懸賞金カンストRTA 作:アホホア
”偽善者”ニカ・バレット。懸賞金15億ベリー。ヒーロー活動と称して金で職業安定所を襲い、労働者を攫い、天竜人に危害を加える極悪人。政府の報道ではそうなっている。だが、その実態が本物のヒーローであることをシャボンディ諸島の住人は知っている。
バレットの逮捕が報じられた時は住民の半分以上が悲しんだし、元奴隷に至っては海軍にケンカを売って返り討ちにあうこともあった。そのバレットが、脱獄に成功したらしい。シャボンディ諸島の港にはバレットを迎える多くの住民が集まっていた。もちろん海兵も相当数いるが。
「きょ、巨兵海賊団……!?」
「だが、隣にいるのはバレットさんじゃないか!」
「全身包帯だらけだが、あれだけ筋肉が盛り上がっている男はバレットに違いない!」
だが、予想外のことが起こる。現れたのはニカの船の数倍はある、見たことのない規模の巨大な船。その先頭に乗る巨大な角の生えた男。そして、その男の隣に、バレットはぽつんと立っていた。
「巨人が助けてくれたのか!」
「とにかく、ヒーローの帰還だ」
「うぉおおおおおお! バレットぉおおおおおお!」
徐々に船が近づき、バレットの姿が鮮明になる。全身の傷、特に潰れた目は痛々しいが、凛と立つ姿に衰えはない。全身からは覇気が溢れており、ヒーローとしての心が折れていないことが分かる。
「聞け、市民達よ!」
「みんなバレットさんが話を始めたぞ! 静かに」
「しーっ、しーっ」
バレットは住民が落ち着くのを待つ。そして、ゆっくりと口を動かす。
「俺は、この島でのヒーロー活動を引退することにした」
「えっ」
「おっ、おい! ウソだよな……!?」
「ようやく正体を現したか。偽善者め」
市民達に動揺が走る。逆に海兵は喜ぶ。悪が相手なら攻撃しやすいのだ。
「勘違いするなよ、ヒーロー活動はやめない」
「ヒーロー活動は……?」
「ど、どういうことだ!?」
「その先の説明は俺からしよう」
ロキの肩から男が飛んでくる。
「誰だお前は! バレットさんの邪魔をするな!」
「あれは、ロックス・D・ニコ!」
「違うニカだ!」
「最悪の後継者!」
「バレットさんのオーナーだ!」
「金持ちがでしゃばるな! 俺はバレットさんの話が聞きたいんだよ!」
シャボンディ諸島の中ではニカよりもバレットの方がずっと有名だった。住民はニカとバレットの関係を知らない。ニカのことは金でバレットを支える支援者のような認識だった。
「我々は、新世界のトットランド、エルバフ、ニカニカ王国、魚人島を中心とした新たな世界政府を作る」
「新たな……、世界政府……?」
「どういうことだ? 革命か……?」
「違う。これは革命ではない。我々は今の世界政府を打倒しない。我々の意向はあくまで並立だ」
「並立……?」
「世界政府が2つできるってことか?」
「加盟国を集めた世界政府。非加盟国を集めた新世界政府。お前達はどちらの政府に所属したいか、選ぶことができるようになる」
「それって……?」
「その話とバレットさんに何の関係があるんだよ! 政治の話は勝手にしろよ!」
市民達は困惑している。新世界政府などと急に言われても意味が分からないのだ。
「簡単な話だ。バレットは今後、シャボンディ諸島に立ち寄らない。なぜなら、新世界政府の住民となることを選んだからだ」
「あ……っ!」
「そんな、バレットさん……!」
住民達はようやく理解した。バレットは新世界政府がある新世界に移住するため、シャボンディ諸島には来れなくなるのだと。そこでようやくバレットが口を開く。
「新世界政府では、海軍のような上下関係に縛られる軍隊を持たない! 代わりに! 雇い主との一対一の関係を重視した傭兵部隊、ヒーロー軍が結成される!」
「ヒ、ヒーロー軍!?」
「バレットさん、あんたはまだヒーローを!」
「俺は生涯ヒーロー現役よ」
「う、うぉおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「「「「「「「「バレット! バレット! バレット! バレット!」」」」」」」
盛り上がる市民達。
「てめぇらも選ぶんだ! 腐った世界政府のために働くか、この俺と共に新しい世界政府を作っていくか!」
「共に来たい者は船に乗れ! 行くぞ、新世界へ!」
移民の催促。重要な決断を迫られる。市民の盛り上がりは少し陰りを見せるが。
「うぉおおおおおお! バレットさん! 俺はあんたについていくぜ!」
「天竜人には心底ムカついてたんだ! 俺も新世界政府に着く!」
「俺は、ヒーローを目指すぜ! バレットさんの下で!」
一人、また一人と巨人の船に渡っていく。渡ると言うより巨人の手のひらに乗せてもらって乗船する感じではあるが。
「待てぇ! やつらは犯罪者だぞ!」
「犯罪者に協力するというならお前達も罪人となるぞ!」
「しゃらくせぇ!」
海兵が住民を止めようとするが、その海兵をカイドウが金棒で殴り飛ばした。
「うぉおおおおおお!」
「「「「「「「「バレット! バレット! バレット! バレット!」」」」」」」
その日、シャボンディ諸島のバレットファンの半数近くが移住を決断した。まだ幼い子供達は大人になったら移住することを胸に誓いつつ今は親に従うしかなかったが。
「とうとう動くか。時代が」
「ヴァターシ達も新世界政府に入るの?」
「急ぎはしない。だが、詳細を詰めていけば未来は明るいと感じる」
遠巻きで見ていたドラゴンとイワンコフもひっそりとロキの船に乗った。
――――――
というわけで、バレット救出からの新世界政府の樹立宣言が終わりました。
ニカの懸賞金は52億ベリーまで上がりました。さすがに原作最高額近くになると上り幅も渋くなってきます。ここからはふつうのやり方ではわずかにしか上がりません。ただの海賊ではない、施政者としての価値を見せていきますよ。
まずはヒーロー軍の編成。ヒーロー間に上下関係はないと言いましたが、1000人を超えるような戦いでは指示を出す者も必要です。チームプレイにおける師が弟子に指示を出すと言うで全員が会話すると連携がとりにくいですし、ヒーローは子供に夢を与える職業なので、名声的な階級分けはします。
神(マザー) リンリン、カルメル(故人)
伝説(レジェンド) ニカ、ロキ、カイドウ、ドラゴン
王(ドン) バレット、アルベル、クマ
金(ゴールド) 軍子、フィッシャー・タイガー、イワンコフ
銀(シルバー) リプリー、ジンベイ
銅(ブロンズ) カタクリ
鉄(スティール)ジニー
岩(ロック) その他大勢
最初は皆、ロックヒーローからスタートします。みんなでロックs(ス)になるという洒落ですね。トップはリンリン。気をよくさせるために神と書いてマザーと読ませます。また、カルメルの精神を受け継ぐと言う意味で故人のカルメルを特例でマザー級ヒーローに。ここまですればリンリンもヒーロー軍という名前と方針を認めてくれます。ロキとカイドウとドラゴンはニカに対する同盟相手として同じ階級。他は部下に当たるので下の階級です。イメージとしてはドン級は国王、スティール級はちんぴらのボスという感じです。
軍隊以外も振り分けが必要です。働く意欲が高いシャボンディ諸島の住民が大勢手に入ったので、魚人街、ニカニカ王国、ぽかぽかに振り分けていきます。天竜人の元妻など美しい女はぽかぽかの娼館にも誘います。また、エルバフ出身で戦いを好まない者にも、ぽかぽかで仕事を与えます。経済はしばらく物々交換。徐々に硬貨、紙幣へと移行させます。
魚人街に着くまでの移動中にヒーロー試験を行います。強さと精神性をチェックします。多少政府の犬が入ってくるのは仕方ありませんが、ちんぴらにヒーローを名乗られては困ります。精神性のチェックではドラゴンとロキの見聞色の覇気を生かして行います。悪人は入れません。なおこの精神性チェックをマザー級レジェンド級が受けたら怪しいという笑。