性転換して、えっちなことを、大事なしんゆーと。 作:mittsu_
「さて、どうやって教室に入ったもんか....」
「別にいつも通りでいいと思いますよ。」
「そうか、そうかもなぁ....」
「あ、そうだ。今日は幸一の家で勉強で。」
「ええ、歓迎しますよ。」
いつもと同じように、駄弁りながら歩く。
でも、いつもの通学路のはずなのに、いつもより物が大きい。
一緒くらいの身長だったはずなのに、親友の背が高い。
早歩きしないと、追いつけない。
少し、息が荒くなる。
それを、察してくれたのだろうか。
少し速度を落としてくれた。
「あ、ありがとな。」
「当然ですよ。」
そうこうしているうちに、学校に着いた。
いつも通りに、教室に入る。
すると、周りがこちらを見てきて、視線が戻り、噂話を始める。
あまり、いい気分ではない。
「大丈夫ですよ、悪いことは一つも言ってないでしょうから。」
「そうだといいんだけどなぁ.....」
少し話していると、ホームルームが始まる。
辺りを見回した後、担任が話し出す。
「えー、今日お前たちにはお知らせがある。
咲光、前に来なさい。」
「この通り、咲光はTSした。
だが、特別なことはないから、いつも通りに接するように、以上!」
「あー、なんというか。TSしたけどよろしくな。」
ホームルームが終わって、一斉にクラスメイトが群がってくる。
質問攻めだ。
「どうしてTSしたの?」
「なにかできることある?」
「女子の体で分からないことがあったらなんでも聞いてね!」
「おい、体はどう変わったんだよ!?」
まるで、違う人間になったような質問の嵐。
なんとか質問をさばき切り、疲弊した顔で机に突っ伏していると。
「大変そうですね。」
「ああ、助けてくれても良かったんじゃないか?」
「さすがに私一人ではどうもなりませんよ。」
「あー。畜生。」
休み時間には、他のクラスからも人が来て、質問攻めにされて。
放課後には、疲れ切っていた。
「お前の家で休ませてくれ.....」
「ええ、もちろん。」
そんな会話をして、幸一の家に入り、部屋に入る。
「それで、今日一日はどうでしたか?」
「疲れた、それ以上の感想が見つからない。」
「お疲れ様です。」
「全くだ。」
そんな風に会話をしていると、ふと、恐怖が湧いてきた。
親友は、幸一は。
俺の事をしっかり"俺"として見てくれているのかどうか。
それを疑い始めたら、どんどん怖くなってきて。
思考が恐怖に支配されて、涙が零れてきて。
「大丈夫ですか!?」
いつの間にか、
親友の胸倉をつかんでいた。
「んぐっ!?」
「なあ、幸一。一つ聞きたいことがある、いいか?」
ぼろぼろ涙を流しながら、
みっともなく鼻水をすすりながら、
とてつもなく怖い、怖い質問をする。
「なぁ、俺の事、ちゃんと、俺として見てくれてるか?」
「...ええ、もちろん。」
「...俺、怖いんだ。
ただ性別が変わっただけなのに、皆別人を見るように俺の事を見てきて、質問してきて。
もしかして、幸一も、別人みたいに見えてるんじゃないか、って。」
「あなたは、私の大切な親友です。
性別が、変わろうが変わらなかろうが、私の一番の親友です。
それは、絶対に変わりません。」
そういうと、幸一は俺の事を抱きしめて、ゆっくり撫でてくれた。
それは、とても安心できる手で、あったかくて、されるがままにされるのが心地よくて。
「大丈夫、大丈夫です。私がここに居ますからね。」
耳朶を打つ優しい親友の声が脳に響いて。
心地良さに包まれながら、意識を手放した。
目を覚ました時、外はすっかり暗くなっていた。
そして、胸倉をつかんだ挙句、抱き枕にしてしまった友人に心からの謝罪をする。
「ごめん、本当にごめん。
幸一に酷いことをしてしまった。
本当に申し訳ない。」
「大丈夫ですよ。
親友ですからね。
片方が不調になったらそれを気に掛けて、一緒に解決するのが親友というものでしょう?」
「そうだな、本当にありがとう。」
その日から、どんどんと幸一の部屋で一緒でいることが多くなった。