※この作品はR-18です。

OCA『隣人の灯火(ともしび)』   作:XYZ_L

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第三章:隣人の灯火(ともしび)

一ヶ月後。

リノベーションを終えたサトルの部屋(201号室)は、完全な静寂と、むせ返るような濃密な空気に満ちていた。

 

漂うのは、かつての安っぽい生活臭ではない。

高価なキンモクセイの香油と、微かなオゾン臭、そして栗の花にも似た独特の甘い匂い――雌の生体エネルギーが飽和した香りだ。

 

畳敷きの居間の中央に、一基の美しい行灯(あんどん)が鎮座している。

 

高さ一・五メートル。

格子は高級な白木で組まれ、和紙の代わりに、半透明の「バイオ・スキン(生体培養皮膚)」が張られている。

 

「ただいま、サヨコさん」

 

サトルは帰宅すると、上着を脱ぎながら行灯に近づき、愛おしげに格子を撫でた。

 

格子の向こう、薄紅色の皮膜の内部には、かつて隣人だった女が「機能」として展示されていた。

サヨコは全裸で、両膝を大きく左右に割った「M字開脚」の姿勢で、透明な高硬度ゲルの中に封入されている。

 

最も恥ずかしい部分を、所有者であるサトルに向けて強制的に見せつける屈辱のポーズ。

だが、それは同時に、彼女を「生かす」ための必然的な形状でもあった。

 

彼女の身体には、生存と発電に必要なラインが冷徹に接続されている。

雅な意匠が施された猿轡(ギャグ)の中には、食道へ直結する給餌チューブが隠されており、彼女の意思とは無関係に高カロリーの流動食を胃へと流し込む。

 

そして、大きく開かれた股間――。

尿道には透明なカテーテルが、そして肛門には、太い金属製の「循環プラグ」が深々と埋め込まれていた。

彼女の排泄物は即座に吸引され、台座の下でろ過され、再びこの部屋を潤す「加湿用の蒸気」としてリサイクルされる。

 

彼女はもう、トイレに行く必要も、食事をねだる必要もない。

不潔な営みさえも、ここではクリーンな循環システムの一部としてデザインされていた。

 

そして、秘裂の奥には、金色の「オルガ・コネクター」が子宮口をこじ開けて鎮座している。

 

サトルはリモコンを手に取る。

 

「今日は冷えますね。……出力を上げましょう」

 

ダイヤルを回す。

 

『ゴボッ……ジュルリ……』

 

行灯の台座から、卑猥な水音が響いた。

 

コネクターが振動し、子宮を内側から愛撫するピストン運動を開始する。

同時に、乳首に吸着した吸引カップが収縮し、未開発の乳腺を強い負圧で刺激する。

 

「――ッ!!? ……んぐ、ぁ、あぁッ……!!」

 

猿轡の隙間から、押し殺した絶叫が漏れた。

 

苦痛ではない。

だが、脳髄を直接レイプされるような、逃げ場のない強制絶頂。

 

彼女の身体がビクリと大きく跳ねる。

 

血管がネオン管のように青白く発光し、内臓の熱が一気に上昇する。

白磁のような肌が一瞬で桜色に染まり、特にプラグが埋め込まれた下腹部が、熱を帯びて激しく明滅した。

 

ぼうっ、と六畳間に妖艶な桃色の光が灯る。

それは、サヨコの羞恥と快楽が変換された、あまりにも人間的な熱源だった。

 

「……あぁ、なんて美しいんだ」

 

サトルは行灯の前に座り込み、恍惚とした表情で中を覗き込んだ。

サヨコの顔は、汗と涙、そして垂れ流される涎でぐしゃぐしゃに濡れている。

 

瞳は快楽と屈辱で白目を剥きかけ、焦点は虚空を彷徨っていた。

時折、サトルの方を見て何かを訴えるように瞬きをするが、システムが感情中枢を制御しているため、その表情はすぐに虚ろな恍惚へと戻される。

 

そこにはもう、夫のために弁当を作り、電気代を気にして溜息をついていた「生活感のある妻」はいなかった。

あるのは、サトルの部屋を照らし、温めるためだけに存在する、永遠に美しい「雌の家具」だけだ。

 

「マサシ君には見えなかっただろうね。君の奥底に、こんなに淫らな光が眠っていたなんて」

 

サトルは格子越しに、発光する彼女の股間に指を這わせた。

バイオ・スキン越しに伝わる熱は、火傷しそうなほど熱い。

 

「君はもう、誰の妻でもない。家事も、借金の心配もしなくていい。……ただ、永遠にここで、僕のために濡れて、発電し、輝いていればいいんだ」

 

サトルは満足げに微笑み、彼女の放つ光の下で文庫本を開いた。

 

静寂に包まれた部屋に、行灯の中のサヨコが、プラグの振動に合わせて、ヒュッ、ヒュッ、と喉を鳴らす音だけが響き続けた。

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