「二度とあんな危険な戦闘してはいけまセン!」
「もうわかったから。お風呂の中くらいゆっくり入らせてちょうだい。」
「金剛…曙も反省しているので程々に終わらせてもらっていいですか?」
「曙抱きしめながら言うことじゃないデス!」
海水で濡れた身体をお風呂で洗い流す。金剛のお小言は続き、ゆっくり入れやしない。
「あんた何しでかしてんのよ。」
「ぼのたん何しでかしたの〜。」
「あたしじゃない!」
「加賀さん加賀さん。なんで曙ちゃんを抱いてるんですか?」
「…そこにいる子に抱きついてみなさい。」
「お風呂では静かにしてくださいよ〜。」
七駆の面々も一緒に入渠している。といってもあたしも七駆所属ではあったけれど。
「あー…朧だっけ?カニはどこ言ったのよ。」
「カニさんは外にいるよ〜。お風呂は熱すぎるからね。茹であがっちゃう。」
「カニ…曙、今日はカニにしましょう。」
「嫌な連想しないでください!」
「曙ちゃん、ちょっと抱きついてみてもいい?」
「変なこと言わないでよ潮。え?本気なの?ちょ、待ってってば…」
「潮ずる〜い。漣もご一緒させてもらいますぞ!」
「あっつい!くっつくなぁ!」
随分賑やかな鎮守府だ。まあうちが極端に少ないからではあるが。今度改築と建造も打診してみようかな?大規模作戦とやらも今の戦力じゃ正直厳しそうだし。
「ゴホン。とにかく曙。自分の身体を大事にしてくださいね?」
「わかったわよ。もうわかった。」
「ん!ならよしデース。」
加賀の高めの体温とお湯によって熱が早く貯まる。少しぼーっとするくらいになったら上がる。
「かがぁ。そろそろ…」
「わかりました。」
加賀に抱き上げられ、脱衣所へ。なんだか後ろがざわざわ騒がしいのは気にしないことにしよう。
「今のってお姫様抱っこってやつじゃないかなぁ。」
「ひゅーひゅー。ぼのたんやりますなぁ。」
「あたしじゃないから!」
「なかなか進んでるねあの二人。」
「憧れのsituationデスネー…。」
身体から上がる湯気をタオルで仰ぐ。もやもやと天井まで登っていくのを見ることもせず身体の水気を拭い去る。髪の先から落ちる水滴が煩わしい。
「曙、大丈夫ですか?」
「だいじょーぶよ。のぼせてないから。」
浮遊感のある思考で加賀に返事する。備えられたドライヤーで髪を乾かす。温風でも身体を風が通り抜ける感覚が気持ちいい。あらかた飛ばし終えて、いつものように髪を結ぼうとする。
「曙、私が結びたいです。」
「んあ?じゃあお願いするわ。」
「では失礼します。」
加賀が珍しく結びたいと言ってくれたのでお願いする。櫛で髪を梳かれると、だんだんと眠くなってくる。その眠気に身を任せ、かくんと首が倒れた。
「曙?ここは別の鎮守府ですよ?」
…眠ってしまったようだ。よっぽど疲れていたのか安心しただけなのか。とりあえず早めに結ぼう。しかし、こう改めて見るとやはり綺麗な髪だと思う。毛先まで手入れが行き届いて、枝毛のようなものも見当たらない。サラサラと絹のような髪が手を流れ落ちる。髪留めをよく見ると鈴と花飾りは別々であることがわかった。三つ編みなんてしてみるのもいいかもしれない。提督もたまにその髪で執務していることがあるし、なんとなくだけれど結び方はわかる。根本を鈴の髪飾りで止め、三つの束に分けて、左の束を真ん中に、右の束をさっき交差させた左の束と交差させる。それを何度か繰り返して髪の先を花の髪飾りで止める。初めてにしては上手くいったのではないだろうか。
「フウ…いいお湯デシタ。」
「曙ちゃんって結構抱き心地いいんだね。」
「変なこと言わないでよ!」
「ぼのたん可愛かったですよぉ?」
「あっつーい。早く服着て間宮さんのとこ行こうよ。」
「皆さん上がったんですね。」
「加賀さん。一体何を?」
「いえ…曙が眠ってしまったので。あと、もう少し声を抑えて…。」
「本当だ…あ、三つ編みしてる…。」
「仲がよろしいデスネェ。」
「ぼのたんもご主人様とあんなことしたいでしょ?」
「んなわけないでしょ。」
「カニさんただいまー。」