金剛の案内はうるさくはあるけれど結構楽しい。各部屋の説明や施設の説明なんかも丁寧だし、何よりすれ違う艦娘全員に笑顔を向けられているのだ。よっぽど人気なんだろう。まあ嫌いになる方が難しそうというのも思わないわけではない。なんだかんだで曙も私も金剛の話に耳を傾けている。
「フウ。あらかた説明は終わりましたかね。さて、recreationtimeデース!」
「レクリエーション?」
「Yes!実際に出撃してみましょう!」
「え?それっていいの?」
「構いませんよ!テートクは今お説教されているはずデース!少しくらいバレませんし、何より近々行われる作戦に向けての予行演習みたいなものデース。」
「やりましょうよ曙。私にとっては久々の出撃ですから。」
「…じゃあ、もし入渠することになってもあなたたちの資源を使っていいわけね?」
「もちろんデース!」
「流石に気分が高揚します。」
浮き足立たせながら港に向かおうという金剛の後を追う。ちょうどそこに駆逐艦娘たちが見えた。
「漣、あんたちゃんと指揮取りなさいよ。今回の演習の旗艦はあんたなんだからね。」
「もちろん!この漣。ふざけて良いところといけないところの分別はつくと自負しておりますぞ!」
「あはは…漣ちゃんらしいね。」
「ん?あれって…」
金剛さんの後ろには…曙と加賀さん?
「ヘイ七駆の皆サーン!調子はどうネー?」
「気合いバッチリですぞ!」
「ちょっと待って。それより聞きたいことがあるんだけど。」
もう一人のここに所属するあたしがギロリと睨んでくる。ここの艦娘は同じ艦娘に威嚇しろと習っているのだろうか?
「なんであたしがもう一人いるわけ?しかも改二の。」
「お客さんデース!なかなか面白い戦い方するんデスヨ?」
ピンク髪で髪を両側に縛っている…漣とかいう艦娘はこちらを面白そうなものを見る目で、なぜかカニがいる茶髪の艦娘…確か朧?は珍しいものを見る目で、ぴょこんと可愛らしいアホ毛が生え、青っぽいロングヘアーの艦娘…潮だったかな、が、あたふたしている。
「あっそ。別にいいけどね。でも、あんま変なことしないでよ。」
「あたしなんだから、あたしのやりそうなことくらいすぐに想像つくと思うけど?」
二人の間に険悪な空気が立ち込める。その瞬間に加賀があたしの身体を抱え上げた。
「うわ!?ちょ、加賀!?」
「あなた以外の曙に構う必要はありません。ほら金剛、速く案内して。」
「o…ok…」
胸に抱かれたまま運び出される。チラリと見えたあたしは少しつまらなそうな顔をこちらに向けた。
「加賀〜?そろそろ下ろしてくれるとありがたいんだけど。」
「ダメです。海の上に着いたときに降ろします。」
「…そう。今降ろしてくれたら…」
「なんです?」
立ち止まって、曙の顔がよく見えるように姿勢を直す。私の耳元まで顔を伸ばし、手で他に聞こえないようにガードする。
(今夜相手してあげる)
突然の囁きに耳がぞくぞくと震える。そういえば最近していなかったことを思い出す。私の身体が勝手に動いて曙を地面に降ろしていた。
「ありがと。楽しみにしてなさいよ。」