間宮さんの作ってくれた料理はやはり美味しかった。しかし、何かが足りない。いつもより風通しの良くなった私の隣の空間が寂しい。味はすれど満たされない気持ちを抱えて浴場へ向かった。
「はぁ…。」
今日は湯船に浸かる気力もない。さっと汚れを洗い流し、脱衣所へ行く。いつもなら少し遅れて彼が上がり、私が髪を乾かすのを待っているはずだった。丁度そこに曙と加賀が入ってくる。
「霞上がってたのね。次入らせてもらうわよ。」
「うん。」
そのまま後ろに二人が抜けていく。これ以上ここにいても気が滅入るだけなので、少し早足で自室に向かう。
「何だか焦ってませんでしたか?」
「そうねぇ…ま、そっとしといてあげましょ。今はね。」
なぜ霞があんな風なのかは考えなくてもわかる。あいつがいないからに他ならない。不思議そうに顔を傾ける加賀の背を押して風呂場へ向かう。
布団を頭まで被り、早く寝ようとする。しかし、脳はそれをさせてくれない。変に目が冴えて、不安感がもやもやと広がる。心細さは増すばかりだ。バタンと扉が勢いよく開き、曙と加賀が飛び込んできた。
「な、何?」
「今日は3人で寝るわよ!」
「曙がこう言っているので…。」
そう言って私を抱え上げ、二人の部屋へ連行していく。
「あたしたちの部屋の方が広いからね!」
「私は別に…!」
「取って食おうってわけじゃないからいいじゃないの。久しぶりだし…ね?」
そのまま部屋に入り、私を二人が挟み込むように布団に入り込んだ。その暖かさに存外ホッとする自分がいた。
「ね、みんなで寝る方がいいわよ。」
「…そうね。」
加賀は既に心地よさそうに寝息を立てていた。次第に瞼が重くなって、意識が遠くなっていくのを感じた。
次に目が覚めた時には既に太陽が昇ってだいぶ経った頃だった。和室には似合わない大きい窓から差し込んでくる光で目が覚めた。曙がこちらを見て、優しい笑顔で応える。
「おはよ。」
「…ん。」
加賀はまだ眠っていて、寝返りを一つうった。ゆっくり身体を起こし、服を着替えに行く。少しだけ寒い温度が私のことを撫でた。ぱさぱさと寝巻きを地面に捨て、寝ぼけ眼で制服を着る。そのうちに頭が冴えてきて、テキパキ身体を動かす様になる。完全に脳を活性化させ、食堂へ行く。間宮さんからの朝食をもらって、自室へ戻る。彼が居ないだけであまりにも淡白な時が過ぎていく。また、昨日の様に曙が入ってくる。
「もうすぐクソ提督帰ってくるみたいよ。」
「ほんと!?」
思わぬ吉報に思わず身体を跳ねさせる。
「ほんとよ。だから、ちょっぴり驚かせてやろうと思って。」
「どうやって?」
「簡単よ。こっちきて。」
曙に促されるままに、司令室に向かう。
「ここで何するのよ。」
待ってましたと言わんばかりに曙が口を開いた。
「霞にあいつの軍服を着てもらうの。で、その格好のまま玄関で出迎えて。」
「…え?」