二人は再び昇降口から校舎の外に出ると、
執行部棟とリトリス像がある学院の正面玄関広場を抜けて校門へやってくる。
すると、そこから外へと縦横無尽に伸びているのは
周囲を森の緑に囲まれたタイル張りの遊歩道だ。
深い霧の中に霞む自然の緑は得も言われぬ神秘性を感じさせた。
「ここで学院エリアは終わりよ。
ここを中心に北が女子寮、南が用務員寮、西が教員寮、東が執行部エリア。
これらが遊歩道により繋がっているわ。」
「めっちゃ広くないっすか?
全部回れるっすかね?」
「大丈夫。
この中で私たちが使うのは基本北の遊歩道と、
そこから続く女子寮エリアのみだから。」
校門前でロータリーのようになっている広場から、
二人は針路を北に取る。
霧の中を進んでいると左右交互に街灯が現れては消えてゆく。
そんな道筋を歩いていた。
「霧で隠れているとはいえ、
なかなか綺麗な遊歩道っすね。」
「でしょ?
日が暮れて街灯がつくと、もっといい雰囲気になるのよ。」
「あー、いいっすね。
そいつは神秘的っす。」
「ただまあ、そんな時間にここを通れるのなんて、
おつとめあがりの子だけなんだけどね。」
「フヒッ……」
「この辺りはね。
帰りが遅れた子たちには鬼ごっこエリアになるわ。」
鬼ごっこ。
真理恵は軽い口調でそういうが、
それは捕まれば即レイプというろくでもない遊戯だ。
もしそうなった場合、周囲を覆い隠す霧は哀れな獲物を守ってくれるのか、
もしくは恐ろしい捕食者の元へと誘うのか。
それはまだわからない。
「霧に紛れて狩人たちをやり過ごし、
女子寮という巣穴まで無事戻れるか。
それとも狩られて餌場に連れ込まれるか。」
「餌場……」
――パンッ❤ パンッ❤ パンッ❤ パンッ❤ パンッ❤
パンッ❤ パンッ❤ パンッ❤ パンッ❤ パンッ❤
パンッ❤ パンッ❤ パンッ❤ パンッ❤ パンッ❤
すると、またしても蜜香の“耳”に飛び込んでくる、あの音。
今度はすぐに幻聴だとわかった。
ならば、と今度は“目”を向ける。
霧の奥、遊歩道から少し外れた先にある場所に、
多くの牡と牝の欲望、残留思念が渦巻いている場所を見つけた。
「あれは、またトイレっすかね?」
「……」
霧のため視界の通らないはずの離れた場所をジッと見据える蜜香。
それを真理恵がまたあの見定めるような目で見つめる。
「蜜香。
貴方、もしかしてだけど……」
「あっ。」
明らかに『しまった!』という顔をする蜜香の手首をひっ掴み、
真理恵は足早に歩き出す。
遊歩道を道なりに進むと進路から外れて一本道が分岐しており、
その先には藤棚やベンチがある広場や青い塗装の建物が見えている。
それは休憩所と公衆トイレ。
だが、これらは普通ならば
この距離まで近づいてようやくわかるものだ。
「さっきの場所から、見えてたわね?」
「え、あーいや……
霧の中にうっすらと!
うっすらとだけ建物が見えてたっすよ!」
「嘘おっしゃい!
蜜香、貴方、“視”える子でしょ?」
「や、や~、何のこと言ってるんだか。
わっかんないっすね~?」
ほぼ答えを確信している真理恵を前に、
それでもなおごまかそうとする蜜香。
不思議な力を持つ蜜香の“目と耳”は
優れてはいるものの普通に生きる上ではさほど必要ない上、
下手に周囲にバレると気味悪がられるという弱点にもなりうる。
そんな一面こそが彼女を人間関係において臆病にし、
卑屈な性格を作り出す一因ともなっているのだ。
だからこそ真理恵にもバレたくはない。
とは思うものの、もはや手遅れのようだった。
「蜜香。
正直に言わないとまたベロチューするわよ?」
「フヒッ!?
いや、それ……
なおさら正直に言わなくなるやつっすよ?」
「ふ~ん?」
蜜香の顔を覗き込むようにニタリと笑うと、
真理恵は奪うようなディープキスを浴びせる。
自分の香りを相手に移すかのような百合姫たちの戯れは、
蜜香から完全に抵抗の意思が消えてなくなるまでじっくりと続けられた。
そして、しばしののち。
両目をハートマークにしてぼーっと立ち尽くす蜜香に
真理恵がもう一度同じ質問を繰り返した。
「もう一度聞くけど蜜香。
貴方、視える子よね?」
「フ、フヒッ❤」
「あの公衆トイレの中には、
あそこで踊った無数の牡と牝の思念が渦巻いてる。
それが貴方には視えているのよね?」
「い、いえしゅまむ。
視えてたし、聴こえてたっしゅ。」
「……てた?
過去形?」
「今は、お姉しゃまのことで頭が一杯っしゅ……
もう何も視えない聴こえない~っしゅ……」
「ふふっ、よろしい。
やっぱり可愛い子ね。
私の目に狂いはなかったわ。」
そのまま二人は一休みするために休憩所へやってくる。
休憩所には無料で利用できるドリンクの自販機があり、
そこで真理恵はコーラを、蜜香はトマトジュースを入手。
並んでベンチに腰を下ろした。
「にしても、まさかお姉さまも視える人だったんすか?
トイレの残留思念がわかるなんて。」
「私は、ちょっとだけね。
たま~に視えるけど、聴こえはしないし。」
「でも、でも、同類っす!
なんか蜜香、お姉さまと同類で嬉しいっす!」
「うふふ、私もよ。」
キンキンによく冷えたドリンクが二人の喉を潤し、
いつの間にか溜まっていた疲れを取り払ってくれる。
足元では小さな花々が風にそよいでおり、
木々の枝では小鳥たちが『チクチクチク』と愛らしく囀る。
これらもまた天然のリラクゼーション空間の構築に一役買っていた。
「ねえ、蜜香ってさ。
どうしてうちに来ようってことになったの?」
「聖リトリスにっすか?」
「だって、おつとめのことは知らなかったにしても、
ここに来ると三年間、外部とのやりとりの一切は禁止。
テレビやネットすら見ちゃダメなのよ?」
「あー……
それはたしかにパンフにも書いてあったっすね。
家族に不幸があった場合すら帰れないんだとか。」
「そう、ほぼ監禁状態なの。
だから、相応の覚悟がいる決断だったと思うんだけど。」
「フ、フヒヒッ……」
真理恵がそう問いかけると、蜜香はまたあの独特の笑みを浮かべる。
しかし、それはどこか照れくさそうな色を帯びていた。
「パパが、頑張ってくれたっすから。」
「お父様が?」
「フヒヒ……
うち、片親なんす。」
蜜香の生まれ育った及川家。
『蕎麦処 及川』
父親は地域密着型の小さな蕎麦屋を営んでおり、
現在の家族構成は祖父、祖母、父、蜜香の四人家族。
母親は蜜香が小学校に上がってすぐの頃まではいたが、
蜜香の持つ“個性”を気味悪がって可愛がらず、
またそのせいで夫婦間の不和も招いていた。
それで色々あって、最後には外に男を作り、
母親は家を飛び出して行ってしまったのだ。
そして、その後、祖父母の協力を得つつも
男手一つで蜜香を育てたのが苦労人の父親だった。
「パパ、蜜香が必ず将来幸せになれるようにって。
それで、家にお金なんてないのに頑張って……
名門の聖リトリスに入れてくれたんす。」
「そっか。
いいお父様ね。」
「フヒッ。
蜜香、こんな性格っすけど……
パパだけは、あのパパだけは、裏切れないっす。」
「……」
ひざ元に視線を落とす蜜香の頭を、真理恵はぽんぽんとやる。
「でも、そっか。
『必ず将来幸せになれる』ってことは、蜜香のお父様……
うちの学校にまつわる例のオカルト話は信じてるってことよね?」
聖リトリス女学院が魔都有数の名門校と呼ばれるのには理由がある。
それは卒業した女生徒たちが揃って
各界で嘘のような大成功を収めていることだ。
ここ数十年、魔都で一躍時の人となった女性の経歴を調べると、
その大半には『聖リトリス女学院卒業』の一文が入っている。
『リトリスマジック』と揶揄されるこの圧倒的な成果は、
決して内部情報を公開しようとしない学院の秘匿性も相まって、
魔都ネット界隈ではオカルト話にカテゴライズされるほどなのだ。
「そっすね。
あの噂って、どうなんすか?
ここ二年在籍してきたお姉さま的には、ガチだと思うっすか……?」
「ふふふ……」
少しだけ不安げに蜜香は尋ねる。
自分の双肩にかかった敬愛する父親からの期待。
この質問の答えこそが、自分がそれに応えられるかどうかの
大きな判断材料になりうるからだ。
一方、真理恵は口元に人差し指をあて、にんまりと笑う。
「多分、ガチ。
蜜香ほどじゃないとはいえ、
多少は視えるこの私の目は、そう判断してる。」
「フ、フヒ……ッ。」
「私ね、こう見えてダイビングが趣味でさ。
ここを卒業したら幼馴染のやつと一緒に南国で
ダイバーズショップを開きたいなって、そう思ってるのよ。」
「あーっ、お姉さまにはなんか似合いそうっすね。
かっこいいっす! セクシィっす!」
「ここで三年間。
地獄を生き抜いたことへの神様からのご褒美よね。
蜜香のてんかんだって、きっとおまけくらいでぱっと治っちゃうわよ?」
「お、おー……
ちなみにっすけど、お姉さまの目は、その……
“何”を以て、そう判断し――」
「うおっ!?
どこのべっぴんさんかと思ったらマイガッデェス!
真理恵ちゃんじゃんよ~!」
真理恵の口から聞きたかった答えは出た。
あとはその根拠がなんであるのか、
蜜香がそれを尋ねようとした時だった。
遊歩道の方から野太い声が会話に割って入ってくる。
ふと振り返れば、作業服の三十代くらいの用務員男性が一人
こちらにやって来るのが見えた。
彼も例に漏れず清掃作業中だったのだろう。
ほうきとちりとりと大きなゴミ袋を軍手をはめた両手に持っている。
「ヒュゥ~~~!
会いたかったぜぇ~~❤」
両手を広げたハグのポーズで近づいてくる彼は松部順一(まつべじゅんいち)。
中堅世代の用務員であり真理恵をよく知る間柄だった。
「あら、順一お兄さまじゃないですか。
ごきげんよう。」
ハグ要求には応じずベンチに腰かけたまま、
すまし顔で挨拶を返す真理恵。
横で蜜香も『フヒッ』と小さく会釈をする。
順一は広げた両手を下ろすと、その二人の前で足を止めた。
「あれっ、なに?
この子、名札付けてないみたいだけど。
もしかして、今日から入った新一年生の子?」
「ええ、その通りです。
ちょっと入学式の時にトラブルで倒れてしまったようで、
執行部のお姉さまの指示で私が案内しているんです。」
「フヒッ、ど、どうも。
及川蜜香っす。」
「おっ、蜜香ちゃんね!
俺はここで用務員をやってる松部順一。
『順一お兄さま』って呼んでくれると、嬉しいねェ~?」
「は、はぁ……
順一お兄さま……っすか?」
「んん~~♪
蜜香ちゃん、キュ~ト❤」
「フ、フヒッ……」
いい年の男の見せるオーバーアクションに思わず苦笑。
少なくとも現時点では順一はオープンな性格で
蜜香にとって“怖い”と感じさせる印象の男ではなかった。
だが。
“もう一つの耳”には、ちゃんと声が届いてきている。
『蜜香ちゃん、可愛いなぁ~♪
ねえ、ちょ~っとだけ、おまんこ見せてよ❤』
表と裏というやつだ。
きっと彼らはこういう生き物なのだろう。
彼らは元来獰猛な肉食獣で、自分たちはその餌となる草食獣。
蜜香の脳は、そうインプットせざるを得なかった。
「ところで順一お兄さまは、
今日のお仕事はもう終わったので?」
「ハハッ、い~や? ま~だまだ……
ほら、ここの敷地って、だだっ広いだろ~?
だから、この人数であたっても全然終わらないんだよ。」
「フヒッ。
た、大変そうっすね……」
「まあ、でも、この北の遊歩道は特に……
俺らが真理恵ちゃんたちと“仲良く”する場所でもあるからね。
頑張って綺麗にはするさ。」
「フ、フヒッ……」
そこからしばらくとりとめのない話が続く。
やがて、ふと真理恵が腰を上げた。
「さて、では順一お兄さま。
申し訳ないのですが、私たち、
この後もまだ回るところがありますので……」
「おっと……ま、待ってくれ!」
その手を順一が掴む。
それは咄嗟に放たれた反射的な行動であり、
ある種の必死さを感じられるようなものだった。
「……、なにか?」
「あ、あのさ、真理恵ちゃん――」
『――なあ、頼むよ。
溜まってるんだ、一発ヌイてくれよ。』
順一が言いかけた言葉の先を蜜香の“耳”が捉える。
それをさりげないアイコンタクトで真理恵に伝えると
『わかってるわよ』といった視線が返ってくる。
つい先程結ばれたばかりの契約であるにもかかわらず、
主と仔猫の連携は見事なものだった。
「まぁ、なんだ。
今日が“そういう日”じゃないのはわかってる。
でも、そのだなぁ、えぇ~と……」
女生徒たちにリトリスの乙女としての職務である
おつとめが課されるのは基本授業のある平日に限られる。
その他のタイミングでは用務員たちも強要することはできず、
これを破れば規則違反として執行部の世話になることになる。
そして違反者の生命を刈り取る執行部の死神としての一面は
女生徒たちだけでなく用務員たちにも知れ渡っているため、
これを侵そうとする者はいない。
だが、それはそれとして溜まるものは溜まってしまうのが
男性としての悲しいところだった。
「うふふ、まあ、わかりますよ?
今は私たちの春休み期間、即ちおつとめがない時期ですので、
順一お兄さまも色々と溜まっておられるのでしょうけれど……」
「そ、そうなんだよォ。
どうかなァ? 真理恵ちゃん。
そんな時間は取らせない、内緒で処理してもらえないかなァ?」
「そうですねぇ……
私個人としては正直、
さっとお口でするくらいなら別にいいのですけれど……」
真理恵はちらりと蜜香を見る。
「蜜香。
今は学院の見学ツアー中なわけだけれど……
おつとめの見学もちょっとだけしていくかしら?」
「フ、フヒッ!?」
真理恵からいきなり飛んできたキラーパス。
当然ながら傍らでは真理恵におつとめをしてもらいたい順一も
懇願とも取れるような眼差しを向けてくる。
困惑する蜜香。
だが個人的に興味があるかないかと問われれば
断然前者なのも、また確かだった。
結果。
「ごっつぁんっす。」
そう答えていた。
「では、ここは他のお兄さま方の目につきかねませんし、
おトイレの裏にでも行きましょうか。」
「おおっ!
そうこなくっちゃ!」
遊歩道や休憩所からはちょうど死角となる
公衆トイレの裏手の壁へと三人はやってくる。
オープンな場所からクローズな場所に移動したことで、
空気もどこか背徳感のあるものに変わっていた。
「さて、順一お兄さまは
そこの壁の前に立ってくださいな?」
「へへ……
じゃあ、あとは真理恵ちゃんにお任せしようかな。」
「フ、フヒ……」
こうして、ついに蜜香の見守る中でおつとめが始まる。
真理恵は壁際に立たせた順一の前に傅くように腰を落とすと、
細くしなやかな手をひらひらと軽やかに動かしながら
ベルトを外してズボンとトランクスを下ろしてゆく。
そこから取り出されたグロテスクなペニスに頭を寄せ、
顔にかかる髪をかき上げると口に含んでゆく。
たっぷりと唾液をまぶしながら頭を前後させると、
すぐにいやらしい水音が立ち始める。
その生々しい快楽に思わず大きく吐き出した順一の満足げな吐息。
それらを傍らでまざまざと見せられている蜜香にも、
そこにめくるめく性的な快楽があることが伝わってくる。
(うわぁ……
これがフェラチオってやつっすか。
順一お兄さま、マジで気持ちよさそっすね。)
(あ、でもこれ……
一方のお姉さまの方はどうなんすかね?)
蜜香は視界のピントを真理恵に合わせる。
一連の動作をスムーズにこなす姿からは、
その圧倒的美貌から『魔都の姫君』と呼ばれる
魔都生まれの少女特有の気品や優雅さすら感じられる。
だが、そんな真理恵の瞳に蜜香は何か違和感を感じていた。
『目は口ほどにものを言う』
そんな言葉がある。
特に蜜香は性格や能力も相まって、
相手の目からその奥にある感情を読み取るのが得意だ。
しかし、何故かこれがまた視えない。
感情そのものがないのではなく、よく視えないのだ。
真理恵が自ら感情を押し殺している、というのとは違う。
なにか外的要因によって感情が視えなくなっている。
蜜香はそう感じた。
そして。
それはどこか霧が視界を遮るのに似ていた。
(よく視えないっすね。
なんすか、これ?
まるでお姉さまの心に霧のカーテンでもかかっているかのような……)
(まあ、もし今日の最後までわからなかったなら、
その時はお姉さまに直接聞けばいいっすか……)
(に、しても……
順一お兄さまの方は……)
視線は再び順一へと戻される。
順一は真理恵が角度を変えてむしゃぶりつくたびに
『ンンッ❤』とか『アァ……❤』とか『オホッ❤』とか、
クネクネと身をよじらせながら情けない声を漏らしている。
いい年の男性のそんな姿は『ざこちんぽ』という言葉が
脳裏をよぎるくらいには滑稽の一言に尽きた。
ともあれ、あれが男の喘ぎ声なのだろうと蜜香の脳は理解する。
(フヒヒッww
しかし、なんというか……)
(もうちょっとぐらい下手でもいいなら、
蜜香にでもできそうな気がしてくるっすねww)
(順一お兄さま、一見タフガイっぽく見えるのに……
よわよわちんぽじゃないっすかww)
(……アッ。)
そこでふと蜜香は呼吸を止める。
わかりやすく冷や汗が一つ、頬を伝い落ちた。
メデューサに睨まれたかのごとく硬直した視線の先。
不意に動きを止めてペニスから口を離した
真理恵の目がこちらを向いていた。
(ヤバ……
今の、視られた、っすか?
覗いてたつもりが……逆に覗かれてた?)
(だだだだだ、大失態!
お姉さまにも蜜香と同じ力があること……
すっかり失念してたっす~~!!)
盛り上がっていたフェラを急に止められ、
『???』となっている順一の催促の視線を手で制すと
真理恵は意地悪そうに目を細め、ニタリと笑ってみせた。
「蜜香。」
「フ、フヒッ……」
「順一お兄さま、もう少しで発射すると思うけど。
どう?
私と交代で続きをやってみない?」
「ヒッ……
お、お姉しゃま!?
やっぱり視てたんすかーっ!?」
「さあ、なんのことだか?」
一般人にはない能力を持った二人の少女の話。
その流れがよくわからず『???』を更に増やす順一だが、
だが選手交代を呼び掛けているくだりだけは理解できる。
このままテクに定評があり男を搾り慣れている真理恵に任せてもよし、
テクは落ちても初々しい一年生の口内に一発『ドプッ❤』もまたよし。
どちらに転がっても美味しい想いはできると素直に待機する。
「どうしても嫌なら素直に断っていいのよ?
それは蜜香の権利だから。」
「フ、フヒッ。
で、でも、その、いいんすか?
まだ授業も始まってない新一年生がおつとめって……」
「あくまで強制ができないだけよ。
蜜香本人がオーケーならオーケーってこと。」
「フッ、フヒッ、フヒヒ……」
口元をヒクつかせ、あとずさるような苦笑い。
あまり深刻ではない感じで追い詰められた蜜香。
やはり自分より真理恵の方が一枚も二枚も上手だと痛感させられる。
そして、真理恵は声を出さずに唇だけをこう動かした。
『よ わ よ わ ち ん ぽ な ん で し ょ ?』
撃沈。
蜜香はプルプルと震える片手を上げ、名乗りをあげる。
「フッ、フヒッ……
じゅ、順一お兄さま。
蜜香も、その、やってみていいっすかね?」
「大歓迎さ!
た、ただ……
歯は、立てないようにね?」
「フ、フヒッ。」
順一のサムズアップで、ついに選手交代。
真理恵に横に少し退くと、そこに改めて蜜香が腰を下ろす。
鎌首をもたげる大蛇のようなペニスは、
間近で見ると先程までよりだいぶ大きく見える。
また、根元にもっさりとした剛毛を纏い
真理恵の唾液まみれでテラテラと光る姿は
蜜香を射すくめるほどにグロテスクな相貌でもあった。
「フフ、ほ~らほら、蜜香ちゃん。
大丈夫だよ~♪
ボク、怖くないよ~♪」
なかなか動こうとしない蜜香の緊張をほぐそうと、
順一もペニスをプランプランとやっておどけてみせる。
「ほら、どうしたのかしら~蜜香ちゃん?
やっぱり怖くなっちゃったでちゅか~?」
更に真理恵が追撃。
それらはまるで赤子をあやすようであり、
蜜香のちっぽけなプライドを甚く刺激する。
要は煽りに負けてしまう。
「や、やるっすよっ!
ちょっと観察してただけっすから!」
蜜香も、もうここまで来てしまったら退けない。
『女は度胸だ』とばかりにムワァッと香り立つペニスに顔を寄せる。
「……ガ、ガブリと一発、
食い散らかしてやるっすよ!」
「え、えっ!? 蜜香ちゃん!?
ガブリはやめて!? 後生だから!!」
「クスクスww」
精一杯の去勢を張った蜜香は、
真理恵と同じように顔にかかる髪を片手でかきあげ
そして、グロテスクな肉の蛇をゆっくりと口に含んでゆく。
最初に来たのはものすごい異物感。
次に想像以上に口を大きく開けないといけない顎の疲れ。
更には鼻腔に上がって来る濃厚な牡の匂い。
そして最後に、自分がフェラチオという未知の冒険に
踏み切ったのだという挑戦者としてのプレッシャーだった。
「んぷっ、んぅ、ぢゅるっ❤」
歯医者など以外で動くものを口に含むのは蜜香には初めての経験だ。
まずは口の中に異物があることに慣れるために、
ペニスに舌を這わせてキャンディーのように舐める。
ゆっくりと形や味を認識させて、
それが異物ではないのだと脳へ刷り込んでゆく。
「おひょひょっ❤
ちょっとくすぐったいね。」
しごき上げて搾り取るような真理恵のバキュームフェラから、
ただ口に含んで舌を這わせるだけの蜜香のビギナーズフェラへ。
これは順一には物足りない刺激と言わざるを得ない。
だが、真理恵の口内と蜜香の口内、
そのわずかな体温の違いに想いを馳せるだけでも、
二人の美少女から順番に奉仕を受けるという背徳的な多幸感があった。
「蜜香、もっとぢゅるる~って吸ってみて。
あと、まだ口だけで発射させるのは厳しいでしょうし、
おてても添えてあげましょうか。」
「……ぅ。」
「そう、唾液でヌルヌルしてるでしょ?
それを絡めつつ軽くしごいてあげて。
あまり強くは握らないようにね?」
「うー。」
「時々、相手の反応も見てあげてね?
そうやって女の子が上目遣いに見てあげるだけでも、
男の人って気をよくするものだから。」
「う、うーうー。」
「はは、こりゃ~……
真理恵先生のためになるえっち講座だね~。」
「う、うー。」
――ぢゅるぽっ❤ ぢゅるるるるぅぅ……❤
横から真理恵がセクシャルなアドバイスを出しつつ、
蜜香がそれをたどたどしくも一生懸命実践してゆく。
順一はそんな様子を見ているだけでも昂るし、
何よりその性講座の実験台が自分であるということに
興奮を抑えきれない。
先程、真理恵に発射寸前まで持っていかれた後、
一度行為を止められてダウンしたテンションが
再び発射ルートに乗ったのを感じていた。
「オ、オォォッ!?
あ、いいッ❤ だいぶいいよ、蜜香ちゃんッ❤
くあッ❤ まッ、負けそォォ~~ッ❤」
「うふふ。
だってさ、蜜香。
順一お兄さまなんか、そのままやっつけておしまいなさい❤」
「う、うー♪」
――ぢゅるぽっ❤ ぢゅるぽっ❤ ぢゅるぽっ❤
ここに来て漸く自分なりの基本ムーヴを確立した蜜香は、
順一が完全に受けに入ったこともあり、一気に攻勢に出る。
順一をやっつけるのは真理恵ではなく自分だと言わんばかりに、
ペニスにこびりついた真理恵の唾液を舐め取り
自分の唾液で再度コーティングしてゆく。
行為の要所要所に上手く呼吸を挟みながら、
中身の上がってきているペニスを強烈に吸い上げてゆく。
甘えるような表情で頭を前後させつつ、
順一を強烈な射精へと導いてゆく。
そして――
「アッ、アッ……❤ ダメだ出るッ❤
蜜香ちゃッ❤ アッ、蜜香ちゃんんんんッッ❤
アーーーーーーーッッ❤❤❤❤」
――ブビュッ❤ ドプュルッ❤
――ドプドプッ❤ コプコプコプコプッッ❤❤
「……ぅぶっっ!?
んぅぅっ❤ んんんぐんんっっ❤❤」
口内発射。
女生徒たちが春休み期間中のためにおつとめがさせられず、
溜まりに溜まっていた濃厚な精液が堰を切って溢れ出す。
それは蜜香の喉の奥を勢いよく叩くと、
一部が跳ね返って鼻腔へ駆け上がり鼻から逆流し、
また別の一部は気道に入って激しい咳を誘発させた。
「……うぶぉっ!
ぇほっ! けほけほっ!!」
「あ、あー、ごめんなさい。
あまりに勢いよく責め立ててるものだから、
舌先で受け止めるよう指示を出すのを忘れてたわ。」
「けほっ、けほっ……」
真理恵は蜜香の背中をさすってやると、
顔を寄せて口元にこびりついた精液をペロリと舐めとる。
「ともあれ……
勝負は貴方の勝ちよ、蜜香。
ね? 順一お兄さま?」
「はは……
ああ、その通りだね。
蜜香ちゃんには参った参った。」
「フ、フヒヒッ……
……ぅぶ……っ。」
「ほら、蜜香。」
真理恵がすっと出した手を蜜香がパシッと叩き、
互いにギュッと握り合う。
可憐な百合姫コンビのハイタッチだ。
これを以て、この背徳の一幕は締めくくられることとなる。
二人はすっかり満足した順一と別れ、再び霧の遊歩道を北上し始めた。