※この作品はR-18です。

ゾンビの溢れた世界でハーレムを作る   作:ガンダムラザーニャ

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脱出

ショッピングモールの非常灯が、赤く廊下を染めていた。

 

さっきまで動いていた照明は、いつの間にか落ちている。

 

残っているのは警告灯だけだ。

 

……ウゥゥン。

 

空調の低い振動が天井裏を流れている。

 

俺は通路の角で足を止めた。

 

背後で靴音が止まる。

 

シノン。

 

そのさらに後ろに斑鳩。

 

三人の呼吸が静かに重なる。

 

遠くで物音がした。

 

……ガン。

 

金属がぶつかる乾いた音。

 

シノンが銃を上げる。

 

銃口が通路の奥を向く。

 

「出口はこの先よ」

 

小さな声。

 

俺は頷く。

 

モールの外へ出る非常口は、もうすぐだ。

 

ここを抜ければ駐車場に出られる。

 

その時。

 

……グルル。

 

低い唸り声。

 

通路の奥の暗がりで何かが動いた。

 

次の瞬間。

 

ゾンビが飛び出した。

 

腐った顔。

 

開いた口。

 

腕がこちらへ伸びる。

 

パァン!!

 

銃声。

 

頭部が弾ける。

 

倒れる。

 

だが奥の暗闇が揺れた。

 

もう一体。

 

さらにもう一体。

 

靴音が床を叩く。

 

俺は近くにあったショッピングカートを蹴り飛ばした。

 

ガシャァン!!

 

カートが横倒しになる。

 

ゾンビがつまずく。

 

その横を斑鳩が踏み込んだ。

 

ワイシャツが揺れる。

 

拳。

 

骨が砕ける鈍い音。

 

体が崩れ落ちる。

 

もう一体が斑鳩へ腕を振るう。

 

彼女は半歩引く。

 

回転。

 

肩を掴む。

 

そのまま投げる。

 

ゾンビの体が床に叩きつけられた。

 

シノンの銃声。

 

頭部が弾ける。

 

静寂。

 

……いや。

 

奥からまだ音がする。

 

複数の足音。

 

引きずるような音。

 

シノンが舌打ちした。

 

「数が多い!」

 

俺は非常口を見る。

 

扉は二十メートル先。

 

「走るぞ!!」

 

床を蹴る。

 

三人で通路を駆ける。

 

背後から唸り声が膨らむ。

 

振り向くと、暗闇から十体以上の影が流れ出てきていた。

 

シノンが撃つ。

 

パァン!パァン!

 

二体倒れる。

 

だが後ろから次が押し出される。

 

距離が縮まる。

 

非常口が近づく。

 

あと十メートル。

 

その時。

 

一体が横の店から飛び出した。

 

腕がシノンへ伸びる。

 

シノンが反応する。

 

だが距離が近すぎた。

 

その瞬間。

 

斑鳩が前へ出る。

 

体当たり。

 

ゾンビを弾く。

 

拳。

 

顎が折れる。

 

だが。

 

ゾンビの腕が掴んだ。

 

布。

 

皮膚。

 

ガブッ。

 

鈍い音。

 

斑鳩の肩がわずかに揺れる。

 

すぐに肘を叩き込む。

 

ゾンビが離れる。

 

喉へ一撃。

 

体が崩れ落ちた。

 

「斑鳩!」

 

俺が声を上げる。

 

彼女は振り向かない。

 

「問題ありません」

 

息は乱れていない。

 

足も止まらない。

 

「出口を優先してください」

 

非常口に到達する。

 

俺がバーを押す。

 

バン!!

 

扉が開く。

 

外の光が差し込む。

 

三人で飛び出す。

 

背後でゾンビが扉へぶつかる。

 

ドン!!ドン!!

 

金属が揺れる。

 

シノンが近くの鉄パイプを差し込んだ。

 

ガチン。

 

簡易ロック。

 

扉が揺れ続ける。

 

だが開かない。

 

……。

 

静寂が戻る。

 

三人の呼吸だけが残った。

 

駐車場の風が吹く。

 

遠くで車の警報が鳴っていた。

 

……ピーポー。

 

シノンが壁に背をつける。

 

銃を下げる。

 

肩が上下している。

 

俺も膝に手をついた。

 

汗が額から落ちる。

 

数秒。

 

誰も喋らない。

 

その時。

 

布の擦れる音。

 

斑鳩がワイシャツの袖を整えていた。ゆっくりと、腕を押さえる。

 

一瞬だけ。すぐに離す。

 

何も言わない。視線は前。

 

背筋は伸びたままだ。

 

シノンの視線がそこに止まる。

 

一秒、二秒、三秒。

 

斑鳩は気づかないふりをしている。

 

「……行きましょう」

 

斑鳩が言う。

 

声は変わらない。

 

「ここも安全とは言えません」

 

シノンは何も言わない。

 

ただ銃を握り直す。

 

俺は頷いた。

 

「次の拠点を探そう」

 

三人で歩き出す。

 

コツ…、コツ…。

 

駐車場のコンクリートに足音が響く。

 

その後ろで。

 

ワイシャツの袖口から、赤い染みがゆっくり広がっていた。

 

誰も何も言わない。

 

風だけが吹いていた。

 

 

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