◇白水 冬子(しらみふゆこ)
女性 十六歳(二年生)
粘液質の笑みが特徴的な少々気味の悪い女生徒。
◇デボラ
女性 二十九歳(執行部)
謎多き黒き修道女。
午前三時。
夜霧の遊歩道を音もなく歩く人影がある。
闇に溶けるような黒衣と生気を感じさせない半仮面を纏い、
片手には周囲を淡く照らすランタンを携えた女性・デボラ。
言わずもがな、見回り中の執行部の修道女だ。
毎日、放課後には性の魔境と化す遊歩道エリアだが、
今日はもう時間が遅いこともあり静かなものだ。
ほとんどの行為は終わっており、
用務員たちも女生徒たちも既に疲れ果て
それぞれの寝床へと帰ってしまっているからだ。
だが、それでも時折物陰から聞こえてくる牡が牝を貪る音や、
プレイスポットの片隅に付着した体液の痕跡などを見つけると
デボラはそれらの行為に想いを馳せるように陰鬱な笑みを浮かべる。
そんな彼女の行く先にやがて大きな光が見えてくる。
街灯以外で深夜でも煌々と明かりを灯したままにされる施設、
それは公衆トイレだ。
デボラは一つ舌なめずりをすると、そちらへと向かった。
トイレといえばここでは人気のプレイスポットの一つであり、
『便所組』と呼ばれる用務員たちが餌場として利用することが多い。
彼らは捕まえた女生徒たちを肉便器として排泄行為を愉しむのだ。
ひと連なりの男子トイレと女子トイレ。
そのどちらが凌辱の舞台となることもあるが、
ここで比較的多いのは男子トイレの方だ。
自分たちのテリトリーに獲物を引きずり込んで犯す。
そういった精神的シチュエーションが彼らには好まれるのだろう。
デボラもまず男子トイレをチェックする。
すぐに異臭が鼻についた。
肛門性交にはつきものとなる排泄物の臭いだ。
発生源は一番奥の個室のようだった。
中を覗き込んで、笑みを浮かべる。
そこには便器カバーの上に突っ伏すようにして
ぐったりと倒れ込んでいる女生徒の姿。
その下肢は肛門から垂れ落ちる大量の茶色い精液と、
激しいアナルピストンで散々砕かれ、かき混ぜられて
半ば原型を失ったまま溢れたであろう排泄物にまみれ、酷く汚れていた。
「うふふ……」
デボラは一つ舌なめずりをする。
ここで多対一の熾烈な肛門性交があった。
男たちは代わる代わる彼女の肛門に繋がり、
満足のゆくまで精の排泄行為を愉しんだあと、
ごった煮となった中身をまとめて彼女に排泄させた。
最後は彼女を晒しものとして場に放置し、先に引き上げた。
デボラにはそれが手に取るようにわかるのだ。
「……っ。」
だが、そこで今までピクリとも動かなかった彼女が
眉間に皺を寄せるのを見て、デボラも笑みをそっと吹き消す。
無残な姿で便器にもたれかかる
二年生の白水 冬子(しらみふゆこ)に声をかける。
「大丈夫ですか?
冬子さん。」
「え……?
あ……執行部の、お姉さま?」
意識を失っていたのだろう。
冬子は個室を覗き込むデボラの姿を視認するとゆっくり頭を起こし、
気だるそうな顔にぎこちなくも『にちゃっ』と粘液質な笑みを作る。
その声も不気味なほどに低い。
明らかに異質な雰囲気を漂わせる冬子だが、
わかりやすく言えば陰キャなのだ。
「あ……あ!
ご、ご、ごめんなさいぃ。
すぐに片づけますからぁ……」
しばらくぼーっとしていた冬子だったが、
意識が完全に戻ると周囲の惨状に気づく。
男たちの精液だけならまだしも、
自分の排泄物までもが撒き散らされた状況なのだ。
顔を真っ赤に染めて人払いをしようとする。
だが、デボラはそれに従わない。
ティッシュをカラカラと手に巻き取ると、
冬子の足や靴下にこびりついた汚濁のチョコレートを拭き取り、
そのまま周囲に散らばる大きな塊も掴んで便器へと放り込んでゆく。
「あ、あっ……お姉さま。
き、汚いですっ、汚いですからぁ……」
「……そのようなことはありません。
冬子さんの一部であったものが汚いだなどと、
そのようなことはありませんよ。」
「えっ、えっ、でもぉ……
私なんかシラミだから可愛くなんかないですし……
皆からも『気持ち悪い』ってよく言われますしぃ……」
デボラは場の処理を進めると、
今度は水の入ったバケツとモップを
用意して手早くタイル床の掃除をする。
「では聞きますが……
今日はその魅惑のお尻で何人の男性を虜にさせたのです?」
「えっ?
あ、えーとぉ……
お相手をしてもらったのは、八人……だったと思いますけどぉ。」
「冬子さんは陰か陽かで言われれば陰かもしれません。
しかしどちらにせよ、貴方の魅力は八人もの男性を惹きつけて
彼らの今日を幸せなものにしたのですよ。」
「……今日を、幸せに……」
「きっと彼らも、今頃……
冬子さんのお尻の中で味わっためくるめく幸せを思い出しながら
安らかに夢を見ていることでしょう。」
その陰湿なキャラクターが故に、
これまで誰かから褒められた経験に乏しい冬子。
だから、たとえこのような状況であろうとも
誉め言葉には気圧されてしまう。
見事な手際の良さで掃除を済ませたデボラは
道具を片付けて手を洗い、戻ってくる。
「だから……誇りなさい、冬子さん。
貴方は美しいのです。」
そして。
呆け気味に立ち尽くしていた冬子に顔を寄せ、
桃色の花びらに紫色の花びらを重ねるように、唇を塞いだ。
「……んっ、んむ……っ❤」
どこか魔物を思い起こさせるような鮮やかすぎるほど赤い舌先が、
冬子の小さな口の中にヌルリネロリと侵入してゆく。
そのディープキスはまるで脳みそを、
それも快楽の信号を作り出す部位を、
直接かつ集中的に舐め回されるかのような感覚だった。
「……んっ!?
んん……んぅぅっ❤❤」
それは異質な体験だった。
ただ純粋にキスだけで、前戯も本番もなしに
冬子の肉体はライトアクメへと昇り詰めたのだ。
先ほど覚醒したばかりの脳が、
またぐらりと昏睡状態に近づく感覚がした。
唇が離れた後も冬子はしばらく動くことができず、
ただうっとりとデボラを見つめる。
「お……ねえしゃま……❤」
「うふふ、私はデボラと言います、冬子さん。」
「ひゃ、ひゃい……
でぼら……おねえしゃまぁ……❤」
やがて二人は公衆トイレを出ると共に夜空を仰いだ。
「ところで冬子さん?」
「は、はい……
なんでしょう、デボラお姉さま。」
「今から寮に戻っても、もう満足には眠れないでしょう。
よければ私の部屋に来ますか?」
「……え?
い、いいんですかぁ?」
「ええ。
それと、明日は授業もお休みしなさい。
各所への連絡は私の方で済ませておきますから。」
「うぇ、うぇひひ……
じゃあ、デボラお姉さまのお部屋で秘密のお泊り会ですね?」
「ふふ、まあ、そんなところでしょうか。
冬子さん、貴方はリトリスの乙女としてよく頑張っているようです。
でも、たまにはゆっくりと心身を休めなさい。」
こうして冬子は、どこにあるのかすら明確にはされていない
執行部の生活エリアにあるデボラの部屋を訪れることとなった。