※この作品はR-18です。

密着取材:聖域の裏側で   作:railgunk

30 / 30
### 第7章:女王への帰港 ### 第30話:壊れた祈りと、愛の証明

「ゆる、して……! おねがい……! あ、あぁ……ッ!」

 

ベッドの上で、宝鐘マリンは涙と汗にまみれながら懇願を続けていた。

体内と体外、計三つの玩具がもたらす無機質な振動は、彼女の許容量をとうに超えていた。

絶頂の波が引く間もなく次が押し寄せ、思考する余裕など微塵もない。

ただ、目の前で冷酷に、しかし愛おしげに自分を見下ろす男に、許しを乞うことしかできなかった。

 

「……丈、くん……! すき……だいすき……だから、とめてぇ……♡」

 

プライドも、船長としての威厳も、すべてかなぐり捨てた、一人の女としての魂の叫び。

その言葉を聞いた瞬間、丈の瞳から嗜虐の色がすっと引いた。

 

「……よくできました、マリンさん」

 

彼は静かに立ち上がると、ベッドに歩み寄り、全ての玩具のスイッチを切った。

部屋に満ちていたブブブという重低音が消え、静寂が戻る。

しかし、マリンの体はまだ余韻でガクガクと震え続けていた。

 

「はぁ、っ、はぁ……、ぅ……」

 

焦点の合わない目で天井を見上げる彼女。

丈は彼女の体からゆっくりと玩具を抜き取ると、優しく抱きしめた。

 

「俺も愛していますよ。……だから、帰ってきたんです」

 

その言葉は、傷ついた彼女の心に染み渡る特効薬だった。

マリンは震える腕で丈の背中にしがみつくと、子供のように声を上げて泣いた。

 

「うぅ……! バカ……! 寂しかったんだからぁ……!」

「ごめんなさい。もうどこにも行きませんよ」

 

それは嘘だ。取材はまだ続くかもしれない。

けれど、今この瞬間、二人の魂が結びついていることだけは真実だった。

丈は泣きじゃくる彼女の唇を塞ぎ、今度は優しく、慈しむように、深い口づけを交わした。

 

夜が明けるまで、二人は肌を重ね続けた。

そこにはもう、拷問も駆け引きもない。

ただ互いの体温を求め合い、空白の時間を埋めるような、甘く穏やかな愛の営みだけがあった。

 

### 最終章:終わらない密着取材

### エピローグ:箱庭の共犯者たち

 

翌日の午後。

遅い朝食を終えた二人は、リビングのソファで寄り添いながら、窓の外に広がる東京の景色を眺めていた。

 

「……で? さかまたはどうだったの?」

 

マリンが、淹れたての紅茶を啜りながら、何気ない口調で尋ねた。

その声には、もう嫉妬の響きはない。むしろ、同じ秘密を共有する仲間を気遣うような、奇妙な連帯感が滲んでいた。

 

「素晴らしいエリートでしたよ。……最後は、泣かせてしまいましたが」

「あーあ。あの子、意外と繊細なんだから。あとで船長から慰めておかないとね」

 

クスクスと笑うマリン。

ラプラス、いろは、クロヱ、すいせい。そしてマリン。

丈の手によって「陥落」した彼女たちは、表向きは今まで通り華やかなアイドルとして活動を続けるだろう。

しかし、その裏側には、滅道丈という一本の糸で繋がれた、歪で強固なネットワークが形成されていた。

 

「次は誰を狙うの?」

「そうですね……。まだまだ、この箱庭には魅力的な才能が溢れていますから」

 

丈は手帳を開き、まだ空白のページに視線を落とす。

その横顔を見つめながら、マリンは満足げに微笑んだ。

 

「いいわ。とことん付き合ってあげる」

 

彼女は丈の肩に頭を預け、その左手の薬指に、自分とお揃いの指輪があることを確認して目を閉じた。

 

「アンタは一生、船長だけの『専属記者』なんだからね」

「ええ。この命ある限り、あなたを記録し続けましょう」

 

カメラのレンズ越しではなく、心と体で向き合う、終わりのない密着取材。

二人の共犯者の物語は、これからも続いていく。

ホロライブという輝かしい光の裏側に、甘く危険な影を落としながら。

 

(完)

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。