「バズっとるやんけ」
「バズってますね」
「バズってんな」
アイドル事務所、スターライトのあるビルの一部屋。
社長から急遽呼び出しを受けて赴いたと思えば開口一番で手渡されたスマホからSNSでテレビ出演してた俺がバズってるのを報告されていた。
『なにこの子、めっちゃ可愛い』
『ハーフか? 清純派っぽい』
『笑顔の破壊力凄いな』
『こんなに可愛いアイドル初めて見たわ』
出るわ出るわ。俺を褒め称える呟きの数々。
「顔面の良さはわかってたが……こんなにトントン拍子にことが進むとはな」
「期待値を大幅に超えましたね。これは本当にひょっとしますね……」
マネージャーと社長が顔を突き合わせて俺を見る。
SNSでバズった女だ、面構えが違うだろう。
心なしかドヤ顔していると、どっちもげんなりとした表情に早変わりしていた。
「しかし、この変態性がネックになりますね」
「それだな。炎上沙汰……で済めば御の字レベルの特大爆弾だ。お前、この間駅で露出してたろ」
「!?!?」
ナンデ!? なんでバレてるの!?
「柚子が動画付きで報告してきたんだよ。ヘッタクソな変装しやがって。バレてたら海に沈めてたぞテメェコラ」
それはぜひやってみてほしいところだが、どうやらストレス発散の為の露出行為は柚子さんにはお見通しだったらしい。
「明らかに様子がおかしかったので尾行してたんですよ。警戒心がチワワ並みだったので楽でした」
くぅーん……。だってぇ、謂れのないチヤホヤでストレスが限界だったんだもん。
「コイツをトップアイドルにする素養はある。……が、この警戒心の薄さと無防備さでイかれた変態性を押し留めるには限界がある」
俺が涙目で訴えると、社長は深いため息をつき、革張りのソファに深く腰掛けた。
そして、まるで悪魔の取引を持ちかけるように、ニヤリと凶悪な笑みを浮かべた。
「だ・か・ら、だ。
テメェのそのイカれた性癖とストレスを、安全かつ収益に変える『ガス抜き』を用意してやる」
「ガス抜き……?」
「ああ。ファンクラブの上位会員……特例も設けるが、年会費三百万の『VIP会員』限定のシークレットイベントを開催する」
年会費三百万!?
ボッタクリバーも裸足で逃げ出す金額だ。
俺ごときの新人にそんな大金を払う物好きがいるのか?
「名目は『八重ちゃんとの秘密の交流会』だ。
だが、その実態は……テメェの『ストレス発散』の場だ」
「……交流会でストレス発散?
まさか、ファンと握手して『ありがとうございま〜す』ってニコニコしろって? そんなの余計にストレス溜まる! 俺はもっとこう、雑に扱われたいの!」
「話を聞け早漏が。
この交流会の参加者は、俺と柚子が厳選に厳選を重ねた『口の硬い』人間だけを通す。
社会的地位があり、金を惜しまず、そして何より──『多少のアブない遊び』を理解できる連中だ」
社長が身を乗り出し、声を潜める。
「いいか、この空間に限っては『何をやってもいい』。
テメェが普段ひた隠しにしてるドM全開の態度はもちろん、罵られようが、踏まれようが、這いつくばろうが自由だ。
参加者には『八重ちゃんはそういう"プレイ"がお好き』というテイで通す」
「えっ…………?」
俺の思考が一瞬停止し、次の瞬間、爆発的な歓喜が駆け巡った。
「そ、それってつまり……!
俺公認の『ご主人様候補』と面会できるってことですか!?」
「そうだ。テメェが求めてる『理想のご主人様』を、その中から見つけろ。
金払いのいい太客なら、テメェをモノとして扱うことにも慣れてるだろうよ」
電流が走った。
天才か。この強面ヤクザは天才なのか。
やってる事は非合法すぎるけど。
公共の場での露出はリスクが高すぎる。
だが、金と契約で守られた密室なら?
しかも相手は、三百万を継続的にポンと出せる選ばれしエリートたち。
きっと俺のことを「高いオモチャ」として、存分に弄んでくれるに違いない!
「やります!! やらせてください!!
俺、その交流会で一生の飼い主を見つけます!!」
「おう、精々励めよ。
ただし、もし情報が漏れたら……その時はテメェのマンコにコンクリ詰めて東京湾だ。分かったな?」
「ひぃっ♡ わ、わかりましたぁっ♡」
命がけのSMパーティ。
最高じゃないか。
「……ハァ。社長も悪趣味ですね。こんな変態の奇行をビジネスにするなんて」
柚子さんが冷ややかな目で俺を見る。
「柚子、お前も同席しろ。監視役だ。
万が一、客が暴走しすぎた場合のストッパーが必要だからな」
「えぇ……。この変態が喘いでるのを真横で見ろと?」
「そこをなんとか! 柚子さんの冷たい視線がないとイけない身体なんです!」
俺がすがりつくと、柚子さんは本気で嫌そうな顔で靴先で俺の手を払った。
「……分かりました。仕事ですから。
その代わり、私の目の届かないところで勝手に穴を使わせたら、即刻通報しますからね」
「んほぉっ♡ 厳重管理っ♡ ありがとうございますぅっ♡」
こうして。
表向きは清純派アイドルのファンミーティング。
裏の顔は、ドMアイドルによる『理想のご主人様オーディション』の開催が決定したのだった。
★
それから三ヶ月。
俺は頑張った。それはもう頑張った。
元々培った営業能力を駆使し、至るところに顔を繋げ。
スタッフにも気配りを見せ、分け隔てなく接し。
かつ、ユーモアも含むちょっと小悪魔な面もあるアイドル八重ちゃん像を作り上げ。
空いた時間のレッスンも熱心に取り組み、パフォーマンスを更に練り上げていった。
なぜか。
数億の収入? ノンノン。
飽くなき承認欲求? ノンノン。
俺がアイドルとして売れれば売れるほど、VIP会員の希望者が増えるからだ。
するとどうなるかと言えば、理想のご主人様に出会える確率が跳ね上がるのだ。
社長と柚子さんの選抜はかなり厳しいのが予想される。
興信所にまで外注して身元を洗う徹底ぶり。このハードルを超えるのは並大抵では不可能だろう。
恐らく、倍率はとんでもないバズだ。
だからこそ、俺は自らを磨き上げ、価値を引き上げてファンの母数を増やすのである。
あとこんな清純で人気爆発中のアイドルが貶められるのに興奮するのもある。というか目的の九割がそれだった。
そして、本日遂に第一回目のファンミーティングの開催である。
参加者は僅か『三名』。応募者は八十人超だったのに対しての僅か三名だった。
俺の予想は当たっていたのである。
下手したらゼロ人の可能性もあったなコレ。
「えー……では、僭越ながら本日の司会を務めさせていただきます、マネージャーの柚子と申します」
都内の超高級ホテル、その最上階にあるスイートルーム。
防音完備、セキュリティ万全の密室には、重苦しいほどの緊張感と、それ以上に濃密な期待感が充満していた。
ふかふかのソファに腰掛けるのは、厳選された三名のVIP会員たち。
彼らは社会的地位のある紳士たちだが、その瞳の奥には隠しきれない情欲の炎が揺らめいている。
彼らの視線は一点。
部屋の中央に設置された、深紅のベルベットカーテンで閉ざされた小さな特設ステージに釘付けだ。
参加費三百万。身元調査済み。
そこまでして彼らが求めたのは、テレビの中で微笑む「天使」の裏の顔。
「皆様、本日は『八重ちゃんとの秘密の交流会』にお越しいただきありがとうございます。
当事務所が誇る、今一番輝いている清純派アイドル……如月八重の登場です。どうぞ」
柚子さんが、まるで汚物を見るような冷ややかな目で、機械的にカーテンを開け放った。
シャァッ……。
重厚な布が左右に開く。
そこにいたのは、テレビで見る可憐な衣装に身を包んだアイドル──では、断じてなかった。
そこに鎮座していたのは、理性のタガが外れた、ただの「発情した雌の肉塊」だった。
「……ひグッ、ふぅ……っ♡ ぁ、あひぃ……♡
お、お待たせ……しましたぁ……ご主人様がたぁ……♡」
ステージの上。
強烈なスポットライトを浴びて浮かび上がったのは、黄金色のマイクロビキニを身に纏った、卑猥極まりない姿の如月八重。
頭には、白銀の髪に映える黒い猫耳カチューシャ。
首には、「YAE」と刻印された革製の首輪。
そして、その肢体。
Hカップの暴力的な巨乳は、乳首を隠すことすら放棄した三角形の布切れから完全に溢れ出している。
重力に引かれてたわわに実った果実は、今にも弾け飛びそうなほど血管を浮き上がらせ、桜色の突起は興奮でカチカチに勃起して天を仰いでいた。
だが、何より異様で、何より冒涜的だったのは──そのポーズだ。
彼女は、ステージの上で恥も外聞もなく、両膝を限界まで左右に開いた「ガニ股M字開脚」でしゃがみ込んでいた。
いわゆる、ヤンキー座りをさらに下品にし、女性としての尊厳をかなぐり捨てたような姿勢。
両手は顔の横でダブルピースを作り、舌をダラリと顎まで垂らし、白目を剥きかけた恍惚の表情。
ネットスラングで言うところの『ちん媚び』──雄の肉棒をねだる、メスとして最低最悪の表情だ。
「見てぇ……♡ こっち見てぇ……♡
テレビじゃ絶対に見せない……八重の、いやらしいとこ、見てぇ……♡」
彼女が腰を振るたびに、ガニ股の間にある「秘部」が露わになる。
マイクロビキニの下の紐は、食い込みすぎてほとんど見えない。
あるのは、綺麗にパイパンに処理されたつるつるの恥丘と、興奮で充血し、愛液でドロドロに濡れそぼったピンク色の秘裂。
ぱっくりと口を開けたそこは、照明の光を反射してテラテラと輝き、時折ヒクッと痙攣しては、透明な汁をステージの床に垂らしている。
そして、さらにその後ろ。
突き出されたお尻の穴からは──。
ヌチュッ……プリッ……プリリッ……♡
白い尻肉の間に、数珠繋ぎになった真珠のような球体──特大のアナルパールが、菊門から垂れ下がっていた。
尻尾だ。
本来なら排泄を行うべき場所に異物が詰め込まれ、それが猫の尻尾のように床まで伸びている。
彼女が呼吸をして括約筋をヒクつかせるたびに、パールはヌルヌルと粘液を纏って出し入れされ、妖しく光る。
「あぁっ……♡ 入ってる……お尻に、ご主人様の尻尾、入ってるぅ……♡
お腹の奥っ、ゴロゴロするぅ……っ♡」
三名のVIPたちが、息を呑み、そして一斉に身を乗り出した。
彼らの額に脂汗が滲む。
目の前にいるのは、昨日テレビで「守ってあげたい」と称賛されていた国民的アイドルだ。
その彼女が今、目の前で股を開き、アナルに真珠を詰め込み、涎を垂らして媚びている。
「こ、これは……たまげた……」
「テレビのイメージと、真逆じゃないか……!」
「なんて痴女だ……。あんな阿呆みたいな顔で、チンポをねだりやがって……!」
彼らの驚愕と、それを上回る暴発寸前の興奮が、ビリビリと肌に伝わってくる。
たまらない。
「尊い」? 「天使」?
違うだろ。今の俺を見て、そんな言葉が出てくるわけがない。
あるのは「肉便器」「雌豚」「公衆トイレ」という、俺が渇望していた蔑称だけだ。
俺はアナルパールをキュウゥッと肛門で締め上げ、腸壁を擦られる快感に震えながら、涎を拭おうともせずに宣言した。
「はじめましてぇ……ご主人様がたぁ……♡
国民的清純派アイドル……いいえっ。
国民的肉便器アイドルの、如月八重ですぅ……♡」
ニチャア、とだらしなく口角を釣り上げ、充血した目で男たちの股間を見つめる。
「今日はぁ……皆さんのその極太おちんちんでっ、私の生意気な穴を、わからせてくださいぃぃっ……!!
口でも、おまんこでも、お尻でもっ……どこでも好きなところに、種付けしてくださいぃっ……!!♡」
言い終わると同時に、俺は四つん這いになり、お尻を高く突き上げた。
そして、肛門に力を込め、体内からパールを一つ、押し出す。
ブチュゥッ!!
ピンポン玉サイズの球体が、粘液と共に排出される下品な音が、静まり返ったスイートルームに響き渡った。
「…………」
会場の隅で、柚子さんが天を仰いで額を押さえ、「……終わった」と呟くのが聞こえた。
だが、もう遅い。
俺と、選ばれし変態紳士たちによる、地獄のファンミーティングの開幕だ。