※この作品はR-18です。

霧の牢獄   作:宇藤百足

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◇牧瀬 美夜(まきせみや)
 女性 十六歳(一年生)
良くも悪くも普通の魔都っ子。

◇洞沢 統也(どうさわとうや)
 男性 二十八歳(用務員)
ガタイのいい男。

◇倉重 シエラ(くらしげしえら)
 女性 十五歳(一年生)
北の大国の血が入ったハーフの少女。

◇浅賀 ほとり(あさかほとり)
 女性 十六歳(二年生)
優しくもしたたかな性格の持ち主。



牧瀬美夜①

 

「ごちそうさまでしたっ。」

 

 

魔都の都心部には数多く存在するタワーマンションのダイニングルーム。

 

そこにはありふれた家族団らんの光景があった。

 

 

「こら、待ちなさい? 美夜。」

 

 

夕食を手早く済ませて即座に席を立とうとする

牧瀬美夜(まきせみや)を母親が呼び止める。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「えっ、なぁに? お母さん。」

 

「『なぁに?』じゃないだろう、美夜。

 お前、明日から三年間お別れなんだぞ?

 もう少しお父さんたちに、こう何かないのか?」

 

 

そう声をかけた父親は、

美夜の前に置かれていたパンフレットをひょいと取り上げる。

 

そこには『聖リトリス女学院 入学のしおり』とあった。

 

 

「あっ、お父さん、返してよー。」

 

「いいから座りなさい、美夜。」

 

「はーい……」

 

 

美夜から取り上げたパンフレットを開き、

フムフムと興味深げに目を通す父親。

 

既に何度も確認した中身ではあったが、

大切な一人娘を三年間もの長期間に渡り預ける先だ。

 

色々な意味で興味は尽きない。

 

 

「『神秘的な霧に包まれ、荘厳な鐘の音が鳴り響く、

 リトリスの乙女たちの聖なる学び舎』、か。」

 

「そうよ? お父さん。

 美夜、明日からリトリスの乙女なんだから。」

 

「ハハハ。

 リトリス教なんて何も知らないだろ、お前。」

 

「そ、そんなことないもん。

 ちょっとはその、調べたし……」

 

 

そんな二人を微笑ましげに眺めつつ、

母親は使い終わった食器を下げに立つ。

 

 

「リトリス様は世界中に信者を持つ超メジャーな神様なんだよ?

 美夜にだって、きっとすごい加護をくれるもん。」

 

「加護、加護ねえ……

 それってアレか?

 よく言われる『リトリスマジック』ってやつか?」

 

 

父親は少しだけ懐疑的な顔をする。

 

聖リトリス女学院に纏わる数々の噂の中でも、

最も知られているのが、この『リトリスマジック』。

 

内容としては『卒業生が各分野で必ず大きな成功を収める』というものだ。

 

 

「あっ、お父さん、もしかして信じてないの?」

 

「いやまあ、悪い噂じゃないし、

 多少持て囃す分には問題ないとは思うんだがなぁ……」

 

 

少し歯切れの悪い父親。

 

そこにキッチンから母親が口を挟む。

 

 

「あら、あなた。

 それを信じてないのに聖リトリスに美夜を送り出すの?」

 

「なんだ、お前まで。」

 

「すごいのよ? リトリスマジック。

 今飛ぶ鳥を落とす勢いのアイドルAとか、テレビでよく見る医師のB先生とか、

 海外で活躍する実力派女優Cとかとか、あのあたり全員聖リトリスの卒業生よ?」

 

「お、おお……」

 

 

リトリスマジックが根も葉もない噂に終わらないのは、

実際に成果が目に見えるため。

 

魔都ネットにWikiが作られるような魔都の女性有名人の多くが

履歴に『聖リトリス女学院 卒業』とあり

学院の名を世間に知らしめているのだ。

 

 

「で、美夜?

 貴方は将来、何になりたいの?」

 

「えっ?

 えーとぉ、弁護士、とか?」

 

「お、お前が弁護士ィ~?

 志が高いのは構わないが、なんでまた弁護士なんだ?」

 

「えっ?

 だ、だって……

 かっこいいじゃん、女弁護士って……」

 

「「……」」

 

「あっ、なによー、二人ともー!」

 

 

呆れ顔の両親の前で、ぷくーっと頬を膨らませる美夜。

 

だが、明日から三年間会えなくなる父と母の姿に、

美夜の目は自然と優しいものになる。

 

 

「まあ弁護士はともかく……

 帰ってきたらたくさん親孝行してあげるからさ。

 愉しみに待っててよね! お父さん、お母さん!」

 

 

少し照れくさそうにそういうと、今度こそダイニングを離れる美夜。

 

『とっとっ』と跳ねるような足取りで自室の扉の前まで戻ってくる。

 

そして、扉を開けて中に入る。

 

 

(えっ?)

 

 

すると、そこは見知らぬ部屋だった。

 

フローリングの床にベッドとPCとデスク、クローゼット。

 

その他余計なものは一切置かれておらず、生活感がない。

 

学生の部屋らしくはあるが、美夜の部屋とは似ても似つかなかった。

 

 

(えっ? えっ?)

 

 

だが、そんな異常事態すら些細なことと思えるほど、

美夜の目を強く惹きつけるモノがそこにはあった。

 

 

――パンッ❤ パンッ❤ パンッ❤ パンッ❤

 

 

「あっ、いやっ、はぁんっ❤」

 

「よ~しよしよし……

 よ~く締まるおまんこちゃんだッ❤」

 

 

制服姿の少女を駅弁販売のポーズで抱え上げ、

ガツガツと腰をカチ上げるガタイのいい半裸の男。

 

二つの肉体の繋がる場所には

剥き出しの牡と牝がチラチラと見えており、

その行為が何であるのかをまざまざと見せつけている。

 

 

(嘘っ、オトコノコオンナノコしてる!?)

 

 

しばらく蜜の滴る結合部に吸い寄せられていた美夜の視線。

 

だが、余裕が出てくると今度は二人が誰なのかを確認しに行く。

 

直後、ヒッと呼吸が引っ込む感覚があった。

 

 

(いや、問題はそこじゃない。

 この子、この子……)

 

(……美夜自身だ!)

 

 

そこで男とまぐわう少女は美夜自身だった。

 

また、それがわかると、当の自分は今、

この場に視界しか存在していないことにも気づく。

 

手を伸ばしたくても、声を上げたくても、何もできない。

 

ただ自分自身が見知らぬ男に弄ばれる姿を見ているしかない。

 

そんな状態だ。

 

 

「くゥ~っ❤

 もうザー汁がアガって来やがったッ❤

 美夜のおまんこが気持ち良すぎるせいだぞ、コラッ❤」

 

「あ、だめ。

 中はっ、中はだめですっ。」

 

「馬ッ鹿野郎ッ❤

 中に出さねえと俺のオタマジャクシ全員犬死だろうがッ❤

 このままドップリとぶちまけさせてもらうぜェッ❤」

 

 

いよいよ勢いを増す力任せの突き上げ。

 

ピンボールのように乱暴に打ち上げられる腰は

宙に放り出される絶叫マシーンのようなスリルに萎縮。

 

意思に反してキュゥキュゥと男のペニスを締めあげ、

射精感を強烈に高める手伝いをしてゆく。

 

 

「アァ~出るッ❤

 美夜、愛してるッ❤

 愛してるぜェ、美夜ァッ❤」

 

「あっ、だめっ。

 あっ、あっ、だめだめっ。

 いやっ、あ……いやぁっ❤」

 

 

それはあまりに非現実的な光景すぎて、

自分のことだと思えなかったのかもしれない。

 

美夜は間もなく区切りを迎えようとしている

男女の行為から目が離せなかった。

 

 

(あ、美夜……

 この人におしおきミルク、出されちゃうんだ……)

 

(女の子をママの体に変えちゃう、イケないミルク……)

 

(出された女の子は、気持ち良すぎて失神しちゃうこともあるって……

 あれ本当、なのかなあ……?)

 

 

震えあがる牝の急所を容赦なく掘り進む激しい抽送。

 

突き上げるほどにいやらしい水音を立てる牝穴は、

まるで呼吸を塞がれてに喘ぐ口のようにダラダラとよだれを垂らす。

 

そんな息も絶え絶えの媚肉になりふり構わずがっつく牡。

 

最後の瞬間に向け、子宮を圧し潰すほどに切っ先を突き上げてゆく。

 

そして――

 

 

「孕めおらッ❤❤」

 

「だめ、だめぇっ。

 あん❤ いやぁぁぁんっっ❤❤」

 

 

瞬間、強制絶頂。

 

美夜の拒絶の言葉は、一瞬で歪な悦びの歌声へと裏返る。

 

膣内や腸内で射精を行われれば必ず絶頂を迎えてしまう、

魔都の姫君の肉体ならではの化学反応が起こったのだ。

 

 

「あぁっ、出てる、中に……」

 

 

本心では牡を拒絶しつつも、駅弁スタイルという

不安定な体勢から振り落とされないよう必死にしがみつく。

 

その姿は皮肉にも淫らに貪欲に牡を求めているように見えてしまう。

 

そんな屈辱に美夜は肩を震わせて咽び泣いた。

 

 

「くゥゥ~ッッ♪

 ナイスダァ~ンス❤ 美夜!

 今の本気アクメ、可愛かったぜェ~❤」

 

 

一方で年頃の牝の子宮を撃ち抜いた興奮冷めやらぬ男。

 

可憐な牝の香りを自らに塗りたくるように頬ずりをし、

誰に見せつけるでもなくキスの雨を降らせる。

 

そうして美夜の垂らすよだれを

ネロリネロリと舐め上げては悦に浸った。

 

 

(本気アクメ……

 アクメって、おんなのこの瞬間のことだよね?)

 

(美夜、おしおきミルクを気持ちよく注ぎ込まれて、

 おんなのこの瞬間、お迎えしちゃったんだ……)

 

(これが……

 これが男の人と踊るってことなんだ……)

 

 

そんな風に美夜が感心している前で、

男と繋がっていた方の美夜はベッドへと放り出される。

 

次いで自らもベッドへと上がる男。

 

美夜は咄嗟に四つん這いになって逃げようとするが、

腰を掴まれ、男の手元まで引きずり込まれる。

 

そして、今度はバックからの結合。

 

すぐに『ぱん、ぱん』とあの音が立ち始めた。

 

 

(うわ……

 この男の人、まだガンバるつもりなんだ。)

 

(これが、女の子を妊娠させたい男の子の気持ち。

 底なしの欲望、なんだ……)

 

 

魅入られたかのように釘付けになる視線。

 

邪なビートに高鳴る鼓動。

 

すると、今は存在しないはずの頬に熱を感じ始める。

 

同じく股間に熱を持ったヌルヌルやドロドロを感じ始める。

 

急激に引き戻されてゆく感覚。

 

それは今まで夢見心地にふわふわと浮遊していた意識が、

本来あるべき場所へと吸い込まれてゆく感覚だった。

 

夢が覚めようとしているのだと、

この時、美夜は初めて理解した。

 

 

 

 

◆

 

 

 

 

「……、あっ。」

 

 

美夜はベッドの上で目を覚ます。

 

見回せばフローリングの床にPCとデスク、クローゼット。

 

生活感のない、あの部屋だ。

 

 

「……」

 

 

酷く頭がぼーっとする。

 

体が重い、力が抜ける感じがする。

 

思い出したくない記憶が、すぐそこまで近づいて来ている。

 

ふと、そんな風に感じた時だった。

 

 

「きゃんっ!」

 

 

突如、大きな手に太ももを撫でられる感触。

 

反射的に声を跳ねあげていた。

 

 

「やっとお目覚めかい?

 俺の可愛い眠り姫ちゃん❤」

 

 

身を逃がすように振り向いた先に、

ベッドに身を横たえるあの男の姿があった。

 

 

「あっ……」

 

 

思い出す。

 

彼は洞沢 統也(どうさわとうや)、

美夜の初めてのおつとめ相手となった用務員だ。

 

そこから芋づる式に蘇ってゆく記憶。

 

今日の帰り際、急激な腹痛に襲われた美夜は

駆け込んだトイレで悪戦苦闘せざるを得なくなり、

結果、獣のチャイムの射程範囲に捉えられてしまう。

 

真正直に逃げ出すにはとうに間に合わないタイミングだったが、

策を弄するだけの手練手管など美夜にはない。

 

大急ぎで昇降口に向かうが時既に遅し、

そこであえなく統也に捕まったのだ。

 

その後、貴重な新物をじっくりと愉しみたい統也に

無人寮へと連れ込まれ、そこで行為に及ばれた。

 

途中で記憶が途切れているのは、

行為の及ぼす快楽に耐えきれず失神したからだろう。

 

それで意識のない間、あの夢を見ていたのだ。

 

 

「お、お兄さま……」

 

「へへっ、寝ぼけ眼の美夜も可愛いな。」

 

 

ヌッと伸びた手に髪を梳かれる。

 

そのまま顎をつままれ、キスをされた。

 

反応が追い付かないまま、それを全て受け入れる美夜。

 

 

「あのっ、美夜。

 失神していたんですか?」

 

「おうよ。

 三発目を注ぎ込んだあと、急にぐったりと動かなくなってな。

 そのまま随分長いこと寝てたんだぜ?」

 

「さん、ぱつめ……」

 

 

言われて股間に手を当てる。

 

するとミニスカートの下に下着は履いておらず、

剥き出しとなった淫口とその周辺には生暖かい体液がこびりついている。

 

明らかな行為の痕跡。

 

ならば夢で見た光景は自らの記憶を第三者視点から見ていたのだろう。

 

あれは全て現実だったのだと思いいたる。

 

 

「う、ぐすっ……」

 

 

そこで漸く全ての認識が追いついてくる。

 

自分を強引にモノにした男への恐怖。

 

男の腕の中で感じ続けた未知の快楽への恐怖。

 

その果てで達した失神絶頂、意識を手放すことへの恐怖。

 

そして今もお腹の奥に残る狂おしい熱、妊娠の可能性という恐怖。

 

自分が超えてはならない一線を越えてしまったのだと理解し、

美夜はぽたりぽたりと涙を流して泣く。

 

 

「……」

 

 

統也は少し興ざめした面倒くさそうな顔で、

その様子を眺めるのだった。

 

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