※この作品はR-18です。

霧の牢獄   作:宇藤百足

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若狭精華②

 

三人はさらに地下へと続く階段を降りていった。

 

壁には等間隔でランプが灯り、オレンジ色の光が揺れている。

 

空気は湿って重く、まるで時間が停滞しているかのようだった。

 

 

「さあ、大岩さん。こちらです。」

 

 

イヴが扉を開けると、そこには簡素ながらも清潔な個室が広がっていた。

 

壁一面の鏡と中央に据えられた大きなベッドが印象的だ。

 

 

「な……ここは?」

 

 

大は思わず後ずさりする。

 

しかし精華がそっと肩に触れたことで動きを止められた。

 

 

「ようこそ、お兄さま。」

 

 

精華の声は落ち着いていた。

 

 

「ここでは皆さん同じように迎えられますので、ご安心を。」

 

「迎えるって……

 え? でもこの部屋、なんか、その……ラブホテル、みたいな……」

 

 

精華が微笑む。

 

 

「はい。正しい認識です。」

 

 

イヴが背後から静かに歩み寄ってきた。

 

 

「さて大岩さん。

 これから貴方には初めての“おつとめ”を経験していただきます。」

 

「おつとめって……まさか!」

 

「ご想像の通りです。」

 

 

イヴが続ける。

 

 

「当学院では全ての女生徒におつとめという業務を日々行っていただいています。

 これは大岩さんたち男子職員との性的接触を通してその罪を許し、

 慈愛の心を以て包み込むもの――大切な精神鍛錬なのです。」

 

「そ、それって……さっき、イヴさんがおっしゃっていた……」

 

「その通りです、大岩さん。

 貴方は心の奥底で許しを求めていたからこそ、この学院の募集を見つけられた。

 そして、誘われるままに足を踏み入れた。これらは全て運命なのです。」

 

「……」

 

「魔都には数多の都市伝説が存在しますが、この学院もその一つ。

 大岩さん――ここは“そういう場所”なのですよ。」

 

 

まるで催眠術のようなイヴの言葉は不思議なほどすとんと大の腑に落ちた。

 

魔都の生ける都市伝説――聖リトリス女学院。

 

そこは一般社会の外側に存在する“外界”であり、

今まで従ってきたものとは異なる常識が支配した世界。

 

自分はそこに招かれたのだと思い至る。

 

すると、目の前の愛らしい女生徒が途端に淫靡な存在に思えてきた。

 

無意識にゴクリと息を飲む。

 

 

「さあ、お兄さま?

 どうぞ、ベッドへいらしてくださいな。」

 

 

先にベッドサイドに腰かけていた精華が自分の隣をぽんとやる。

 

しばらく躊躇うように立ち止まっていた大。

 

だが、やがて精華の仄暗い微笑みに魅入られるかのように、

本能のままに足を踏み出してゆく。

 

 

――ギィ……

 

 

間もなく大の大きな尻が沈み込むとベッドが軋んだ。

 

 

「……くすっ❤」

 

 

精華は間近から大を見上げ、静かに微笑む。

 

その漆黒の瞳はまるで鏡のように、覗き込む大の顔を映し出している。

 

それは何かが始まる前の甘いひとときだ。

 

 

「お兄さま? 改めまして、聖者リトリスの園へようこそ。」

 

「若狭さん……」

 

「我らリトリスの乙女は……

 無償の愛でお兄さまの罪も苦悩も全てを受容し、導きましょう。

 ですから、どうぞ内に溜まった全てを曝け出してくださいませ。」

 

 

言葉が終わるや否や精華はスルスルと衣服を脱ぎ始めた。

 

リボンが解かれボタンが一つずつ外されてゆく様は、

まるで夜を彩る舞踏のようでさえあった。

 

白いブラウスが滑り落ち、

純白のブラジャーに包まれた胸が露わになる。

 

さらにスカートが床に落ちて露わになった下肢は、

決して豊満ではなくとも男にとっては凶暴なほど魅力的だった。

 

 

「これも全ては貴方が望まれたことです。」

 

 

イヴがそう言って去ってゆく。

 

二人きりになった部屋で精華の手が大の背を撫でる。

 

 

「お兄さま?

 まずは互いに裸になりましょうか?」

 

 

精華のしっとりとした唇が大の耳朶を掠める。

 

 

「さあ、恥ずかしがらずに……

 思いのまま、望むままに委ねれば、それでよいのです。」

 

 

この時まで大は自分が犯すことに対して

罪悪感を抱くかもしれないと考えたりもしていた。

 

しかしこうして一糸纏わぬ姿となった少女と肌を重ねるうち、

それらは蒸散していく毒気のように失われてゆく。

 

まるで神聖な儀式かと思われるほど清らかでありながら、

同時に邪な魔女の黒ミサのような陰鬱さもある。

 

ゆっくりと流れてゆく一秒ごとに自分が虜にされてゆくのがわかる。

 

優しく誘われることで罪悪感は解かれ、そのあとには純粋な欲望だけが残る。

 

大が次第に荒くなってゆく吐息を感じながら身に纏うものを脱ぎ捨ててゆくと、

やがて屹立する牡のシンボルが姿を現した。

 

 

「くす……まぁ❤」

 

 

それを見て、またあの仄暗い笑みを浮かべる精華。

 

しなやかな手を伸ばすと、

そこに籠った牡の体温を確かめるようにそっと添え、さわさわと撫でる。

 

 

「とても立派ですね。

 牝を身籠らせるカタチをしています……❤」

 

「……牝を、身籠らせる、カタチ……」

 

 

言葉を繰り返すと甘美な感触が脳天に突き抜けた。

 

 

「でもまだこんなに余裕があります。

 もっと硬く熱くなりたがって……とっても雄々しいです❤」

 

 

精華はそう言ってクスクスと嗤いながら大を見つめる。

 

その視線を受け止めているだけで牡の下半身はより熱を帯びてゆく。

 

 

「お兄さま? 準備はよろしいですか?」

 

 

問いかけに応えるより早く大は精華の上に覆いかぶさった。

 

昂る情欲に流されるまま唇を奪う。

 

 

「んっ……❤」

 

 

精華の喉が微かに鳴り、

柔らかい肌と絡みつく舌先に我慢の箍が外れてしまう。

 

 

「ぁっ……ゃんっ……❤」

 

「――若狭さんっ!!」

 

 

理性が決壊した瞬間だ。

 

大は自分でも信じられないほど乱暴な手つきで愛液に濡れる割れ目を探り当てると

自らの剛直を強引に押し込んだ。

 

 

――ズブゥゥウウッ!

 

「あっ……ぁああッ! お兄さまぁ❤」

 

 

貫かれた瞬間、精華は嬉しそうな悲鳴を上げた。

 

挿入と同時に精華の腰が弓なりに反り返る。

 

 

「あっ……❤」

 

「んんォッ……❤」

 

 

互いの粘膜が擦れると、そのめくるめく快感に酔いしれる二人。

 

大が律動を始めると、結合部から蜜が溢れ出しシーツを濡らしていった。

 

 

「うふ、お兄さま……❤ もっと……❤」

 

 

精華が求めるように腰を蠢かせるたびに、ブラの下で膨らむ乳房が上下に弾む。

 

その光景はあまりにも扇情的だ。

 

 

「若狭さんっ……!」

 

 

大は堪らず覆いかぶさり、汗ばんだ白い首筋に唇を這わせた。

 

舌先で舐め上げると精華は震えながら仰け反る。

 

 

「あっ……あんっ……❤」

 

 

甘い声とともに密着する肌の間から微かな香りが漂う。

 

 

「あれ……?」

 

 

鼻腔をくすぐるのは先程ロビーでも感じた、あの甘ったるい匂い。

 

ミルクのような――いや、それよりももっと深みのある芳醇な香りだ。

 

 

「この匂い……」

 

 

大が顔を上げると精華と視線が合う。

 

 

「お兄さま?」

 

「なんだか……すごく甘ったるい、いい匂いがする……」

 

「ふふ……」

 

 

精華がクスッと嗤う。

 

 

「それは……こちらからでしょうね。」

 

 

そう言って自らブラを外した瞬間だった。

 

露わになる小さな胸元。

 

そこから乳白色の滴が滲み出ていた。

 

 

「え……? それって……?」

 

「はい」

 

 

精華は蕩けた表情で微笑む。

 

 

「私……実は先々月に出産を終えたばかりなんです❤」

 

「出産……!?」

 

 

予想外の言葉に動きが止まる。

 

 

「はい。私、昨年……

 おつとめをだいぶガンバりましたので、身籠ってしまいまして……」

 

「わ、若狭さんが……母親……!?」

 

「ふふ、そうなんです。」

 

 

精華が優しく囁く。

 

 

「こうして今も授乳期は続いてるから……

 ほら……お兄さまも試してご覧になってくださいな。」

 

 

促されるままに大は精華の胸に顔を寄せた。

 

舌先で触れると確かに温かな液体が湧き出てくる。

 

 

「んん……っ❤」

 

 

思わず吸い付くと乳嘴が舌に甘く痺れる。

 

 

「これが……若狭さんの、おんなのこミルク……❤」

 

 

口中に広がるのは砂糖菓子のような甘さと微かな塩味の融合。

 

それは天然のミルクシェイクだ。

 

 

「どう……ですか?」

 

「美味しい……凄く美味しいよ!」

 

 

夢中で啜り始める大。

 

唇を窄めて吸い上げると

精華の乳房の中で熟成されたミルクがどんどん染み出てくる。

 

それを舌の上で丹念に味わい少しずつ飲み干してゆくのは

まさに至福の時間に他ならなかった。

 

だが、一つ頭をよぎることがあった。

 

大はふと動きを止めて精華の顔を覗き込む。

 

 

「あっ、でも……今更だけど、僕とこんなことしていいの?」

 

「はい?」

 

「だって、赤ちゃんがいるってことは、

 その赤ちゃんの父親となる正式なお相手がいるってことでしょ?

 なのに、僕なんかとこんなことしちゃうのは……」

 

 

精華は少し困ったように笑う。

 

 

「……わからないんです。父親。」

 

「え……」

 

「私、あの頃は毎日違う相手と踊っていましたから。

 どなたに注がれた欲望が結実したのか、わからないんです。」

 

「そ、そんなことって……」

 

 

そんな話を聞いてしまい、しおしおと意気消沈してゆく大。

 

だが、精華はどこか物憂げな笑みを浮かべながら、その黒い眼差しで大を覗き込む。

 

 

「よくあることです、お兄さま。

 それにここではどうせ生まれた赤ん坊は執行部に取り上げられます。

 ですから、そんなに気にしてはいません。」

 

「若狭さん、でもそんなの……寂しくないの?」

 

「もしそう思われるのでしたら……

 私の寂しさをお兄さまが埋めてくださればよいのです。」

 

「若狭さん……」

 

「どうぞ、また私を妊娠させてください。

 今度は『自分が父親だ』と名乗り出てください。

 そして、どうか“私たち”と一緒にいてください。」

 

「若狭さん……っ!!」

 

 

どこか演技がかった誘いの言葉。

 

一年生の時分から聖水にどっぷり漬かっている精華にとって

妊娠や出産など実は大したことではない。

 

今はそれよりイヴに言いつかったこのおつとめを

きっちりと成功させることこそが肝要なのだ。

 

大の腰にそっと足を絡める精華の姿は、

巣にかかった獲物を絡め捕る牝蜘蛛のようにも見えた。

 

 

「うふふ……

 さあ、続きをどうぞ、お兄さま❤」

 

 

精華の囁きに大の身体が跳ね上がった。

 

 

「お、おおぉ……ッ!!」

 

 

本能が理性を凌駕する刹那、

大は貪るように乳房に吸い付きながら激しく腰を打ち付け始める。

 

 

「あぁんっ! お兄さまっ……❤ 激しいぃ……❤」

 

 

肉棒が子宮口に叩きつけられるたびに精華は歓喜の声を上げる。

 

 

「いいっ……もっとぉ❤

 私の中に、お兄さまの欲望を……全部、くださいぃっ❤」

 

「うぅっ……!」

 

 

精華の言葉が媚薬のように作用し、大の抽送は更に勢いを増してゆく。

 

結合部からは泡立つような音が響き渡り、精華の全身が紅潮しながら痙攣する。

 

 

「ああっ! んああっ!!

 ダメぇ❤ 深いとこまで……届いてますぅっ❤」

 

 

その瞬間だった。

 

精華の膣壁が激しく収縮し始めたのだ。

 

 

「ぁあああっ!!

 そこダメぇっ!! 感じ過ぎちゃいますぅうう!!」

 

「くっ……!」

 

 

あまりの締め付けに大も動きが止まりそうになるが必死に腰を振り続ける。

 

 

「はぁっ……はぁっ……若狭さん!

 すごい、締まりだっ!」

 

「ぁああっ!! お兄さまぁあっ!!!」

 

「うぉおおおおっ!!!」

 

 

互いの欲望が爆発寸前となった時――二人の視線が交錯する。

 

 

「くすっ……お兄さま?

 もう一度、私をママに、してくださいませ……?」

 

 

甘く歪んだ笑顔と共に

 

――ビュルルルルッ!!

 

大のペニスから夥しい量の白濁が迸り出た。

 

 

「ひゃああんっ!! 出てるぅ!!」

 

 

子宮口に叩きつけられる灼熱の奔流に精華が悦びに悶え狂う。

 

 

「ぁあっ……熱いっ!!

 こんなにいっぱい……お腹が……張り裂けてしまいそうですっ❤」

 

 

どくん、どくんと脈打つたびに精華の膣内が歓喜に震え狂う。

 

 

「若狭さんっ……!」

 

「くすっ❤ お兄さまの欲望の証……

 たくさんいただきましたよ……?」

 

 

まるで愛おしむかのように己の下腹部を撫で回す精華。

 

 

「もう、逃がしません、お兄さまっ……❤

 うふふ……これで一緒になれますね……?」

 

 

恍惚とした表情で甘く蕩けた声色を発する彼女だが……

その双眸は冷たく嗤っていた。

 

 

 

 

◆

 

 

 

 

「さて、どうでしたか? 初めてのおつとめは。」

 

 

すべてが終わった後、しばらくするとイヴが部屋に戻ってくる。

 

精華は少し気だるげにゆっくりと身を起こし、

大もまた放心状態からハッと我を取り戻すと慌てて居住まいを正した。

 

 

「あ、いえっ、そのっ……

 とても感動的で、可愛くて、素晴らしかったですっ……!」

 

「そうですか。それはなによりです。」

 

 

イヴは満足げに頷く。

 

 

「大岩さん。

 ここでは貴方が望めば、望むだけの許しが与えられます。

 ですから、これから先も是非励んでくださいね。」

 

「は、はいっ!」

 

「では、大岩さん。

 あとは幾つか簡単な書類作成をしていただきますので――」

 

 

こうしてまた一人。

 

この退廃的な世界へ男が迷い込み、永住を決めるのだった。

 

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