※この作品はR-18です。

霧の牢獄   作:宇藤百足

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◇蛇野 摩耶子(へびのまなこ)
 女性 十五歳(一年生)
好奇心旺盛、少々気難しい性格で友人は少ない。

◇桑原 厚次(くわばらあつじ)
 男性 二十八歳(用務員)
鼻の利く用務員。



蛇野摩耶子

 

霧の森に周囲を守られた聖リトリス女学院の広大な敷地。

 

中央には中核となる学院エリア。

 

その北側には女生徒たちの生活する女子寮エリアがあるが、

その反対、即ち南側には彼女たちは基本近づくことはない。

 

そこには恐ろしい肉食獣たちの住処、

用務員寮エリアが広がっているからだ。

 

 

――キィ~ン……コォ~ン……

 

 

その用務員寮エリアが学院エリアと繋がる合図となるのが、

終業のチャイムから二十分後に鳴り響く通称・獣のチャイム。

 

執行部の修道女の手により鍵が解かれ大きな門が開け放たれると

用務員たちは美しき獲物を求めて一斉に学院エリアへと

雪崩れ込んでゆく。

 

 

(なんですか、あの人たち。

 あんなに性欲を剥きだした顔……同じ人間とは思えません。

 なんておぞましいのでしょう……)

 

(まるで魔物の群れではないですか。)

 

 

そんな光景を少し離れた木陰から眺める眼差しがあった。

 

こんな危険地帯にいるはずのない獲物が一匹、

深い霧に紛れるように木陰に身を潜めていたのだ。

 

年相応の愛らしいルックスながら、

眼鏡のレンズの奥には少々気難しそうなジト目がジロリと覗く。

 

彼女は一年生で名を蛇野摩耶子(へびのまなこ)といった。

 

 

【挿絵表示】

 

 

(それに……)

 

 

摩耶子の視線は用務員たちの消えていった学院エリア方面から

再び門の前に戻る。

 

そこには開いた門をしっかりと固定する修道女二人の姿。

 

うち一人が摩耶子の方をちらりと見るが、

特に声などをかけることもなく立ち去って行った。

 

 

(……執行部のお姉さま方。

 これだけ距離を取って気配も殺しているのに……

 私の存在に気づいていました。)

 

(超能力か魔法でも使わないと絶対わからないはずなのに。

 やはり彼女たちは修道女というよりは――魔女。)

 

(学院を脱走しようと霧の森へ逃げた子たちは……

 例外なく執行部に捕まり殺されるというのも

 決して嘘ではないのでしょうね。)

 

(こんな中で、私たちはあと二年半も

 逃げ続けなくちゃいけないのでしょうか……?)

 

(……そんなのどう考えても、無理です。)

 

 

摩耶子は日々憂いていた。

 

それぞれの目標を掲げてやってきた学び舎は

蓋を開けてみれば欲望に支配された霧の牢獄だった。

 

それでも仲間との結束を頼りに生き抜いてきたが、

その結束も外から男、内から聖水に攻め崩されてみるみる崩壊。

 

もはや限界にきている。

 

摩耶子自体はまだ無事な身ではあるものの、

果たしてそれが幸運と言えるのか否かも怪しい状況なのだ。

 

今日、こうやって自ら危険地帯に偵察に来たのも、

逃げ続ける恐怖から解放されたいがための狂った判断。

 

『敵の脅威を知ることで生存の可能性を諦めてしまおう』

『もし見つかっても、それはそれでもう構わない』

という一種の自殺行為に近いものだった。

 

 

(さて、灯台下暗し作戦は成功でしたね。

 とりあえず、ここでは見つからずに済みましたが……

 これからどうしましょう……?)

 

(今から女子寮エリアに向かおうとすると、

 また危険地帯に突っ込むことになりますが……

 少し時間を空けるべきでしょうか……?)

 

「それとも……」

 

「……それとも?」

 

 

不意に出た言葉。

 

そして――返ってきた言葉。

 

摩耶子は反射的に口を押さえると、

酷くゆっくりとした動作で後ろを振り向く。

 

すると真後ろ、

先ほどまで身を隠していた木陰に男がいた。

 

 

「あっ……」

 

「へへ……かわい子ちゃん発見だ。」

 

 

牝を襲うことしか考えていない肉食獣の目。

 

それが今、摩耶子を見下ろしている。

 

だが摩耶子は『蛇に睨まれた蛙』にはならなかった。

 

 

「というわけで、改めてこんにち――」

 

「……かけ違えてます。」

 

「え?」

 

「服のボタン、かけ違えてます。」

 

 

摩耶子の中で『肉食獣と相対する恐怖』より、

『細かいことが気になる神経質』が勝ったのだ。

 

モタつきつつボタンをかけ直そうとする男の手を払うと、

さっと近づいてピシッと直してやる摩耶子。

 

 

「少しじっとしててくださいね?」

 

「ハハ……

 なんか悪いね。

 あと君、お名前はなんていうんだい?」

 

「一年の蛇野摩耶子です。

 でも、失礼ですけど……

 そういうのって普通まず自分の方から名乗るものじゃ――」

 

「あー、失礼失礼!

 俺は桑原厚次(くわばらあつじ)っていうんだ。」

 

「……。

 ハイ、これでよし、です。

 厚次お兄さま。」

 

 

不意打ち気味の先制攻撃でペースを取ったかと思いきや、

なかなかそうさせてくれない摩耶子。

 

厚次は少し苦笑を挟むと言葉を続ける。

 

 

「サンキューな、蛇ちゃん。」

 

「へ……蛇ちゃんですか?

 そんな呼ばれ方は初めてです……」

 

「というわけで、おつとめ頼んでもいいかな?」

 

「『頼んでもいいかな』って……

 こっちに拒否権ないんですよね?」

 

「ハハ……

 ま、まあそうなんだけどさ……」

 

 

逐一、じっとりとした一言を挟んでくる摩耶子。

 

『少し面倒くさいタイプを引いてしまったな』という想いはあれど、

それ以上に厚次にとって摩耶子は一年生という貴重な獲物だ。

 

聖水常用者が増えてくる時期のため相対的な価値こそ落ちたものの、

まだ幼さの残る肉体に思う存分精液を注ぎ込むこと、

それが極上の悦びなのは間違いなかった。

 

 

「まあ、いいです。

 どうせいつまでも逃げ続けるのは無理でしょうし、

 こういうケースも覚悟はしてきましたから……」

 

「……ん?

 あれ、もしかして……

 蛇ちゃんおつとめは初めて?」

 

「そうですよ。

 ですからあまり期待はしないでください。

 うまくできるかわかりませんから。」

 

「じゃあ、聖水も使ってない……?」

 

「もしどうしようもないほど辛ければ使用も視野には入れています。

 でもあんな得体の知れないものは使いたくはありません。」

 

 

そこまで聞いて厚次は思わずガッツポーズ。

 

聖水未使用の一年生は極上の獲物。

 

それがひょんなことから自分の手に転がり込んできたのだから。

 

 

「な……なんですか?

 なにか、嬉しいんですか?」

 

「あ、あー……ごめんごめん。

 いやね、聖水使ってない子って、

 俺たちからすりゃすごく魅力的なんだ。」

 

「それはなんでです?

 あんなの男に都合のいい洗脳じゃないですか。

 そっちの方が魅力的なんじゃないんですか?」

 

「いや、聖水使ってる子の反応ってさ。

 なんでも受容してくれるのはいいんだけど、

 それってなんというか面白みにかけるんだよね。」

 

「あ、ああ……

 風俗のお店でいう素人需要的な感じですか?」

 

「ああ、そうそう、そんな感じ!」

 

「なるほど、理解しました。

 それで私たちばかり集中的に狙われていたわけですね。」

 

 

相手の先手を上手くはじきペースを握らせなかったためか、

厚次に対してあまり恐怖を感じていない摩耶子。

 

すると不思議と次々言葉が出てくる。

 

摩耶子は基本的に会話や知識を溜め込むことが好きなのだ。

 

 

「あと私が隠れているの、よく気がつきましたね?」

 

「ああ、それはこっちが風下にいたからかな。

 俺は鼻が利くんだよ。」

 

「えっ……やだ。

 わ、私、そんなに匂うんですか?」

 

「チッチッ……

 『匂う』んじゃない、『香る』んだよ。

 牡を誘うおねだりフェロモンがプンプンとね。」

 

 

反射的に自分の匂いを嗅ごうとする摩耶子を手で制すと

その傍らでしゃがみ込む厚次。

 

ちょうどスカートの前に顔が来る。

 

 

「ここだよ。

 ねえ、蛇ちゃん。

 ちょっとパンツ下ろしてもいい?」

 

「ど、どうせ拒否権ないですよね?」

 

「まあそうなんだけどさ……」

 

 

言うやスカートの下に両手を滑り込ませると、

そこにある美しい薄布をズルリと剥き、剥がし、

そしてゆっくりと下ろす。

 

 

「……ひゃんっ☆」

 

 

摩耶子がたまらず上げた声。

 

それは今までその薄布と接していた部分に

不意に謎の『冷たさ』を感じたからだ。

 

 

「ほ~ら、糸を引いてる。」

 

「え……」

 

 

めくられたパンツがわずかに残す先端と剥き出しになった摩耶子の牝穴。

 

その間を透明な水の糸が危なげに繋いでいた。

 

それが急に外気に晒されたため冷えたのだ。

 

 

「そ……そんなの、よくわかりましたね。

 私自身、気づいていなかったのに……」

 

「だから言っただろ?

 牡は誘惑されちゃうんだよ……この芳香に。」

 

 

まるで犬のように鼻先をスカートの下に寄せてクンクンとやる厚次を

摩耶子は少しだけ身構えるような目でジッと見降ろす。

 

なんとなく今腰を引いて逃がすのはカッコ悪く感じられたのだ。

 

 

「んん~♪

 ちっちゃくて可愛いおまんこだねぇ❤

 おちんちん挿れたら絶対気持ちいいよこれ❤」

 

「そ、それはどうも……」

 

「……しゃぶってもいい?」

 

「……っ。

 どうせ拒否権ないですよね?」

 

 

お伺いを立て、そこに実質的なお許しが出るや厚次の行動は早かった。

 

真正面、低い体勢から仕掛けるタックルのように、

摩耶子の太ももを抱き込むようにして鼻先を突っ込み

濡れそぼった牝穴をネロリネロリと大きな動きで舐め回す。

 

 

「……きゃッ!?

 あっ、ちょっ、あ……あッ❤」

 

 

自分自身ですらほとんど触れていなかった場所に

熱い吐息がかかり、大きな舌がしつこく嘗めまわしている。

 

それも段々と穴の外から中へ、奥へと迫ってきているのだ。

 

経験したこともない酷く生々しい感覚に

摩耶子は本能的に尻を引いて逃げようとするが

それも両手で抱きすくめられているためできない。

 

 

――れろっ❤れるっ❤ちゅるるるるっ❤

 

「……あっ、あっ、やっ❤

 あっあっ、だめっ……いやぁん❤」

 

 

一切の逃げが打てない状態で

許されることなく延々と続けられる愚直な攻め。

 

それはコップに途切れることなく水を注いでいくのに似ていた。

 

その注入がいかに少しずつであろうと、

いつかは必ず――溢れる。

 

 

「……っあ❤あ❤あ❤あっ❤

 はあぁぁ~~~~んっ❤❤」

 

 

キメたのはライトアクメ。

 

腰から力が抜けて崩れ落ちる摩耶子を

攻めるのをやめて体を起こす厚次が支えた。

 

 

「はっ、はっ……

 はーっ……はーっ……❤」

 

「ハハ、目を白黒させちゃってるね。

 そんなによかった?」

 

「は……は……❤」

 

「でも、一番気持ちいいのはこれからだよ?」

 

「……?」

 

 

ピンク色の爆発で一時的に思考が飛んでいる摩耶子。

 

その耳元に厚次がそっと顔を近づける。

 

 

「……おちんちん、挿れてもいい?」

 

 

そう、欲望の獣が、囁いた。

 

 

「それって……」

 

 

それを受けて小さな両手が樹を掴む。

 

牡のいる方へと尻を突き出し、内股気味におずおずと足を開く。

 

たった今、主をひと時の天上へと導いた牝の器官がくぱっと開き

牡の唾液が混じった樹液をつぅっと滴らせる。

 

 

「どうせ拒否権ないですよね……っ❤」

 

 

 

 

◆

 

 

 

 

夕暮時。

 

周囲を金色の霧に包まれたとある木陰では、

長く続けられてきた行為が区切りを迎えようとしていた。

 

 

――……ぱんッ、ぱんッ、ぱんッ、ぱんッ❤

 

「へ、へびちゃ……っ。

 今まで、何回、赤ちゃんお注射したか……覚えてるッ?」

 

「よ、よんか……よんかいっ❤」

 

「そ、そう……四回だッ!

 四回分の赤ちゃんの素が今、ココに詰まってるんだよッ!」

 

 

疲労に悦びでじっとりと濡れた立ちバック。

 

厚次は摩耶子の下腹部に手をまわすと

労うように優しく撫で、続いてポンポンとやる。

 

 

「でも、あともう一回だッ!

 蛇ちゃんの子宮にあともう一回詰め込むからッ!

 いいね……ッ!?」

 

「はっ、はーっ❤

 どーせ拒否権っ……ないですからっ❤」

 

 

ここまで四回繰り返されたことが、また始まる。

 

五回目のラストスパートだ。

 

リズムを合わせて腰と腰をぶつけ合う厚次と摩耶子。

 

摩耶子も厚次の射精の受け止め方がある程度わかってきていた。

 

どんな視線を投げ、どんな声で鳴き、どんな吐息を吐き、

どんなタイミングで膣内を引き締めれば

厚次から濃厚な精液を絞り出せるのか。

 

それをわずかながら体が覚えこんだのだ。

 

 

――ぱんッ、ぱんッ、ぱんッ、ぱんッ❤

 

「へびちゃ……へびちゃんっ❤」

 

「あっあっ、あん❤

 すご……っ、厚次っお兄さま……っ❤」

 

 

二人の結合部からダラリと溢れ出すのは、

ここまでにたっぷりと注ぎ込まれた四発分の精液。

 

ピストンの引きの動作に合わせてカリの部分に掻きだされては、

打ち付けられる腰に押し潰されてプチュッと愛らしく泡立ち、

糸を引いて、架け橋を作り、垂れて、落ちる。

 

そして、そんな淫らな光景にもやがて終焉が訪れる。

 

 

「っし、イクよ……ッ!

 蛇ちゃんをッ、妊娠ッ、させるッ❤

 ……アッ……オォオオッッ!!!!」

 

――ドビュッッ❤ ビュッ、ビュルッ❤

 

――ドプッ……ドププププッッ❤❤

 

「あ……あぁっ……デキちゃ……っ❤

 いやぁぁぁ~~~~~~~~んんっ❤❤」

 

 

プリプリの子宮を圧し潰すような一突きから、

五発目とは思えない量の精液がドップリと吐き出される。

 

愛らしい尻をフルフルと震わせながら、

摩耶子は本物のアクメへと堕ちてゆくのだった。

 

 

 

 

◆

 

 

 

聖リトリス女学院の夜。

 

街灯の明かりが灯った霧の遊歩道を

厚次と摩耶子が連れ立って歩いている。

 

あの行為のあと。

 

しばらく休んでから女子寮へと帰る摩耶子が

道中で他の用務員にまた襲われてはいけないと

厚次がエスコートしているのだ。

 

 

「え……

 こんなタイミングでも『おつとめをしろ』って

 言ってくる人がいるんですか?」

 

「いるよ。

 ハイエナなんて呼ばれる連中だね。」

 

「こ、こんなコンディションでまた最初からとか……

 絶対、無理ですよ。」

 

「そういう連中はね。

 弱った獲物が更に弱ってゆく姿に興奮するんだ。」

 

「……」

 

「怖いでしょ?」

 

「……怖いです。」

 

「だからエスコートが必要なわけ。

 俺がついていれば、もし声をかけられても俺が断れるからね。」

 

「……なるほど。」

 

 

厚次と摩耶子。

 

二人の距離が先ほど一度ゼロになったこともあってか、

短時間で随分と親しい関係になっていた。

 

厚次に対して警戒の壁を作らず

むしろ信頼すら寄せ始めている摩耶子は、

自らの急激な心境の変化に驚愕すら覚えていた。

 

 

「で。

 どうかな、蛇ちゃん?」

 

「……?

 何の話ですか?」

 

「また俺と会ってくれる?」

 

「……。

 それ、どうせ拒否権ないですよね?」

 

「あるよ?」

 

「~~ッ!

 なくていいんですっ!」

 

「あ、あー……ごめんごめん。

 オーケーオーケー。」

 

 

両手を前に出し『どうどう』とやりつつ苦笑する厚次は、

この魅惑的な獲物が獲れたことに内心大きな悦びを感じていた。

 

そして、同時に複雑な感情も。

 

 

「お兄さま方は日常茶飯事かもしれませんけど……

 こっちは赤ちゃんがデキるかもしれないようなコトをしたんです。

 責任、取ってもらわないと困りますからね……?」

 

「ああ、わかってるよ。

 そのお役目、有難く引き受けるさ――」

 

 

『――俺に許された範囲で、ね。』

 

声のトーンを少し落として、そう付け加えた。

 

今日、ひょんなことから結ばれた厚次と摩耶子との関係。

 

それはこのままうまく続くかもしれないし、どこかで壊れるかもしれない。

 

だが上手く続いたとしても二年半後の摩耶子の卒業を以て、

確実に別れの時はやってくる。

 

そんな運命はまるで意地の悪い魔都の神々からの祝福のようだった。

 

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