※この作品はR-18です。

密着取材:聖域の裏側で   作:railgunk

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### 第7章:女王への帰港 ### 第28話:ただいま、船長

一方、その頃。

丈はタクシーを降り、慣れ親しんだ高級マンションのエントランスをくぐっていた。

時刻は明け方。空が白み始めている。

手には、コンビニで買ったホットコーヒーが二つ。

 

合鍵を使い、静かにドアを開ける。

部屋の中は、高級なルームフレグランスの香りに満ちていた。

それは、彼にとって「帰るべき場所」の匂いだった。

 

「……ただいま戻りました」

 

リビングに入ると、ソファに人影があった。

宝鐘マリン。

彼女は、ナイトウェアに身を包み、読みかけの本を膝に置いたまま、じっと玄関の方を見つめていた。

寝ていないのか、それとも彼の気配を察して起きたのか。

 

「――おかえり。ずいぶんと遅かったじゃない」

 

その声色は、怒っているわけでも、拗ねているわけでもない。

ただ全てを察し、受け入れている「本妻」のような余裕と、隠しきれない独占欲が滲んでいた。

 

「申し訳ありません。少し、手間取りまして」

「ふーん……」

 

マリンは立ち上がり、ゆっくりと丈に近づいてくる。

そして、彼のシャツの襟元に鼻を近づけ、クンクンと匂いを嗅いだ。

 

「……臭うわね。あのガキの、甘ったるいお菓子の匂いと……惨めな雌の匂いがする」

 

嫉妬。しかしそれは、ドロドロとした醜いものではなく、二人の関係をより燃え上がらせるスパイスのようなものだった。

丈は苦笑しながら、彼女の腰に手を回した。

 

「匂い、移りましたか?」

「ええ、プンプンよ。……早く洗い流さないと」

 

彼女は妖艶に微笑むと、丈のネクタイに指をかけ、グイと自分の方へ引き寄せた。

至近距離で見つめ合う瞳。

その深紅の瞳が、静かに、しかし熱烈に問いかけてくる。

 

「ねえ、丈」

 

彼女は甘い吐息と共に、核心を突く言葉を囁いた。

 

「……結構、今、溜まってますか?」

 

その言葉は、単なる性欲の確認ではない。

他の女を抱いた後でも、一番の情熱を注ぐべき相手は誰なのか。それを体で証明してみせろという、女王からの命令だった。

 

丈は背筋がゾクリとするような興奮を覚えた。

やはり、この人には敵わない。

どれだけ外で遊んでも、結局はこの港に戻ってきてしまうのだ。

 

「……ええ。パンパンですよ」

「ふふっ、素直でよろしい。じゃあ……証明して見せてよ」

 

マリンは丈の手を引き、寝室へと誘う。

そこは、二人だけの密室であり、法廷であり、そして祭壇だった。

 

「アンタがどんなに他の星を旅してきても、最後に帰ってくる港はこの船長の体だけなんだってこと……骨の髄まで分からせてあげる」

 

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