通の話題であるさくらみこの話で盛り上がり、互いの深い部分を共有した後の、穏やかな沈黙。
すいせいの口から零れたその言葉は、彼女自身も驚くほど素直で、切実な響きを持っていた。
丈は彼女の小さな体を優しく抱きしめ返すと、静かに、しかし残酷な事実を口にした。
「残念ですが……取材はいつか終わってしまいます」
すいせいの表情が曇る。
この心地よい時間が、いつかは終わる「仕事」の一環でしかないという現実。
しかし、丈はすぐに彼女の左手を取り、その薬指を親指で優しくなぞった。
「だけど……取材以外の方法もありますよ」
「……え?」
「俺のものになってください」
彼は、彼女の薬指に敬虔なキスを落とした。
プロポーズにも似た、独占の宣言。
すいせいは言葉を失い、ただ目を見開いて彼を見つめた。
トップアイドルとしての立場、ファンへの責任、様々なしがらみが脳裏をよぎる。
けれど、目の前の男への想いは、それら全てを凌駕しようとしていた。
彼女は震える唇で、小さく、しかし力強く頷いた。
その目から、大粒の涙がこぼれ落ちる。
丈は満足げに微笑むと、彼女をさらに強く抱き寄せ、その手をゆっくりと彼女の下腹部――子宮のあたりへと滑らせた。
「それに」
彼の手のひらが、温かい熱を伝えてくる。
「いつか、この聖域(なか)で……俺とあなたの、新しい未来を育むことになるのかもしれない」
「ッ……!?」
あまりにも直接的で、そして生命の根源に触れる言葉。
全身に電流が走ったように震えるすいせい。
アイドルにとって禁忌とも言える「妊娠」という未来を、この男は肯定し、望んでいるのだ。
「い、今から……」
丈は彼女の瞳を射抜くように見つめ、問うた。
「セックスして、処女、もらってもいいですか?」
その言葉は、もはや質問ではなかった。
互いの魂を確認し合うための、最後の儀式の合図。
すいせいは泣き笑いのような表情で、もう一度頷いた。
彼女は知っていた。この夜、自分はアイドル「星街すいせい」の殻を破り、一人の女として、この男に全てを捧げることになるのだと。
丈は彼女を抱き上げ、寝室へと運ぶ。
窓の外では、夜明け前の空に一番星が輝いていた。
それは、これから始まる二人の、誰も知らない「神話」の始まりを祝福しているかのようだった。
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