※この作品はR-18です。

とある死喰い人の犯罪記録   作:神魂

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投稿です。今回は児童文学【ハリー・ポッター】シリーズの二次創作を描いてみました。
舞台は第一次魔法大戦時(1970年~1981年)ヴォルデモート全盛期で、主人公は死喰い人です。
主人公は悪人で外道です。
楽しんで頂けたら嬉しく思います。
※一部AIのべりすと使用。


死喰い人【ジョン・スズキ・スミス】

児童文学【ハリーポッター】シリーズに登場する敵組織【死喰い人(デスイーター)】のメンバーの一員の闇の魔法使いが、自身の欲望を発散する為、マグル(魔法の使えない人。非魔法族)の女性に魔法を使用し、好き勝手する話。

 

 

登場人物:【ジョン・スズキ・スミス】

 

今世紀史上最悪の闇の魔法使い【ヴォルデモート卿(本名:トム・マールヴォロ・リドル)】率いる反社会組織【死喰い人】の一員。

母親は魔女(日系英国人)で父親はマグル(英国人)の混血の魔法使い。

ホグワーツでの学生時代は、ハッフルパフに所属していた。

母親はジョンが幼い頃に死亡。父親は母親が魔女だと知り、恐怖で逃亡。

(母親は自身が魔女である事を隠していた)(後に父親はジョンに殺害される)

 

学生時代はその顔立ち(東洋人の血筋)故に、差別対象になった。

(この頃の事をジョンは「ハッフルパフは勤勉で公平じゃなかったのかよ、クソが」と言っている)

 

「純血の魔法族が至高であり、マグル生まれやマグルは下等な存在である」と考える【純血保守派】や【死喰い人】。

親マグル派・マグル融和派と言いつつ、実際はマグルを(無意識に)下に見ている英国魔法界の大多数。

両方とも「クソだ」とジョンは内心思っている。

(そんな彼が何故【死喰い人】の一員かというと、そっちの方が自身が悪事を働くのに都合が良いから)

 

魔法使いとしての腕はかなり高い方であるが、彼はその能力を自身の欲望を満たす為に使っている。

(彼は同じ組織の他の死喰い人達の事を仲間とは思っていない。都合が良いからいるだけである。ぶっちゃけ他のメンバーもそう思っている)

 

【死喰い人】としての任務をこなしつつ、その合間にマグルの女性に魔法をかけ、自身の欲望を発散したり、金持ちの家に忍び込み金を盗んだりしている。

彼曰く

 

「マグルの女でも女は女。穴の気持ち良さは変わらない」

 

「魔法界の金だろうが、マグル界の金だろうが、金は金」

 

得意な魔法は

 

【相手を意のままに操る服従の呪文(インペリオ)】

※禁じられた呪文の一つで、使用するだけで、英国魔法界の監獄アズカバンの終身刑になる。

 

【特定の記憶を消せる忘却呪文(オブリビエイト)】

 

【盾の呪文(プロテゴ及び系列の魔法)】

 

何故か使用できる

【守護霊の呪文(エクスペクト・パトローナス)】

※守護霊の形は魔法生物の【バイコーン】

 

---

 

【欲望の奴隷】

 

 

1980年6月15日 18:50

ロンドン東部住宅街

 

 

ロンドン市街地の裏路地で【ジョン・スズキ・スミス】は杖を握りしめて立っていた。

今夜は任務もない自由時間。

本来なら死喰い人達は主君ヴォルデモート卿の計画に従い動くべき時刻だったが、彼にとっては些細なことだった。

 

「どうせアイツらも俺の事なんか信用してねぇしな」

 

薄暗い照明の中、一人の若い女性が通り過ぎようとした。

赤毛に茶色の瞳。化粧気のない素朴な美しさを持つ普通のマグルの女性だ。

 

「インペリオ」

 

ジョンの口から囁きのような詠唱が漏れる。

紫色の霧状の光が女性の頭上に降り注ぎ、彼女の目が虚ろになった。

女性は無表情のままジョンの方へ歩いてくる。

 

「来い」

 

ジョンは女性を連れて近くの安ホテルに入ると、ベッドに押し倒した。

そしてもう一度呪文を唱える。

 

「インペリオ……もっと強く」

 

今度は赤みを帯びた光が女性を包む。

彼女の目が狂気じみた輝きを放ち始めた。

 

「これがいいんだよ……」

 

ジョンは自分のシャツのボタンを外しながら呟いた。

 

「お前らみたいなマグルを見下してる連中も、結局はこうして楽しんでるんだろうけど……俺は違う。俺は本当にお前らを"理解"してるんだぜ?」

 

女性は何も答えなかった。

ただ、彼の指示に従うだけの人形と化していた。

 

行為の後、ジョンは窓際に立ちながら煙草に火をつけた。夜風が頬を撫でる。

 

「やっぱりな……マグルの女も悪くねぇ」

 

彼は女性の方を見た。

まだ朦朧とした様子で横たわっている。

 

「でもよぉ……この後はどうすっかな」

 

ジョンは考え込んだ。

このまま放置すれば、翌朝には警察沙汰になるかもしれない。

最悪の場合、マグルとの接触が魔法省にバレてしまう危険もある。

 

「まぁ、いつも通り忘れさせるか」

 

彼は杖を取り出し、女性に向かって再度呪文を唱えた。

 

「オブリビエイト」

 

白い光が女性の頭部を包み込む。

徐々に彼女の表情が通常に戻っていく。

 

「さて……と」

 

ジョンは身支度を整えながら、女性に向かって最後の命令を出した。

 

「ここでの出来事は全て忘れろ。何もなかった。明日の朝まで眠れ」

 

女性はゆっくりと目を閉じ、深い眠りに落ちていった。

 

ジョンは静かに部屋を出て、ホテルの廊下を歩きながら鼻歌を歌った。

 

「それにしても……次はどんな女を相手にするかな?」

 

彼は自分の正体を隠すために魔法で姿を変えながら、夜の街へと消えていった。

死喰い人としての任務と、個人的な欲望の満足を両立させる事に全く罪悪感を感じていない。

ジョンの心の中で唯一鮮明なことは、自分が誰よりも自由であること。

そして、それが最も大切なものであるということだった。

 

---

 

【主従の狭間】

 

 

1980年7月2日 17:15

イギリス某所 マルフォイの館

 

 

死喰い人の拠点の一つ【マルフォイの館】にて。

豪華絢爛な応接室で、ジョンは跪きながら報告を終えた。

 

「……以上です、我が君」

 

【ヴォルデモート卿】は蛇のように細長い指で顎を撫でながら、ジョンを見つめた。

赤い瞳が一瞬煌めいた様に見えた。

開心術を使っているのが明らかだった。

 

「よくやった、スミス」

 

ヴォルデモートの声は氷のようだった。

 

「引き続きあの家の動きを探れ」

 

「御意」

 

ジョンは深々と頭を下げた。

 

退出しようとしたジョンを、【ベラトリックス・レストレンジ】が待ち構えていた。

死喰い人きっての実力者で、黒いドレスを纏った彼女は、鋭い目つきでジョンを睨みつけた。

 

「どこに行くつもりだ?」

 

ベラトリックスの声は冷たく尖っていた。

 

ジョンは肩をすくめた。

 

「帰るんだよ。他に何かあるか?」

 

「キサマの忠誠心が疑われるぞ、スミス」

 

ベラトリックスの唇が歪んだ。

 

「我が君への献身を忘れるな。我々死喰い人はあのお方の手足だ」

 

「そうだな」

 

ジョンは笑みを浮かべた。

 

「だからこそ、俺はしっかりと仕事をこなしてる。それに、忠誠心なんて必要か?」

 

「何だと?」

 

ベラトリックスの目に怒りの炎が灯った。

 

「だってよ」

 

ジョンは杖を軽く回しながら言った。

 

「我が君が求めるのは結果だろ?成果さえ上げれば、あとはどうでもいい。少なくとも俺はそう解釈してるぜ」

 

「馬鹿な!」

 

ベラトリックスの声が高くなった。

 

「我が君は全てをご覧になっている!お前の醜い欲望も、すべて!」

 

「はいはい、わかりました」

 

ジョンは適当に言った。

 

「そんな怒んなよ、折角の美人の顔立ちが台無しだぜ。ブラック家の元お嬢様。おめえさんは顔だけは良いからな」

 

ジョンは揶揄う様に言った。

そして立ち止まり、背後のベラトリックスを振り返る。

 

「まあ、安心しろよ。俺はちゃんと働いてる」

 

ジョンは真面目な顔になった。

 

「我が君の計画が実現したら、きっと面白いことになる。俺にとっても都合が良いしな」

 

「やはりキサマは……」

 

ベラトリックスは言いかけたが、廊下の奥から別の死喰い人が近づいてくる気配を感じ、言葉を飲み込んだ。

 

ジョンは片手を挙げて別れを告げた。

 

「じゃあな、ベラ。また次の任務で」

 

「スミス!」

 

ベラトリックスの叫び声が廊下に響いたが、ジョンはすでに姿を消していた。

 

彼は館の外に出ると、深呼吸した。夜の空気が肺を満たす。

 

「面倒なヤツだな……」

 

ジョンはポケットから煙草を取り出して火をつけた。

紫煙が夜空に溶けていく。

 

「さて、今夜はどう過ごすかな……」

 

彼は笑みを浮かべながら、次の獲物を探すため、霧のロンドンの街へと歩き出した。

 

 

---

 

【家族の崩壊】

 

 

1980年7月7日 19:17

ロンドン 某高級住宅街

 

 

ジョンはターゲットとなる邸宅を見上げていた。

郊外に建つ豪奢な三階建ての家。

周囲に人影はない。

警備システムを解除し、音もなく庭へと侵入する。

 

「これは期待できそうだな……」

 

窓から中の様子を確認すると、居間で金髪の美しい女性が本を読んでいた。

この家の家主の妻【メアリー】だ。

彼女の整った横顔と豊満な胸を見て、ジョンは舌なめずりした。

 

「まずはお前からだ、美人さん」

 

ジョンは玄関の鍵を魔法で開け、堂々と家の中に入った。

 

「誰!?」

 

メアリーが驚いて立ち上がった瞬間、ジョンは杖を向けた。

 

「インペリオ」

 

紫色の光線が彼女を包み込む。

メアリーの瞳から意志の光が消え、操り人形のように棒立ちになった。

 

「よし……」

 

ジョンはにやりと笑いながら彼女に近づいた。

 

夫のマークと娘アンが書斎から出てくるところを捕らえ、同様に服従呪文をかけて拘束した後、ジョンはメアリーを夫婦の寝室に連れ込んだ。

 

「さて、お楽しみの始まりだ」

 

---

 

月明かりが照らす薄暗い部屋の中、メアリーはベッドの端に腰掛けていた。

夫は仕事で家を留守にしており、娘はすでに眠りについている。

(実際はジョンによって拘束されている)

彼女は一人で起きていた。

だが彼女の頭の中は混乱していた。

 

「メアリー」

 

背後から囁くような声がした。

彼女は振り返る前にすでに知っていた。

この声を聞くたびに感じる奇妙な親近感と欲望。

それが誰なのかわからないのに、なぜか抗えない。

 

「貴方は……一体……」

 

「ああ」

 

ジョンの声は甘く響いた。

 

「君が呼んだんじゃないか?」

 

メアリーは首を傾げた。

自分が呼んだ記憶はない。

だが否定することもできない。

体が火照り始め、理性が溶けていくような感覚に襲われる。

 

「何故……」

 

彼女は言葉を探すように息を吐いた。

 

「私は……貴方を知らないのに……」

 

ジョンはゆっくりと近づき、彼女の隣に座った。

その指が彼女の頬に触れると、電流が走ったような快感が全身を駆け巡る。

 

「知らない?本当に?」

 

ジョンの声には嘲笑が混じっていた。

 

「君の体は覚えているよ」

 

「私は……夫を……」

 

「夫を裏切ることはできない?」

 

ジョンの声は低く響いた。

 

「でも君の体は違うと言ってるみたいだが」

 

彼の手がメアリーの首筋を撫で下ろし、ドレスの襟元へと滑り込んだ。

 

「ダメ……」

 

彼女の声は震えていた。

 

「私には夫がいるの……」

 

「勿論」

 

ジョンは優しく答えた。

 

「夫がいても楽しめるさ」

 

彼は魔法を使用し、メアリーの抵抗を溶かしていく。

彼女の理性は徐々に影を潜め、本能的な欲望が表に現れ始めていた。

 

「君は特別なんだ」

 

ジョンは囁いた。

 

「多くの女を見てきたが、君ほど素晴らしい肉体はなかった」

 

「嘘よ……」

 

メアリーは弱々しく否定した。

 

「では比較してみようか」

 

ジョンは挑発的に言った。

 

「夫と俺のテクニック、どちらが君を悦ばせるか」

 

彼の指がドレスのボタンを一つずつ外し始めた。

抵抗しなければならないのに、メアリーの体は硬直し、動かない。

まるで自分の意志とは関係なく反応しているようだった。

 

「ダメ……お願い……私には夫と娘が……」

 

彼女の言葉とは裏腹に、体は熱を帯びていく。

 

「何がダメなんだ?」

 

ジョンは彼女の鎖骨にキスを落とした。

 

「この体は欲しがっているぜ?」

 

メアリーの唇から漏れる喘ぎ声は小さく、しかし確実に大きくなっていった。

ジョンは彼女の弱点を知り尽くしているかのように、的確に刺激を与え続ける。

 

「こんなの……おかしいわ……」

 

メアリーは涙を浮かべながら訴えた。

 

「私……どうして……」

 

「答えは簡単さ」

 

ジョンは耳元で囁いた。

 

「君が本当は求めているんだ。夫では満たされない部分を」

 

彼の言葉はメアリーの心の奥深くに突き刺さった。

実際、彼女の体は自身の意思に反して反応していた。

メアリーの恥部から愛液が溢れ、彼女の履いている高級な下着を徐々に湿らせていく。

ジョンは笑いながら彼女の下着に手を伸ばす。

 

「ほら見てごらん」

 

彼は指で下着の染みを示した。

 

「君の体は正直だ」

 

メアリーは顔を赤らめ、目を逸らそうとしたが、ジョンは許さなかった。

彼女の顎を持ち上げ、強制的に見つめさせる。

 

「見ろ」

 

彼は低い声で命じた。

 

「これが君の本当の姿だ」

 

彼の指が下着の上から敏感な部分を撫で上げると、メアリーは背筋を反らせて声を上げてしまった。

 

「あぁっ!」

 

彼女の声は甲高く響き、羞恥心を増幅させる。

 

「いい声だ」

 

ジョンは満足そうに言った。

 

「もっと聞かせてくれ」

 

彼は彼女の下着を脱がせ、直接触れる。

その瞬間、メアリーは強い快感に襲われた。

まるで生まれて初めて感じるような強烈な波が押し寄せてくる。

 

「ダメ……ダメなのに……」

 

彼女の言葉は徐々に弱くなる。

 

「私……何故こんなに……」

 

「君が悪い訳じゃない」

 

ジョンは言った。

 

「女性なら誰だって自然な事さ」

 

ジョンはそう言うとメアリーの唇を奪った。

まるでメアリーの唇を捕食するかの様なキスだった。

同時に彼は右手でメアリーの乳房を揉み解す。

そして左手で彼女の陰核を刺激する。

メアリーの瞳は潤み、唇は半開きになって舌を出し、吐息は乱れ始める。

夫とはまた違った快感を与えてくれるジョンの存在に惹かれつつあった。

 

「私も……貴方が欲しいです……」

 

メアリーは両脚を広げた。

 

「こっちも弄ってください……♡」

 

ジョンはまずメアリーの膣内に舌を入れた。

そして膣口の周辺を舐め回しながら丁寧に舐めあげていく。

メアリーのクリトリスは徐々に大きくなっていき硬さを増し始めた。

ジョンは指でクリトリスの包皮を捲りあげると、剥き出しとなった陰核亀頭部へ吸いついて口内で転がす様に舌を動かし、刺激を与えながら舌全体を使って嘗め回すかのような動きを行う。

 

「んふぅ〜♡」

 

メアリーの表情が蕩けだす。

 

「メアリー……可愛い声だな」

 

彼は指の動きを速めた。

 

「君はなんて美しいんだ……」

 

彼の言葉が嘘なのか真実なのか、メアリーには判断できなかった。

 

「さて、そろそろいいかな……」

 

そう言うとジョンはメアリーの着ているドレスと下着を脱がした後、自身も身に着けている服を脱いだ。

ジョンの膨張した男性器がメアリーの前に現れる。

ジョンの男性器は太さ・長さともに十分以上であり亀頭は大きくカリ高の形状となっている。

また竿部分には青筋が浮き出ており血管が浮き出ていて非常に凶暴的で威圧感がある一物であった。

ジョンはメアリーの両脚を広げるとその間に割って入り彼女の秘部へ挿入した。

そして腰を前後に振り始める。

 

パンッ!パァン!!

 

根元まで押し込んだあと引き抜きまた押し込むといった動作を繰り返す。

まるで杭打ち機のように容赦のないピストン運動にメアリーは悶絶するしかなかった。

 

(こんな大きなモノが……私の中に……入って……イッちゃう!)

 

ジョンの剛直がメアリーの膣内を蹂躙する。

激しい抽送により結合部からは大量の淫蜜が流れ出していた。

激しい水音と共に互いの汗が飛び散りシーツを濡らしていく。

 

「すごい……イクゥ~ッ!イグゥウウッ!オホォッ!」

 

パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!

 

ボビュブュルー!ブビュルル!ビューーッ!!ドプッ!ゴプッ!ブシャアァッ!

 

ジョンが腰を振るたびに、メアリーは悶絶する。

普段の淑女然とした姿からは想像できない乱れ振りだ。

 

「……それにしても、悪い奥さんだなあ。旦那は仕事で家を留守にしているのに、奥さんは夫婦のベットで間男とSEXしているんだから」

 

ジョンが嘲る様に言った。

 

「……っ!ああっ!御免なさい、マークっ!」

 

「でも、この人のが気持ち良いのおおぉお!」

 

メアリーは口では謝罪しているが、腰を動かして自ら快楽を貪っている。

 

パンパンパンッ!ズチュッ!グチョッグチャッ!ニチュニチュ!ジュプ!ヌチャッ!ニュプッ!ピシャァン!

 

ジョンが腰を打ち付けるたびにメアリーは喘ぐ。

夫とのセックスでは経験出来なかったであろう快感に溺れているようだった。

 

「ああっ♡いいっ♡夫よりも良いのぉ♡」

 

パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!

 

「旦那さんよりも俺の方がいいのかい?メアリー?」

 

ジョンの問い掛けにメアリーは喘ぎながらも肯定するように何度も頷いた。

 

パンパンパンッ!ズチュッ!グチョッグチャッ!ニチュニチュ!ジュプ!ヌチャッ!ニュプッ!ピシャァン!

 

「あんっ♡ダメェ~ッ!」

 

「ふんっ!イケ!メアリー!俺の子を孕め!」

 

ドピュー!!ビュルルルーー!!ビュビュビュッ!!

 

ジョンの精液が大量に放出されメアリーの胎内に注がれていった。

ジョンは射精を終えても尚、勃起状態を保った。

メアリーはジョンの大きさと硬さを保ったままの男根に、思わず眼を見開く。

 

「ああ……っ!?凄い……っ!まだそんなに……♡」

 

「まだまだ、楽しませてもらうぜ。メアリー」

 

「あああ……っ♡」

 

メアリーが寝室から解放されたのはそれから数時間後の事だった。

 

---

 

数時間後、一家は疲労困憊していた。

全員の精神は服従呪文によって混乱していたが、肉体的には無傷だった。妻のメアリー以外は……

 

「さて、報酬の時間だ」

 

ジョンは家中の金庫や宝石箱を漁り、現金と貴金属を袋に詰め込んだ。

 

「それじゃあ、おやすみ」

 

最後に家族全員に強力な忘却呪文をかける。

 

「オブリビエイト……すべて忘れろ」

 

翌朝、家族は何事もなかったかのように目覚めるだろう。

しかし、ジョンの脳裏には永遠にこの光景が残るのだ。

 

「次はどこに行こうかな……」

 

彼は満足げに笑いながら、闇夜へと消えていった。

 

 

---

 

【恋人の仮面】

 

 

1980年8月3日 17:25

ロンドン南部、廃工場地区

 

 

ジョンは三人の闇祓いに囲まれていた。

熟練の闇祓いたちとの戦いは苛烈だった。

 

「プロテゴ・マキシマ!」

 

ジョンは防御呪文を唱える。

 

1人の闇祓いが放った失神呪文が左肩を掠めた。

 

「くっ……!」

 

「インカ―セラス!」

 

もう1人の闇祓いが拘束魔法を唱えようとした瞬間——

 

「アリア!」

 

ジョンは大声で叫んだ。

同時に事前に用意した違法ポートキーが作動する。

 

転移直後、闇祓い達は互いに困惑した表情で顔を合わせた。

 

「……アリアって誰だ?」

 

---

 

目を開けると、そこは清潔なアパートの一室だった。

香水の香りが微かに漂う。

 

「ジョン!あなた大丈夫!?」

 

黒髪の美しい女性【アリア】が心配そうに駆け寄ってきた。

 

「ああ、ちょっと疲れてるだけだ」

 

ジョンは彼女の腰に手を回す。

 

「会えて嬉しいよ、アリア」

 

アリアの頬が赤く染まった。

彼女は自分が本当にジョンの事を愛していると思い込んでいた。

 

「お腹空いてるでしょ?ご飯作ったの」

 

アリアは微笑んだ。

 

「あなたの好きなシェパードパイとヨークシャー・プディングよ」

 

「ありがとう、君は天使みたいだな」

 

ジョンは彼女の額にキスをした。

 

キッチンで食事をしながら、アリアは熱心に話を続けた。

最近見た映画の事、新しい仕事の事、将来の事。

すべてが魔法による洗脳の産物だった。

 

「ジョン、私達本当に幸せになれるわよね?」

 

アリアの青い瞳が潤んでいた。

 

「もちろんだよ」

 

ジョンは彼女の手を握った。

 

「俺達には未来がある」

 

その言葉を聞きながら、ジョンはアリアの洗脳状態を確認する為に、こっそりと弱い開心術を使った。

彼女の心は完全に支配され、純粋な愛情だけが残っていた。

 

「食事が終わったら……」

 

ジョンは甘い声で囁いた。

 

「久し振りに……」

 

アリアの顔がさらに赤くなった。

 

「もちろん……」

 

---

 

ベッドの上で二人は激しく求め合った。

アリアは自分が世界で一番愛されていると信じ込んでいた。

一方、ジョンは彼女の体を堪能しながら、次の予定を考えていた。

 

「あぁ……ジョン……」

 

アリアの喘ぎ声が部屋に響く。

 

「愛してるよ、アリア」

 

ジョンは心にも無い言葉を吐きながら、彼女の首筋にキスを落とした。

 

行為の後、安らかな笑みを浮かべながら寝ているアリアを尻目に、ジョンは煙草に火をつけた。

窓から外を見ると、アパートの下を通る車のライトが見える。

 

「さて……今回は下手打っちまったからなあ……暫くは少し大人しくしてるか……」

 

ジョンは灰皿に煙草を押しつけながら、次の策略を練り始めた。

闇祓い達の動きを探りつつ、新たな狩場を見つけなければならない。

 

「それにしても……」

 

ジョンはアリアの方を見た。

 

「こいつの体は中々具合が良かったな……たまに来るのも良いかもしれねえな」

 

彼女の無防備な寝顔を見つめながら、ジョンは再び笑みを浮かべた。

彼の人生は続く。欲望の渦の中で、自分だけの道を突き進んでいくのだ。

 

 

---

 

 

【 影を追って】

 

 

1980年8月4日 09:05

英国魔法省闇祓い本部 会議室

 

 

灰色の壁に覆われた広い部屋で、闇祓い達がテーブルを囲んでいた。

緊張感が部屋全体を支配している。

 

「先日の件について、改めて報告をお願いする」

 

局長の【エリック・ブライト】が重々しく言った。

 

昨日ジョンと交戦した三人組の先頭に立つ、三十代半ばの男【ケヴィン・ウィルソン】が口を開いた。

 

「我々は標的の死喰い人を三方向から挟み撃ちにしました。間違いなく追い詰めたはずでした」

 

「それで?」

 

副局長の【キャシー・チャップマン】が冷たく問う。

 

「突然……」

 

ケヴィンは言葉を選ぶように一瞬躊躇った。

 

「『アリア』と叫んだ途端、転移魔法で消えました。恐らく違法に作成されたポートキーかと……」

 

沈黙が部屋を満たした。

やがてケヴィンの隣に座る【リンジー・フォスター】が口を開いた。

 

「それだけじゃないんです。あの男……仮に【A】と呼びましょうか。奴の動きは普通の死喰い人と違っていました」

 

「具体的に言えば?」

 

局長が促す。

 

「奴は私達三人相手に戦いながら、常に退路を意識していました。しかも……」

 

リンジーは眉をひそめた。

 

「殺す事を目的としていなかった」

 

「どういう意味だ?」

 

「奴は我々に致命傷を与える攻撃をしてこなかったんです。失神呪文や軽いダメージを与える程度で……」

 

「それは臆病者の証拠ではないのか?」

 

別の闇祓いが言った。

 

「違う、慎重なんだ。それとも……」

 

ケヴィンが言いかけて止まった。

 

「それとも……何だ?」

 

局長が訊ねた。

 

「いや、なんでもないです……」

 

ケヴィンは曖昧に答えた。

 

彼の内心では、「奴は『楽しんでいた』ような気がする」という思いがあったのだが、それを口に出すのは躊躇われた。

憶測で語るべきではないし、闇祓いとしてのプライドが許さなかった。

 

局長は溜息をついた。

 

「それで奴の顔と名前は依然として不明……」

 

「死喰い人の仮面は厄介ですね」

 

若手の【ジェームズ・ハリス】が言った。

 

「奴らは必ずあの仮面を着用しますから……」

 

「その通りだ」

 

キャシー副局長が補足した。

 

「しかも、Aの戦い方は尋常ではない。闇祓いの動きを予測しているかのようだった」

 

「何か掴んだのか?」

 

局長が期待を込めて尋ねた。

 

「調査班によれば、奴は最近各地で奇妙な事件に関与している可能性があります」

 

ケヴィンが資料を広げた。

 

「この2ヶ月で10件の失踪事件や窃盗事件が報告されています。全ての現場から微量の同じ魔力痕跡が検出されました」

 

「同一犯の可能性が高い」

 

局長は目を細めた。

 

「だがなぜそれを隠さない?」

 

「分かりません……」

 

ケヴィンは首を振った。

 

「ただ、奴の行動パターンには一定の規則性があります。金持ちの家庭を狙う傾向があるようです」

 

「マグル界も標的なのか?」

 

「はい。これまで判明している限りでは、被害者は全てマグルです」

 

部屋に衝撃が走った。

闇祓い達の多くは良くも悪くも魔法族優勢の考え方に影響されており、マグルを保護する義務を感じてはいたものの、実際に彼らの社会を積極的に守ることは稀だった。

それは闇祓いではなく、魔法警察部門の仕事だからだ。

 

「奴の目的は何だ?」

 

局長が問いかけた。

 

「推測ですが……」

 

リンジーがゆっくりと言った。

 

「単なる金銭目的だけでなく、何か別の意図があるように思います」

 

「例えば?」

 

「……」

 

リンジーは言葉を選んだ。

 

「奴は自分の力を誇示したいのかもしれません。私たち魔法省の鼻先で自由に動くことで……」

 

「挑発か」

 

ケヴィンが唸るように言った。

 

「あるいは……」

 

「あるいは?」

 

局長が続きを促した。

 

「奴は我々の動きを試しているのかもしれません」

 

ケヴィンは低く言った。

 

「自分がより効率的に犯罪を行う為に……」

 

会議室に重苦しい沈黙が広がった。

死喰い人たちとの戦力差は1:10。劣勢な状況で、さらに予測不能な敵が現れたのだ。

 

「とにかく……」

 

局長は決断を下した。

 

「【A】に関する情報を徹底的に収集せよ。どんな些細な情報でも報告すること。そして……」

 

彼は一瞬言葉を切った。

 

「奴を出来る限り生け捕りにする。拷問でも何でも使って、可能な限りの情報を引き出す」

 

闇祓い達は一斉に頷いた。

戦いは始まったばかりだった。

 

 

---

 

 

【黒い取引】

 

 

1980年8月8日 22:35

イギリス南部 第3倉庫街

 

 

一見すると廃墟のような建物の地下に、小さな換金所があった。

 

「よう、ブラザー」

 

髭面の痩せぎすの男が歯抜けの笑みを浮かべた。

 

「今日も生きてたみてぇだな」

 

ジョンは煙草に火をつけながら答えた。

 

「お互い様だろ、ジャンク屋」

 

「あんたのおかげで俺も稼げてるからな」

 

店主は薄汚れた指で木製カウンターを叩いた。

 

「で、今日の獲物は?」

 

ジョンはカウンターの上に金銀宝石の山を積み上げた。

光が反射して様々な角度から輝く。

 

「おお!」

 

店主の目が輝いた。

 

「これはまた派手に行ったな!」

 

「大したことはねえよ」

 

ジョンは肩をすくめた。

 

「ただの小遣い稼ぎだ」

 

「小遣い稼ぎねえ……」

 

店主は嘲笑うように鼻を鳴らした。

 

「魔法使いは自分で金を作り出せねえのかい?錬金術師みてえに」

 

「そういう魔法もあるけどな、俺は嫌いなんだ。後味が悪いからな」

 

「へぇ、意外と潔癖なんだな」

 

店主は揶揄うように言った。

 

「まあいいさ。仕事の話に戻ろうぜ」

 

店主は宝石を一つずつ調べ始め、時折ペンライトで照らした。

 

彼の眼鏡の奥の目が細かく動き、価値を見極めている。

 

「ふむ……これ全部合わせて2万ポンドってところだな」

 

店主は数字を書き込んだ伝票を見せた。

 

「ケチくせえな」

 

ジョンは眉をひそめた。

 

「3万はいくだろ」

 

「あんたの言うこと聞いたら商売上がったりだよ」

 

店主は苦笑した。

 

「2万5千でどうだ?」

 

「……まあいいだろう」

 

ジョンは不承不承頷いた。

彼にとって金は手段に過ぎない。

多くても少なくても興味はなかった。

 

取引が完了すると、店主は急に真剣な表情になった。

 

「ところでよ、ブラザー」

 

彼は声を潜めた。

 

「お前さんの噂を聞いたぜ」

 

「どんな噂だ?」

 

ジョンは興味を示した。

 

「闇祓いどもが本格的に動いてるらしい」

 

店主はグラスに注いだスコッチウイスキーを飲みながら言った。

 

「特にお前さんのことを『重要参考人』扱いしてるってさ」

 

ジョンは興味深そうに言った。

 

「ほう……」

 

「表向きは窃盗事件の捜査って名目だけどな」

 

店主は付け加えた。

 

「闇祓いの連中、最近この辺りを嗅ぎ回ってるって噂だ」

 

「へえ……」

 

ジョンは思案顔になった。

 

「それで?」

 

「気をつけた方がいいぜ」

 

店主は真面目な顔で言った。

 

「あの連中、正義面してるがやってる事は汚ねえからな」

 

「ありがとよ、心配してくれて」

 

ジョンは皮肉っぽく笑った。

 

「でもな、あいつらが動けば動くほど、俺にとって都合が良くなるんだよ」

 

「どういう意味だ?」

 

店主は首を傾げた。

 

「あいつらが俺に集中すれば、他の死喰い人共が動きやすくなる」

 

ジョンは淡々と言った。

 

「俺は単なる囮だ……まあ、そんなに深く考えるな」

 

「わかったよ……」

 

店主は肩をすくめた。

 

「でも用心しろよ。あんたがいなくなったら、俺の商売上がったりだからな」

 

ジョンは笑った。

 

「心配するなよ。死ぬようなヘマはしないさ」

 

彼は立ち上がり、出口に向かいながら振り返った。

 

「そうだ、お前の店、安全なのか?もしかしたら闇祓いの連中、お前もマークしてるかもしれねえぞ」

 

「冗談じゃねえ!」

 

店主は慌てた様子で言った。

 

「俺はただの善良なマグルだぜ!魔法省の連中に追われる筋合いはねえよ!」

 

「ああ、確かにな。後、善良じゃねえだろ」

 

ジョンは軽く手を振った。

 

「じゃあな、また来る」

 

外に出ると、ジョンは夜風に当たりながら考え込んだ。

闇祓いの動きが活発化しているなら、しばらくは潜伏期間が必要かもしれない。

 

「まあ、それはそれで楽しめるかな……」

 

彼は独り言ちた。

 

「逃げ回るのも一興だ」

 

ジョンは煙草の火を消し、次の狩場に向かって歩き出した。

彼の闇夜への歩みは、決して止まることはない。

 

 

---

 

 

【光と闇の狭間】

 

 

1980年8月14日 23:40

ロンドン東部 自然公園

 

 

月明かりの下、3つの閃光が火花を散らしていた。

 

ジョンは無言呪文で盾の呪文を唱える。

眼前で魔法の盾が形成され、飛来してきた失神呪文を弾き返した。

 

「インセンディオ!」

 

闇祓いの一人【レジナルド・グレイブス】が炎の呪文を放つ。

紅蓮の炎が夜空を裂いて襲いかかる。

ジョンは素早く横に飛び、樹木の陰に身を隠した。

 

「くそ、二人組か……厄介だな」

 

もう一人の闇祓い【メリッサ・カルダー】が死角から接近してくる。

 

「インカ―セラス!」

 

拘束呪文が樹木に命中し、枝が鞭のようにしなってジョンを捉えようとする。

 

「甘えな」

 

ジョンは杖を構え、

 

「ディフィンド!」

 

切断呪文で蔦を切り裂いた。

 

二人の闇祓いと死喰い人との戦いは均衡していた。

しかし、突然…

 

「あれは……吸魂鬼!」

 

公園の入口から黒い影が複数出現した。

吸魂鬼たちは漂う霧のように近づいてくる。

その腐臭のような空気が広がるにつれ、周囲の温度が急速に下がった。

 

「これはまずい!」

 

レジナルドが青ざめた。

 

「こんな時に……」

 

吸魂鬼たちが三人を包囲し始めた。

彼らの存在だけで、ジョンでさえ寒気に襲われた。

 

「エクスペクト・パトローナム!」

 

レジナルドが咄嗟に守護霊の呪文を唱えた。

銀色の梟が出現し、吸魂鬼に向かって駆け出す。

 

「私も!」

 

メリッサも続いた。

 

「エクスペクト・パトローナム!」

 

彼女の杖からは銀色の烏が現れ、梟と共に吸魂鬼に抵抗し始めた。

だが、吸魂鬼の数が多く、二人の守護霊だけでは抑えきれない。

 

「クソッ……!」

 

レジナルドは額の汗を拭った。

 

「こんな所で死ぬわけにはいかない!」

 

その時、ジョンが小さくため息をついた。

彼の表情には明らかな嫌悪感が浮かんでいた。

 

「まったく、こんな時に限って……この呪文は使いたくなかったが……」

 

彼は杖を握り直す。

 

「……エクスペクト・パトローナム!」

 

淡い光がジョンの杖先から溢れ出し、巨大な馬のような形となった。

その頭部には2本の角があり、魔法生物である【バイコーン】の姿をしている。

 

「な……!」

 

レジナルドは目を丸くした。

 

「嘘だろ……っ!?」

 

「死喰い人が……」

 

メリッサの声が震えていた。

 

「闇の魔法使いが守護霊の呪文を使えるなんて……」

 

ただ使用できるだけでも驚愕なのに、闇の魔法使いの【死喰い人】が守護霊の……それも有体守護霊を使用したのだ。

しかも、それは結果的に2人を救った形になった。

 

「一体……どういう……」

 

「余裕がないんだ。文句があるなら後で聞くぞ」

 

ジョンは冷たい声で言った。

 

「今は協力した方が賢明だろう」

 

バイコーンの守護霊が吸魂鬼に突進すると、彼らは怯んだように後退した。

それでもなお攻撃を仕掛けてくる吸魂鬼に対し、バイコーンの角が触れた瞬間——

 

「ギャァァ!」

 

吸魂鬼が悲鳴をあげて霧散するかの様に逃げて行った。

 

「すごい……」

 

メリッサは呆然としていた。

 

「一体どうやって……」

 

「疑問は後だ!」

 

レジナルドは我に返りながら言った。

 

「他の吸魂鬼が来る前に逃げるぞ!」

 

三人は吸魂鬼を牽制しながら公園の出口へと急いだ。

幸いなことに、追ってくる吸魂鬼の数は次第に減っていった。

 

公園の外に到達した瞬間——

 

「アバダ・ケダブラ!」

 

ジョンが緑色の死の閃光を放った。

 

しかし魔法は当たらず闇祓い達を避け、ジョンは煙幕と共に姿を消した。

 

「くそっ!」

 

レジナルドは悔しそうに地面を蹴った。

 

「また逃がしてしまったかっ!」

 

ジョンの体が消えた場所に二人は駆け寄るも、そこにジョンの姿はなかった。

 

「まさか死喰い人が守護霊の呪文を使えるなんて……」

 

メリッサは呆然としていた。

 

「いや……」

 

レジナルドは顔をしかめた。

 

「考えてみると、奴があの呪文を使ったことで我々は助かった」

 

「ええ……」

 

メリッサは同意せざるを得なかった。

 

「しかし……」

 

レジナルドは遠い目をして呟いた。

 

「それならばあの男は一体……何者なんだ……」

 

夜風が彼らの頬を撫でる中、謎だけが深まっていく。

闇の中に消えた死喰い人ジョンの姿は、ますます不可解なものとなっていた。

 

 

---

 

 

【 謎深まる死喰い人】

 

 

1980年8月15日 09:12

魔法省闇祓い本部 会議室

 

 

巨大なテーブルを囲む十人以上の闇祓いたち。

中央には【憂いの篩】が置かれ、昨晩の戦闘の一部始終が再現されていた。

 

「……つまり、対象【A】は我々の目の前で守護霊の呪文を行使したのです」

 

レジナルドが重々しく報告を締めくくった。

 

室内に驚愕の声が広がる。

 

「信じられない!」

 

副局長キャシー・チャップマンが言った。

 

「闇の魔法使いが守護霊の呪文を使ったなんて前例がないわ!」

 

「確かに」

 

ベテラン闇祓い【ロジャー・オブライエン】が眉をひそめた。

 

「この呪文は幸福な記憶と心の清さが必要だ。死喰い人に使えるはずがない」

 

「だからこそ重大なのだ」

 

局長エリック・ブライトが静かに言った。

彼の顔には深い思索の色が浮かんでいた。

 

「これでいくつかの仮説が立てられる」

 

「どのような仮説ですか?」

 

若い闇祓い【サラ・トンプソン】が尋ねた。

 

「第一に、奴は単なる死喰い人ではない可能性がある」

 

ブライトはゆっくりと言葉を紡いだ。

 

「第二に、奴は特異な境遇を持っている。そして第三に……」

 

彼は一瞬言葉を切った。

 

「奴は何かを探している」

 

「探している?」

 

レジナルドが問い返した。

 

「これは仮説と言う程では無いが……物なのか、それとも別の何かか……奴自身に何か葛藤の様なモノを感じる」

 

ブライトは答えた。

 

「これは重要だ。なぜなら守護霊の呪文は心の状態を反映するからだ」

 

「そうですね」

 

副局長のキャシーが頷いた。

 

「有体の守護霊を呼べるというのは並の魔法使いではありえない。ましてや死喰い人なら尚更です」

 

「有体の守護霊を使える魔法使いは限られていますね」

 

ベテラン闇祓いの【ロジャー・デイビス】が補足した。

 

「闇祓いクラスか、相当の熟練者でしょう」

 

「そこで問題は、その形が何かということだ」

 

ブライト局長はテーブルに投影された映像を指差した。

 

「奴の守護霊は……」

 

「バイコーン」

 

メリッサが即座に答えた。

 

「二本の角を持つ馬型の魔法生物です」

 

部屋に沈黙が降りた。

 

「バイコーンは稀少な魔法生物です」

 

古参の闇祓い【アレックス・ヴァレンタイン】が口を開いた。

 

「その特性は……」

 

「ユニコーンと対極を為す馬型の魔法生物だ。ユニコーンは純潔を司るのに対し、バイコーンは不純を司るとされる。」

 

ブライト局長が言葉を継いだ。

 

「そして強い生命力を持つ」

 

「ある意味、らしいっちゃらしいんですけど……でも普通、守護霊の形にはならない魔法生物ですよね」

 

別の闇祓いが意見を言った。

確かにそれは一般的なモノでは無い。

 

「確かに」

 

ロジャーが頷いた。

 

「だがこれで奴の人となりを分析する材料が増えた」

 

「でも結局のところ、奴は我々の敵だ」

 

キャシー副局長が厳しい表情で言った。

 

「その事実は変わらない」

 

局長は頷いた。

 

「その通りだ。しかし今回の情報を基に捜査方針を発展させよう。まず三つの柱を立てて進めたい」

 

彼は人差し指を立てた。

 

「第一に、バイコーンという守護霊の出現理由を探る」

 

続いて中指を立てる。

 

「第二に、奴の出自や背景についてより詳細な調査を行う」

 

そして薬指を立てた。

 

「第三に、我々自身もより強く訓練する必要がある」

 

「具体的にはどうするべきでしょうか?」

 

レジナルドが尋ねた。

 

「まず守護霊の呪文をさらに研究しよう」

 

ブライトは答えた。

 

「特に有体の守護霊に関しては、その形成過程や心理的要因についてもっと詳しく理解する必要がある。神秘部の連中にも意見を聞いた方が良いだろう」

 

「賛成です」

 

ロジャーが同意した。

 

「それに加えて、奴の出現パターンを徹底的に分析しましょう。特定の地域や時期に偏りがあるはずです」

 

「私はバイコーンに関する文献調査を担当します」

 

メリッサが申し出た。

 

「何か手がかりが見つかるかもしれません」

 

「いいだろう」

 

局長は頷いた。

 

「以上三点について調査を始めてくれ」

 

ブライトは立ち上がって宣言した。

 

「敵が想定を超える存在だとしても、我々は後れを取ってはならない。奴と全ての死喰い人どもを捕らえるまで、調査を続けるのだ」

 

闇祓いたちは一斉に応じる。

ジョンという謎多き死喰い人の存在が、組織全体を一つにまとめていた。

会議が終わった後も、ブライトは窓際で考え込んでいた。

 

「バイコーンか……」

 

彼は小さく呟いた。

 

「一体何が起こっているのだろうな……」

 

謎は深まるばかりだったが、闇祓いたちの意志は固く繋がっていた。

 

 

---

 

 

【秘密の隠れ家】

 

 

1980年8月15日 00:55

マンチェスター西部

 

 

マンチェスター西部のとある町にある寂れたパブ【The Badger's Golden Cup】

通常の閉店時間を大幅に過ぎた頃、裏口の鍵穴が魔法のようにひとりでに開いた。

 

ジョンは疲れた足取りで階段を上り、従業員用の部屋へと向かった。

部屋に入るなり、ベットに腰を落とし、机の上のスコッチウイスキーを見つけ、勝手にグラスに注いで飲み干した。

琥珀色の液体が喉を滑り落ちる感覚が彼の苛立ちを少し和らげた。

 

「はあ……最低な一日だった」

 

彼の呟きに応えるように、ドアが開いた。

 

「飲むんなら下の店で飲みなさいよ。それに営業時間はとっくに過ぎてるわよ」

 

ジョンが振り返ると、そこには20代前半の女性【エヴァ】が立っていた。

パーマのかかった金髪セミショート。

豊満な胸と引き締まった腰周りが彼女のスタイルの良さを際立たせている。

 

「ここはパブだろ、客に酒出さずにどうする」

 

ジョンは不機嫌そうに言った。

 

「裏口から入って、勝手に人の部屋で人のスコッチ飲む奴は客じゃないわね」

 

エヴァは手に持っていた煙草の箱を机に置くと、ジョンの隣に座った。

彼女の瞳には懐かしさと不信感、そして微かな愛情が混じっていた。

 

「久し振りだな、エヴァ」

 

ジョンはニヤリと笑った。

 

「貴方もね、ジョン」

 

エヴァは答えながら、ジョンに近づき唇を重ねた。

 

二人の舌が絡み合う濃厚なキス。

唾液が絡まる音が静かな部屋に響く。

 

エヴァは昔、売春婦として生計を立てていた。

ある日、ポン引きに殺されそうになったところをジョンに助けてもらった事があり、それ以来腐れ縁であった。

ジョンが魔法使いである事を知っている数少ないマグル側の共犯者の一人であり、定期的にジョンが金を持ってきてくれるので、妹は学校に通う事ができ、自分は店を持つ事が出来たのだ。

 

「相変わらずね」

 

エヴァは笑みを浮かべながらジョンの首筋に指を這わせた。

 

「でも今日はちょっと違う。いつもより荒々しいわ」

 

「今日は……正確には昨日だが、吸魂鬼に襲われた」

 

ジョンは低い声で告白した。

 

「それだけじゃなく、闇祓い共もいた」

 

「まあ」

 

エヴァは眉を上げた。

 

「それは災難だったわね」

 

「ああ、災難だったよ」

 

ジョンは自嘲気味に笑った。

 

「おかげで久しぶりにあの呪文を使っちまった」

 

「何の呪文?」

 

「守護霊の呪文だ」

 

エヴァは驚いた表情を見せた。

 

「あなたが?それは珍しいわね」

 

「気分が悪いんだ」

 

ジョンは頭を抱えるように言った。

 

「あの呪文を使うたびに思わなきゃいけねえんだよ……」

 

「誰かを愛した記憶?」

 

「そうじゃない」

 

ジョンは苦々しく答えた。

 

「俺の家族がまともだったらっていう、くだらないガキの妄想さ……」

 

「お父さんとお母さんが優しかった頃の記憶なの?」

 

「母親は確かに優しかった……」

 

ジョンは遠い目をした。

 

「でも父親は違う。あの野郎は……」

 

「もういいわ」

 

エヴァは優しくジョンの言葉を遮った。

 

「思い出したくないなら無理に話さなくていいのよ」

 

彼女はジョンの隣に座り、その肩に頭を預けた。

 

「それで……何があったの?本当に大変なことがあったんでしょう?」

 

ジョンは長い間黙っていた。

エヴァの体温を感じながら、彼の呼吸が次第に落ち着いていく。

 

「奴ら……闇祓い共が俺を捕まえようと必死になってる」

 

彼はようやく口を開いた。

 

「しかも俺が守護霊の呪文を使えることに気づいちまった」

 

「危険ね」

 

エヴァは真剣な表情で言った。

 

「ああ」

 

ジョンは頷いた。

 

「だがそれも含めて楽しむしかないんだ。それが俺の生き方だからな」

 

「強がりね」

 

エヴァは微笑んだ。

 

「でも好きよ、そういう貴方」

 

二人は再び唇を重ねた。

今度はより情熱的に。

 

「今日はずっとここにいるの?」

 

エヴァが囁いた。

 

「いや……」

 

ジョンは悩ましげに眉を寄せた。

 

「まだ仕事が残ってる」

 

「仕事ね……」

 

エヴァは複雑な表情を浮かべた。

 

「でも無理しないで。貴方がいなくなったら……」

 

「心配するな」

 

ジョンは彼女の頬に触れながら言った。

 

「俺は死なない。約束する」

 

「本当に?」

 

エヴァの瞳に不安の色が浮かぶ。

 

「本当だ」

 

ジョンは真剣な眼差しで応えた。

 

「だから……今日はこのまま俺に抱かれてくれないか?」

 

エヴァは一瞬ためらったが、すぐに彼の手を取った。

 

「ええ……私を抱いて」

 

夜は更けていき、二人の熱い時間が始まった。

ジョンの傷ついた心を癒すかのように、エヴァはその身体と心を捧げていった。

このひとときだけは、ジョンは純粋な喜びを感じることができたのかもしれなかった。

 

 

---

 

 

【虚栄の贅沢】

 

 

1980年9月1日 21:10

ロンドン 五つ星ホテル【ザ・グランド】最上階スイートルーム

 

 

ジョンはベッドに横たわりながら、シャワーから出てきたアリアを見つめていた。

バスローブ一枚を羽織った彼女は髪を濡らし、湯気とともに柔らかな香りを漂わせている。

部屋には高級ワインのボトルが開けられ、窓からは夜景が一望できた。

 

「ねえジョン」

 

アリアは嬉しそうに言った。

 

「こんな凄いホテルに泊まるの初めてよ!本当に素敵な夜ね」

 

ジョンはベッドサイドに置いた水のグラスを取った。

 

「たまには贅沢もいいだろう」

 

「あなたって本当に何者?」

 

アリアは隣に滑り込みながら尋ねた。

 

「どうしてこんなお金持ちなの?どんな仕事をしてるの?」

 

ジョンは少し苦笑した。

 

「ただのビジネスマンさ」

 

「嘘よ」

 

アリアは子供のように首を振った。

 

「私の元夫とは全然違うわ」

 

「あの人は収入も低かったし、私に暴力を振るうクソ野郎だったわ」

 

『元夫ねえ……まあ、俺が別れさせたんだが……』

 

ジョンは内心思った。

ジョンはかつて、アリアとその夫を魔法で記憶を改ざんし別れさせたのだ。

その後は魔法を使ってアリアの認識を書き換え、ジョンを最高の男性と思い込ませている。

 

「本当のことを教えて」

 

「困ったな……」

 

ジョンは真剣な表情を作った。

 

「俺には秘密が多いんだ」

 

「お願い」

 

アリアはジョンの腕に絡みついた。

 

「あなたのすべてを知りたいの」

 

「分かったよ」

 

ジョンは優しく微笑んだ。

 

「でも約束してくれるかい?誰にも言わないって」

 

「もちろんよ!」

 

アリアは目を輝かせた。

 

「実は……」

 

ジョンは声を落とした。

 

「俺はある特殊な能力を持ってるんだ」

 

「特殊な能力?」

 

アリアは好奇心いっぱいの表情になった。

 

「ああ」

 

ジョンは続けた。

 

「世の中には普通の人には見えない世界がある。俺はそこに出入りできるんだ」

 

「何それ……」

 

アリアは息を呑んだ。

 

「超能力者?それとも……」

 

「ああ、そんな感じかな」

 

ジョンは曖昧に答えた。

 

「ひょっとして……」

 

アリアは目を大きく見開いた。

 

「童話に出てくる魔法使いみたいなもの?」

 

ジョンは思わず噴き出しそうになった。

魔法使いみたいどころか、自分は本物の魔法使いなのに。

しかし表面的には驚いた演技をする。

 

「鋭いな……」

 

「やっぱり!」

 

アリアは興奮した様子で言った。

 

「だからそんなに特別なのね!」

 

「シンデレラに南瓜の馬車をプレゼントするのね!」

 

アリアは笑いながら言った。

勿論彼女はジョンが冗談を言っていると思っている。

これはジョンが自分を笑わす為に言っているのだと。

しかし……

ジョンは内心でほくそ笑んだ。

 

『こいつは魔法を信じていない。だからこそ、この話に乗ってくるんだな』

 

「でも大丈夫なの?」

 

アリアは心配そうに尋ねた。

 

「魔法使いって迫害されたりしない?」

 

「昔はね」

 

ジョンは哲学的な表情を作って答えた。

 

「でも現代では上手く隠れてるんだ」

 

「だからいつも秘密にしてるのね」

 

アリアは納得したように頷いた。

 

「でも私に話してくれて嬉しいわ」

 

「君には特別だよ」

 

ジョンはアリアの髪を撫でた。

 

「君は唯一俺の秘密を知ってる人間だからな」

 

「本当?」

 

アリアは感動した様子で抱きついた。

 

「私達って運命なのね!」

 

ジョンは内心苦笑した。

 

『運命ねぇ……』

 

彼にとって、アリアは理想的な隠れ蓑だった。

金持ちの恋人に夢中になっている、どこにでもいる普通の女性(魔法で洗脳されているとはいえ)は怪しまれにくい。

さらに彼女の体は間違いなく魅力的だった。

 

「ねえジョン」

 

アリアはベッドの中でジョンの耳元で囁いた。

 

「もう一度お願いしてもいい?」

 

「何度でも」

 

ジョンは彼女を抱きしめた。

 

「魔法使いのテクニックを見せてやるよ」

 

アリアの媚声が暗い豪華な部屋に響いた。

ジョンの計算通りに事が運んでいる夜だった。

 

 

---

 

 

【魔法省への潜入】

 

 

1980年9月15日 03:17

英国魔法省 神秘部 職員用オフィス

 

 

【オーガスタス・ルックウッド】は暗い廊下を先導していた。

神秘的な装飾が施された扉の前で立ち止まり、小さな魔法の鍵を取り出す。

 

「ここが私のオフィスだ。誰も来ないように手配してある」

 

ジョンは慎重に周囲を確認した。

防衛呪文が張り巡らされた空間だが、ルックウッドの権限で無効化されている。

 

「警戒は怠るな」

 

ジョンは低い声で警告した。

 

「闇祓いが嗅ぎつけたら終わりだ」

 

「問題ない」

 

ルックウッドは自信ありげに答えた。

 

「私は既に上層部にも浸透している。今日のターゲットは……」

 

彼は机の引き出しから古い羊皮紙を取り出した。

そこには数名の高位魔法省職員の名前と写真が記されていた。

 

「まずはこれだ」

 

ルックウッドは一人の名前と写真を指さした。

 

「【マーティン・クリケット】魔法法執行部の次長。奴なら重要な情報にアクセスできる」

 

「服従の呪文を使うタイミングは?」

 

ジョンが尋ねた。

 

「明日……いや、今日の朝一番だ」

 

ルックウッドは答えた。

 

「奴は毎朝7時に魔法大臣執務室に向かう。その前にここで待ち伏せする」

 

「了解した」

 

ジョンは頷いた。

 

「俺は呪文をかける。お前は裏口を見張れ」

 

翌朝7時前に二人は神秘部の一室で待機していた。

廊下に足音が響き、目的の男が現れる。

 

「来たぞ……」

 

ルックウッドが囁いた。

 

マーティン・クリケットが歩いてきた瞬間

 

「インペリオ!」

 

ジョンの杖から光が放たれ、クリケットの頭部に命中した。

 

男の目が虚ろになり、体が硬直する。

 

「成功か?」

 

ルックウッドが確認した。

 

「ああ」

 

ジョンは確認した。

 

「命令を刻むぞ。魔法省内部の情報をお前に流すように」

 

ジョンは詳細な指示を吹き込むと、最後に解放呪文をかけた。

クリケットは意識を取り戻し、何も覚えていない様子で執務室へと向かった。

 

「完璧だ」

 

ルックウッドは満足げに言った。

 

「次は…」

 

その時だった。

 

廊下に魔法の警報が鳴り響いた。

 

「くそっ!」

 

ジョンは怒りを露わにした。

 

「誰か気付いたぞ!」

 

「恐らく警報アラームだ!」

 

ルックウッドは焦りを隠せない。

 

「通常業務では無い者は検知される仕組みだ!」

 

「撤退するぞ!」

 

ジョンは素早く判断した。

 

「俺が殿を務める!お前はまだ顔を割られる訳にはいかない!」

 

廊下の向こうから複数の魔法使いの足音が近づいてくる。

 

「お前はこのポートキーを使え!」

 

ジョンは顔に死喰い人の仮面を付けながら、万年筆の形をした違法ポートキーを渡した。

 

「1人用の特別仕様だ」

 

「しかし……」

 

ルックウッドは迷った。

 

「お前はどうする?」

 

「俺は別の脱出方法がある」

 

ジョンは微笑んだ。

 

「心配するな、死にはしない」

 

「了解した」

 

ルックウッドは躊躇いながらもポートキーを作動した。

 

「健闘を祈る」

 

彼の姿が消えると同時に、闇祓いたちが姿を現した。

その中にレジナルドとメリッサの姿もあった。

 

「また会ったな」

 

ジョンは杖を構えた。

 

「だが今回も逃げさせてもらうぞ」

 

激しい戦闘が始まった。

ジョンは巧みな回避と防御呪文で応戦する。

しかし多勢に無勢だった。顔に付けた仮面が割られる。

 

「コンフリンゴ!」

 

ジョンが爆破呪文を放ち、廊下の壁を崩壊させる。

瓦礫の向こうからジョンの姿が消えた。

 

「逃げられたか……」

 

レジナルドは悔しそうに呟いた。

 

「でも顔は見たわ」

 

メリッサは言った。

 

一方、ジョンは混乱に乗じて別の廊下へと抜け出していた。

しかし背後に感じる気配。

振り返ると—

 

「やはり生きていたか」

 

そこにはヴォルデモート卿直属の死喰い人【ワルデン・マクネア】が立っていた。

 

「なかなかやるじゃないか」

 

「任務は成功した」

 

ジョンは冷静に答えた。

 

「お前らのお仲間は役立つ駒を得たぞ」

 

「だが魔法省に顔を晒したな」

 

マクネアは冷笑した。

 

「これからは動きづらくなるぞ」

 

「問題ない」

 

ジョンは肩をすくめた。

 

「俺には逃げ道がある」

 

彼は懐から銀色の小瓶を取り出した。

その中には透明マントの断片が入っている。

 

「何をするつもりだ?」

 

マクネアが警戒した。

 

「次に会う時は敵同士かもな」

 

ジョンは小瓶を開けた。

 

「じゃあな」

 

断片が宙に舞い、ジョンの姿が完全に消えた。

マクネアは舌打ちをした。

 

「あの男……」

 

彼は呟いた。

 

「ただの死喰い人では無いな……」

 

ジョンは透明マントの効果で姿を消しながら、

魔法省の廊下を悠々と歩いていた。彼のポケットにはルックウッドの髪の毛が入った袋が忍ばせてある。

『さて……次はどうするか』彼は内心考える。『これから面白くなりそうだ』

 

 

---

 

 

【偽りの愛の終わり】

 

 

1980年9月18日 14:35

ロンドン南部 某アパート

 

 

雨が降りしきる昼下がり。

ジョンは建物の屋根から双眼鏡で様子を窺っていた。

アパートの入り口には闇祓い達が行き交い、出入りの住人を尋問していた。

特にジョンが使っていた部屋の前には警察官(マグルへの偽装のため)の制服を着た魔法省の職員が立っている。

 

『まったく、やりすぎだよな……』

 

彼は皮肉な笑みを浮かべた。

マグル界にまで魔法省の手が及んでいるとは予想外だった。

 

「ジョン!どこなの!?」

 

アリアの叫び声が聞こえた。

部屋の窓から彼女が必死に周囲を見回している。

 

「私を置いていかないで!」

 

ジョンは胸が痛むのを感じた。

 

アリアは本当に彼を愛していた。

魔法で洗脳されてはいたが、その感情は本物だった。

 

『流石に少し、すまない事をしたな……』

 

ジョンは内心そう思った。

 

---

 

【闇の淵】

 

 

1980年9月18日 18:23

英国魔法省闇祓い本部 会議室

 

 

雨音だけが響く静寂の中、報告書を読み上げる声が沈黙を破った。

 

「被害者のアリア・クラークさんの証言によれば……ジョン・スミスと名乗る男性と2年前から付き合い始めたそうです」

 

会議室に重い溜息が広がる。

キャシー副局長が顔を歪めた。

 

「魔法を使った洗脳による偽恋愛関係……悪趣味だわ」

 

レジナルドが資料を叩く。

 

「問題は銀行口座だ。マグルの銀行に少なくとも3件。全てジョン・スミス名義で預金残高は合計1万ガリオン相当。普通の魔法使いなら絶対にやらない」

 

ブライト局長が口を開いた。

 

「奴はマグルとして完全に生活基盤を築いていた。税金も納めているし電気もガスも使っている」

 

「私達が追っているのは死喰い人じゃなくて……」

 

メリッサが震える声で言った。

 

「プロの詐欺師じゃないんですか?」

 

オブライエンが眉を寄せた。

 

「いや違う。奴は純血主義者だ。そうでなければ死喰い人にならない」

 

「でもマグルの銀行に……」

 

サラが口ごもる。

 

「利用する価値があれば使うのさ」

 

アレックスが肩をすくめた。

 

「汚れ仕事には汚れた道具を使う。合理的だ」

 

キャシー副局長が憤慨した。

 

「合理的ですって?被害者達は何だったの?道具として扱われて……」

 

「それを判断するのは我々ではない」

 

ブライト局長が厳かに言った。

 

「まずは事実を整理しよう」

 

---

 

翌日から「ジョン・スミス調査プロジェクト」が立ち上がった。

過去のデータベースや記録を掘り起こす作業が始まる。

そして衝撃の事実が判明した。

 

「1975年以降、失踪届が出された未婚女性が少なくとも6名」

 

キャシーが報告書を掲げる。

 

「その大半が高所得者の娘か未亡人。そして全員の本来の夫や恋人の行方は不明」

 

「うち4名の証言がある」

 

レジナルドが追加する。

 

「洗脳の痕跡があるが……不思議なことに記憶の欠落は最小限に抑えられている」

 

「どういうこと?」

 

サラが首を傾げる。

 

「奴は完璧主義者だ」

 

オブライエンが答えた。

 

「洗脳しても記憶を必要以上に削除していない。まるで……」

 

「まるで自分の痕跡を最小限に留めているかのよう」

 

ブライト局長が言葉を継いだ。

 

「普通の死喰い人なら殺してしまうだろうに」

 

「相手の感情すら武器に変えているんですね」

 

メリッサが震えた。

 

「だって被害者のマグルの女性達……恨んでいるけど忘れられないと言っています。中にはそれでも愛してると言う人も……」

 

「犯罪を完璧に遂行するために計算し尽くされている」

 

アレックスが唸った。

 

「こんな奴……初めて見る」

 

---

 

1980年9月20日 22:47

英国魔法省地下2階 資料室

 

 

「おかしいと思いませんか?」

 

メリッサがファイルを閉じる。

 

「奴は例のあの人の手下のはずなのに……」

 

「ああ」

 

レジナルドが頷く。

 

「奴は忠誠を誓った死喰い人なのに自由に行動している。しかも独自の思想を持っている」

 

「思想?」

 

「普通の死喰い人ならマグルを苦しめること自体が目的だ。でも奴は違う」

 

レジナルドは拳を握りしめた。

 

「奴は目的の為に手段を選ばない。死喰い人の立場や純血主義さえも道具にしているんだ」

 

「何を目的にしているんでしょう?」

 

「分からない」

 

レジナルドは窓の外を見た。

 

「ただ……」

 

彼は言葉を選ぶように間を置いた。

 

「あの吸魂鬼騒動の時の言葉を覚えているか?」

 

「『この呪文は使いたくなかったが……』でしたよね?」

 

「あれは嘘じゃないと思うんだ」

 

レジナルドの目に決意の色が宿る。

窓の向こうでは雨が止み、雲間から星が覗いていた。

 

「奴は何かと戦っている。そして……」

 

「そして?」

 

彼はメリッサを見つめた。

 

「奴は次の一手を打ってくる。必ずな」

 

深夜の資料室で、二人の闇祓いは同じ予感を共有していた。

ジョンという名の死喰い人は、彼らがこれまで遭遇した事の無い、敵なのだという事を。

 

 

---

 

 

1980年9月21日 12:30

 

マンチェスター西部 

パブ【The Badger's Golden Cup】

 

 

「……暫くは潜伏する必要がある」

 

開店前のパブのテーブル席に座り、スコッチウイスキーを飲みながらジョンは言った。

隣には店の経営者の【エヴァ】が座り、ジョンの話を聞いている。

 

「暫くはここにも帰れない」

 

「そう……」

 

ジョンはエヴァの肩を抱き寄せた。

柔らかい感触と共に香水の匂いが鼻腔をくすぐる。

その香りだけで脳髄まで痺れるような快感を感じてしまう。

それほど彼女は美しい容姿をしているのだ。

 

「心配するな、この店の運営費と妹さんの学費はちゃんと送るさ」

 

ジョンは安心させるように言った。

実際にこの店の資金の大半は彼が出している。

彼女もそれを分かっている為、余計な詮索はしない。

だが今回は事情が違った。

 

「それも心配ではあるけど……貴方は大丈夫なの?私達の事を気にして、貴方がやられたら元も子もないわ」

 

「心配ない」

 

ジョンは微笑みながら彼女の唇にキスをした。

すると彼女は嬉しそうに目を細めて微笑む。

その姿があまりにも可愛くて、思わず抱きしめたくなる衝動に駆られるもののグッと堪えた。

 

「……それより今はここから離れることを考えよう」

 

「そうね……」

 

エヴァはしばらく考え込んだ後決意したように言った。

 

「私も手伝うわ」

 

「いいのか?」

 

意外な申し出だったため思わず聞き返してしまった。

 

「ええ」

 

彼女は力強く頷いて見せたので少し驚いた。まさかここまで積極的に関わろうとするとは思っていなかったのだ。だが考えてみれば当然のことかもしれない。彼女もまた共犯者の一人なのだ。ならば当然助けようと思うだろう。

 

「ありがとう」

 

ジョンは感謝の気持ちを込めて再び彼女を抱きしめた後立ち上がる。

そして店の裏口から外に出たところで立ち止まって振り返った。

 

「一つ約束して欲しいことがある」

 

「何かしら?」

 

不思議そうな表情を浮かべている彼女に対して真剣な眼差しで告げる。

 

「俺以外の人間を信用しないでくれ」

 

その言葉の意味を理解した途端彼女の顔色が変わる。

 

「つまり……無いとは思うが……他の死喰い人がここに来ても決して信用するな、すぐに逃げろ。俺は連中とは組まない。俺が以前渡したポートキーはあるよな?それで妹さんと共に逃げろ。逃亡資金は転移先に用意してある」

 

「えぇ……分かったわ……」

 

「頼むよ?」

 

「ええ」

 

そう言うと彼女は小さく頷いて見せた後、微笑んで見せる。

その笑顔を見て安堵したジョンはそのまま姿くらましを行った……

 

 

---

 

 

【教授の懺悔】

 

 

1980年9月22日 08:05 

ホグワーツ魔法魔術学校 職員室

 

 

朝の陽光が窓から差し込む静かな職員室。

【ポモーナ・スプラウト】教授は深いため息をつきながら【日刊予言者新聞】の一面を凝視していた。

指名手配犯として掲載された【ジョン・スズキ・スミス】の顔写真が大きく取り上げられている。

魔法省が公表したばかりの死喰い人リストの一人だった。

 

「ポピー?」

 

【ミネルバ・マクゴナガル】教授が声をかけた。

彼女は紅茶を入れたカップを二つ持ち、スプラウトの隣の椅子に腰を下ろした。

 

「ああ……ミネルバ……」

スプラウトは新聞を置き、疲れた表情を向けた。

 

「ご覧になりました?」

 

「ええ」

 

マクゴナガルは静かに頷いた。

 

「かつての教え子が……このような事になるとは……」

 

スプラウト教授は両手で顔を覆った。

 

「私がもっとあの子に関わるべきだったんです。あの子は……入学した時から孤独でした」

 

「半純血の複雑な家庭環境ですね」

 

マクゴナガルは思い出すように言った。

 

「父親はマグルの英国人で、母親は日系英国人の魔女」

 

「そうなんです」

 

スプラウトは震える声で続けた。

 

「東洋の血筋が原因で、スリザリン生からは『黄色い猿の混じり物』と呼ばれ、同じハッフルパフの生徒からも距離を置かれていました……」

 

「私は寮監として、生徒達の自主性を尊重しようとしました。ホグワーツの伝統として……」

 

「ポピー」

 

マクゴナガルは厳しくも優しい声で遮った。

 

「それは正しい姿勢です。私達教師が介入すれば、生徒達の成長の機会を奪います」

 

「でも」

 

スプラウトは顔を上げた。

 

「あの子は常に一人でいました。夕食の時間でも談話室でも……誰とも言葉を交わしませんでした」

 

「私は彼の寮監として注意深く見守っていました。成績は優秀でしたが……」

 

「でも」

 

スプラウトは声を荒げた。

 

「もし私がもっと親身になって話を聞いていれば……」

 

マクゴナガルは静かに紅茶を一口飲んだ。

 

「ポピー、貴方は間違っていないわ」

 

「でも……」

 

スプラウトは泣きそうな顔で訴えた。

 

「あの子は卒業後も連絡を取らずに消えてしまいました。私が最後に見たのはあの子の悲しげな目でした……」

 

「スプラウト教授」

 

マクゴナガルの声は厳しさを帯びていた。

 

「ジョン・スミスの堕落は貴方の責任ではありません」

 

「ですが……」

 

「彼は自分で選んだ道です」

 

マクゴナガルは毅然と言い切った。

 

「彼が死喰い人になったのは貴方のせいではありません」

 

スプラウトは肩を落とした。

 

「ええ……そうですよね……」

 

「ええ」

 

マクゴナガルは少し柔らかい口調になった。

 

「ただ……私も複雑な心境です。彼は優秀な生徒でした。【闇の魔術に対する防衛術】だけでなく【薬草学】や【魔法薬学】にも才能がありました。勿論、私の担当する【変身術】も」

 

スプラウトは思い出したように言った。

 

「確かに……あの子の『群生地別のマンドレイクの世話』に関する論文は素晴らしかった。当時の私でさえ感心させられました」

 

「それなのに……」

 

マクゴナガルは溜息をついた。

 

「彼は魔法省の神秘部にさえも侵入し、闇祓い達から逃げ切れる程の能力を発揮しています」

 

「正直に言って」

 

マクゴナガルは続けた。

 

「彼の能力は計り知れないものです。魔法界の常識に囚われず、マグル社会でも生きていける知識と技能を持っている」

 

「それが却って危険なのです」

 

スプラウトは不安そうな表情でマクゴナガルを見つめた。

 

「彼は魔法界とマグルの世界の両方の生き方を融合させています。それは一種のハイブリッド型の新たな形の死喰い人と言えるでしょう」

 

「そう……」

 

マクゴナガルは深刻な表情になった。

 

「普通の死喰い人では絶対に取らない方法を、彼は躊躇なく取れるでしょう。その逆も然りですが」

 

マクゴナガルはそう言い切った。

スプラウトはその言葉を噛み締めるように聞き入った。

二人の女史の間には長い沈黙が流れた。

職員室の窓から見える湖畔では、大鷲が羽ばたいていた。

 

「ポピー」

 

マクゴナガルは落ち着いた声で呼びかけた。

 

「貴方が感じているその責任感は尊いものよ。でも忘れないで」

 

「……?」

 

「ジョン・スミスを救えなかったのは貴方のせいではありません」

 

マクゴナガルは厳格な口調で言った。

 

「彼は自分で決めた道を歩んだんです」

 

「……でも」

 

スプラウトは声を詰まらせた。

 

「貴方は最善を尽くしました」

 

マクゴナガルは温かく言った。

 

「彼の心の扉が閉ざされていたのは誰のせいでもない。私たちができるのは過去を後悔することではなく、未来に向けて備えることです」

 

「ええ……」

 

スプラウトは涙を拭った。

 

「ありがとうございます……ミネルバ……」

 

二人の教授の間に穏やかな空気が流れた。

 

「時代は変わったんですね……」

 

マクゴナガルは独り言のように呟いた。

 

「マグル差別……純血主義者である死喰い人が、マグル社会でマグルとして生活していたとは……全ての死喰い人がそうでは無いと信じたいですが……」

 

「そうですね……」

 

スプラウトも同意した。

 

「あの子の事は生涯忘れません。あの子がいつか罪を償う日が訪れる事を願うしかないでしょうね……」

 

「ええ……」

 

マクゴナガルは静かに頷いた。「それが教師としての務めですから」

 

二人の教授は無言で紅茶を啜った。

窓の外では新しい一日が始まろうとしていた。

 

 

---

 

 

1980年9月21日 20:05

マルフォイの館 玉座の間

 

 

大量の蝋燭の揺らめく光が広間を赤く照らし出す。

中央には漆黒の玉座が置かれ、その上には【ヴォルデモート卿】の姿があった。

細身の体躯と白い肌、蛇のような紅い瞳が冷酷な光を放っている。

右側には【セブルス・スネイプ】が控え、左側には【コーバン・ヤックスリー】が立っていた。

 

ジョンとルックウッドは十数メートル離れた位置に膝をついていた。

 

「顔を上げよ」

 

ヴォルデモートの声は氷のように冷たかった。

 

二人が顔を上げると、玉座から身を乗り出した主人の姿が見えた。

その赤い目が鋭くジョンを捉えている。

 

「スミス」

 

ヴォルデモートの声には抑揚がなかった。

 

「前回の一件について説明せよ」

 

ジョンは閉心術を最大限に働かせながら口を開いた。

 

「我が君。魔法省神秘部への潜入任務において、予期せぬ妨害を受けました。標的の操作には成功しましたが……」

 

「失敗したな」

 

ヴォルデモートが遮った。

 

「顔が割れたことでお前は今後活動が困難になっている」

 

ジョンの額に冷や汗が浮かぶ。

彼は平静を装いながら答えた。

 

「しかしながら我が君、これにより標的は完全に我々の支配下にあります。魔法省大臣室からの情報は……」

 

「言い訳は不要だ」

 

ヴォルデモートの声が一段と低くなった。

 

「顔を晒すなど愚か者のする事だ」

 

スネイプが微かに眉をひそめた。

ルックウッドは緊張した面持ちで平伏している。

 

ジョンは内心で覚悟を決めた。

 

『磔の呪文は避けられないか……』

 

「幸いにも」

 

ヴォルデモートは少し声音を変えた。

 

「ルックウッドが我々のスパイである事がバレなかった事は重要だ」

 

玉座の傍らからルックウッドに視線を向ける。

 

「逃がした功績は認めよう」

 

ジョンは僅かに安堵したが、表面には出さなかった。

 

「だが」

 

ヴォルデモートは再びジョンを見据えた。

 

「次は無い」

 

「はっ」

 

ジョンは深く頭を下げた。

 

「下がれ」

 

ヴォルデモートは短く命じた。

 

二人が退出しようとした瞬間、背後から声がかかった。

 

「待て」

 

ジョンが振り返ると、ヴォルデモートが小さな紙切れを掲げていた。

日刊予言者新聞の切り抜きだ。

自身の顔写真が写っている。

 

「これはお前の趣味か?」

 

ジョンの心臓が跳ねた。

顔には出さずに答える。

 

「はい……我が君」

 

ヴォルデモートは冷笑を浮かべた。

 

「程々にしておくべきだ」

 

その言葉の裏に潜む意味をジョンは正確に理解した。

『いつでもお前を処刑できる』という脅しだった。

 

「心得ております」

 

ジョンは頭を下げた。

 

スネイプとヤックスリーが警戒する視線を向ける中、ジョンとルックウッドは扉の前で振り返り、再び一礼し退室した。

重厚な扉が閉じられる音が響いた。

 

長い廊下を歩きながら、ジョンは小さく息をついた。

 

『やはり恐ろしい御方だ……全てお見通しだったか』

 

横でルックウッドが立ち止まった。

 

「助かったぞ」

 

彼は低い声で言った。

 

「借りてたモノだ、返すぞ」

 

彼は懐から万年筆を取り出した。

ジョンが以前貸したものだ。

柄の部分に微かに魔法の残滓が感じられる。

 

「ありがとう」

 

ジョンはそれを受け取りながら言った。

 

「次はもっと慎重に動かないとな」

 

「お互いにな」

 

ルックウッドは苦笑した。

 

「お前ほどの男でも失敗はあるか」

 

「常に準備しておかないと」

 

ジョンは万年筆を袖に入れながら答えた。

 

「次はおそらく……」

 

彼は言葉を濁した。

 

ルックウッドは察したように頷いた。

 

「了解した」

 

二人はそれぞれ別方向に歩いていった。

館の外では夜風が吹き抜け、闇夜に吸い込まれるようにジョンの姿が消えていった。

 

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