バチッ
(キャッチーなメロディ)(カートゥーン・プロパガンダ・アニメーションが再生される)
巨大洋上都市、【ラスト・ヘイブン】へようこそ!
潮の香りは気に入りました?人工管理された美しいホワイトサンド・ビーチに行きたいですか?
この街はどの国にも属さず、どこの国からも干渉されない、夢のような楽園です!
太平洋に浮かぶ華やかな摩天楼!ここには差別はありません、全ての人種が活躍できます!
まさにパラダイス!この世の夢、希望、輝かしい最後の楽園!【ラスト・ヘイブン】!
そして昨今の【
魔法への規制?ありません!魔物への差別?言語道断です!宗教だって、内心の自由ですから!
そしてこの【ラスト・ヘイブン】を輝かせる大企業の皆さまを、ご紹介いたしましょう!
――太平洋を代表する、工業世界の大巨人!
【豊上重工業集団】
小さな車メーカーから始まったこの会社は、今やアジアを全て飲み込みました!
この物作りの怪物は日夜数十万の工場を動かしており、明るい未来を形作っています!
太平洋ゴミベルトを最高の洋上都市に仕立て上げたのも豊上重工のおかげ!
街を走る車のほとんどは豊上重工製!日々の暮らしに密着した製品は、どれも質の高さが最高峰です!
あなたの皮膚も、骨も、その鼓動さえも! 豊上重工の最新サイバーウェアなら、『古臭い人間という不自由』からあなたを解き放ちます。 さあ、全身を『純正品』に換装して、都市インフラの一部になりましょう!
――野望を抱くは未来のため!
【ヘリオス・エナジーテックラボ】
ダイソン球システムの建築を始めて17年、この大事業は確かに我々の光となっています!
いずれはこの太陽系すべてのエネルギーを掌握すると豪語もした、知性の象徴!
太陽を独占する贅沢を、あなたに。ヘリオス社は、『光を享受する権利』をすべての人に平等に販売しています。 暗闇は、努力を怠った者への唯一の罰。さあ、今日もコインを投入して、輝かしい明日を買い取りましょう!
世界のエネルギー事情を握るこの大企業は、正しく皆様の笑顔を照らす太陽ですね!
――世界に安寧をもたらす、十字の杖を掲げたヨーロッパ代表!
【マン・コングロマリット】
生命科学といえばここしかない!どんな病気もたちまち全快!副作用すらもありません!
世界中のあらゆる病院、世界中のあらゆる薬局はマン社の手助けで運営されていますからね!
難病でさえもマン社にとってはただの風邪!治せない病はこの世のどこにも存在しないのです!
もはや病の苦しみは前時代の遺物。マン社製ナノマシンは、あなたの脳に直接『幸福の定義』を書き込みます。小さなサプリメント一つで、あなたの視界はいつでも虹色の宮殿に早変わり!
――大切な世界を守るための必要な備えは、この背中に託されている!
【
ホームディフェンスから特殊部隊まで、ありとあらゆる銃火器や軍事装備といえばNADAC!
テロリストから国を守る世界警察として!犯罪者から市民を守る頼れる保安官として!
あなたの不安を我々が殲滅します!最新のAIがあなたの心拍数から『犯罪の予兆』を検知し、実行される前に即出動即排除! 撃たれたことに気づかないほどの正確無比な一撃こそ、NADACが提供する究極の安全保障の証!
あらゆる銃に刻印されたNADACの美しいエンブレムは、あなたの安眠を守っているのです!
――情報化社会のマザーブレイン・スカイネット!
【エデン・システムズ】
一般化し広大に拡散したネットワークを統べる企業、エデン社から隠せるものはありません!
悪意あるネット犯罪や個人間紛争も、ネットワーク上では正義の鉄槌から逃れられない!
秘密は孤独の始まりです。エデン・システムズは、あなたの思考ログを24時間体制でバックアップ。 愛する人の隠し事も、自分でも気づかなかった深層心理も、すべてシェアされる素晴らしい世界。隠し事のないクリアな社会を、共に歩みましょう!
皆様が安心して生活できるのも、エデン社が犯罪者からネットワークを守っているおかげなのです!
輝かしい5大企業の皆様、本当にありがとう!
この世界の秩序を担う素晴らしき巨人たちに拍手を!
皆様も是非、彼らと協力して未来に貢献してみてくださいね!
【ラスト・ヘイブン】はいつでも移住者を受け入れてますよ!
この素晴らしい街で観光だけだなんて、勿体ない!より良い暮らしを約束しますよ!
地球最後の楽園、【ラスト・ヘイブン】!天国があなたを待っています!
↓◆↓
ゲロとクソと腐った有機物の臭い。
転がって放置された死体。それを食う肥え太ったネズミ。そのネズミを食う浮浪者。
押し込み強盗も路上強盗も車上荒らしも銃撃戦も、一日50件を下回ることはない。
……ここは地獄の一丁目。空をどこまでもどこまでも貪ろうとする欲望に塗れた摩天楼、その足元の暗がりは、ギラついたネオンじゃ覆い隠せないほど死とクソの臭いが広がっていた。
その中を歩く。歩く、歩く――。
これでも、環境汚染によってまともに住めなくなってる地上よりもマシかもしれない。
頻発する森林火災による、一国丸ごとの炎上。重金属物質を垂れ流す無数の工場群、核反応による夢のエネルギー発電施設と広がっていく放射能汚染。
それよりは、この太平洋ゴミベルトの上に築かれた地獄のほうが、まだ生きている。
道端では、マン社製の合法薬物で依存症を引き起こしゾンビ状態で沈む若者たちが群れている。
医療サービスどころか抗生物質さえも買えなくなった浮浪者が高熱でばたばたと倒れ伏し、虚ろな目で死を待つ。病死、凍死、生きたまま食われるか、運よく拾われて人肉屋のミンチ機送り。
異世界から来たゴブリンやコボルトが群れて下水に居座り、巨大都市ネズミたちと日夜骨肉を争う格闘を大規模に繰り広げていて、NADACに雇われた掃除屋がそれらを纏めて火炎放射器で焼き尽くしていく。
ケチなネクロマンサーがそこらの死体で黒魔術を行おうとして、警察に撃たれて残機を減らす。
破滅預言者が街中で世界崩壊の教義を叫び、カルト宗教への勧誘に余念がない。もう終末なのに。
頭上に輝く、摩天楼――。天を衝く数多くのビルディング。メガコーポどもの安寧の城。
そこでは富裕層たちが自分の欲望を満たすために鎬を削り合っている。
そのシーソーゲームの上じゃ、足元を見ることはない。
ラスト・ヘイブンの面積上のスラム占有率は驚異の62%。低所得者層は人口比で81%。
都市として破綻している。だが、企業たちにとってもはやそれはどうでもいいことだった。
第二次大戦のちょび髭よりも酷い。街が巨大な人間収容所になっているのだから。
……なぜ俺はこんな世界に生まれてきてしまったのだろうか、と何度も神を恨んだ。
実際に神はいるらしい。それは異世界人……エルフやらドワーフやらから聞いた話だが、余計に恨むしかない。
異世界転生。その中でもとびきり最悪な状況。
生まれは幸いなことに、コーポでもエリートの両親だった。だが幸いなのはそれだけだ。
親から顧みられることも愛情を注がれることもなく、子守アンドロイドとドローンだけが俺を育ててくれる。友達なんていない。今の時代、そんな奴らばっかりだけどな。
……だが、両親を責める気にはなれなかった。毎日死ぬような思いでコーポの闘争を走り抜いていたから。自分が生きるためにではなく、俺を生かすために。
俺も必死の思いで、初等教育、中等教育、高等学校を過ごした。
メガコーポの将来を担う期待の新星たちは、思ったより丁重に扱われる。殿様扱いだ。
だがガキ同士の間ではその限りじゃない。いつだって小規模な冷戦状態。
自らのほうが優れていることを示す、とかならかなり真面目な良い子ちゃんで微笑ましい。
気に入らない奴を殺すだとか、女子が欲しくなったから誘拐するだとかも罷り通ってしまう。
親の立場が上であればあるほど、無限の横暴が許される。
中でも、【豊上重工】のお嬢様は特別だった。
生まれながらにしてあらゆる全てを手に入れている女。容姿端麗、頭脳聡明で文武両道。
別に誰も手は抜いていなかったし下駄を履かせてたわけでもないのに、そのお嬢様は全ての頂点に立つ。どんな成績も彼女が一番。不正はなかった、本当に。だから陰口で化け物呼ばわり。
しかしまあ実際に化け物と呼ぶやつは誰もいない。家柄もあるけど、全てを見下している淀み濁った瞳が自分に向けられることを皆恐れていたから。彼女と対等な存在は誰もいなかった。
そんな俺は順調にすくすく育ち学んで遊んで、コーポの専門大学に進学し、とっても順風満帆に豊上重工の一員入りを果たしてとびきりの笑顔で新入社員としてアサインされ――。
……今はスラムの泥を踏みながら歩いている。
港湾地区に隣接する、カナガワ17番ディストリクト。サガミ・ストリート15-1。
巨大な廃倉庫だ。略奪されたコンテナがいくつも転がってる。その廃倉庫の中に入っていく。
頭上の欄干にもたれて安っぽい電子タバコを吹かしていた作業員が俺を認め、片手を上げる。
「おう、大将。たまにはAGVで帰ってきてくださいよ、歩きじゃなく」
「
「へいへい。俺にも女くださいよってに」
男を無視し、そのまま廃倉庫を通り過ぎて裏手に回る。そこにも何人か、サイバーゴスパンクファッションの女性たちがたむろしている。
パステルカラーや原色でギトギトに着色されたサイバネティック・ウェアを腕や足や顔に見せびらかしながら、その手には銃が並ぶ。
だが彼女たちは俺を認識しても特に何も言わず無視して会話を続ける。
わかりにくく隠されたドアを開けると、倉庫の地下へと続く真っ暗闇の下り階段が現れる。
立ち昇る匂いはコンクリートと埃の臭い……それに混じって、独特な甘い匂い。
躊躇なく下っていく。暗くても問題なかった。よく見知った場所だから。
虫が羽休めしてる非常灯に照らされ、もう一枚の重たいドア。
それを軋ませながら開けると、ホーム・スウィート・ホームだ。
重低音でノイズ混じりのダンス・ミュージック。
タバコとドラッグの副流煙と、それに加えて汗と愛液と精液の香りが輪郭を帯びる。
皆が酒を飲み、談笑し、喧嘩し、ナンパをしては暗がりでサクッとセックスをしている。
地下違法運営のクラブ、というのがこの廃倉庫の正体だ。
警備に片手を上げて声をかけつつ進み、店内のグループごとの喧騒に顔を顰めながらバーカウンターに辿り着く。
「客を嫌がるもんじゃないよ」
「金をたっぷり払ってくれてる奴だけを客と呼べ」
「同感。給料をたっぷり払ってくれる奴だけをオーナーと呼ぼう」
舌打ちしながら、バーカウンターの向こうで得意げに笑う女を見る。
両手でカクテルを作りながら、二本の増設腕でグラスを磨く、胸と尻がめちゃくちゃデカくて露出が無駄に多いメイド服を着た異常な女。短いツインテ黒髪に白肌に6つの目。蜘蛛女、カーラ。ムカつくバーテンダー。なんでか常にノーパン。
「オーナーは何飲む?ママのミルクがほしいでちゅか?」
「異常なしってことでいいか」
「まーね。ここに来るやつは仕事帰りの犯罪者かフリーランス、あと浮浪者だけ。企業モンはとんと縁が無い。良い酒を仕入れなきゃいけない手間が省けて大助かり」
カウンターに凭れながら店内を見渡す。
銃、バット、マチェット、カタナ、チェンソー(は?)などなど、客は全員どこかしら武装を引っ提げて酒を飲んでる。
こいつらは酒が飲めればどこだっていいと思ってる。だが死にたくはないから武器を目立たせて、例え撃たれても刺されてもお前だけは道連れに殺してやる、と相互確証破壊を成立させる。
結果として勝手に治安が良くなって助かるな。
「奥に引っ込む。カーラ、チップは多めに奪っとけよ」
「それ全部ワタシのモンだけどね。オーナーにはやらないよーん」
給料安いからな。器用に目をガチャつかせながらベロベロバアするカーラを無視し、バーカウンター奥のスタッフ用ドアを通り抜ける。
店のキッチンを兼ねた広いバックヤード(カーラの私物多め。とうとうベッドまで)を更に通り過ぎ、ちょっと廊下を通れば俺の私室に到着する。
コンクリート打ちっぱなしの殺風景な一部屋だ。趣味の伺えるような小物や家具はほとんど存在しない、我が事ながら寒々しさすら感じるような空間。クローゼットやガンケースや書類棚や冷蔵庫や薬箱などなどが生活感丸出しで乱雑に置かれ、その奥には以前拾ってきたキングサイズベッドが鎮座する。
その温かな寝床に、ちいさないきもの、が眠っている。
清潔なリネンの上にこぼれる、白砂のような銀の長い髪。寝汗で瑞々しく輝く褐色の肌。
横顔をベッドに突っ伏していながらも、その輪郭は愛くるしさと美しさを同居させた彫刻めいて整っており、短い腕、短い足、短い胴はなだらかで起伏のかけらもない。
あまりに幼く、どこか色気を含み、しかし両足のサイバーウェアはマットなクロームメタルに冷たさを同居させている。
「――紫苑」
そう名前を呼ぶと、ぱち、ぱちぱち、と長い睫毛を羽のように伸ばす瞼が気だるげに瞬き出して、茫洋とした深青の瞳が空中を彷徨う。
喃語をなにかむにゃむにゃと口内で転がすような声がしたあと、再度瞼を瞑る。二度寝するな。
仕方ないのでベッドに近づき、どっかりと腰を下ろして彼女の髪を整えてやる。
むず痒そうに身を捩るのを構わず、頭、つむじ、こめかみ、うなじと指を沿わせて手櫛を入れてやるとようやく「んんー」と声に輪郭が乗ってくる。
「なに……」
「帰ってきたぞ」
「ん……ねる?」
薄目を開け、こちらを覗き見てくる。不満げに甘えながら。
子猫だ。実際子供と変わらない体格をしてる。だが――
「実年齢27がガキみたいに甘えた声出すな。起きろ」
「ぅ……ろりこん。わたしは、ずっとがき。……嬉しい?」
「うるせえな……」
もっちりしたケツを引っ叩いてやると、棒読みで「あぁーん」と鳴く。こいつ。
そうしてようやく伸びをしながらデカいあくびを吐き、紫苑が上体を起こす。
薄い胸、幼児体型。ぽってりと突き出た乳首と乳輪は無垢なピンク色をしているし、じっとりとした汗かきの褐色肌は独特の甘い匂いを漂わせている。男の身体からは到底出てこない匂いだ。
そのあどけない顔はじとーっとした無表情で、むっすりと生意気なかわいい顔。
ていうかなんで裸?
「しごと?」
「終わらせてきた。お前の分もないから安心しな」
「いいよ。別に。はたらく」
「必要になったら思う存分働いてくれ。稼いでもらわなくちゃ困るんでな」
「んー……ゆびわ買お。お嫁さんゆびわ」
クリームパンみたいなちっこい手を突き出してきて、左手の薬指をアピールしてくる。
こいつは手が小さければ指も短い。本当にガキだ。
「ダイヤが飴になってるやつならいくらでも買ってきてやる」
「けちだなあ。甲斐性なし。いんぽてんつ。くらみじあ」
「余計な知識ばっか吹き込まれてんなマジで……」
脳裏でカーラがガハハ笑いしてるのが再生された。ウザすぎる。
ベッドから立って冷蔵庫を開け、缶ビールを2つ手に取って振り返る。
「紫苑」
「ん。わん」
ぽい、と一つを放り投げる。なんでもない空中、普通に放物線を描くと床に衝突する軌道。
ベッドに座り込む紫苑の身体が僅かに揺らめいて、RGBがズレていく。
その一瞬後、直立した紫苑が冷蔵庫に背を預けながらビールのプルタブを開けていた。
「きょうはとよがみ?」
「いや、マンの役員の息子だった。なんで揃いも揃って増長したガキは暴力的になるのかね」
「ぼすもそうじゃん。増長したガキ。かこけい」
「相対的に品行方正だよ」
端末を開き、録画を紫苑に見せる。
成人もしてないだろうガキが卸したばかりのセックスドールに意気揚々と抱きつき、暴力行為を興奮しながら振りかざしている。蹴る殴る犯す。ほぼ狂乱している。
紫苑は無感動に「おー」とか眺めているが、何も思わないのか。これくらいじゃ動じないか。
「もうかるの?これ」
「そこそこかな。金持ちが廃棄したがってるセックスドールを秘密裏に回収してやるのでまず一個儲けて、その金でセックスドールをリサイクル。内部機構は共通規格だから修理も楽だし、ガワだけ変えなきゃだがプリンターのおかげでそこまで手間もなし。諸経費込みでも四割五割くらい手元に残る」
「ふーん」
最初でもう聞くのやめてたなこいつ。
今の時代の女衒は楽だね。セックスドールを注文通りに仕立てて違法OS入れて卸すだけだ。
ここにブランド価値としてアングラ感出せば、火遊びしたいガキが爆釣。
違法セックスドールなら、殴ってよし犯してよしとんでもない性癖を実現してもよし。
ああ金になって仕方ない。性欲ってのは厄介だな、本当に。
しかし、実際正規品のセックスドールってのは窮屈なもんで、暴力は当然ダメだし、廉価品は愛撫からスタートじゃないといけないのに適当な反応、高級品はしちめんどくさい恋愛模様を描かなくちゃキスすらさせてくれないと来てる。
もしも正規品のセックスドールを犯そうものなら、信用スコアが低下する上に自身のソーシャルメディアにぼやけた表現で晒される。健全な社会のためにセックスドールにも権利を、とのことだがオナニー道具に権利なんかないだろと思うんだがどうなんだ。女性からは評判いいのがな……。
「どーる使ったことある?」
「ないな。別にいらなかった。そもそもそれどころじゃなかったからな」
「ひとりでさみしくしこってたんだ。かわいそ」
「お前も独り身だろうがよ」
「ガキだから」
べ、と舌を出して挑発してくる。なんの感情もない顔でやられると大した挑発にもなってないんだが。
だんだんアルコールが回ってきてぽやぽやと頭を揺らし始めた紫苑を眺めながら、ビールを啜っていると。
こんこん、とドアが叩かれる音。紫苑が消失する。
「へいへい。どうした?」
「オーナー?届いたブツの搬入しとくねー」
「カーラか。チップはいつもの口座から払っといてくれ」
「あいよー」
紫苑が現出する。
全裸の紫苑がドアを開け、身を乗り出して廊下に顔を覗かせた。
小さい尻がふりふりと揺れてる。子犬の尻尾がブンブン振られてるイメージ。
「かーらー」
「どしたの紫苑ー。店の冷蔵庫にクリームロールあるよ」
「ありがとー。またふぇらちおのやりかたおしえてー」
「おい」
「いいわよーん。紫苑は教え甲斐があって楽しいからね~!また後でね~!」
「ばいばーい」
腕をぶんぶん振って見送る後ろ姿は、非常に楽しげに見える。
内容はゴミカスだが、まあ、紫苑に友達が出来てるのは良い事だ。
こいつは表情というものにとんとやる気が見られず、そのかわりにちっこい身体で一所懸命にやる仕草は如実にこいつの機嫌やら感情やら思考やらを示している。
苛ついてるときは露骨に貧乏揺すりして、嬉しいときは小刻みにステップを踏む。
こういうやつだから、自然と紫苑の全身を眺めることが多くなった。
遮るもののない尻をこちらに突き出して、ケツ穴と小さなすじが僅かに見えている。
ラビアが秘貝を押しのけて見えていることだけが年相応な部分だった。
「……」
紫苑がこちらを振り返ってじっと見ている。
「ぼっきしてる」
「そうだな」
「……ろりこん」
尻をこちらに突き出したまま、紫苑の片足は小刻みなステップを踏み続けている。
↓◆↓
紫苑はあまり熱いシャワーは好まない。
仕方なく、毎回シャワーはぬるい温度に設定している。
「ん。……、ぅ、ぅ……」
市販品のボディソープは余計な化学薬品だったり界面活性剤が濃かったりするから、紫苑とこうするようになってからはわざわざ豊上のコネクションで高級品を買わなくちゃいけなくなった。
オーガニック素材だとか美肌作用だとか、まあとにかく良さそうなことが書いてある。おかげで、紫苑の匂いはドブネズミから美少女に無事ランクアップしたわけだが。
なめらかな肌に泡が滑っていき、それを掬い取るように紫苑に擦り付けていく。高級時計を磨くような慎重さと、目の前にあるものへの欲望が混ざった手つき。
「……わたし、あらうひつようない……ぁ」
「ある。綺麗になってもらう」
「くさいの、すきなくせに……」
それはそれ。これはこれ。
紫苑を綺麗にしておくのはメリットがたくさんある。
衛生面、清潔にしとかないと死ぬ可能性があるから、というのはまあ当然として。
紫苑が綺麗だと俺のモチベが上がる。俺が洗ってやったからな、って満足感だ。
更に言うと、紫苑が綺麗なおかげで仕事が纏まる時もある。仕事を頼む時、見かけがボロ雑巾になってるやつに頼むよりも、見栄えがいい奴の方がなんだか成功率高くなりそうだろ。
ついでにカーラや知り合いもみんな喜ぶ。ドブからプラチナが出た!ってな。
乳首を掠るように手を這わせると、紫苑の内腿がぴくっと動く。反射で股に力が入るらしい。
手を下げて胸から腹、下腹から腿を撫でていくと色っぽいため息を吐いてくれる。
心臓の鼓動が早くなってるのもわかる。こいつは既に期待をしている。
一緒にシャワーを浴びるってルーチンにいつの間にか刷り込みがなされていたようだった。この後、気持ちいいことするんだ、と。たのしみだな、とでも考えているのかもしれない。
「こっち向け」
「ぁ……ね。ちゅー……して」
僅かに紅潮した顔が目の前に突き出され、仏頂面の中に潤んだ瞳だけが表情を伴っている。
唇を重ねてやると、やや躊躇いがちに紫苑の腕がこちらの首に回される。
「ちゅ、ちゅぅ……んむ、ふゅ、んちゅ……へぅ」
もう息が上がり始めている。紫苑の小さな身体は、アルコールを全身に伝えるのも早ければ、興奮も快楽の伝達も愛液の分泌も早い。
全力の愛情表現らしいキスをあわせてやりながら、小ぶりな尻を撫で、太腿から足先へと泡で撫でていく。そのまま折り返して背中へ。紫苑の髪を纏めてやるのも上手くなった。最初は嫌がられてたけど、今ではもうされるがままに俺の奉仕を受け入れてくれている。
こういう時は抵抗しない方が気持ちよくなれる、と学習するように俺が仕向けたからでもある。
「ぁ、おっき……ちゅ、ぇれ……はぷ、んちゅ、ぅ」
舌を絡めてキスに没頭しながらも、紫苑の太腿が俺の陰茎を挟み込む。
薄く柔らかい肉と、硬質な骨の感触に押しつぶされる感じ。飯も食わせてやっているのにまだ少し華奢。それでも一時期よりは遥かに肉付きはしっかりしてきていて、尻肉の弾力は悪くない。
紫苑が腰を揺する。シャワーの水音と違う、粘性のねちゃりとした音。裏スジに内腿よりももっと柔らかい肉が擦れ、快感がぴりっと走る。
「いれてほし……」
「……排水溝が詰まる。シャワーも安くないし」
「ぅう~……むらむらむら」
無表情に僅かに眉を寄せて、でも不満げっていうよりは体の底から湧き上がる欲望を我慢すること自体への快楽を楽しんでるように見える。素直じゃない。
紫苑はガキっぽい喋り方をするし、仕草も幼くて、人見知りも激しい。だけどちゃんと賢い。
こちらが伝えた言葉をよく理解するし、理由も対処法も自分一人でわかってる。
紫苑の指が固定されたシャワーヘッドに向けられると、く、と僅かに水の軌道が変化して俺の下腹辺りをさっぱり流していく。
たったそれだけ。そうして紫苑はするするっとこちらの手から抜け出して姿勢を低くさせて、顔を陰茎へと近づける。慣れた動作でついでとばかりに紫苑自身の手はちっちゃな縦筋に。
「おなじにおいする……ん、ちゅ、ちゅ、んむぷ……んぐ、ん、ふっ……」
先端にキスをいくらかして、すぐに口内に亀頭を飲み込んでいく。
淡い唇がきゅーっと吸い付いてちんぽの形状に沿って進行。
だが紫苑にはちょっとサイズがオーバーだ。カリ首をほんのちょっと通り過ぎた程度で限界を迎え、亀頭と裏筋の一番敏感な部分だけを舌が器用に擦り上げてくる。
これヤバい。
「ぅおおっ……紫苑ッ、こんなの教えてないだろ、ッ……」
「ん、んぷ、んふーーっ……ぷぁ、……きもちい?おしえてもらった」
フェラチオを中断してる間も手コキは欠かさず、ちっこい片手で懸命にごしゅごしゅと根本から半ばを刺激してくる。
かなり悪くない。腰が浮く。
紫苑の小さい舌と他の女よりも高い体温は、ちんぽを蕩かすのに適しているのかもしれない。
そしてこちらが気持ちよさそうな反応をしているのを、紫苑はじーっと観察してくる。
無表情なのにかわいい顔で。宝石のように綺麗な瞳で。
「せーえき、いつでもどーぞ……ぁむちゅ、んむ、ん、ん、っ」
「っああ、くっそ……上達しすぎだ……!」
「んふ~……ぇろ、ぇむ、ちぅぅーっ」
効率的に男の射精を促す舌使い。背筋がざわつく。
舌で裏筋を刺激し、唇全体でカリ周りをくぷくぷと皮を引っ張るように吸い付いて、ポンプのように催促するために茎全体を満遍なく手コキしてくるのも心地いい。
漏れた先走りは余さず啜られている。うっとりと深い青色の目が潤む。
紫苑のせいで早漏気味になったとはいえ、そうでなくてもこれはあんまり抗える気がしない。
「紫苑ッ」
「らひて。いいよ。すき。のませて。わたしだけみて。ん、ぇー……」
短い舌を伸ばしてぴったりと裏筋から鈴口にくっつけて、口を開けたまま手コキを激しく。
幼い外見。射精を促す細い目つき。先走りと唾液で濡れたエロいピンク色の口内。
昇ってくるものを我慢せず放つ。
「んっ、んぁ、んじゅる、っ、ちゅぅぅ……っ」
腰と膝を震わせながら射精。
脳が真っ白に染まる。だけど視線は紫苑から逸らさない。
すぐに口内が白濁にあふれて、慌てて先端に吸い付きながら濃い精液を飲もうとして飲み込めなくて、紫苑の唇が漏れた精液に汚れる。吸い付くのに必死。
手コキの動きは緩やかに、喉を鳴らして粘つく液体を摂取することに集中。
……いや、紫苑に咥えさせる快楽で必死だったけど、こいつも気持ちよさそうだ。熱心に指でクリトリスを捏ね、薄尻をかく、かく、ともどかしそうに跳ねさせている。
ゆっくりと唇が亀頭から離れていき、唾液とも精液とも区別がつかなくなった糸のブリッジが紫苑の顎を伝って伸び切れていく。
「はぁ……っ、たくさんだ」
「すまん、ペットボトル持ってきてない」
「いい。くちのなか、くさくてうれしい」
頬っぺたの内側を舌でこそいでいるのか、もごもごと口をはちゃめちゃに動かしては喉を鳴らしている。こいつは精液を飲むのも好きらしかった。
気が済んだのか、口をほうと開け、真っ赤な舌と口内を見せてくる。
照明でテカる粘膜。唾液をこぼす唇。世界で一番綺麗な女の子の裸姿。
「……またおおきくなった。べっどべっどべっど」
「はいはい……」
「おひめさまだっこ。ちゅー。あいのことば。えっちのとき以外も、すきっていって」
「わかったわかった」
「てれてる。ぼすはわたしに逆らえない」
出したあとはどうしても相手に甘くなる。
紫苑を抱えてやりキスを一つ落としてやって、耳元でぽそりと囁くと、それだけで紫苑の鼻息がふんすふんすと荒くなってお返しとばかりにこちらの首元に100回くらいキスをつけてくる。
「先に髪を乾かさないとだろ。痛むってカーラに教わったよな」
「ん。カーラの教えにはしたがう。ぼすのちんぽもカーラのおかげできもちよくなった。おれいしよ」
「本当に小癪な……」
紫苑にバスタオルを引っ掴ませ、寝室に向かう。
このあとは紫苑が眠たくなるまで、5回ほど中出しするのがルーチンになってる。
爛れた関係。俺は紫苑に依存している。紫苑がどうかはわからない。
紫苑と出会った時は、こうなるつもりはなかった。
だけどどうにもこの世界は倫理や道徳や貞操観念ってものが希薄で、みんながみんな快楽に依存している。これを一度味わってしまったらもうダメだ。離脱することはできない。
だったらもうそれでいい。開き直って、この世界を楽しむことにした。
俺の最大の目標は決まっている。
豊上重工、その創始者の一族。豊上の長老から次期支配者に直接指名された純正の怪物。
豊上 瑠璃。
彼女を犯す。あの、あらゆるすべてを手に入れて尚つまらなそうに見下す目を、俺の物にする。
夢は大きく、月を手に入れろ。そんな父親の遺言は、俺の呪いになっていた。
補足
サイバーウェア: 人体拡張技術のひとつ。人体の一部を機械などで補完して機能を後付けするもの。Cyberpunkのアレと同じ。
本作はAIを一部使用しています。設定、キャラクターの詳細部分、展開の大筋などをAIに生成させているものになります。
書き溜めとかはないのでゆっくりペースになります。