小学校の修学旅行で起きた事件、僕は濃厚な生臭い香りの中で目を覚ます。
まだ外が薄暗い。気怠い身体、友達の一人が僕を抱き締める様に身体に乗っかっている。
昨晩、友達が部屋に押し寄せて来た事は覚えている。部屋の中に十三人の大所帯、両性具有の欲情で種族によって、陰茎の形が違う会話が全ての始まり。僕は、転生者で前世が男性。この世界には純粋な男性がおらず、千の両性具有に対し、一の女性が存在する。そして僕は一の女性である。つい男子学生のノリで「見てみたいなあ」と冗談半分で零せば、友達の一人が無言でズボンを脱ぎ出した。
彼女は鼠の獣人、ツルリとした突起物の先端を僕に見せつける。
小柄な身体。鼠なのでシモも小柄で可愛いものだと思っていたのだけど、前世での平均を超える長さはある。意外な逸物に周囲の両性具有達も興味津々、流石に浴場でマジマジと見る事は出来なかった様だ。息を飲む程の注目を浴びて、鼠の子が身を震わせる。顔を真っ赤にして目を潤ませる彼女を前に、何も言わないのも恥を掻かせるだけだと思ったけど、頭が真っ白で何も言えなかった。
だから陰茎の先端を指の腹で撫でる。
先端がふっくらと膨らんでいる。触ってみると少し面白い感触、コリコリと先端を撫でていると透明の液体がトロリと溢れ出す。粘り気のある液体、なんとなく口に含んでみるとしょっぱい味がした。生唾を飲む音を皮切りに、周りで様子を窺っていた全員が服を脱ぎ出し、計十二本の多種多様な陰茎をボロンと僕に突き出す。
期待と羞恥の入り混じった視線に、僕は、状況に流されるように陰茎に触れて行った。
全員の陰茎と精液の味を思い出す。
頭が朦朧とし始めた頃に押し倒されて、全員に輪姦された事を思い出してサアッと血の気が引く感覚。ドクンドクンと胸が高鳴る中で、まだ生理が来ていない事を思い出し、意識して深い溜息を零す。まだ心臓は落ち着かないけど、既に起きてしまった事は仕方ない。僕の上に乗り、抱き締める兎の友人が、ぶるりと身を震わせる。腹の奥に感じる熱い感覚、今、現在進行形で犯されいる事実に僕は考えるのが面倒になった。
瞼を閉じて、二度寝を敢行する。
獣人の身体は案外、暖かくて気持ち良いのである。
小一時間後の夜明け前。ベッドを椅子代わりに座る僕の前で十二名の友人達が全裸で正座する。
僕から見て右から左に鼠、牛、虎、兎、龍、蛇、馬、羊、猿、鳥、犬、猪の獣人。全員が両性具有であり、僕を輪姦した者達である。混濁した意識の中におぼろげな記憶が残っている。正直、憤りは感じている。しかし彼女達は僕の大切な友人だし、僕に非がなかった訳でもない。いや、それでも、やり過ぎだが、だけど、最終的に許すことになるのはもう決めている。
しかし、ただ許すというのも、心情的に納得出来ないものがある。
前世でこういう時、どうするのか思い返し、溜飲を下げる為の言葉を口にする。
「責任、取れるよね?」
言ってから僕は、部屋に備え付けのシャワーを浴びる為に背を向ける。
そして髪に絡みついた精液がなかなか取れない事に憤慨した。
ある程度の月日が過ぎて、中学生になる。
修学旅行で事件を起こした面子もまた同じ学校、何名かは同じクラスメイト。両性具有で獣人が当たり前に存在する世界、人口比率で云うと純粋な人間の方が少ないのだけど。兎も角、獣人がマジョリティの世界では、中学校に進学する事には、大きな意味が付与される。
それは、発情期の存在である。
本来、雌の獣に起きる現象のはずなのだが、この世界の男性とは即ち両性具有。両性具有は純粋な女性よりも妊娠能力が低い代わりに男性器を有する種族である。雌として発情し、男性として性欲を発散する。更に付け加えるとすれば、発情中の両性具有は陰茎が萎えず、何度でも種付けをする事が出来る。
即ち、性欲の発散は、割と洒落にならない身近な問題である。
元より獣人が大多数を示す世界観であるが故に、獣人に寄り添った法制度も定められている。
番制度と呼ばれる制度。簡単に言うと婚約者を決める制度であり、避妊薬の服用を前提に未成年同士の性行為を許すというもの。まだ獣人の数が純人間を上回ったばかりの頃、社会が崩壊するレベルで秩序が乱れた際に作られた法律である。身も蓋もない話をすれば、好き勝手に性行為をされるのであれば、性行為を前提に法律で管理できる仕組みを作るといったもの。
更に別件で、女性は複数の両性具有を夫として娶る事が出来る一妻多夫制度がある。
両性具有が結婚できる相手は一人だが、女性が結婚できる相手に制限はない。これは女性が最低でも年に一度、子を妊娠出来るのに対し、両性具有は一生に一度か二度、子を妊娠するのが限界という統計的なデータから採用された制度になる。
この一妻多夫制度と番制度が組み合わせた時、目の前の惨状が生み出される。
入学初日、僕の机を取り囲んだ十二の友人。
修学旅行の一件で文字通り、責任を取りに来た彼女達は番届を携えて来たのだ。
わざわざ個別に用意したサイン済みの届け出を前に僕は神妙な顔で零す。
「番届の用紙、妻側から申請出来るのは五人までなのだけど?」
如何に女性が妊娠しやすいと言っても子供を産むのに数がある。
発情期の獣人を相手に出来るのは、並の精力で一人が精々、絶倫でも体力的な問題で三人まで、過去の記録でも五人が精々で近年、女性の腹上事故死の観点から人数制限を設ける事が検討されている。
市役所に提出する時、職員の両性具有に何度も再確認を受ける事になる。
「こいつらの相手を出来るのは僕だけなので」で、ごり押した。
誰かを決めるとなれば、獣の本能を剥き出しに本気で血を見る事になりそうなので、とハイライトを失った目で伝えると職員は気の毒そうに三枚分の書類を受け取ってくれた。
実際、これで人死にが出ている獣人社会の大きな問題のひとつである。
最近のマイブーム、ケモチン。