【完結】もし衛宮士郎がメディアリリィを拾ったらというお話 作:ふりかけ@木三中
「愛しています、シロウ様…♡♡」
そんな愛を囁く言葉が、耳元でポツリと呟かれて俺の脳をジーンと麻痺させる。
どこかぼんやりとした思考のまま目の前を見ると、真っ白なネグリジェに身を包んだ青い髪の少女が横たわった俺の股上にまたがっている。
その表情はこれからする行為への期待からか赤く染まり、目元を潤ませながらも俺への好意を隠しもしないようにじっとこちらを見つめている。
「ふふ……分かりますか?もうわたしのアソコ……濡れちゃってます♡」
少女はもはや待ちきれないというように腰を振って、俺のいきりたったペニスを刺激してくる。
「あっ……♡♡」
その小さな刺激だけで少女は小さく喘ぎ声を漏らす。
真っ白な下着越しにグニグニと伝わってくる美肉の感覚は、彼女の言う通り既に湿り気を帯びていた。
ねだるように腰を揺らすたびにグチャリという水音が響き、その音を聞いて彼女はますます興奮に顔を上気させる。
「シロウ様……お願いします♡ドロドロに濡れたわたしのアソコ、力一杯かき混ぜて…♡♡ビュビューってあかちゃんの種いっぱいいっぱいわたしの奥に出して…♡♡もう何も分からなくなるくらい気持ちよくしてください」
媚びるような少女の声に否応なく興奮は高まり、全身の血液が肉棒に集まるのを感じる。
その衝動のままに彼女を抱き寄せ、折れてしまいそうな細い腰を掴む。
「あん……♡♡」
彼女の柔い肢体と快楽に漏れ出る嬌声を堪能しながら、どこか脳の冷静な部分がなぜ、こんなことになったのだろうかとぼんやりと思いを辿らせる。
そう……始まりはあの日。
あの雨の日の出会いから全ての運命は始まった。
◇
「悪いな衛宮、こんな個人的なことに付き合わせてしまって」
俺のクラスメイト、柳洞一成がペコペコと頭を下げる。
「別に気にするなって、電気屋に頼むと来るの1週間後とかなんだろ?この季節にストーブなしじゃキツイだろうし、そもそも俺にだってまだ直せるかは分かんないしな」
今、俺たちは日の暮れる中、彼の住まう柳洞寺へと歩を進めていた。
なんでも、柳洞寺で使っていたストーブが壊れたとかでほとほと困っているという話を聞いて、そういった修理に多少自信のあった俺はそれならばと学校帰りに見せてもらうことになったのだった。
一成はただでさえいつも学校で雑務を手伝って貰ってるのに悪いと渋っていたけれど、むしろ俺としては機械いじりなんかは好きな方なのでこうして押しかけた形だ。
そうして、柳洞寺の倉に案内されて問題のストーブを見る。
「ぱっと見は問題無さそうだけど……確かに点かないな」
カチカチとスイッチを入れてみるが、一成の言っていた通り電源はつかない。
「バラさないとダメそうだが、素人がやると壊してしまいそうでな……いけるか衛宮?」
「あぁ、ちょっと見てみるよ。悪いけど集中して作業したいから少し1人にしてもらえるか?」
「すまんな……では頼む」
適当なことを言って人払いをさせて、一成にも部屋から出てもらう。今からやることを一般人に見られるのはちょっと都合が悪いからな。
「出ていったな……それじゃ……」
人の気配が無くなったのを確認してから、ストーブの前にしゃがみ右手を添えて目を瞑る。
「同調ーー開始」
その言葉をトリガーに、まるで右手の先を通じてストーブの中へと神経が通っていくかのような感覚が走る。
表面、基盤、電線……全てのパーツが手に取るように、いや、自らの手そのもののように理解することができる。
「構造把握ーー解明」
構造把握の魔術ーーその名の通り物体の作りや素材なんかを探ることができる。
どのパーツとどのパーツが干渉しているのか、電気はどこからどこへ流れるのか。本来はバラしてじっくり見ないと分からないようなこともこれならすぐだ。
「なるほど、作りは良くあるタイプだな……それでどこが悪さしてるんだ……?」
大まかな構造を把握し終えて、より細部へとその感覚を凝らす。
ネジのゆるみ、配管の歪み、ケーブルの断線
本来ならば専用の機械で計らなければ測定できないような僅かな誤差すらも正確に読み取る。
「接触不良か、部品ごとダメになってたらどうしようもなかったけどこれくらいなら直せそうだな」
そうやって故障の原因を探り当て修理を始める。ついでに他にも何箇所か悪くなってる場所もあったのでそれも直しておくか……
「しかし、やっぱりこういう時は便利だよな」
ポツリと呟き自分の右手を見る。
魔術……かつて俺を引き取った男、衛宮切嗣から学んだもの。
絵本や漫画の魔法使いのように派手に炎を出したりだとか、空を飛び回ったりなんてことはできないけれど、こう言った時にはそれなりに役に立つ。
「とは言っても、できるのはせいぜい構造把握に強化と投影くらいだから、修理は普通にやんなきゃなんないんだけど……」
用意してもらっておいたドライバーを手に取り、ガチャガチャとストーブを分解していく。
魔術を使えるとは言っても、そう大したモノでは無い。
モノの構造を読み取る力。
そこに魔力を流して強化する力。
魔力で読み取ったモノを投影する力。
どれもまだまだ半端なことしかできないし、そもそも使いこなせたとしても切嗣からは俺の魔術は『魔術師』として大成するにはあまり向いていないと言われた。
それに……
それに、俺の目指す『夢』にはまだまだ力が足りない……
「っし、できた」
そんなことをつらつらと考えながらも修理を進め、1時間ほどで作業を終えると一成を呼び戻す。
「おぉ、問題なく電源がつくようになったな。ありがとう、助かったよ、俺は機械の類に疎いからな。途方に暮れていたところだった」
そんな大した手間でもなかったのに、一成からは何度もお礼を重ねられる。
「まぁ、ストーブくらいならそこまで複雑な作りってわけでもないし、どの部品がどう動いてるのか見てやればおおよその見当はつくもんだ。一成は俺より頭いいんだしやればできると思うけどな」
「それはお前だから簡単に言えるのだ。お前は物事の本質を見抜くのが上手いからな。人に対してもモノに対しても」
俺の言葉に一成がそんな風に返す。
本質ねぇ…そんなこと初めて言われたかもしれない。
機械の構造を読み取ったりするのは確かに魔術を抜きにして得意な方だが、人の心の機微なんかにはむしろ疎い方だと思っている。
「ん……雨が降ってきたな。激しくなる前にお暇するよ」
そんなことを言っているとポツリポツリと雨が降り出してきた。
ガラス窓を雨水が叩き、タンタンと小気味良い音をたてる。
今朝の天気予報でも夜にかけて雨が降りそうだと言っていたから傘は持ってきているが……これは思ったより降りそうな雰囲気だ。
「今日は助かった。雨で滑りやすくなってるだろうから気をつけて帰ってくれ」
一成に見送られながら、柳洞寺の林道を下る。
この辺りは街灯なんかも無いため薄暗く、月明かりを頼りにゆっくりと歩みを進める。
「降ってきたなぁ……」
予想どおり、雨足は強くなってきてザーザーと傘を打ちつける。
ふと空を見上げると雲の切れ間からは月の光が差し込んでいて、なんとも言えない幻想的な風景を作り出していた。
「ん……?外国人……観光客か?」
そうして、しばらく歩いたところでふと人影が目に入った。金髪に黒のライダージャケットを着た男、後ろ姿なので表情は見えない。
俺たちの住むこの冬木の地は観光地としてはそれなりに有名で、外国人の姿を見かけることはそれほど珍しいわけではない。
とはいえ、こんな雨の中を出歩いているとは……
「傘もささずに……それにあっちの方はなんもないはずだけど……」
道を少しそれて、藪の中へと男の姿が消えていく。
この辺りは柳洞寺以外に建物は無いはずだが……もしかして土地勘が無くて迷っているのだろうか?
もし困っているならと、男の後を追いかけて藪の中へと入っていく。
「あれ?こっちの方に来たと思ったんだけどな……」
藪の中へと入ったところで男の姿を見失ってしまう。
キョロキョロと辺りを見回してみるが人影は見当たらない。
藪の中で雨が降っているとはいえ、特別視界が悪いってほどでもないのだが……
「ん……?」
男の姿を探していると、少し遠くの茂みの中からガサリと何か音が聞こえた。
狸かなにかかと訝しみつつ、茂みの奥を覗き込む。
「………………えっ?」
そこには少女が倒れていた。
大きなローブを纏った、青い髪の少女。
顔面は血の気を失って蒼白とし、瞳は眠るように閉ざされている。
「ちょ……大丈夫か?」
思わず駆け寄って少女の体をゆする。
しかし苦しげに眉根を寄せるだけで返答が返ってくることはない。
「呼吸はしてる、けど……とりあえず病院に連れてったほうがいいよな」
ひとまず息はあることに安堵しつつ次の行動を思考する。
少女を雨の当たらない木陰に寄せ、救急車を呼ぶために柳洞寺で電話を借りようかと思案を巡らせる。
そうして一旦その場を後にしようと踵を返した時だった。
グッと服の袖を引っ張られて、その歩みを引き止められた。
「ーー1人に……1人にしないで」
意識を取り戻したのか、うわ言を呟きながら少女が縋るようにこちらの手を伸ばしていた。
そして、その少女と目が合う。
サファイアを思わせる蒼い瞳。
綺麗だーーと、場違いにもそんなことを思った。
「…………」
だが、目が合ったのは一瞬で、再び気絶したのか目を閉じてしまう。
それでも、その小さな手は俺に向けに伸ばされている。
「1人にしないで、かーー」
少女のうわ言を反芻して、ゆっくりと自らの手を少女の小さな手と重ねる。
そうして俺はーー
◇
「ふぅ……よいしょっと……」
結局、俺はこの気を失った少女を自宅へと連れ帰って看病することとした。
普通に考えれば、ここは救急車でも呼ぶべき場面なのだろうがそうするには少女が色々と『訳あり』そうな雰囲気だったからだ。
雨が降っていたこともあってか幸運にも街を歩く人影もなく。
少女をおぶる姿を誰にも見咎められることなく自宅へとたどり着くことができた。
そうして布団の上に少女を眠らせ、スゥスゥと寝息をたてるその顔を覗き込む。
見たところ命に関わるほど弱っている、といった感じで無さそうだが……
「……ビショビショなままだとまずいよな」
奇妙なことに少女はその小柄な身長に対してやたら大きなローブを纏っていた。
本来もっと大人の女性が着るサイズのものだろうに、小柄な少女が着ているせいでぶかぶかな隙間からはチラチラと素肌が見え隠れしていて非常に気まずい。
とはいえ恥ずかしがっていては雨で濡れた衣服に少女の体は冷えるばかりだ。
「……すまん、見ないようにするから……」
聞こえてはいないと分かりつつも顔を背けて虚空に謝りながら少女の衣服に手を伸ばす。
目を背けているといえ聞こえてくる衣擦れの音に気恥ずかしい思いをしながらも、サイズがぶかぶかなこともあってかあっさりとその衣服を脱がすことに成功する。
「…………」
そうして一糸纏わぬ姿となった少女の体をバスタオルで拭いてやる。極力その裸体を視界に入れぬようにしているとはいえ、チラチラと見えてしまう白い肌やその柔らかな肢体の感触に思わず顔が赤くなる。
「よし……と、服は俺のシャツ着せとくか……」
彼女の体を拭き終わり、今度は俺の予備のシャツを着せてる。当然サイズはブカブカで袖なんか思いっきり余ってしまっているが、少女用の服なんか持ってるわけもないし仕方ない。
「ん………?」
そうして脱がせた彼女のローブを畳もうとして、その生地に赤い液体がべったりと付着していることに気づく。
「血痕、だよなこれ……」
赤黒く変色したそれはかなり時間の経ったモノだろう。服の生地が黒っぽいのと雨で濡れていて今まで気づかなかったが、それなりの量の血だ。
少女の血であれば先ほど着替えさせた時に気づくだろうから別の人間の血が付着したのだろうか。
脳裏に少女を発見する前に見かけた金髪の男の姿が浮かんだが、特に争ったような形跡はなかったし少なくともあの時あの場所で何かがあったという訳ではなさそうだが……
「やっぱり、病院には行かなくて正解だったか……」
病院に彼女を連れていけば、事件性ありと判断されて警察を呼ばれただろう。そうすれば、第一発見者である俺は事情聴取なんかで彼女と引き離されることなったはずだ。
警察や病院は事件に巻き込まれたであろう少女を乱雑に扱いはしないだろうが、24時間付きっきりで見るほどに特別手厚く看病するとも思えない。
少なくとも、少女が目を覚ましたその瞬間に誰もそばに居ないといった可能性はあり得るはずだ。
『ーー1人に……1人にしないで』
少女がうわ言のように俺に呟いた言葉を思い返す。
それが彼女の望みなら……俺はそう動くだけだ。
彼女が目覚めた時に横にいられるように布団の横にどかりと座り込む。
「……日本人じゃないよな……歳は中学生くらいかな?」
冷えていた体が温まってきたのか、少し顔色が良くなってきた少女を改めて観察する。
明らかに日本人離れした顔立ち……年齢は14歳ぐらいだろうか?
外国人は日本人よりも発育が良いなんて言うからひょっとしたらそれより幼いか……少なくとも俺よりも下の年齢だろう。
何故あんな藪の中で、こんな少女が1人倒れていたのか……
目を覚ませばその理由も分かるのだろうか。
「しかし……これ、もし訴えられたら絶対捕まるよな……」
何か訳ありのようだから病院へは行かずに俺の家へと連れ帰ったが、これで何も無かったら最悪彼女が倒れたのが俺が原因だと勘違いされる可能性すらある。
そうでなくても幼い少女を家に連れ込み服を着替えさせたというのは中々にマズいのではなかろうか?
「ま、その時はその時か……」
思考を放棄し、今は少女が目を覚ますのをただ待つことにする。
幸い外傷はないようだし、意識を失っているのも何かの病気といった感じではなく衰弱しているだけのようだ。
こうして安静にしていれば、じきに目を覚ますだろう。
その時にせめて、孤独で不安にならないようにそばにいてやろう。
この話は邪道カプと言われがちなメディア×士郎ものになります。
作者の前2作もメディア×士郎ものなので興味のある方はぜひ読んでみてください。
なお今回は大人メディアさんは出ずにずっとリリィのままです。